「結婚式をしない人」は何割か。3つの調査で、14.7%から26.3%まで開く
「結婚式をしないカップルは、今どれくらいいるんですか」。経営会議でも提案書でも、よく出てくる問いです。調べると数字はすぐ見つかるのですが、見つかる数字がバラバラです。
今回読んだ3つの調査では、何も行わなかった層が14.7%から26.3%まで開いていました。別の切り方をすると、挙式をしていない人は約半数になります。どれも一次資料に載っている数字で、誰かが間違えているわけではありません。違うのは、誰に、何を聞いて、どこまでを「結婚式」と数えたかです。
この差を知らないまま1つの数字を目標の母数に使うと、来館数や成約数の見立てが10ポイント単位でずれます。今回は3つの一次資料を並べて、数字がずれる理由と、会場として母数をどう置くかを整理します。
3つの調査が出している数字
読んだのは次の3つです。
- マイナビウエディング「2025年 結婚・結婚式の実態調査」(2025年9月24日発表)
- リクルートブライダル総研「結婚総合意識調査2024」の既婚編
- アニヴェルセル総研 第101弾「恋愛・結婚意識調査」(2024年7月11日発表)
先に結論の表を置きます。
| 調査 | 対象 | 回答数 | 「何も行わない」側の数字 |
|---|---|---|---|
| マイナビ(2025年7月調査) | 2024年7月〜2025年6月に結婚した20〜49歳 | 1,115名 | 結婚式を挙げていない・挙げる予定はない 26.3% |
| リクルート(2024年5月調査) | 2023年4月〜2024年3月に結婚した20〜49歳の既婚者 | 1,500名(集計) | 挙式・披露宴・食事会・写真撮影のいずれも非実施 22.2% |
| アニヴェルセル総研(2024年3〜4月調査) | 全国の20〜39歳の未婚・既婚男女 | 224名 | 何もしていない 14.7% |
3つとも「結婚式をしなかった人」を数えているように見えますが、中身を見ると同じものを数えていません。順番に読んでいきます。
マイナビ:26.3%は「写真のみ」を別に数えた残り
マイナビの発表では、結婚式の実施率は59.1%でした。内訳は実施済みが40.4%、実施予定ありが18.7%です。「結婚式を挙げていない・挙げる予定はない」は26.3%で、前年から4.6ポイント増えています。
ここで数字が足りないように見えます。59.1に26.3を足しても85.4にしかなりません。残りは「写真のみ(実施済・検討中)」の14.6%で、前年から5.5ポイント減っています。3つを足すとちょうど100%です。
つまりマイナビの26.3%は、写真だけ撮った人を除いた残りです。写真のみの人を「式をしない側」に含めるなら、26.3%に14.6%を足して40.9%になります。同じ調査の中でも、どこで線を引くかで26.3%にも40.9%にもなります。
20代だけを見ると、挙げる予定のない割合は26.0%で、前年から5.6ポイント増えました。ここは記事の見出しになりやすい数字ですが、20代の人数はこの発表からは分かりません。件数の少ない層の前年差は、ぶれやすいと見ておいたほうが安全です。
リクルート:22.2%は、写真も食事会もしなかった人
リクルートの結婚総合意識調査2024は、何らかのウエディングイベントを実施した割合を77.8%としています。逆に、1つも実施していない人は22.2%です。ここでいうウエディングイベントは、挙式、披露宴・ウエディングパーティー、親族中心の食事会、写真撮影の4つで、実施予定のものも含みます。
つまり22.2%は、写真も食事会も何もしなかった人です。マイナビの26.3%とは、写真のみの人を別に扱う点は近く、食事会をどう扱うかが分かりません。マイナビの発表からは、食事会だけの人が「結婚式を挙げた側」と「挙げていない側」のどちらに入るのかが読み取れませんでした。
