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家族婚で探す二人に、式場サイトは人数でなく顔ぶれで答える

家族婚という言葉で式場を探す二人は、人数を探しているわけではないと僕は考えています。探しているのは、誰を呼べるかです。ところが式場サイトの家族婚ページを開くと、「10名から30名まで」「最大40名」のように、人数で書かれていることがほとんどです。

人数で書かれたページを読んだ二人は、次に頭の中で数え直します。両親が4人、きょうだいが3人、祖父母が4人、いや、おじさん夫婦は呼ぶのか。数え終わってまだ迷ったら、問い合わせるより先に、別の式場のページを開きます。問い合わせるほどには決まっていないからです。

この記事では、家族婚を名乗る式場のサイトで、人数の表を顔ぶれの表に直す理由と、直し方を書きます。結論を先に言うと、家族婚のページは「何名まで」で終わらせず、「誰まで呼んだ場合に、何名で、何が変わるか」まで書いたほうが、二人が候補に残してくれると考えています。

なお、この記事の人数や金額は、僕が置いた仮の前提です。実在の式場の実績ではありません。自分の会場の料金と部屋の広さに入れ替えて読んでください。

家族婚という言葉の幅

招待客の人数は、全体としては減ってきました。ゼクシィ結婚トレンド調査2024によると、披露宴・ウエディングパーティの招待客の平均は52.0人で、前年の49.1人から増えています。2017年調査の70.2人と比べるとかなり少ない水準です。このデータは家族婚だけの数字ではなく、すべての披露宴の平均です。

ここで大事なのは、家族婚という言葉に決まった定義があるのかどうかです。僕が調べた範囲では、両親と二人だけ、きょうだいまで、祖父母とおじ・おばまで、と人によって指す範囲が違い、業界で統一された線は見つけられていません。つまり、式場が「家族婚プラン」と書いても、読む二人の頭の中の人数はばらばらです。

二人の側から見ると、こうなります。

  • 親とだけで挙げたい二人は、6人から8人を想像している
  • 祖父母も呼びたい二人は、12人前後を想像している
  • きょうだいの家族まで呼びたい二人は、20人前後を想像している

同じ家族婚という検索語でも、この三組は欲しい情報が違います。サイトに「少人数のご家族で」とだけ書いてあると、どの二人にも、自分の話だと思ってもらえません。

人数の表だけでは足りない理由

人数で書いたときに何が起きるかを、仮の数字で見ます。ある二人が呼びたい顔ぶれを積み上げます。

  • 二人と両家の両親だけ:2人 + 4人 = 6人
  • そこにきょうだいを足す(仮に両家で3人):9人
  • さらに祖父母を足す(仮に両家で4人):13人
  • さらにきょうだいの配偶者と子ども(仮に4人):17人
  • さらにおじ・おば夫婦(仮に4組8人):25人

料理と飲み物が1人2万円だと仮定すると、9人で18万円、13人で26万円、17人で34万円、25人で50万円です。人数が1段階増えるごとに、飲食だけで8万円前後が動きます。

二人にとっては、この差が大きいかどうかより、どこまで呼ぶと自分たちの予算の外に出るのかが知りたいところです。人数の表には「30名まで」とあるだけなので、二人は自分で計算するしかありません。計算が面倒な二人ほど、早めに離脱します。式場側から見ると、離脱したことが分からない形で候補から消えていきます。

もう一つ、人数だけでは伝わらないことがあります。同じ13人でも、祖父母が4人いる13人と、友人が4人いる13人では、必要な配慮が違います。祖父母が入る場合は、段差の少ない動線、座って過ごせる時間の配分、食事の量や硬さの相談が先に出てきます。人数の表からは、そこまで読み取れません。

顔ぶれ別の表に書き直す

直し方は難しくありません。人数の表を、顔ぶれの段階に置き換えます。

呼ぶ顔ぶれ 目安の人数 使う部屋 変わること
二人と両親 6人前後 小さな個室 食事の席は丸テーブル1つ、挙式は同じ部屋でも可
きょうだいまで 9人前後 個室 座席の並びを一列から向かい合わせにできる
祖父母まで 13人前後 中ぐらいの個室 車椅子の動線、座る時間の配分を決める
きょうだいの家族まで 17人前後 中ぐらいの個室 子ども用の席と食事の確認が要る

この表に載せる部屋の名前や「変わること」は、自分の会場の実際の運用に合わせて書きます。大事なのは、各段階で「何が変わるか」を一言添えることです。二人はそれを読んで、自分たちの顔ぶれに近い行を探します。

もう一つ、表の下に書いておきたいことがあります。この顔ぶれの線を、二人が自分で引く必要はない、という一文です。呼ぶかどうか迷っている親族がいても、見学のときに一緒に決められると伝えておくと、二人は問い合わせのハードルを一段下げられます。決まっていないから問い合わせられない、という状態を、サイトの側で先に解いておくわけです。

