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式場の地域ラジオや駅広告は、出稿前に基準の週を決めて読む

地域のラジオ、ケーブルテレビ、駅の看板や車内広告。式場の営業担当のところには、こうした広告の提案が定期的に届くと思います。「エリアで認知が取れます」「期間限定の枠が空きました」という話です。

こうした広告は、出してみないと効果が分かりません。そして出してしまった後では、効果の読み方がほぼ決まってしまいます。予約が増えた月は「効いた」、増えなかった月は「認知は効いているはず」。どちらに転んでも続ける理由が見つかるのが、この種の広告の怖いところです。

結論から言います。地域ラジオや駅広告は、出稿の前に、基準にする週と、見る数字を決めておくのがいいと僕は考えています。広告の良し悪しは、出した後の気分ではなく、出す前に置いた物差しでしか読めないからです。

この記事に出典の数字はありません。後半の数字は、僕が置いた仮のものです。業界の平均ではないので、自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

出した後に効果が読めなくなる理由

結婚情報サイトや検索広告は、広告から予約フォームまでがつながっています。クリックの数も、予約の数も、広告ごとに数えられます。

ラジオや駅広告にはその線がありません。聞いた二人、見た二人が、そのまま予約ページに来るとは限らないからです。数日後に式場名を検索してくる、友人に話してから見学を決める、結婚情報サイトで式場名を見つけて予約する。広告との間に、いくつもの経由が挟まります。

すると、出稿後の予約の増減は、他の要因とまざります。ちょうどその月にフェアの特典を変えていた。連休があった。別の媒体の掲載順位が上がっていた。どれが効いたのかは、後から切り分けられません。

だからこそ、広告を出す前に決める部分が重くなります。出す前なら、他の要因がまだ少なく、数字がきれいに残っているからです。

出稿の前に決めること

決めるのは3つだけです。

1つ目は、基準にする週です。出稿の前の3週間を、そのまま基準にします。この3週間は、フェアの特典も、他の広告の出し方も変えません。変えると、基準そのものが動いてしまいます。

2つ目は、見る数字です。僕は、見学予約の組数と、式場名での検索の増減の2つに絞るのがいいと思います。問い合わせ数は、広告と関係なく動きすぎます。成約数は、広告から数か月遅れて出ます。見学予約なら、広告の影響が1〜2週で見え、数も十分にあります。

3つ目は、判定の日付です。出稿が4週間なら、出稿の終わりから2週間後に判定します。広告を聞いたり見たりした二人が、予約するまでの遅れを見込むためです。判定の日付を先に決めないと、数字がよい週だけを拾って「効いた」と言ってしまいます。

基準の週は、3週分を並べる

基準は、1週だけでは足りません。見学予約は、週ごとにかなり揺れるからです。

たとえば、基準の3週間の見学予約が、4組、6組、8組だったとします。平均は6組ですが、揺れの幅は前後2組です。出稿後の週が7組でも、これは揺れの範囲です。広告の効果だとは言えません。

そこで、見るのは1週の数字ではなく、出稿期間の合計を、基準の平均の週数ぶんと比べることです。平均6組の会場が4週で24組なら、出稿期間が4週で30組を超えるかどうかを見ます。1週ごとの上下は気にしません。

この比べ方なら、揺れの幅が前後2組あっても、4週の合計では平らになります。6組ぶんの差があれば、揺れでは説明しにくくなります。

仮の数字で、元が取れるかを見る

ここからは仮の前提です。

  • 出稿費は4週間で40万円
  • 基準の週の見学予約は、平均で週6組
  • 出稿期間中は、基準より25%増えた(仮)
  • 見学した組の成約率は25%
  • 1組の成約の粗利は90万円(売上300万円の仮に3割)

計算します。基準が週6組で4週なら24組、25%増えたので、追加の見学予約は6組です。成約率25%を掛けると、追加の成約は1.5組。粗利は135万円で、出稿費の40万円を上回ります。成約1組あたりの広告費は約27万円です。

一方で、増加が10%にとどまったらどうなるでしょう。追加の見学予約は2.4組、成約は0.6組、粗利は54万円。出稿費の40万円を上回ってはいますが、差は14万円です。広告会社への手数料や制作費が別にかかれば、すぐ赤字に転びます。

この計算でいえることは、元が取れる増加率の下限を、出稿の前に決められるということです。この仮の前提なら、4週で追加の見学予約が約2組を切ったら、続ける理由がありません。広告会社の提案書にある「認知が取れます」とは別の、会場の側の基準です。

式場名の検索は、広告の効きの早い指標になる

もう一つの数字が、式場名での検索の増減です。

ラジオや駅広告を見聞きした二人は、その場で予約せず、あとで式場名を調べることが多いはずです。ここで効いてくるのが、式場名の検索の数です。公式サイトの解析や、検索エンジンの管理画面で、式場名を含む検索の数が見られます。

見るのは、基準の3週と出稿期間の比較です。式場名の検索が増えていて、見学予約が増えていない場合は、広告の言葉は届いているけれど、予約までの導線が弱い可能性があります。検索も予約も増えていない場合は、広告そのものが二人に届いていません。

