新郎新婦のリアル

妻の初婚率は、20代前半で30年前の3割、20代後半で5割台に下がった。伸びたのは30代だけです

結婚する人の数が減った、という話はもう聞き飽きたと思います。今日は、減り方が年齢によってまったく違う、という話をします。

厚生労働省の人口動態統計(令和6年・2024年の概況)に、年齢5歳階級別の「妻の初婚率」があります。女性1,000人あたり、その年に初めて結婚した人が何人いるか、という数字です。20〜24歳は、1995年の48.89から2024年は15.07に下がりました。30年で、およそ3割の水準です。25〜29歳は70.64から39.43で、5割台。一方で30〜34歳は18.45から20.14に、35〜39歳は3.84から7.91に上がっています。

式場の客層は、地域の「結婚する人」の年齢構成に引っ張られます。20代前半のカップルが主役だった時代の接客、見積もり、提案の前提を、そのまま使い続けていないか。数字を並べて、考える材料を整理します。

年齢別の初婚率を並べる

表9の数字をそのまま並べます。単位は女性人口1,000人あたりです。

年 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳
1995年 48.89 70.64 18.45 3.84
2005年 34.12 60.06 24.41 7.24
2015年 26.12 58.09 28.83 11.44
2021年 18.63 44.96 21.12 8.34
2022年 17.16 43.25 21.27 8.41
2023年 15.62 39.18 19.89 7.87
2024年 15.07 39.43 20.14 7.91

厚生労働省の注記では、各届出年に結婚生活に入ったものの数字です。婚姻届を出した年で数えているので、結婚式の年とは一致しません。この点は後でもう一度触れます。

1995年と2024年を比べると、各年齢の2024年の水準は次のようになります。

  • 20〜24歳:30.8%(1995年を100とした場合)
  • 25〜29歳:55.8%
  • 30〜34歳:109.2%
  • 35〜39歳:206.0%

20代の初婚率が大きく下がり、30代は上がっています。35〜39歳は30年で2倍になりました。ただし水準そのものは小さく、2024年でも7.91です。20〜24歳の15.07の約半分ですが、30年前の3.84と比べれば別の層に育っています。

2015年からの9年間で何が起きたか

30年の比較だと、少子化や晩婚化という大きな流れにまとめられてしまいます。もう少し近い期間も見ておきます。2015年と2024年を比べます。

  • 20〜24歳:26.12 → 15.07(57.7%)
  • 25〜29歳:58.09 → 39.43(67.9%)
  • 30〜34歳:28.83 → 20.14(69.9%)
  • 35〜39歳:11.44 → 7.91(69.1%)

2015年からは、30代も下がっています。すべての年齢層で初婚率は2015年より低く、下がり方は20代前半が一番大きい。つまり、長い目で見ると「20代が減って30代が増えた」のですが、直近9年では「どの年齢も減り、20代前半がいちばん減った」が正確です。

この違いは、時期の選び方で結論が変わる例です。1995年と2024年だけ見て「30代は伸びている」と言うと、2015年以降の30代の低下が見えなくなります。式場の会議で使うなら、どの年と比べているかを必ず添えたほうがいいと思います。

年齢の構成は、20代後半を中心に30代へ寄っている

4つの年齢階級の初婚率を足して、それぞれが占める割合を出してみます。人数の構成比ではなく、率の合計に占める割合です。年齢別の人口の違いを外して、「結婚しやすさの重心」がどこにあるかを見る指標として使います。

年 率の合計 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳
1995年 141.82 34.5% 49.8% 13.0% 2.7%
2005年 125.83 27.1% 47.7% 19.4% 5.8%
2015年 124.48 21.0% 46.7% 23.2% 9.2%
2024年 82.55 18.3% 47.8% 24.4% 9.6%

25〜29歳の割合は、約5割で30年間ほとんど動いていません。動いたのは両端です。20〜24歳が34.5%から18.3%に減り、30〜34歳が13.0%から24.4%、35〜39歳が2.7%から9.6%に増えました。

厚生労働省の概況も、初婚の妻の年齢の構成割合のピークは、20年前も2024年も26歳で変わらないと書いています。年齢の低い人の割合が下がり、高い人の割合が上がる傾向です。ピークは動かず、すそ野が上に伸びている。これが形です。

「平均年齢が上がった」という話は、よく聞きます。2024年の平均初婚年齢は、夫が31.1歳、妻が29.8歳です。1995年の夫28.5歳、妻26.3歳から、夫は2.6歳、妻は3.5歳上がりました。ただ、平均だけを見ると、全員が少しずつ年を取ったように見えます。実際は、中心の26歳前後はそのままで、20代前半が薄くなり、30代が厚くなって、平均を押し上げています。

結婚する確率そのものも下がっている

率の合計は、結婚のしやすさの全体の水準でもあります。1995年は141.82、2024年は82.55で、58.2%です。年齢階級ごとの率を5倍して足すと、「この年の率がずっと続いたとして、39歳までに初めて結婚する女性の割合」の目安になります。

  • 1995年:141.82 × 5 ÷ 1,000 = 約70.9%
  • 2005年:約62.9%
  • 2015年:約62.2%
  • 2021年:約46.5%
  • 2024年:約41.3%

この計算には限界があります。15〜19歳と40歳以上を含んでいません。ある年の率を使った仮の数字で、実際にその年に生まれた世代がたどる数字ではありません。外国籍の人や、届出をしない事実婚も入っていません。目安としてしか使えません。

