経営・組織

プランナー1人の担当は年26組が目安になる。打合せを2回減らすと29組、12回なら24組という前提つきの計算

プランナー1人が年に何組を担当できるかは、打合せが何回で、1回に準備をどれだけ要するかで、ほとんど決まります。人手が足りないと感じたとき、先に採用を考える式場は多いと思います。ただ、1組あたりの工数を積み上げてみると、採用1人分に近い余裕が、打合せの設計から出てくることがあります。

この記事の数字は、出典のある統計ではありません。僕が置いた仮の前提で計算した、考え方の見本です。自分の式場の数字に入れ替えて使ってください。業界の平均を言い当てるものではないことを、先に断っておきます。

1組あたりの工数を積み上げる

まず、1組の新郎新婦を契約から挙式まで担当するのに、プランナーが何時間使うかを分解します。仮の前提は次のとおりです。

  • 契約から挙式までは8か月
  • 打合せは全部で10回、1回2時間
  • 打合せの前の資料づくりや手配の確認、打合せのあとの議事録や手配の入力は、前後合わせて1回1時間とする
  • 挙式当日の立ち会いは10時間
  • 打合せ以外の連絡対応(LINE、メール、電話)は月1.5時間
  • 契約書類、請求、手配書の作成などの事務は、通しで3時間

この前提で計算すると、1組あたりの工数は次のようになります。

  • 打合せ本体と前後の作業:10回×(2時間+1時間)=30時間
  • 挙式当日:10時間
  • 連絡対応:1.5時間×8か月=12時間
  • 事務:3時間
  • 合計:55時間

55時間という数字そのものに意味はありません。大事なのは、内訳です。55時間のうち、打合せに関わる時間が30時間で、5割強を占めています。挙式当日の10時間は2割弱です。

プランナーの仕事というと、当日の立ち会いが頭に浮かびます。でも工数で見ると、打合せの回数と1回あたりの重さのほうが効きます。ここが、この記事でいちばん言いたい点です。

年間の担当組数に直す

次に、プランナー1人が1年に使える時間を置きます。

  • 月の所定労働が160時間
  • そのうち、新郎新婦に向き合う仕事に使える割合を75%とする(残りは社内会議、研修、見学の接客、突発の対応など)
  • 月120時間、年1,440時間

この1,440時間を、1組あたりの55時間で割ります。

1,440÷55=約26.2組

仮の式場なら、プランナー1人が年に回せるのは26組前後、という計算になります。月に直すと2.2組強です。同時に進んでいる組数は、契約から挙式まで8か月かかるので、26.2×8÷12=約17.5組になります。

17〜18組を同時に抱える、というのが、この前提の「満杯」の状態です。実際の式場の数字は、担当制か分業制か、見学の接客まで同じ人がやるかで、まったく変わります。自分の式場の数字に置き換えてください。

打合せの回数を変えると、何組変わるか

同じ計算で、打合せの回数だけを変えてみます。ほかの前提は動かしません。

打合せ回数 1組あたりの工数 年間の担当組数
12回 61時間 約23.6組
10回 55時間 約26.2組
8回 49時間 約29.4組
6回 43時間 約33.5組

打合せが2回減ると、1人あたり約3組増えます。12回から8回に減らせば、約6組増えます。

仮に、1組あたりの粗利を100万円とすると、10回から8回で約3.2組、約320万円分の枠が増える計算です。ただしこの枠を埋めるのは、新規の契約です。枠が空いても、問い合わせが増えるわけではありません。ここは分けて考える必要があります。

もう1つ、打合せを減らすと、新郎新婦の満足度が下がる可能性があります。回数を減らせば良い、という話ではないです。減らしていい打合せと、減らしてはいけない打合せがあります。それは次の節で整理します。

1回あたりの重さを変えるという手もある

回数を変えずに、1回の重さを変える方法もあります。仮の前提で、2つ試します。

準備と記録の1時間を、半分にする

打合せの前後の1時間は、新郎新婦の目には見えない時間です。資料を用意し直す、前回の決定事項を探す、手配先に確認を送る、といった作業が入っています。ここを0.5時間にできたとします。

1組あたりは、10回×0.5時間=5時間減って50時間。年間の担当組数は1,440÷50=28.8組です。

回数を減らしたわけではないので、新郎新婦の体験は変わりません。それでも、約2.6組分の余裕が出ます。仮に粗利100万円なら260万円です。

事務と連絡を減らす

事務の3時間を1.5時間に、連絡対応の月1.5時間を月1時間にしたとします。さきほどの準備の短縮と合わせると、1組あたりは44.5時間。年間は約32.4組です。

10回の打合せを一度も減らさずに、26.2組から32.4組まで、約6組増える計算になります。粗利100万円なら、約620万円分の枠です。

この数字が示しているのは、効果の大きさではありません。打合せの回数に手を付けなくても、別の場所に余地があるかもしれない、ということです。余地があるかどうかは、自社の数字を測らないと分かりません。

減らしていい打合せと、減らしてはいけない打合せ

ここは僕の考えです。数字の裏付けはありません。

減らしてもいいのは、情報を渡すだけの打合せです。たとえば、会場の使い方の説明、当日の流れの確認、書類の説明が、これにあたります。動画や資料を先に送り、打合せでは質問だけを受ける形に変えられます。

