式場LINEの最初のメッセージは、挨拶より質問を1つ置く
式場の公式LINEに友だち追加があると、自動で最初のメッセージが届く設定にしている式場は多いと思います。その中身を、いつ見直したか覚えているでしょうか。多くは、開設したときに作った「友だち追加ありがとうございます。ブライダルフェアの情報やお得なお知らせをお届けします」という挨拶のまま、何年も動いていません。
僕の考えは、この最初の1通は挨拶で終わらせず、答えやすい質問を1つ置いたほうがよい、です。理由は、友だち追加の直後が、二人の関心がいちばん高く、式場側から話しかけても不自然でない、ほぼ唯一の時間だからです。
先に断っておくと、友だち追加直後のメッセージの返信率や、質問の有無による予約率の違いを示す調査は、探しましたが見つかっていません。この記事の数字はすべて僕が置いた仮の前提で、実在の式場の数字ではありません。断定は「仕組みとしてこうなる」と言える範囲に留めます。
友だち追加の直後は何が起きているか
二人が式場のLINEを友だち追加する場面は、だいたい三つです。公式サイトやフェア予約ページのボタンから来る。見学の最中や終わりに、スタッフに勧められて追加する。媒体やインスタで見て、問い合わせの代わりに追加する。
どれも、その瞬間は式場のことを考えています。追加してすぐトーク画面を開く人も多いはずです。ところが、そこに届くのが「ありがとうございます」と、リンクが5つ並んだメニューだと、二人はどうするか。たいていは何も押さずに画面を閉じます。急いで探しているわけではなく、どれを押せば自分の知りたいことに行けるのか、分からないからです。
この閉じられた画面は、あとで取り返しにくいです。次に届くのは、週に1、2回の配信です。配信は全員に同じ内容を送るので、二人の事情には合いません。最初の1通で会話が始まらなかった友だちは、通知を切られるか、ブロックされるまで、ずっと「一方的に送られてくる相手」のままです。
挨拶とメニューだけの1通が弱い理由
挨拶とメニューだけの1通には、構造上の弱さが二つあります。
一つは、二人に「何かをする理由」を渡していないことです。リンクは押す手間があり、押した先の情報が自分に関係あるかも分かりません。人は、関係があるか分からないものを押しません。
もう一つは、式場側が二人について何も知らないまま次の配信に進むことです。挙式の予定時期も、人数感も、見学の有無も分かりません。そうなると、フェア案内を送るにも、全員に同じ日程を送るしかありません。二人が来年の秋を考えているのに、今月のフェアを案内しても、響きません。
この二つは、同じ原因から来ています。最初の1通が「式場が言いたいこと」で埋まっていて、「二人が答えること」が入っていないのです。
質問を1つ置く
では何を聞くか。条件は三つです。選ぶだけで答えられる。個人情報を含まない。答えが分かると、次に送る内容が変わる。
僕が最初に置くなら、「挙式を考えているのは、いつ頃ですか」です。選択肢は4つくらいに絞ります。
- 半年以内
- 半年から1年先
- 1年以上先
- まだ決まっていない
LINEの選択肢メッセージにしておけば、押すだけで返信が終わります。文字を打つ負担がなく、答えるのに5秒もかかりません。
この質問が良いのは、答えに応じて案内を変えられるからです。半年以内なら、空いている日程と、今月来館できるフェアを案内する。1年以上先なら、急がせずに、式場の雰囲気が分かる実例を送る。「まだ決まっていない」なら、見学の前に知っておくと選びやすくなる情報を送る。同じ式場の同じLINEが、二人の事情に合わせて違う中身になります。
聞いてはいけない質問も挙げておきます。ご予算、人数、お名前、電話番号は、最初の1通では聞きません。二人にとっては、まだ式場を選んでもいない段階で個人情報を渡す理由がありません。名前を聞くのは、見学の予約が決まってからで十分です。
質問の置き方で変わること
質問は、1通のメッセージのどこに置くかで答えられる率が変わります。僕が考える並びは次のとおりです。
1行目:追加への短いお礼。ここは1文で終える 2行目以降:質問と、選択肢のボタン 最後:メニューは入れない
メニューを入れない、というところが、実は難しいと思います。式場側は、せっかくの1通に、フェア予約、実例、アクセス、料金と、案内したいものを全部載せたくなる。ただ、選択肢が増えるほど、どれも押されなくなります。メニューにあたる情報は、リッチメニューとして画面下に常設しておけば足ります。最初の1通は、質問だけにします。
もう一つ、質問の文の書き方です。「お式の時期についてお聞かせください」と書くと、堅くて、何を答えればいいのか分かりにくい。「挙式を考えているのは、いつ頃ですか。一番近いものを選んでください」くらいの長さで、日常の言葉に寄せます。二人は友だちに聞かれるような感覚で答えられるほうが、答えやすいはずです。
返信が来たあとに何を送るか
質問を置いても、返信が来たあとの動きが決まっていないと、意味がありません。ここは段取りとして先に決めておきます。
返信が来たら、すぐに1通だけ返します。時期ごとに、内容を変えます。
半年以内の人には、その期間で挙式できる日程の空きと、来月のフェアの予約リンクを送ります。急いでいる人には、迷う時間を減らすことが親切です。
