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式場サイトの会場写真には撮影した季節と時刻を添える

式場の公式サイトに載っている会場写真は、たいてい天気のいい日の昼間に撮られています。ガーデンの芝は青く、チャペルのステンドグラスには光が差し、空は抜けるように明るい。写真としては、それが正解です。

ただ、見学に来る二人は、その写真を見て予約した日とは違う季節、違う時刻に会場を歩きます。11月の16時にガーデンへ出たら、日はほとんど落ちていて、芝は薄い茶色です。サイトの写真と目の前の景色が違うと、二人は「写真と違う」と感じます。

僕は、会場写真には撮影した季節と時刻を一言添えるのがいいと考えています。写真を地味にするためではありません。見学の最初の数分で起きる落差を、先にならしておくためです。この記事では、なぜ落差が起きるのか、一言添えると何が変わるのか、どこまで載せるのかを順に整理します。

出典のある数字は使っていません。出てくる数字はすべて、仕組みを見るための想定です。実際の数字は、それぞれの式場の予約データと見学時の様子に置き換えてください。

写真は「いちばん良い日」の姿で撮られている

会場写真の撮影には、費用も日程もかかります。撮影日は一度決めたら簡単に撮り直せません。だから、天気予報を見て、庭の花が咲く時期、日差しがきれいに入る時間帯を選びます。式場側の判断としてはまったく正しいです。

その結果、サイトに並ぶ写真は、一年のうちでいちばん条件の良い日の姿に偏ります。よくある偏りを挙げると、次のようになります。

  • ガーデンやテラスは、緑が濃い初夏から夏の昼間
  • チャペルは、外光が入る日中。照明を落とした夕方の姿は載っていない
  • 披露宴会場は、テーブルを整え終えた直後。カーテンを開けて自然光を入れている
  • 館内は、スタッフも他の来館者もいない時間帯

どれも嘘ではありません。実際にその会場で撮られた、本物の姿です。ただ、二人が歩く日の姿とは一致しないことが多い。ここに落差の種があります。

二人は見学日の景色を、写真と照らし合わせている

見学の最初の5分、二人は案内を聞きながら、実は別のことをしています。サイトで見た写真と、目の前の景色を照らし合わせているんです。

照らし合わせた結果は、大きく3つに分かれます。

1つ目は、写真と同じか、それ以上に感じるケース。この場合は信頼が積み上がり、そのあとの説明が素直に入ります。

2つ目は、写真より見劣りするケース。11月の夕方のガーデン、梅雨の曇り空のチャペルなどです。ここで二人は「写真は盛っていたのかな」と考え始めます。式場側に悪意がなくても、そう受け取られる可能性が出ます。

3つ目は、違いに気づいたけれど、理由が分かるケース。「この写真は6月の昼に撮ったものです」と先に分かっていれば、「今日は冬だからこう見えるんだ」と二人は自分で補正できます。

差が出るのは、2つ目と3つ目です。景色そのものは同じなのに、理由を知っているかどうかで、受け取り方が分かれます。サイトの写真に撮影時期を添えるのは、3つ目の状態を作るための手当てです。

なぜ「写真と違う」は成約率に響きうるのか

見学の冒頭の印象は、そのあとの説明の聞かれ方を左右します。最初に「写真と違う」と思った二人は、プランナーの説明を、裏取りしながら聞く姿勢になりやすい。逆に、最初に安心できた二人は、説明を比較的そのまま受け取ります。

もちろん、見学の結果は料理、担当者、費用、日取りなど、たくさんの要素で決まります。写真の落差だけで成約が決まることはありません。ただ、仕組みとして、落差が大きい見学ほど、冒頭に使う「信頼を取り戻す時間」が増えます。

仮に、こんな想定で考えてみます。

  • 月に20組が見学に来る
  • そのうち、サイトの写真と見た目の差を強く感じる二人が、季節によって3割から5割いる
  • 差を強く感じた二人の成約率が、そうでない二人より、仮に5ポイント低い