この2つを並べて見ると、広告が悪かったのか、広告の後の受け皿が悪かったのかが分かれます。続けるか止めるかの判断よりも、直す場所の判断に役立ちます。

出稿期間中に、ほかを動かさない

基準の週を取っても、出稿期間にほかを動かしてしまうと意味がなくなります。

特に動かしやすいのが、フェアの特典と、結婚情報サイトの掲載です。出稿のタイミングは、「ここで一気に攻めよう」と考えがちな時期でもあります。そのときに特典を厚くしたり、掲載のオプションを足したりすると、見学予約が増えても、どれの効果なのか分からなくなります。

僕は、出稿期間の4週間は、動かさないものをリストにして社内で共有しておくのがいいと思います。リストは短くて構いません。フェアの特典、媒体の掲載内容、検索広告の予算の3つです。それ以外の、たとえば公式サイトの写真の入れ替えのような小さな変更は、読み方に響きません。

どうしても動かす必要が出たら、いつ何を動かしたかだけ、日付と一緒に残します。判定の日にその記録を見れば、数字の読み方を調整できます。完全に止めるより、動かしたことを分かる形にしておくほうが、現場にとっては現実的です。

見学の場で、1問だけ聞く

数字の読み方を助けるもう一つの手が、見学の場での1問です。

「当社を知ったきっかけは何でしたか」という質問を、見学の最初に二人へ聞きます。選択肢のなかに、「ラジオ」「駅の広告」「通勤で見た」のような広告の名前を、出稿期間のあいだだけ足しておきます。

この答えは、そのまま広告の効果を表すものではありません。複数の経路が混ざっている二人は、いちばん印象に残ったものを答えるからです。ただ、出稿の前の3週間は選ばれなかった項目が、出稿期間のあいだに選ばれ始めたなら、広告が二人の目に入っていたことの裏づけになります。

見学予約の数と、この1問の答えを並べて見ると、数字だけでは言い切れない部分を補えます。予約の数が基準の揺れの範囲にとどまっていても、広告の名前を答える二人がいるなら、広告の受け皿を直す価値はあります。反対に、予約の数は増えているのに、広告の名前を答える二人がいなければ、増加は広告以外の要因と考えたほうが安全です。

枠を選ぶときの順番

提案を受けると、どの枠が安いかから話が始まりがちです。僕は逆の順番がいいと思います。先に、見学予約の窓口が受け止められる量を確かめます。

出稿で見学予約が増えたとしても、土日の見学枠がすでに埋まっている会場では、増えた分をさばけません。予約したくても日程が合わず、他の式場に流れてしまいます。枠の空きが少ない時期に出稿しても、広告費は成約に変わりません。

出稿の時期は、見学枠に空きが出やすい月から選びます。そのうえで、駅の看板か、車内か、ラジオかを、二人の通る道に近いものから決めます。この順番なら、広告会社の提案を断る理由も、受ける理由も、会場の側から言えます。

続ける判断と、やめる判断

判定の日に、数字を見て決めることは次の3つです。

  • 追加の見学予約が下限を超えた → 同じ内容で、もう1期間続ける。ただし、次の期間は基準の週を取り直す
  • 下限を下回ったが、式場名の検索は増えた → 広告は続けず、予約までの導線を直してから、もう一度だけ出す
  • 下限を下回り、式場名の検索も増えていない → やめる

3つ目は、勇気のいる判断かもしれません。ただ、この場面でやめられる会場は少なく、「認知は効いているはず」と続けてしまう理由がまさにここにあります。出稿の前に下限を決めておけば、判定の日に迷いません。

出稿の前に、広告会社に頼むこと

最後に、広告会社へ事前に頼んでおくことを2つ挙げます。

1つ目は、出稿期間を最低4週間でなく、必要な期間として聞くことです。短い枠は安く見えますが、基準の揺れを平らにできる長さがなければ、数字が読めません。

2つ目は、広告の中に、式場名の検索を促す一言を入れてもらうことです。「式場名+地域名で検索」のような一言があれば、広告を見聞きした二人が、検索で式場に着きやすくなります。検索の増減を見る数字も、読みやすくなります。

まとめ

  • 地域ラジオや駅広告は、予約までの線が見えない。出稿の後に効果を読もうとすると、他の要因とまざって読めなくなる
  • 出稿の前に決めるのは、基準の週(出稿前の3週間)、見る数字(見学予約の組数と式場名の検索)、判定の日付(出稿の終わりの2週間後)
  • 見学予約は週ごとに揺れる。1週ごとの上下は見ず、出稿期間の合計を基準の平均と比べる
  • 仮の計算では、40万円の出稿で追加の見学予約が約2組を超えないと元が取れない。この下限を、出稿の前に決められる
  • 判定は3つ。下限を超えたら続ける、検索だけ増えたら導線を直す、どちらも増えなければやめる
  • 広告会社には、数字が読める出稿期間と、式場名の検索を促す一言を事前に頼む