半年から1年先の人には、見学の予約へ直接つなぐのではなく、「見学の前に知っておくと選びやすいこと」を1つだけ送ります。たとえば、料金の見方や、人気日の仮押さえ期限の考え方のような、記事やページになっているものです。押す先が自分の事情に合っていると、リンクは押されます。
1年以上先の人と、決まっていない人には、急がせない。「気が向いたら、見学だけでも大丈夫です」と一言だけ添え、次の配信までは何も送りません。ここで予約を迫ると、一度で嫌われます。
そして、選んだ時期は、友だちの情報として記録します。以後の配信は、その時期の人にだけ、その時期に合う内容を送ります。週2回の全員配信よりも、月1回の絞った配信のほうが、読まれる可能性が高いと思います。
モデル計算:質問の有無で予約はどれくらい変わるか
ここからは、仮の前提を置いた計算です。実在の式場の数字ではありません。
ある式場で、月に友だち追加が100人あるとします。最初の1通が挨拶とメニューだけの場合、そこから何かの反応(リンクを押す、返信する)がある人を10%と仮に置きます。反応した人のうち、最終的にフェアや見学の予約に進む人を30%と置きます。
- 反応する人:100人 × 10% = 10人
- 予約に進む人:10人 × 30% = 3人
最初の1通に質問を置いた場合、選択肢を押すだけなので、反応する人を25%と仮に置きます。反応した人は、質問に答えたあと、時期に合わせた案内が届きます。予約に進む割合は同じ30%とします。
- 反応する人:100人 × 25% = 25人
- 予約に進む人:25人 × 30% = 7.5人
差は、月に4.5組の予約です。ただしこれは、反応率が10%から25%に上がるという仮定に完全に依存しています。前提を動かして、どこまで差が残るかを確かめます。
反応率だけを15%、20%、25%と動かし、予約に進む割合を20%、30%、40%と動かすと、月の予約数は次のようになります。
- 反応率15%:3.0組/4.5組/6.0組
- 反応率20%:4.0組/6.0組/8.0組
- 反応率25%:5.0組/7.5組/10.0組
挨拶とメニューだけの場合の予約数は、同じ予約に進む割合で、2.0組/3.0組/4.0組です。反応率が10%から15%に上がるだけでも、予約に進む割合が30%なら、3.0組が4.5組に増える計算になります。
この計算から言えるのは、質問を置けば必ず予約が増える、ということではありません。反応率が少しでも上がるなら、月100人の追加に対して、予約が月1.5組以上動く可能性がある、ということです。最初の1通の文面を変えるのに、費用はほとんどかかりません。変えて、見る。それだけの試しです。
自社の数字で確かめるとき
試すときは、自社の数字を3つだけ見ます。
- 友だち追加の数(月ごと)
- 最初の1通への反応数(選択肢を押した人、返信した人)
- 反応した人のうち、その後30日以内にフェアか見学の予約に進んだ人
LINE公式アカウントの管理画面では、メッセージごとの開封やクリックは見られます。選択肢の回答は、回答ごとに友だちの情報を記録する設定にしておけば、後から数えられます。
見るときの注意が二つあります。一つは、月ごとの友だち追加の数が違うので、件数ではなく割合で見ること。もう一つは、最初の1通を変えた時期と、フェアの告知時期が重なると、効果が混ざること。変えるのは、告知が重ならない月にしたほうが、読み取りやすいです。
予約への流れが見えない場合は、見学予約のフォームに「どこで知りましたか」の選択肢を置き、LINEを1つの経路として数えます。LINEで友だちになった人が、のちにフォームから予約すると、経路が「公式サイト」と記録されることがあります。最初の1通が効いたかどうかは、友だち追加の日と予約の日を突き合わせて、手で見るのが確実です。
質問を置いてはいけない場面
最後に、質問を置かないほうがよい場面も書いておきます。
一つは、見学の予約を済ませた二人が、当日の連絡用にLINEを追加する場合です。このときは、質問より先に、予約の確認と、当日の持ち物・行き方を送ります。すでに来る気の人に質問を重ねると、手間を増やすだけになります。入口ごとに、最初の1通を分けられるなら分けたほうがよいと思います。
もう一つは、運用する人手がない場合です。質問を置いて返信が来ても、振り分けた案内を送る人が決まっていない、あるいは自動で振り分ける設定ができていないなら、質問は置かないほうがよいです。答えたのに何も返ってこない経験は、挨拶だけより悪い印象を残します。質問を置くなら、返信後の自動の返しまでを、セットで作ります。
まとめ
- 友だち追加の直後は、二人の関心が高く、式場から話しかけて自然な、ほぼ唯一のタイミングです
- 挨拶とメニューだけの1通は、押す理由も、式場が二人を知る材料も渡さないので、会話が始まりません
- 最初の1通は、選ぶだけで答えられる質問を1つ。「挙式を考えているのは、いつ頃ですか」を4択で置くのが、僕の第一案です
- 氏名・予算・人数・電話番号は、最初の1通では聞きません
- 返信が来たら、時期ごとに1通だけ返し、選んだ時期を記録して、以後の配信を絞ります
- 月100人の追加で、反応率が10%から15%に上がるだけでも、仮の前提では予約が月1.5組動きます。実在の数字ではないので、自社で追加数・反応数・30日以内の予約数を測って確かめます
- 予約済みの二人への1通や、返信後の運用が決まっていないときは、質問を置きません