見学予約で顔ぶれを先に聞く

サイトで顔ぶれの表を出したら、見学予約のフォームにも一項目だけ足せます。「挙式に呼びたい方」を、選択式で聞きます。

  • 二人と両親
  • きょうだいまで
  • 祖父母まで
  • きょうだいの家族まで
  • まだ決まっていない

「まだ決まっていない」を入れておくのがポイントです。これがないと、二人は選べなくて予約を途中でやめるかもしれません。選ばれた顔ぶれによって、当日の準備が変わります。祖父母まで呼ぶと答えた二人には、見学のときに動線を歩いて見せます。きょうだいの家族まで呼ぶと答えた二人には、子どもの席と食事の確認を、最初の説明に入れます。

見学の予約フォームは、項目を増やすと完了率が下がりやすいことが知られています。ただ、選択式の1項目であれば、入力の手間はほとんど増えません。これは記録をとって確かめる価値があります。足す前と後で、フォームの完了数を数え直せば、足した影響は見えます。

見学当日に聞くこと

予約フォームで顔ぶれが分かっていても、当日の最初の数分で、もう一度だけ確かめます。聞くのは「迷っている方はいますか」の一点です。

家族婚の二人は、呼ぶと決めた人より、呼ぶか迷っている人のほうに悩んでいることが多いと感じます。たとえば、疎遠になっているおじ夫婦、仲はいいが遠方に住むいとこ、片方の親だけが呼びたがっている親族。この人たちを入れた場合と入れない場合の見積もりを、その場で2通り並べて見せられると、二人は迷いを持ち帰らずに済みます。

並べるときは、仮に9人の案と13人の案を左右に置き、差額を飲食と、部屋の変更の有無だけで示します。差額が前の節の仮計算のように8万円前後であれば、二人にとっては「ご祝儀や親の援助で吸収できる額か」という、答えを出しやすい問いに変わります。総額が重くて決められなかった二人の問いを、差額の問いに小さくするわけです。

ここで注意したいのは、式場の側から人数を増やすように勧めないことです。人数が増えれば売上は上がりますが、家族婚を選んだ二人が一番嫌がるのは、増やされることだと思います。差額を示すだけにして、決めるのは二人に任せます。

数えるものは3つ

家族婚のページを直したあとは、効いたかどうかを見ます。数えるのは次の3つで足ります。

  1. 家族婚のページから見学予約に進んだ割合。ページの閲覧数に対して、予約ボタンが押された割合を、直す前の1か月と直した後の1か月で比べます
  2. 予約フォームで選ばれた顔ぶれの内訳。祖父母まで、が多いのか、親とだけ、が多いのか。自分の会場に来る二人の分布が分かります。分布が分かれば、広告やInstagramで見せる写真も変えられます
  3. 顔ぶれ別の成約率。13人前後の二人と、6人前後の二人では、成約までの日数も金額も違うはずです。成約した二人の顔ぶれを台帳に残しておけば、半年後に比べられます

ただし、1か月では本数が少なすぎて、比べても誤差の範囲かもしれません。差が小さいときは、結論を急がず、もう1か月続けて見るほうがいいです。

家族婚と名乗らないほうがいい会場

ここまで書いてきたのは、家族婚を名乗る会場の話です。ただ、名乗らないほうがいい会場もあると思っています。

たとえば、最低保証人数が20名以上の会場です。二人が6人を想像して家族婚で検索し、見学に行き、見積書で最低20名の料金を見る。この流れは、見学の当日に二人の期待を壊します。壊れた期待は、口コミに残りやすい種類のものです。

名乗るなら、表の最初の行から、最低何名の料金がかかるのかを書きます。6人でも20名分の料金になる会場であれば、そのことをはっきり書いておく。そのうえで、20名前後から選ぶ二人のために「きょうだいの家族とおじ・おば夫婦まで」という顔ぶれの段階から書き始めるほうが、読む二人にとって親切です。

家族婚を名乗れない会場でも、「祖父母とおじ・おばまで呼べる、20名前後の食事会」のように、顔ぶれで書けば検索の入り口にはなります。名前の流行にあわせるより、実際に来る二人の顔ぶれに合わせて書くほうが、見学後に裏切らないページになります。

ページに載せる写真の話

最後に、写真です。家族婚のページには、大きな宴会場の写真ではなく、顔ぶれ別の部屋の写真を載せます。6人前後の部屋に、6人分のテーブルセットがある写真。13人前後の部屋に、車椅子が通れる幅が分かる写真。こうした写真は、人数の数字よりも早く、二人に「自分たちの場合」を想像させます。

撮影の手間は増えますが、部屋ごとに1枚ずつで足ります。すでに撮ってある写真を、顔ぶれの段階に振り分け直すだけでも、ページの印象は変わると思います。

まとめ

  • 家族婚と検索する二人は、何名までかより、誰まで呼べるかを探している
  • 家族婚には決まった定義が見つからず、二人の想像する人数は6人から20人前後までばらつく
  • 人数の表を、顔ぶれ別の表に直し、各段階で「何が変わるか」を一言添える
  • 見学予約には、呼びたい顔ぶれを選ぶ項目を足す。選択肢に「まだ決まっていない」を入れる
  • 数えるのは、ページから予約への割合、選ばれた顔ぶれの内訳、顔ぶれ別の成約率
  • 最低保証人数が大きい会場は、家族婚と名乗る前に、最低料金を表の最初の行に書く
  • 人数は会場の都合、顔ぶれは二人の都合。家族婚のページは二人の都合で書く