初回返信は予約リンクか候補日か|式場が分けるべき3つの条件
問い合わせが入った。返信は速く出したい。そこで多くの式場が選ぶのが、予約ページのリンクを貼って「ご都合のよい日をお選びください」と送る形です。楽ですし、間違いも起きません。一方で、「4日(土)の11時か、5日(日)の14時はいかがでしょうか」と候補日を先に出す式場もあります。
どちらがいいかは、手間では決まりません。結論から書くと、分かれ目は3つです。予約画面が二人のスマホで迷わず開けるか。見学できる枠が少ないか。返信が往復できる連絡手段か。この3つを自分の会場に当てはめて、初回返信の型を決めるのがいいと思っています。
この記事の数字は、会場も件数も金額も、すべて僕が置いた仮のものです。業界の平均ではありません。実際の数字は、自分の会場の予約データに置き換えて読んでください。
初回返信の型は、実は3つしかない
細かい文面の違いを除くと、問い合わせへの最初の返信は次の3つに分かれます。
- リンクだけ送る型。予約ページのURLを貼り、日程は二人に選んでもらう
- 候補日だけ出す型。こちらから日時を3つほど提示し、返事をもらって押さえる
- 両方を並べる型。候補日を3つ書いたうえで、「ほかの日はこちらから選べます」とリンクも添える
どれも「見学の予約を取る」という同じゴールに向かっています。違うのは、二人が次に何をするかです。1なら予約ページを開いて、日付を探して、フォームを埋める。2なら、返信を打つだけ。3ならどちらでも選べます。
問い合わせの返信で大事なのは、二人が次にやる作業を一つに絞ることだと思っています。問い合わせをした時点の二人は、まだ何軒かを並行して見ています。式場探しの途中で、仕事の合間にスマホで連絡している人が多いです。次の作業が重いほど、後回しにされます。後回しにされた返信は、ほかの式場の予約が先に入ることで、そのまま消えます。
リンクだけの返信が弱くなる場面
リンクだけの返信が悪いわけではありません。弱くなる場面があります。
予約画面でつまずく
二人の最初のつまずきは、リンクを開いたあとに起きます。ページが重い。カレンダーの空き枠が少なく、「満」ばかりが並んでいる。日付を選んだあとにフォームが長い。入力を始めたものの、途中で通知が来て閉じてしまった。こういうとき、二人は問い合わせフォームを一度入力しているので、同じ内容をもう一度書くことになります。
問い合わせフォームで名前と連絡先を書いたのに、予約ページでまた名前と連絡先を書かされる。この二重入力は、リンクだけの返信でいちばん起きやすい離脱の理由だと考えています。二人から見ると、「さっき書いたのに」という感覚です。
空き枠が少ない
見学できる枠が少ない時期は、リンク先のカレンダーに空きがほとんどありません。ブライダルフェアの繁忙期、土日の午前が埋まっている会場、人気の時間帯に予約が集中する会場がこれにあたります。
二人がリンクを開く。見たい土曜の午後は埋まっている。ほかの日を探すのが面倒になり、閉じる。ここで式場が「この日の、この時間なら空いています」と先に言っていたら、二人はそれを選ぶだけで済んだはずです。空きが少ないほど、式場のほうから空いている枠を指さしたほうが早く決まります。
二人の都合が見えない
リンクだけだと、二人がどの日を探して、どの日を諦めたのかが式場に残りません。予約が入らなかったとき、「土日は埋まっていたから離脱した」のか、「そもそも見学する気が薄れた」のかが分かりません。候補日を出して返事をもらう型なら、「その日は難しいです。来週末なら」という返事が来ます。この返事が、次の提案の材料になります。
候補日の提示が重くなる場面
では、候補日を毎回出すのが正解かというと、そうとも言えません。
空きの確認に時間がかかる
候補日を出すには、空きを確認する必要があります。予約システムと会場の実際の空きが連動していて、画面を見れば分かるなら一瞬です。連動していなくて、紙のカレンダーやスプレッドシートを見に行く、担当者に聞く、という運用だと、返信に何分もかかります。
さらに、候補日として出した枠が、返事を待つ間に別の予約で埋まる事故が起きます。二人が「では4日の11時で」と返してきたとき、すでに他の予約が入っていたら、謝って別の日を出し直すことになります。この出し直しは、リンクだけの返信では起きない種類の手戻りです。
返信が往復になる
候補日を出すと、二人からの返事を待ち、確認して、確定の連絡を返す、という往復が最低でも1回は発生します。メールだと、この往復に半日から1日かかることがあります。LINEなら数分から数時間です。連絡手段が往復に向いていないと、候補日の提示は、かえって予約までの時間を伸ばします。
営業時間外に返信が出せない
夜に問い合わせが入ったとき、候補日を決められる担当者がいない会場もあります。その場合は自動返信でリンクを送り、翌朝に候補日を送る、という二段構えが現実的です。
分かれ目になる3つの条件
ここまでを条件に整理します。
| 条件 | 候補日が向く | リンクだけで足りる |
|---|---|---|
| 予約画面の見え方 | スマホで重い・入力項目が多い | 軽く、入力済みの情報が引き継がれる |