この前提だと、差を強く感じる二人が6組(3割の場合)から10組(5割の場合)で、成約率の差は5ポイントですから、成約の差は月に0.3組から0.5組です。年にならすと、約4組から6組になります。

これは想定の計算で、実際の数字ではありません。5ポイントという差も、僕が置いた仮の値です。この計算で言いたいのは、小さな差が積み上がると、年に数組の単位になりうる、という構造だけです。自分の式場の数字は、見学後のアンケートや、冒頭の会話のメモから見積もるしかありません。

撮影時期を添えると、何が変わるのか

写真の下に「6月・午前11時撮影」のように添えるだけで、二人が受け取る情報が変わります。

1. 写真の位置づけが「保証」から「例」に変わる

何も書かれていない写真は、「この会場はこう見えます」という約束に見えます。撮影時期が書かれた写真は、「この条件ならこう見えます」という一例になります。約束と例では、実際の景色とのずれが起きたときの受け取り方が違います。約束とずれると失望ですが、例とずれても、条件が違っただけで済みます。

2. 二人が「自分の日取りの姿」を想像しやすくなる

挙式日を11月に考えている二人にとって、6月の写真は参考にはなっても、自分の式の景色ではありません。撮影時期が書いてあれば、「自分の日取りに近い写真はどれか」を探す動きが生まれます。探しても見つからなければ、「11月の様子は見学で確かめよう」という見学の理由になります。

これは見学予約にとって悪くない流れです。見学の動機が「綺麗そうだから」から「自分の日取りで確かめたいから」に変わり、来館の目的がはっきりします。

3. 見学の冒頭で話せることが増える

プランナーにとっても、撮影時期が公開されていると話を始めやすくなります。「サイトの写真は6月のものですが、今日はこの時期の庭をご覧いただけます。夕方は照明がこう入ります」と、写真との差を自分から説明できます。

差を相手に指摘される前に自分から話すと、「隠していない」という印象になります。見学でいちばん避けたいのは、二人が違いに気づいて黙ってしまうことです。

どこまで載せるか

とはいえ、すべての写真にキャプションを付けると、サイトが説明書のようになります。優先順位を付けたほうがいいです。

優先して添える写真

  • 季節で見た目が大きく変わる場所の写真(屋外のガーデン、テラス、庭に面したチャペルなど)
  • 時刻で見た目が大きく変わる場所の写真(自然光に頼る挙式会場、夕方の演出が売りの会場)
  • トップページや一覧で、最初に目に入る写真

添えなくていい写真

  • 季節や時刻の影響をほとんど受けない写真(完全な屋内の料理、装花のアップ、小物など)
  • すでに別の説明が付いている写真(実例ページの、挙式日が書かれた写真など)

実例の写真には、もともと挙式の日付が入っていることが多いです。その場合は、改めて撮影時期を書く必要はありません。足りないのは、式場側が撮影した「会場紹介」の写真です。

書き方の例

書き方は短くて構いません。

  • 「6月・午前11時ごろ撮影」
  • 「12月・16時半ごろ。日没後の点灯」
  • 「梅雨入り前の曇りの日」

「いつでも美しい」と読めるキャッチコピーを書くより、事実を一行添えるほうが、サイトの信頼になります。

季節違いの写真を足すかどうか

撮影時期を書くだけでは足りない、と感じる式場もあると思います。次の段階は、別の季節や別の時刻の写真を足すことです。ただ、撮り直しには費用がかかります。どこまでやるかは、次の順で考えると決めやすいです。

  1. まず、今ある写真に撮影時期を書く。 費用はほぼゼロで、今日からできます
  2. 次に、見学が多い時期の写真が無い場所を洗い出す。 たとえば、見学が集中するのが秋から冬なのに、ガーデンの写真が初夏の1枚しかない、というケースです
  3. 最後に、その場所だけを、見学が多い時期に撮る。 全部を撮り直すのではなく、最も落差が大きい1か所から始めます

見学が多い時期は、自分の式場の予約データで確かめられます。月別の見学数を並べて、上位の3か月を見てください。その3か月の景色が、サイトのどこかに載っているかを確認するだけでも、足りない写真が見えてきます。

