新郎新婦のリアル

総額300万円でも、全額を式の前に払う二人の最短の挙式日は32か月後。半分が式の後なら15か月後になる

結婚式の総額は、二人の見学でいちばん先に出てくる数字です。ただ、二人が実際に悩むのは総額より少しあとで、いつ、いくら、手元に現金がないといけないのか、という点だと僕は見ています。

同じ総額300万円でも、全額を式の前に払う会場と、半分を式のあとに払う会場では、二人が現金をそろえて挙式できる最短の時期が変わります。今日はそれを、仮の二人で計算します。結論を先に書くと、貯金50万円で月8万円ずつ貯める二人の場合、全額を式の前に払うなら最短32か月後、半分が式の後なら15か月後です。同じ300万円で、17か月の差が出ます。

出典のある統計に頼る記事ではありません。数字の大半は僕が置いた仮のもので、本文にすべて書きます。自分の会場の支払い条件に置き換えて読んでください。

総額の目安と、支払いの決まり方

まず前提として、総額の目安だけ確認します。リクルートのゼクシィ結婚マーケット調査2025では、挙式・披露宴の総額は298.6万円とされています。この記事では、切りのいい300万円を総額に使います。調査によって集計の範囲が違うので、この数字は目安として置くだけです。

支払いの時期は、ゼクシィの解説記事によると、会場ごとに事前に決められていて、交渉で変えられることは少ないと説明されています。典型的なパターンとして、式の数週間前に最終見積額を払う型と、式の前に半額、式のあとに半額を払う型が挙げられています。ゼクシィの別の体験談アンケートの紹介では、支払いは3回に分かれる例が多く、本契約時、式の1週間前ごろ、式の翌日から1週間以内という並びが挙げられていました。

つまり、総額が同じでも、現金が出ていくタイミングは会場で違います。ここからは、その違いを数字にします。

仮の二人と、仮の支払い条件

置く前提は次のとおりです。実在の二人ではありません。

  • 総額は300万円
  • 招待客は60人。ご祝儀は1人3万円と仮置きして、合計180万円
  • ご祝儀は当日に受け取る。受け取った現金が、会場の支払いに回せる時期は会場による
  • 二人の現在の貯金は50万円。毎月8万円ずつ貯める
  • 親からの援助は、最初はなしとして計算する
  • 契約時の内金は30万円。これは総額の一部で、あとの支払いから引かれる

ご祝儀は1人3万円という数字は、僕が置いた仮の金額です。実際は、地域や関係性で動きます。

支払い条件は、3つのパターンを置きます。

パターン 契約時 式の前(2週間前) 式のあと(1週間以内)
A 式の前に全額 30万円 270万円 0円
B 式の前に半額 30万円 135万円 135万円
C 式の前に6割 30万円 150万円 120万円

A、B、Cとも、総額は300万円で変わりません。違うのは、式が終わるまでに二人の手元から出ていく現金です。Aは300万円、Bは165万円、Cは180万円です。

式が終わるまでに必要な現金

ここで見るのは、式が終わるまでに二人が用意する現金の総額です。総額ではありません。

Aの二人は、ご祝儀の180万円が入る前に、300万円を全額払います。ご祝儀は式のあとに入るので、支払いには使えません。結果として、二人の自己負担は、式の終了時点では300万円で、式のあとにご祝儀180万円が戻ってきて、最終的には120万円になります。

Bの二人は、式が終わるまでに165万円を出して、式のあとに135万円を払います。ご祝儀の180万円が入ったあとなので、式のあとの支払いはご祝儀で足ります。

この違いを、二人の貯金のペースで時間にします。

貯金のペースで、最短の挙式日を出す

二人の貯金は、50万円から月8万円ずつ増えます。契約した月をゼロとして、式の2週間前までに必要な現金(契約時の内金を含む)が貯まっているかどうかで、最短の時期が決まります。

