結婚式を挙げないと答えた未婚者の約3割は、「お金に余裕ができたら」と条件をつけている
「結婚式を挙げない人」は、挙げる気がまったくない人だと思われがちです。式場の側でも、結婚式に興味のない層として、集客の対象から外していることがあると思います。
ベルコが2024年に公表した未婚者調査を読むと、少し違う姿が出てきます。将来結婚しても結婚式を挙げないと答えた人のうち、28.9%が「金銭的に余裕ができたら考えたい」と答えていました。同じ割合で、「パートナーの意向があれば考えたい」も選ばれています。挙げないと答えていても、条件がそろえば考える人が、少なくない数でいるということです。
今回は、この調査の「挙げない理由」と「挙げてもいい条件」を並べて読みます。式場の提案や見積もりで、どこを動かせば届くのかを考える材料にします。
読んだ調査と、先に断っておくこと
読んだのは、結婚式・互助会事業を持つ株式会社ベルコが2024年8月に公表した「結婚式に関するアンケート調査結果」です。第1弾が既婚者編、第2弾が未婚者編で、調査会社はジャストシステム、期間は2024年6月24日から7月7日までのインターネット調査です。対象は全国の20歳以上49歳以下で、既婚者2,170名と未婚者2,168名から回答を得ています。
この調査で見ておく点が3つあります。
- 「結婚式」の範囲が広いです。 挙式・披露宴・ウェディングパーティーのほか、親族中心の食事会のみ、フォトウェディングのみも「結婚式」に含めて聞いています。
- 未婚者は、挙げたい人と挙げない人が半々になるように集めています。 挙げたいと答えた人が1,086名、挙げないと答えた人が1,082名です。つまり、未婚者全体のうち何割が挙げないのかは、この調査からは言えません。この記事の数字はすべて、「挙げないと答えた1,082名の中での割合」です。
- 出典は1本です。 同じ質問を別の調査で確かめられていません。事業者が自社の関心で実施した調査でもあるので、割合の細かい差より、「何が上位に来るか」という順番の読み方に重きを置きます。
挙げない理由の1位は「必要性を感じない」。でも、その次が分かれる
挙げないと答えた1,082名に、理由を複数回答で聞いています。結果を、結婚を意識するパートナーがいる人(546名)と、いない人(536名)に分けて並べます。
| 挙げない理由 | パートナーあり | パートナーなし |
|---|---|---|
| 結婚式の必要性を感じていない | 42.5% | 48.3% |
| 結婚費用を他の新婚旅行、新居等に使いたい | 33.9% | 36.0% |
| 結婚費用そのものが足りないと思う | 34.4% | 33.6% |
| 事前準備や打合せが多く、面倒だと思っている | 24.9% | 31.3% |
| 多くの方から注目を浴びるのは苦手なため | 25.3% | 46.1% |
| 結婚式をしなくても二人の絆や愛情は意識できる | 21.2% | 18.1% |
| 親や親族の意向である | 4.2% | 4.9% |
どちらも1位は「必要性を感じていない」で、4割を超えています。ここだけ見ると、価値を感じていない人たちに見えます。
ただ、2位から4位は、費用に関する理由です。「他のことに使いたい」と「そもそも足りない」が、どちらもほぼ3人に1人です。この2つは別の理由で、前者は優先順位の話、後者は資金の話になります。前者の人に値引きを出しても、使い道の順位が変わるわけではないので、響きにくいはずです。後者の人には、総額や支払いの組み立てが効く可能性があります。
もう一つ目立つのが、パートナーなしの人の46.1%が選んだ「注目を浴びるのは苦手」です。パートナーありの人は25.3%なので、20ポイント以上開いています。これは費用では動かせない理由です。披露宴の主役になる場面そのものが嫌だ、ということです。
「親や親族の意向である」は、どちらも5%前後でした。挙げない決定が、親の反対で決まっているわけではなさそうです。