撮影時期を書くときの注意

書くことにはリスクもあります。事前に押さえておきたい点を挙げます。

「最も良い写真」を載せること自体はやめなくていい。 撮影時期を書くのは、良い写真を引っ込めるためではありません。良い写真は良い写真として載せたまま、条件を明示します。

加工している場合は、そのことを書く。 色の補正や空の差し替えなど、見た目を変える加工をした場合は、撮影時期を書いても落差は埋まりません。見学で「写真と違う」と感じさせる原因にもなります。写真に手を入れる範囲は、実際の景色から大きく外れない範囲にとどめるほうが安全です。

一度書いたら、写真を差し替えたときに必ず直す。 古い撮影時期が残っていると、かえって不信につながります。写真を入れ替える担当者と、キャプションを書く担当者が別の場合は、更新のルールを決めておく必要があります。

景品表示法の観点でも、実際より著しく良く見せる表示は避ける。 優良誤認にあたるような表示は問題になりえます。写真の扱いが気になる場合は、詳しい専門家に確認してください。撮影時期を添えることは、この点でも無理のない方向の手当てです。

見学の冒頭で、写真との差を先に話す

サイトに撮影時期を書いたうえで、見学の現場でもう一手あります。冒頭の会場案内の最初に、一言だけ入れる方法です。

たとえば、こんな順番です。

  1. 会場に入る前に、「今日は〇月で、サイトの写真と季節が違う場所があります」と先に言う
  2. 該当する場所に着いたら、「サイトにある写真は6月のもので、今は少し景色が違います」と添える
  3. 二人が気にしていそうなら、「この時期に挙式される場合の見え方」を、別の写真や過去の資料で見せる

3つ目は、手元に過去の挙式の写真があれば使えます。無ければ、無理に作る必要はありません。差を先に話すだけで、最初の目的は果たせています。

大事なのは、プランナーが差を言い訳として話すのではなく、情報として話すことです。「実は写真と違うんです」と謝るような言い方ではなく、「この時期はこう見えます」という事実の説明にします。

自分の式場で確かめるには

ここまでの話が自分の式場に当てはまるかは、手元の材料で確かめられます。

  1. 見学が多い上位3か月を出す。 予約システムや問い合わせ台帳から、月別の見学数を数えます
  2. サイトの会場写真を、撮影時期ごとに並べる。 撮影日が分からない写真は、撮影した業者に聞くか、写っている植物や光から推測して、概算で構いません
  3. 上位3か月の景色が載っている場所を数える。 載っていない場所が、見学日と写真の落差が出やすい場所です
  4. その場所の写真に、撮影時期を添える。 撮り直しはその次の段階です
  5. 見学の冒頭で「写真と違う」と言われた回数をメモする。 最初は感覚で構いません。1か月分も書き留めれば、傾向が見えます

この5つは、費用をかけずに始められます。5番のメモが溜まれば、撮り直しに投資するかどうかを、数字の裏付けで決められます。

まとめ

  • 式場サイトの会場写真は、天気も季節も条件の良い日の姿に偏ります。嘘ではありませんが、見学日の姿とは一致しません
  • 二人は見学の最初の数分で、サイトの写真と目の前の景色を照らし合わせています。差の理由を知っていると、自分で補正できます
  • 写真の下に撮影した季節と時刻を一言添えると、写真が「約束」から「一例」に変わり、ずれたときの失望が減ります
  • 優先して添えるのは、季節や時刻で見た目が大きく変わる屋外・自然光の場所と、トップページの写真です
  • 撮影時期を書く費用はほぼゼロです。撮り直しは、見学が多い時期で写真が無い場所から1か所ずつ始めます
  • 加工した写真、古いキャプションの放置は、かえって不信を招きます。写真を差し替えたら、キャプションも必ず直します
  • 見学の冒頭でも、写真との差をプランナー側から先に、事実として話します

写真は良く見せるものですが、良く見せすぎた分の落差は、見学の冒頭で式場が払うことになります。