来館・成約

式場の見学に来なかった二人へは、理由を聞かず次の日程を渡す

見学の予約が入っていたのに、約束の時間になっても二人が現れない。式場ではよくある場面です。そのあとの扱いは、だいたい二つに分かれます。「来なかったので縁がなかった」と予約表から消すか、「どうされましたか」と理由を尋ねる連絡を一通送って返事を待つか。

僕の提案は、どちらでもありません。理由は聞かずに、翌日の昼までに「ご都合のよさそうな日を二つ用意しました」と次の日程を渡します。来なかった二人は、断ったのではなく、まだ決めていないだけの人が多いと僕は見ているからです。この記事では、なぜ理由を聞かないほうがいいのか、連絡をいつ・どう送るか、やらないほうがいい条件はどこかを整理します。数字は出典のあるものではなく、説明のために僕が置いた仮の前提です。

来なかった二人は、断った二人とは限らない

予約に来なかった理由は、式場からは見えません。ただ、想像できる範囲はあります。仕事が押した。前の見学が長引いた。体調が悪かった。親と日程が合わなくなった。他の式場で気に入ったところが見つかった。予約したこと自体を忘れていた。

この中で「もうこの式場はいい」と決めて来なかったのは、最後から二番目の一部だけです。ほかは、式場への評価とは関係のない事情です。それなのに、来なかったという事実だけで一括りに「失注」として閉じると、まだ取り戻せる二人まで一緒に手放すことになります。

もうひとつ、二人の側にも気まずさがあります。無断で行けなかったとき、人は連絡しづらくなります。謝るのが面倒で、そのまま連絡を絶つ。式場が何も言ってこなければ、気まずさは固まって、二度と予約ページを開かなくなります。気まずさをほどくのは、式場のほうの役目です。

理由を尋ねる連絡が、返事を遠ざける

「本日はご来館いただけませんでしたが、何かございましたか」。丁寧な文面ですが、受け取る側には問い詰められているように読めます。返事を書くには、来られなかった理由を自分で説明し、謝り、そのうえで改めて予約を取る、という三つの作業が必要です。気まずい二人にとって、いちばん重い返事です。

式場が知りたいのは、本当は理由ではなく、次に来てくれるかどうかです。理由が分かっても、次の日程が決まらなければ数字は動きません。ですから、返事の負担をいちばん軽くする形にします。理由は聞かない。謝らせない。選ぶだけで済む形で次の日程を出す。「どちらかに返信ください」だけで終わる文面です。

理由を聞かないことには、もう一つ利点があります。式場側が「なぜ来なかったのか」を気にしすぎず、文面が事務的に整うことです。責めるつもりがなくても、聞こうとすると文面に色がつきます。

連絡は翌日の昼前に一度だけ

時刻は、当日の夜ではなく翌日の午前中を勧めます。当日の夜に送ると、二人はまだ気まずさの真ん中にいて、画面を見たくない時間です。一晩置いた翌日のほうが、気持ちが落ち着いて返事を書けます。仕事のある二人なら、昼休みに目を通せる11時から12時の間が収まりやすいと僕は考えています。これは僕の見立てで、式場ごとに違うはずです。自分の式場の返信が来る時間帯を、過去のやり取りから一度確かめてください。

回数は一度だけです。返事がなかった二人に、翌日・3日後・1週間後と重ねると、追われている印象が強くなります。一度送って、返事が来なければ、ほかの見学後追客と同じ通常の流れ(資料の送付など)に戻します。無断欠席の二人にだけ特別に追う理由はありません。

手段は、予約を受け付けたときの手段に合わせます。予約フォームから入ったならメール、LINEで取ったならLINEです。予約を受けた入口に返すのが、いちばん自然に届きます。電話は避けます。出られなかった二人にとって、不在着信は一番重い催促に見えます。

文面は、日程二つと変更の一言だけ

文面の中身は四つの要素に絞ります。

  1. 昨日の約束が果たせなかったことを、責めずに一言で触れる(「昨日はお会いできず残念でしたが、お変わりありませんか」)
  2. 次の日程を二つ、曜日と時間つきで書く
  3. 変更するのは返信一つで足りると伝える
  4. 気が向いたときに、で構わないと添える

たとえば次のような形です。

昨日は予定が合わなかったのかもしれませんね。お変わりありませんか。 改めてご見学をご案内できる日を二つご用意しました。 ・今週の土曜 11:00 ・来週の水曜 18:00 どちらかに「1」「2」と返信いただければ、こちらで予約を取り直します。ほかの日がよければ、その旨だけお知らせください。

ここで大事なのは、日程を二つにすることです。「ご都合のよい日をお知らせください」と開いた質問にすると、二人は自分でカレンダーを見て候補を探す作業を負います。三つ以上並べると選ぶのが面倒になります。二つで、片方は平日の夜、片方は週末の昼のように性質を変えると、どちらかは当たりやすくなります。

「昨日は予定が合わなかったのかもしれませんね」という書き出しは、来なかった理由を式場が勝手に善意に解釈する言い方です。事実は分かりません。ただ、二人が自分で理由を言わなくて済むように、先に逃げ道を用意しておく効果があります。