「挙げてもいい条件」は、金額・人の意向・規模・準備に分かれる
挙げないと答えた人に、「今後、どういう状況になれば結婚式を挙げたいか」も聞いています。こちらも複数回答です。
| 挙げてもいい条件 | 全体 | パートナーあり | パートナーなし |
|---|---|---|---|
| 金銭的に余裕ができたら | 28.9% | 25.6% | 32.3% |
| パートナーの意向があれば | 28.9% | 27.5% | 30.4% |
| 二人だけでできるならば | 21.6% | 20.3% | 22.9% |
| 安価でできるなら | 20.9% | 17.6% | 24.3% |
| 少人数でできるなら | 20.6% | 15.9% | 25.4% |
| 友人や親族の勧めがあれば | 9.9% | 11.9% | 7.8% |
| 事前準備や打合せが少なくできるなら | 10.4% | 8.6% | 12.1% |
| 仕事や子育てが落ち着いたら | 7.9% | 12.5% | 3.4% |
| 上記のいずれでもない | 12.3% | 14.5% | 10.1% |
ベルコ自身が「回答は分散している」と書いているとおり、突出した条件はありません。それでも、読み取れることがあります。
- 上位の2つは、お金と相手です。 28.9%が同率で並びます。パートナーなしの人は、お金が32.3%で最も多く、パートナーありの人は、相手の意向が27.5%で最も多くなっています。
- 規模を小さくする条件が3つ続きます。 二人だけ(21.6%)、安価(20.9%)、少人数(20.6%)です。パートナーなしの人では、少人数が25.4%、安価が24.3%、二人だけが22.9%と、3つとも2割台の後半に近い値です。
- 「上記のいずれでもない」は12.3%です。 条件を出す余地がまったくない人は、挙げないと答えた人の1割ほどです。
複数回答なので、条件の割合を足し合わせることはできません。たとえば「安価」と「少人数」と「二人だけ」を合わせて、6割の人が小規模なら挙げる、とは言えません。同じ人が複数を選んでいる可能性があるからです。言えるのは、規模を絞った形なら考えるという人が、条件ごとに2割前後はいる、というところまでです。
理由と条件を突き合わせると、動かせる部分と動かせない部分が見える
2つの表を並べると、挙げない理由のうち、条件に変えられるものと、変えにくいものが分かれます。
変えやすい:費用と規模
「費用が足りない」(約34%)は、条件側の「金銭的に余裕ができたら」「安価でできるなら」と対応します。「準備が面倒」(パートナーなしで31.3%)は、「準備や打合せが少なくできるなら」と対応しますが、こちらは条件として選んだ人が10.4%と、理由の割合より低くなっています。面倒だと思っていても、それを解消すれば挙げる、とまでは考えていない人が多いようです。
変えにくい:注目を浴びる苦手さ
パートナーなしの46.1%が選んだ「注目を浴びるのは苦手」には、対応する条件がありません。いちばん近いのが「二人だけでできるならば」(22.9%)か、「少人数でできるなら」(25.4%)です。披露宴という形をなくせば解消する人がいる一方で、そもそも結婚式という場面に出たくない人もいるはずです。この層に、披露宴の割引を出しても届かない可能性が高いと、僕は読みます。
動かせない:必要性を感じない
42.5%と48.3%の「必要性を感じていない」は、価格や規模の条件では動かないと考えるのが自然です。この層は、条件を並べた表でも、「上記のいずれでもない」(12.3%)や、どの条件にも印をつけない形で表れているのだと思います。ただ、これは調査から確かめられたことではなく、僕の推測です。
挙げた人の側から見ると、「挙げてよかった」は多く、後悔の1位は費用
第1弾の既婚者編も見ておきます。過去5年以内に結婚式を挙げた1,094名のうち、「挙げて良かった」と「どちらかと言えば良かった」の合計は84.7%でした。一方、後悔している点で最も多かったのは「結婚式費用が掛かりすぎた」の25.8%です。「後悔している点は特にない」は39.4%でした。