| 見学できる枠の数 | 少ない・人気の時間帯が埋まりがち | 多く、どの週末も空きがある |
| 連絡手段 | LINEなど往復が速い | メールなど往復が遅い |
3つ目の条件は、少しややこしいので補足します。連絡手段がメールのように往復が遅いなら、候補日を1通で複数出すより、リンクを使って二人に直接押さえてもらうほうが、予約までの総時間は短くなります。LINEやSMSのように往復が速いなら、候補日で聞くほうが、二人にとって楽です。
3つの条件がすべて同じ側に揃うことは少ないので、ほとんどの会場は両方を並べる型になるはずです。そのときの注意は、候補日とリンクを同じ重さで並べないことです。候補日を先に大きく書き、リンクは「ほかの日はこちら」と一段下げて添えます。二人の目に最初に入るのは、返信を打つだけで済む選択肢であるべきです。
手間の差を、仮の数字で確かめる
「候補日を出すと担当者の手間が増える」という理由で、リンクだけに決めている会場もあります。この手間が実際にどれくらいの損になるのかを、仮の数字で確かめます。前提は次のとおりです。
- 月の問い合わせが100件ある
- 候補日を出すために、1通あたり3分の追加作業が出る
- 担当者の人件費を時給2,000円と置く
- 見学に来た二人の成約率は40%、1成約あたりの粗利は50万円と置く
追加の人件費は、100件×3分÷60×2,000円で、月に1万円です。一方で、候補日を出したことで見学の予約が月に1件増えたとします。1件×40%×50万円で、20万円の粗利です。
損益分岐を逆算すると、月に0.05件、つまり20か月に1件だけ予約が増えれば元が取れる計算になります。
もう少し重い運用も見ておきます。空き枠を担当者に聞きに行く運用で、1通に15分かかるとします。100件×15分÷60×2,000円で、月に5万円です。損益分岐は、月に0.25件、4か月に1件の予約増です。
つまり、手間は決め手になりません。月に数件の予約が動くかどうかを決めるのは、手間ではなく、二人が次の作業で迷うかどうかです。手間が心配で候補日を出せないという会場は、手間の計算を一度やってみると、意外と小さいことに気づくと思います。
ここで気をつけたいのは、この計算が「候補日を出すと予約が増える」という前提を置いていないことです。増えるかどうかは、会場ごとに違います。この計算が言えるのは、増える見込みがあるなら、手間は止める理由にならない、というところまでです。
自分の会場で確かめる方法
候補日が効くかどうかは、会場の予約データで確かめられます。やり方は単純で、期間を分けて型を変えるだけです。
- 初回返信を2週間ごとに切り替える。たとえば最初の2週間はリンクだけ、次の2週間は候補日とリンクを両方
- 問い合わせ件数に対する、見学予約の件数を数える。返信から予約までにかかった日数も記録しておく
- 同じ時期の週末の空き枠数も記録する。枠が極端に少ない週は、比較から外す
この方法には限界があります。2週間では件数が少なく、偶然のぶれが大きいです。月の問い合わせが50件に満たない会場だと、1件の差で結果が逆になります。そのときは、予約率の差を見るより、返信から予約までの日数や、二人から「その日は難しい」と返ってきた回数を見るほうが、傾向をつかみやすいです。
もう一つ、見落としやすいのが、問い合わせの入り口の違いです。公式サイトのフォームからの問い合わせと、インスタのDMからの問い合わせでは、二人の温度が違います。DMは気軽に聞いただけの人が混ざります。入り口別に分けて数えないと、型の差ではなく入り口の差を見てしまいます。
文面の置き方
最後に、両方を並べる型の文面の置き方を書いておきます。ポイントは3つです。
- 最初の2行で、お礼と、見学の候補日を書く。候補日は3つまで。4つ以上になると選べなくなる
- 3行目以降で、リンクを添える。「ほかの日をご希望でしたら、こちらから選べます」の一言だけ
- 返事の仕方を一つに決める。「番号でお返事ください」のように、打つ文字を最小にする
候補日は、平日と土日を混ぜるのもひとつの手です。二人の仕事が平日休みか土日休みか、問い合わせの時点では分からないからです。3つのうち1つだけ平日を入れておくと、土日が難しい二人が返信しやすくなります。
返信に添える情報は、見学の所要時間だけで十分です。「約90分です」と書いてあるだけで、二人は予定を組めます。料金やプランの説明を添えると、返信が長くなり、読まれなくなります。
まとめ
- 初回返信の型は、リンクだけ・候補日だけ・両方の3つ。違いは、二人が次にやる作業の重さ
- 分かれ目は、予約画面の見え方、見学枠の数、連絡手段の往復の速さの3つ
- リンクだけの返信は、予約画面の二重入力と、空き枠の少なさで弱くなる
- 候補日の提示は、空きの確認に時間がかかる運用と、メールのような往復の遅い手段で重くなる
- 手間は決め手にならない。仮の計算では、月に数件の予約が動けば元が取れる
- 迷ったら両方を並べ、候補日を先に大きく、リンクを一段下げて置く
- 2週間ごとの切り替えで確かめる。件数が少ないときは、予約率より返信から予約までの日数を見る