仮の数字で、取り戻せる組数を見る

効果を見積もるために、仮の前提を置いて計算します。実際の式場の数字ではありません。

  • 月に40組の見学予約が入る
  • そのうち15%、つまり6組が連絡なしで来ない(仮)
  • 理由を尋ねる連絡では、日程が取り直せるのが10組に1組。次の日程を渡す連絡では、3組に1組(どちらも仮)
  • 日程が取り直せた二人のうち、4割が契約に至る(仮)

この前提だと、理由を尋ねる形では月に0.6組が取り直せて、契約は0.24組です。次の日程を渡す形では1.8組が取り直せて、契約は0.72組です。差は月に0.5組弱で、年に直すと約6組です。

数字の置き方次第で、差は大きくも小さくもなります。取り直せる割合の「10組に1組」と「3組に1組」は、どちらも僕の仮置きで、根拠のある数字ではありません。ここで見てほしいのは、差が出る場所です。月40組のうち来ない6組は、そもそも式場の側は広告費も人件費も使って呼んだ二人です。その6組に、連絡一通でもう一度チャンスを渡すのは、追加の集客費がほとんどかからない取り戻し方になります。

自分の式場で確かめるなら、無断欠席の組数と、そのうち後日の来館に変わった組数の二つを、3か月だけ数えれば足ります。来なかった二人のその後を追っていない式場は、そもそも取り戻せた組数も分かりません。

連絡の前に確かめる、来なかった理由の仕分け

理由は聞かない、と書きましたが、式場側で仕分けられる手がかりはあります。予約の取り方と、予約から当日までの日数です。

予約から当日までが長い二人(たとえば3週間以上先の枠を取った二人)は、予定を忘れていた、あるいは他の見学で気持ちが固まった、ということが起こりやすいと僕は見ています。逆に、前日や前々日に慌てて取った二人は、仕事の都合で来られなくなった可能性が高い。前者には、次の日程を少し先の枠も含めて出す。後者には、直近の枠を出す。この程度の調整で足ります。

前日のリマインドに反応があったかも、手がかりになります。リマインドに既読がついていたのに来なかった二人は、行きづらくなった可能性があります。既読がなく来なかった二人は、単に気づいていなかった可能性があります。どちらも文面は同じで構いません。送る日程の遠近だけで調整します。

この方法が向かない条件

三つあります。

一つ目は、同じ二人が二回続けて来なかった場合です。一度目は事情でも、二度目は意思表示と読むほうが自然です。二回目の連絡は送らず、通常の資料送付に戻します。

二つ目は、予約の枠に余裕がない繁忙期です。次の日程を二つ出すとは、その枠を二つ空けて待つということです。土日の枠が埋まる時期に、返事の来ない二人のために二枠を押さえ続けると、他の二人を断ることになります。繁忙期は「仮押さえ」にせず、日程の候補を書くだけにして、二人が返信したときに空いているかを確かめる形にします。ただし、その場合は「空いていなければ別の日をご案内します」と添えておきます。

三つ目は、予約の時点で二人が「とりあえず」で入れていた場合です。複数の式場に同日同時刻の仮予約を入れる二人もいます。そうした二人は、来なかったことが最初から想定の範囲内で、取り直しの連絡に反応する割合も低い。式場側で見分けるのは難しいので、数か月続けて効果が出ないなら、連絡を省いてかまいません。

社内で決めておく三つのこと

運用を回すには、担当者の判断に任せず、最初に決めておくことがあります。

連絡する担当者です。見学を担当する予定だったプランナーが送るのか、予約窓口が送るのか。二人が最初に名前を知っているのは、予約を受けた窓口のはずです。担当が決まっている式場なら、そのプランナーの名前で送るほうが、来館したときに話が続きます。

送る時刻です。毎日の業務のなかに「前日の来館なし組への連絡」の時間をひとつ作っておきます。気づいた人が送る形にすると、送られない日が出ます。

記録の残し方です。来なかった日、連絡した日、返事の有無の三つを予約表の同じ行に書いておけば、3か月後に取り戻せた組数が数えられます。数えられるようにしておくことが、この方法を続けるかどうかの判断材料になります。

まとめ

  • 見学の予約に来なかった二人は、断った二人とは限らない。多くは式場への評価と関係のない事情だと僕は見ている
  • 「何かございましたか」と理由を尋ねる連絡は、二人に説明と謝罪と再予約の三つを求める重い返事になる
  • 連絡は翌日の昼前に一度だけ。予約を受けたのと同じ入口で、電話は避ける
  • 文面は、責めない一言、日程二つ、返信一つで取り直せること、の四つに絞る
  • 仮に月40組の予約で6組が来ない式場なら、取り直し率が10組に1組から3組に1組に変わると、年に約6組の契約差になる。数字は仮置きで、自分の式場では3か月数えて確かめる
  • 同じ二人が二度続けて来なかったとき、繁忙期で枠に余裕がないとき、とりあえず予約が多いときは、この方法を省く
  • 担当者、送る時刻、記録の三つを先に決めておくと、続けて効果を数えられる