リクルートの報告書は組み合わせごとの表も載せていて、これが役に立ちます。2024年の数字を並べます。
| イベントの組み合わせ | 割合(%) |
|---|---|
| 挙式・披露宴・食事会・写真のすべて | 25.0 |
| 挙式・披露宴・写真(食事会なし) | 11.7 |
| 食事会と写真 | 7.2 |
| 食事会のみ | 6.2 |
| 写真のみ | 12.6 |
| いずれも非実施 | 22.2 |
挙式の実施率は50.1%、披露宴・ウエディングパーティーは45.5%、写真撮影は62.1%でした。写真撮影は、挙式や披露宴より実施率が高い項目です。
この表から、挙式も披露宴もしていない人を数えると48.2%になります。内訳は、食事会と写真が7.2%、食事会のみが6.2%、写真のみが12.6%、いずれも非実施が22.2%です。逆に、挙式か披露宴のどちらかを実施した人は約51.8%になります(100から引いた値で、表の合計が99.9%なので小数点の端数が入ります)。
同じ調査の中で「しない人」は、写真と食事会まで含めて何もしなければ22.2%、挙式と披露宴をしなければ48.2%です。2倍以上違います。
アニヴェルセル総研:14.7%は、小さな標本の「何もしていない」
アニヴェルセル総研の調査は、「結婚式を挙げましたか」という質問に1つだけ答える形式でした。結果は次のとおりです。
- 結婚式・披露宴ともに開催した 48.7%
- 何もしていない 14.7%
- フォトウェディングだけ実施した 11.2%
- 挙式だけ実施した 9.8%
- 会食だけ実施した 4.9%
ここまでで89.3%です。残りの10.7%は、発表資料の抜粋からは項目が確認できませんでした。
見出しになった「ナシ婚がわずか14.7%」は、この中の「何もしていない」にあたります。ただし、回答者は全国の20〜39歳の224名で、マイナビの約5分の1です。224名で14.7%なら、およそ33人の回答です。再婚経験者の回答も合算されています。同じ発表の中で、離婚歴のある人の初婚時は「何もしていない」が42.9%、ない人は17.9%でした。回答者の中の離婚経験者の割合が変わるだけで、全体の数字は動きます。
数字が開く理由は、4つに分けられる
3つを読み比べると、差の理由は4つに整理できます。
- 対象の年代:マイナビとリクルートは20〜49歳、アニヴェルセル総研は20〜39歳です。若い層ほど式をしない割合が高い傾向がマイナビの20代の数字には出ていますが、年代別の比較は3調査で揃っていません
- 対象の期間:マイナビとリクルートは直近1年に結婚した人に限っています。アニヴェルセル総研は結婚時期を限っていません。結婚から年数が経った人は、過去の結婚式の記憶で答えています
- 「実施」の中身:予定を含むか、写真を含むか、食事会を含むかで、同じ人が「した側」にも「しない側」にも入ります
- 標本の大きさ:224名と1,000名超では、同じ割合でも誤差の幅が違います
もう1つ、見落としやすい点があります。マイナビの発表は、各年代の婚姻件数(令和3年の厚生労働省人口動態調査)に合わせたウエイトバック集計の推計値だと注記しています。しかも前年までのデータも、同じ方法で集計し直した数字になっています。2023年以前の発表と数字が違うため、古い報道の数字と並べて前年比を作ると、集計の違いまで差に混ざります。
母数の置き方で、見立てはどれだけ動くか
ここからは、数字を会場の見立てに当てはめます。以下は説明のための仮の計算で、実在の地域の数字ではありません。
ある地域で、1年間に結婚するカップルが1,000組いると仮定します。会場の年間成約数は50組とします。「その地域で結婚式を挙げる層」を、3つの見方で置いてみます。
| 母数の置き方 | 挙げる層(1,000組あたり) | 成約50組のシェア |
|---|---|---|
| リクルート:挙式か披露宴をした層 51.8% | 518組 | 9.7% |