計算は単純で、必要な現金から今の貯金50万円を引いて、月8万円で割ります。

  • A(必要な現金300万円): (300 − 50) ÷ 8 = 31.25。切り上げて32か月
  • B(必要な現金165万円): (165 − 50) ÷ 8 = 14.4。切り上げて15か月
  • C(必要な現金180万円): (180 − 50) ÷ 8 = 16.25。切り上げて17か月

ここでは、貯金のペースを変えずに続けられると仮定しています。契約したあとも貯金は続くので、契約時に全額が手元にある必要はありません。必要なのは、支払いの日までに、その時点の支払い総額が手元に貯まっていることです。

同じ300万円でも、Aなら32か月、Bなら15か月、Cなら17か月です。AとBで17か月の差になります。

結婚式の日取りを決めるとき、二人は季節、曜日、六曜、親の都合などで考えます。そこに、支払い条件が最短の日を決めている、という見え方が加わります。式場がまだ空いている日があっても、二人の手元の現金がそろわない日は選べません。

貯金のペースと最初の貯金で、差はどう動くか

仮置きの数字を変えると、結果はどう動くか。最初の貯金と月の積立を変えて、AとBの最短の時期を並べます。

最初の貯金 月の積立 A(300万円) B(165万円) 差
30万円 5万円 54か月 27か月 27か月
30万円 8万円 34か月 17か月 17か月
30万円 10万円 27か月 14か月 13か月
50万円 5万円 50か月 23か月 27か月
50万円 8万円 32か月 15か月 17か月
50万円 10万円 25か月 12か月 13か月
100万円 5万円 40か月 13か月 27か月
100万円 8万円 25か月 9か月 16か月
100万円 10万円 20か月 7か月 13か月

表を見ると、月の積立が少ない二人ほど、支払い条件による差が大きくなります。月5万円の二人では、AとBで27か月、2年以上の差です。毎月の積立が小さいほど、必要な現金が135万円減ることの意味が、時間に直すと大きくなるからです。

逆に、最初の貯金が100万円ある二人で、月10万円貯められるなら、差は13か月まで縮みます。それでも1年以上あります。

この表は、貯金を挙式の日まで止めずに続けた場合の最短です。実際には、引っ越しや出産、転職で貯金のペースは変わります。表は、支払い条件の違いが時間にどう出るかを見るためのものです。

親の援助が入ると、差はどうなるか

次に、親の援助を入れます。援助は、契約の前に入る場合と、式の直前に入る場合で効き方が違います。ここでは、契約前に入ると仮定します。

仮に、親の援助が50万円あるとします。

  • A:必要な現金が300万円から250万円に下がる。(250 − 50) ÷ 8 = 25か月
  • B:必要な現金が165万円から115万円に下がる。(115 − 50) ÷ 8 = 8.1。切り上げて9か月

援助が100万円なら、Aは(200 − 50) ÷ 8 = 18.75で19か月、Bは(65 − 50) ÷ 8 = 1.9で2か月になります。

援助が増えても、支払い条件の差はほぼ縮まりません。援助50万円で16か月、100万円で17か月の差です。援助の金額が増えても、式の前に払う額と式のあとに払う額の差である135万円は、貯金のペースで割れば同じ月数の差になるからです。

ただ、Bの二人は、援助が100万円あれば、契約から2か月で必要な現金がそろいます。ここまで短くなると、日取りを決める主な理由は、現金ではなく、会場の空きと二人の都合に戻ります。

式場の側から見える3つの場面

ここまでは二人の側の計算でした。式場の側では、この差が次の場面に出ると僕は見ています。

1つ目は、見学の最後の質問です。二人がいちばん聞きにくいのは、いつ、いくら払うのか、という点だと思います。総額の話は盛り上がっても、支払いの時期は後回しになりがちです。後回しにされた質問が、契約の直前や、契約のあとに出てくると、二人の計画が崩れます。見積もりの説明のときに、支払いのスケジュールを表にして最初に見せる会場と、聞かれたら答える会場では、二人の安心感が違うはずです。