挙げなかった人(1,076名)に、今後あらためて挙げたいかと聞くと、「挙げたいとは思わない」(どちらかと言えばを含む)が59.9%、「挙げたいと思う」が20.2%でした。理由の1位は「結婚式の必要性を感じていなかった」の40.8%で、未婚者の「挙げないと思う理由」の1位とほぼ同じ水準です。
挙げたあとの満足は高く、いちばんの不満は費用です。挙げない側の理由も、費用が2番手、3番手に並んでいます。費用が、挙げる前の障壁と、挙げたあとの不満の両方に出ているということです。
式場の提案と見積もりで、何を動かせるか
ここからは、調査の読みを踏まえた、僕の考えです。調査が直接示していることではありません。
1. 「小さく挙げる」の入口が、見積もりのどこにあるかを確かめる
規模を絞れば考えるという人が、条件ごとに2割前後います。ところが、式場の見積もりは、標準の人数と標準のプランを土台に組まれていることが多いと思います。二人だけ、あるいは少人数で、準備の打合せも少ないプランが、最初の見積もりの画面や資料に出てくるでしょうか。出てこなければ、条件をつけている人の目には、「自分向けではない」と映ります。
2. 「お金に余裕ができたら」には、時期をずらせる形を用意する
28.9%の人が条件にしているのは、今の余裕ではなく、将来の余裕です。結婚直後に挙げなくても、後から挙げられる仕組みがあれば、この条件には答えられます。たとえば、写真と食事会を先に済ませて、数年後にあらためて挙式をする、といった組み立てです。ベルコの調査は、そこまでは聞いていません。ですから、これが実際に選ばれるのかは確かめられていません。
3. 「注目を浴びるのが苦手」には、披露宴以外の形を並べる
パートナーなしの人の46.1%が選んだ理由は、価格では動きません。披露宴の主役にならなくてよい形、たとえば挙式のみや、家族だけの食事会などを、同じ重さで提案できるかが分かれ目になります。
4. 話し合いの有無も、見ておく
第2弾では、パートナーがいる人に、結婚式を挙げるかどうかを話し合ったかも聞いています。挙げたいと思っている人は、「話し合っている」と「徐々に話し合っている」の合計が52.0%、挙げないと思っている人は36.1%でした。挙げないと答えた人も、3人に1人以上は、パートナーと話し合っています。パートナーの意向を条件に挙げる人が多いので、来館するのが片方だけの場合は、もう一方の考えをどう聞くかが、提案の前提になると思います。
この数字を使うときの注意
最後に、この調査の数字を式場の判断に使うときの注意を並べます。
- 未婚者の「挙げない」は、調査会社の設計で半分に割り当てられた集団です。割合を、市場の大きさに置き換えないでください
- 条件は複数回答です。足し合わせて、小規模なら挙げる人の割合として使わないでください
- 意向は意向です。条件がそろえば、実際に挙げるかどうかは、この調査からは分かりません
- 20歳から49歳の未婚者を、まとめて聞いています。新郎新婦の中心になる年代に絞った数字ではありません
- 出典は1本で、事業者が自社の関心で実施した調査です。他の調査で確かめられたものではありません
まとめ
- ベルコの未婚者調査(2024年、2,168名)で、挙げないと答えた1,082名の28.9%が、「金銭的に余裕ができたら考えたい」と答えています
- 挙げない理由の1位は「必要性を感じていない」(42.5%、48.3%)で、2位から4位は費用と準備の負担です。ここは条件次第で動く層です
- パートナーなしの46.1%は「注目を浴びるのは苦手」を理由にしています。価格では動きにくい理由です
- 条件として、二人だけ(21.6%)、安価(20.9%)、少人数(20.6%)が並びます。規模を絞った形の入口が、見積もりのどこにあるかを確かめる材料になります
- 数字は、挙げないと答えた人の中での割合です。市場全体の割合や、実際に挙げる人数には読み替えられません