| マイナビ:実施済み+予定 59.1% | 591組 | 8.5% |
| リクルート:何らかのイベントをした層 77.8% | 778組 | 6.4% |
同じ成約50組でも、自社の獲得シェアは6.4%にも9.7%にも見えます。真ん中のマイナビの置き方でも8.5%です。3.3ポイントの差は、大きく見えないかもしれません。ただ、「次の年にシェアを1ポイント上げる」という目標を立てるとき、母数の置き方が違えば必要な成約数が変わります。1,000組あたりで6〜10組の違いです。
どの母数が正しいかは、自社の商品で決まります。会場が売っているのは挙式と披露宴を含むパッケージです。写真のみ、食事会のみを選ぶ層は、ほとんどの会場では競合の外にいます。そう考えると、見るべきは「挙式か披露宴をした層」で、リクルートの組み合わせ表のような、イベントごとに分けた数字です。「何もしない人」の割合そのものは、会場の母数を決めるには粗すぎます。
「しない人」が増えているかは、1年の差では判断できない
マイナビの発表は、結婚式を挙げない人が前年から4.6ポイント増えた、価値観の変化が見受けられると書いています。リクルートの2019年から2024年の推移も見てみます。
| 年 | いずれも非実施(%) |
|---|---|
| 2019年 | 19.3 |
| 2020年 | 19.9 |
| 2021年 | 28.9 |
| 2022年 | 24.3 |
| 2023年 | 21.4 |
| 2024年 | 22.2 |
2021年の28.9%はコロナ禍の影響が大きかった時期で、そのあとは22%前後まで戻っています。2024年は2023年より0.8ポイント高いだけです。コロナ禍の2021年を除くと19%台から24%台の間で、緩やかに上がっているようにも、横ばいのようにも見えます。
マイナビの4.6ポイント増は、写真のみ(5.5ポイント減)とセットで動いています。写真のみだった人が、何もしない側に移ったと読むこともできます。ただし、これは2つの数字が逆向きに動いたという事実だけから僕が立てた読みで、調査が個人の動きを追ったものではありません。
2つの調査の方向は同じではありません。マイナビは「式をしない人が増えた」、リクルートは「ほぼ横ばい」です。ここは、どちらかが正しいと決めず、調査設計の違いのまま並べておくのが誠実だと思います。来年、同じ設計で取られた数字が出たときに、もう一度見直す材料になります。
会場が数字を引用するときの確認点
提案書や社内資料に数字を載せるときは、次の3点を数字の横に書いておくと、あとで数字を使い回すときに迷いません。
- どの調査の、いつの発表か
- 「しない」に含まれているのは何か(写真のみ、食事会のみ、予定ありの扱い)
- 回答数と対象の年代
とくに2つ目は、書かずに済ませがちです。同じ「ナシ婚」という言葉が、写真のみを含む調査と含まない調査で使われています。会議の場で別の数字を持ち出されたとき、定義が書いてあれば、数字の優劣ではなく定義の違いとして話せます。
まとめ
- 結婚式をしない人の割合は、アニヴェルセル総研14.7%、リクルート22.2%、マイナビ26.3%と調査で開く。どれも一次資料の数字で、差は対象と定義の違い
- マイナビの26.3%は写真のみ(14.6%)を別に数えた残り。写真のみを含めれば40.9%になる
- リクルートの組み合わせ表では、挙式も披露宴もしていない人は48.2%。何もしていない人(22.2%)の2倍以上
- アニヴェルセル総研は224名の調査で、33人ほどの回答に基づく数字。再婚を含む合算でもある
- 会場の母数は、自社が売る商品に合わせて置く。挙式か披露宴をした層(51.8%)と実施済み・予定(59.1%)では、仮の計算で獲得シェアが9.7%と8.5%に分かれる
- 増減の判断は1年の差では決めない。リクルートの6年推移は(2021年を除き)19〜24%台で、マイナビの前年比とは方向が揃っていない