2つ目は、挙式日の提案です。二人の最短の挙式日を、会場が計算して出せるなら、日取りの提案が変わります。二人の貯金と積立額を聞いて、支払い条件を当てはめると、選べる日の範囲が見えます。空いている日を並べるより、現実に選べる日を絞って見せるほうが、二人は決めやすいと思います。ここは仮説で、僕は検証していません。

3つ目は、支払い条件の見直しです。支払い条件は、会場の資金繰りにも関わります。式の前に全額を受け取る条件は、会場の資金繰りには安全です。式のあとに受け取る条件は、会場側が待つ分のリスクを持ちます。この判断は、会場の財務の話で、僕が一般論を言える範囲を超えます。ただ、二人の側では、17か月の差になる、という数字は、会場が条件を決めるときの材料の1つになります。

二人が見学の前に確かめること

二人の側で、見学の前にできることを書きます。

まず、見学した会場それぞれで、支払いのスケジュールを聞きます。契約時、式の前、式のあと、それぞれにいくら払うのかを、表に書き出します。総額が近い2つの会場でも、式の前に出ていく現金が100万円違うことがあります。

次に、自分たちの現金を数えます。貯金、毎月の積立、親の援助の見込みと入る時期です。援助は、入る時期が式の前なのか、式のあとなのかで、使い道が変わります。

最後に、最短の時期を出します。必要な現金から今の貯金を引いて、月の積立で割れば出ます。この計算は、電卓で1分です。

出した最短の時期が、希望の日取りより先なら、希望の日を動かすか、支払い条件が違う会場を探すか、のどちらかになります。この判断を、契約のあとにすると、キャンセルや日程変更の費用がかかります。見学のうちに終わらせたい計算です。

この計算でわからないこと

最後に、この記事の計算の限界を書きます。

まず、支払い条件の実態は、僕は統計では確認していません。ゼクシィの解説記事が示すパターンを、3つに単純化して置いただけです。全国で、式の前に全額を払う会場がどれだけあるか、半額を式のあとに払える会場がどれだけあるかは、今回は調べていません。

次に、ご祝儀の金額は仮置きです。1人3万円、60人で180万円という数字は、地域や関係性で大きく動きます。ご祝儀が少なければ、Bの二人でも、式のあとの135万円の支払いに手元の現金が必要になります。

さらに、前撮りやドレス、ヘアメイクなど、会場の外で払う費用はこの計算に入れていません。ゼクシィの解説にもあるとおり、会場経由でない支出は、別のタイミングで払うことがあります。その分、必要な現金は増えます。

最後に、貯金のペースは一定ではありません。表の数字は、あくまで同じペースを続けた場合の最短です。

この記事の主張は、数字そのものではありません。同じ総額でも、支払いのタイミングで二人の最短の挙式日が変わる、という点です。具体的な月数は、読み手の会場の条件と、二人の貯金で変わります。

まとめ

  • 総額が同じ300万円でも、式の前に全額を払う条件(A)と、半分を式のあとに払う条件(B)では、仮の二人の最短の挙式日が32か月後と15か月後になり、17か月の差が出る
  • 計算式は、(式が終わるまでに必要な現金 − 今の貯金) ÷ 月の積立。電卓で1分で出せる
  • 月の積立が小さい二人ほど、支払い条件の差は時間に大きく出る。月5万円なら27か月の差になる
  • 親の援助が増えても、式の前に払う額と式のあとに払う額の差は同じ月数の差のまま残る
  • 見学の前に、各会場の支払いスケジュールを契約時・式の前・式のあとに分けて表にする。総額だけで比べると、式の前に出ていく現金の差が見えない
  • 式場の側では、支払いスケジュールを最初に表で見せること、二人の貯金から現実に選べる日を絞って提案することが、日取りの相談を進める材料になる