減らさないほうがいいのは、新郎新婦が決める打合せです。衣裳、料理、演出、招待客の名簿が代表です。ここで迷う時間は、新郎新婦にとって結婚式の準備そのものです。ここを短くすると、あとで「もっと考えたかった」という声になって返ってくる可能性があります。

打合せの回数を決める前に、1回ごとに「この回は、新郎新婦が何を決める回か」を書き出すと、判断しやすくなります。決める内容が無い回は、減らす候補です。

担当制と分業制では、同じ計算が別の意味になる

ここまでの計算は、1人のプランナーが契約から当日まで通しで担当する前提でした。式場によっては、見学の接客と契約までを営業担当が受け持ち、契約後は別のプランナーが引き継ぐ形をとっています。この場合、1組あたりの55時間は、2人に分かれます。

分けたぶんだけ、引き継ぎの時間が増えます。仮に、引き継ぎで1組あたり2時間(営業側1時間、プランナー側1時間)かかるとします。10回の打合せのプランナーは、1組あたり56時間になり、年間の担当は約25.7組です。通しの担当より、0.5組ほど少なくなる計算です。

それでも分業にする理由は、組数以外にあります。契約までの接客に慣れた人が、契約後の細かい調整に時間を取られなくなる。新人のプランナーに、契約前の営業を任せなくて済む。こうした効果は、この計算には入っていません。分業が得か損かは、引き継ぎの2時間と、入っていない効果を並べて、式場ごとに判断することになります。

この計算でひとつ言えるのは、分業にしても、1組あたりの工数の大半を占める打合せの設計が変わらなければ、担当できる組数はほとんど変わらないということです。

繁忙期に、月の負荷が稼働を超える

ここまでは、年間を均して計算しました。実際は、挙式が特定の月に集まります。

仮に、年間の挙式の30%が、秋の2か月(10月と11月)に集中するとします。26.2組なら、秋の2か月で約7.9組、1か月あたり約3.9組です。

この月の負荷を計算します。

  • 当日の立ち会い:3.9組×10時間=約39時間
  • 当日以外の仕事(打合せ、連絡、事務)は、年間を均した平均と同じとする。1組あたり55時間から当日の10時間を引いた45時間に、26.2組をかけて、12か月で割ると約98時間
  • 合計:約137時間

月の使える時間は120時間なので、約114%です。この前提では、繁忙期の月は、年間でちょうど満杯の人が、月ごとには14%超過することになります。

超過は、時間外労働か、打合せの質の低下か、ミスの増加のどれかで吸収されます。そしてプランナーの離職は、人が足りない状態を、さらに悪くします。

つまり、年間で26組という計算は、天井ではなく平均です。繁忙期の天井は、年間の平均より低く置く必要があります。この前提では、年間24組前後に抑えると、秋の月の負荷が稼働に収まる計算になります。

自社の数字で測る手順

この記事のモデルは、次の5つの数字を入れ替えると、自社の数字になります。

  1. 契約から挙式までの月数(実際の分布を見て、平均だけでなく、短い組と長い組の両方を確認する)
  2. 打合せの平均回数と、1回あたりの時間(予約システムの記録から出せることが多い)
  3. 打合せの前後に要る作業時間(これは記録が無いことが多いので、プランナーに2週間だけ記録してもらう)
  4. 連絡対応と事務の時間(同じく、短期間の自己申告で足りる)
  5. 新郎新婦に向き合う仕事に使える割合(研修、会議、見学接客を除く)

なかでも3番は、測っていない式場が多いと思います。測るのは面倒ですが、ここが半分になるだけで、先ほどの計算では2.6組分の枠が出ました。プランナーに頼んで2週間記録するだけなので、費用はほとんどかかりません。

採用と、打合せの設計の、どちらを先にやるか

プランナーが足りないと感じたとき、選択肢は大きく3つあります。採用する、担当数を減らして受注も絞る、1組あたりの工数を減らす。

採用は、確実に枠を増やせます。ただし、一人前になるまでの期間と、採用費がかかります。この記事の計算では、新しい人が単独で26組を回せるようになるまでは、増えた枠の分だけ、教える側の工数が先に減ります。

工数を減らす方法は、効果が出るまでが速く、費用も小さいです。ただし、減らしたぶんがそのまま空き枠になるとは限りません。減らした時間が、別の作業に埋まって消えることもあります。減らした時間で何をするかを、先に決めておく必要があります。

僕の見方では、採用の判断より前に、1組あたりの工数を一度測るほうが、順番として正しいです。測らないまま採用すると、増やした人が、同じ重い打合せを引き継ぐだけになります。

まとめ

  • 仮の前提(8か月、打合せ10回、月の稼働160時間のうち75%)では、プランナー1人の担当は年26組前後になる
  • 1組あたり55時間のうち、打合せの前後を含めた時間が30時間で、挙式当日の10時間より大きい
  • 打合せを2回減らすと約3組、準備と記録の時間を半分にすると約2.6組、担当組数が増える
  • 年間の平均で満杯でも、挙式が秋に集中すると、月の負荷は稼働の約114%になる
  • 減らす打合せは、情報を渡すだけの回から選ぶ。新郎新婦が決める回は残す
  • 採用の判断より前に、打合せの前後の作業時間を2週間測るほうが、順番として先になる