それでも、2015年の約62%から2021年の約47%に、6年で15ポイント落ちたことは見落とせません。2020年のコロナ禍をはさんだ時期です。2024年は約41%で、2023年と同じ水準でした。婚姻件数は2024年に48万5,063組と、前年の47万4,741組より1万322組(2.2%)増えています。ただ年齢別の率は、25〜39歳で上昇した階級もあれば、20〜24歳で下がった階級もあります。件数が増えたからといって、20代の初婚率が戻ったわけではありません。

地域で見ると、客層の年齢は1.8歳ずれる

平均初婚年齢は、全国の数字だけでは使えません。都道府県別の表10-2から、妻の数字を見ます。

  • 全国:29.8歳
  • 東京都:30.7歳(最高)
  • 神奈川県:30.3歳
  • 埼玉県・千葉県:ともに30.0歳
  • 京都府:30.0歳
  • 福井県・香川県:28.9歳(最低)

最高の東京都と最低の福井県・香川県で、1.8歳の差があります。夫のほうも、東京都32.2歳に対して、山口県・佐賀県が30.1歳で、2.1歳の差です。

1.8歳は、人生の段階としては大きい差です。大学卒で入社して7年目と、5年目の違いです。年収も、貯蓄も、役職も、住宅購入の予定も変わってきます。同じ「ブライダルフェアに来た20代後半のカップル」でも、東京の式場と福井の式場では、中身の分布が違う前提で見積もりを組むほうが自然です。

なお、この表は夫の住所で集計した都道府県別の数字です(概況の脚注による)。式場に来る人は、住んでいる県の外から来ることもあるので、商圏とは完全には一致しません。

再婚の割合も、客層の一部として見ておく

表11には、再婚件数の割合も出ています。2024年は、夫17.9%、妻15.6%です。2015年の夫19.7%、妻16.8%よりは低くなっています。婚姻の6組に1組前後に、再婚の人が含まれる計算です。

再婚の人は結婚式をしない割合が高いのか、少人数で行う割合が高いのか。今回の資料では分かりません。ここで言えるのは、婚姻を「初婚の若いカップル」だけで見ると、1割台後半の層を取りこぼす、ということだけです。

式場の経営に、どうつなげるか

ここから先は、僕の仮説です。統計の数字が直接示しているわけではないので、確かめる前提で読んでください。

仮説1:ゲストの顔ぶれが変わる。結婚の年齢が上がると、職場の上司や同僚、取引先の割合が増え、学生時代の友人の割合が減るかもしれません。人数は同じでも、引き出物や料理、席次の組み方の要望は変わります。

仮説2:親の年齢が上がる。新郎新婦が30歳前後なら、親は60代の後半から70代に入っている場合があります。バリアフリーの導線、移動の距離、式の時間の長さは、親世代にとって実際の問題になります。

仮説3:自分たちで払う金額の比率が変わる。年齢が上がれば、自分の貯蓄から出せる額は増えるかもしれません。一方で、親の援助に頼る層は減るかもしれません。援助額の数字は別の調査が必要で、今回は触れません。

仮説4:検討の期間が短くなる。年齢が高いほど、仕事や家庭の事情で、早く決めたい人が増えるかもしれません。

どれも、統計だけでは確かめられません。確かめられるのは、式場の側にある来館アンケートです。

自社で確かめる方法

必要なのは、新しい調査ではなく、すでに集めているものの見直しです。

  1. 来館アンケートや成約者の台帳に、新郎新婦の年齢があるか確認します。無ければ、年代の区切りだけでも取り始めます
  2. 年代別に、来館数、成約数、成約までの回数、1組あたりの契約金額を並べます
  3. 自分の商圏の平均初婚年齢(都道府県別の表10-2)と、自社の成約者の年齢を比べます。差が1歳以上なら、客層が商圏の平均とずれています
  4. 5年前、3年前、1年前の成約者の年齢の平均を出し、動いているかを見ます。動いていれば、全国の流れと同じ方向かを確かめます
  5. 年代別に見積もりの人数、プランの選ばれ方、オプションの付き方を並べ、差があるかを見ます

3の「商圏の平均とずれている」は、悪いこととは限りません。若い層に強い式場、30代以上のカップルに強い式場、どちらもあり得ます。大事なのは、自社がどこにいるかを数字で把握しているかです。

この記事の限界

  • 初婚率は届出ベースです。結婚式を挙げた人、挙げない人、事実婚の人を区別していません。結婚式をしない人の割合は、調査によって14.7%から26.3%まで開きます(別の記事で整理しています)
  • 婚姻届の提出年と、挙式の年は一致しません。入籍後に数か月から1年以上たって挙式する人もいます
  • 初婚率は妻の年齢階級別の数字です。夫の年齢別の初婚率は、この概況には出ていません
  • 率の合計×5の計算は、仮の目安です。15〜19歳と40歳以上を含まず、ある年の率が続いたと仮定しています
  • 数字の出典は厚生労働省の概況1本です。同じ統計の別の表や再集計は、独立した出典にはなりません
  • 経営への仮説は、この統計の数字だけでは検証できません

まとめ

  • 妻の初婚率は、20〜24歳が1995年の48.89から2024年は15.07(約3割)、25〜29歳が70.64から39.43(5割台)に下がった。30〜34歳は18.45から20.14、35〜39歳は3.84から7.91に上がった
  • 2015年と比べると、30代も含めてすべての年齢で下がっている。1995年との比較だけでは見えない
  • 率の合計に占める割合は、25〜29歳が約5割で動かず、20〜24歳が34.5%から18.3%に減り、30代が15.7%から34.0%に増えた
  • 平均初婚年齢は妻29.8歳。都道府県では東京都30.7歳と福井県・香川県28.9歳で1.8歳の差がある
  • 客層の年齢の変化が接客や見積もりにどう効くかは仮説。自社の成約者の年齢を台帳から出して、商圏の平均と比べるのが先