式場のインスタのハッシュタグは、投稿ごとに二人が探す言葉を3つ選ぶ
式場のインスタの投稿を見ていると、キャプションの最後に、毎回まったく同じハッシュタグが十個ほど並んでいるアカウントをよく見ます。「#結婚式 #ウェディング #プレ花嫁 #ブライダルフェア #結婚式場 #会場名」という具合です。
運用の担当者にとっては、コピーして貼るだけなので楽です。ただ、式場を探している二人が検索したときに、その投稿が出てくるかどうかという目で見ると、この貼り方はあまり働いていないと僕は考えています。
この記事では、ハッシュタグを「二人が実際に打つ言葉」の3種類に分けて、投稿ごとに3つだけ選ぶやり方を整理します。先に断っておくと、この記事に出てくる数字は、説明のために僕が置いた仮のものです。どこかの会場の実績でも、業界の平均でもありません。自分のアカウントのインサイトに置き換えて読んでください。
定型タグが働きにくい理由
ハッシュタグは、投稿を「その言葉で探している人」に見つけてもらうための札です。札が役に立つのは、その言葉を打つ人が、こちらの見てほしい相手だったときだけです。
「#結婚式」や「#ウェディング」は、大きな言葉です。この言葉の投稿一覧には、ドレス、ヘアメイク、ゲストとして参加した人の写真、海外のウェディングの写真まで、あらゆる投稿が流れ込んできます。そこに式場の投稿が一枚混ざっても、並びの中で埋もれます。仮にその一覧を見た人がいても、見ているのは検討中の二人とは限りません。
逆に、「#会場名」だけのタグは、すでに会場名を知っている人しか打ちません。見学の候補にすでに入っている二人には届きますが、まだ候補に入っていない二人には届きません。
つまり、定型の十個には、次の二つの穴があります。
- 大きすぎる言葉は、探している二人が混ざる割合が低い
- 小さすぎる言葉は、まだ式場を知らない二人に届かない
この二つの間にある、「式場を探している二人が、実際に打つ言葉」を拾うのが、このやり方の中心です。
二人が打つ言葉を3種類に分ける
僕は、式場を探している二人が打つ言葉を、次の3種類に分けて考えるのがいいと思っています。
1. 地域と式場を組み合わせた言葉
「#地名+結婚式場」「#地名+チャペル」「#地名+ウェディング」のように、地域名がついた言葉です。式場選びは、まず通える範囲で探します。そのため、地域名がついた言葉は、探している二人の割合が高くなります。
使い方で注意するのは、地域の単位です。県名まで広げるのか、市や駅名まで絞るのかで、並ぶ投稿の数が変わります。県名だと広すぎて埋もれ、駅名だと投稿が少なすぎて検索する人がいない、ということが起きます。二人が普段口にする地域の呼び方を選びます。たとえば県庁所在地の市名や、商圏で通じる駅周辺の呼び方です。
2. 悩みや条件を表す言葉
「#少人数結婚式」「#家族婚」「#和装前撮り」「#ゲストの食事」のように、二人が式場に求める条件や、悩みの入口になる言葉です。式場を探し始めた二人は、「会場名」で探す前に、「少人数で挙げたい」「親族だけで食事会にしたい」というように、条件から入ることが多くあります。
この種類のタグを付けるときは、その投稿の中身と合っていることが大切です。家族婚の写真ではない投稿に「#家族婚」を付けても、見に来た二人が離れるだけです。投稿が答えていることと、タグの言葉を一致させます。
3. 時期や段階を表す言葉
「#プレ花嫁」「#結婚式準備」「#入籍しました」「#婚約中」のように、二人がいまどの段階にいるかを表す言葉です。婚約したばかりの二人が自分の段階を表すために付け、同じ段階の人が見に来る場になっています。
このタグは、見に来る二人の数が多い分、投稿の数も多く、並びが早く流れます。そのため、毎回付けるのではなく、段階に合った投稿にだけ付けるのがよいと思います。たとえば、見学の流れを紹介する投稿には「#プレ花嫁」、日取りの決め方の投稿には「#結婚式準備」というようにです。
投稿ごとに3つ選ぶ手順
ここからが、実際の手順です。投稿を作るたびに、次の順番で選びます。
- その投稿が、誰のどんな疑問に答えているかを一文で書く
- その疑問を持つ二人が、検索窓に打つ言葉を、上の3種類から1つずつ考える
- 3つに絞って付ける
たとえば、「見学は何時間かかるのか」に答えるリール動画の投稿なら、次のようになります。
- 地域:#(地名)結婚式場
- 悩み・条件:#結婚式場見学
- 段階:#プレ花嫁
3つに絞るのは、数が少ないほうが効くという根拠があるからではありません。理由は二つあります。一つは、選ぶ作業の中で「この投稿は誰に向けたものか」を考えることになるからです。十個を貼る作業では、その考えが入りません。もう一つは、あとで検証しやすくなるからです。何が効いたかを見るには、組み合わせの数が少ないほうが分かりやすいです。
会場名のタグはどう扱うか
会場名のタグは、毎回付けなくてもいいと僕は思っています。理由は、会場名のタグで探す人は、すでに会場を知っている人だからです。その人たちは、プロフィールから直接アカウントを見に来ます。
ただし、一つだけ使い道があります。卒花嫁が自分の投稿に付けた会場名のタグを、式場側が集めて見る使い方です。自社の会場名のタグを開くと、挙式を終えた二人や、見学に来た二人が、何を載せているかが一覧で見えます。そこに並ぶ写真は、これから見学に来る二人が見ている写真でもあります。式場側が付けるというより、「二人が付けたタグを読む」ために、会場名のタグを残しておくという使い方です。
効いたかどうかをどう見るか
ハッシュタグは、付けただけでは効いたのかどうか分かりません。インスタのインサイトには、投稿ごとに、どこから見られたかを示す項目があります。表示名は時期によって変わりますが、ハッシュタグ経由で見られた回数が出る投稿が多いはずです。
見るのは、次の二つの数字です。
- 投稿を見た人のうち、ハッシュタグ経由で見た人の割合
- ハッシュタグ経由で見た人が、プロフィールに移動した数
ここで、仮の数字で考えてみます。ある投稿が、2,000回見られたとします。そのうち、ハッシュタグ経由が100回、5%だったとします。同じ式場の別の投稿は、3つに絞って付けたところ、2,000回のうちハッシュタグ経由が300回、15%だったとします。この数字は、すべて想定です。
このとき、300回のほうが100回より多いので、「3つに絞ったほうが効いた」と言いたくなります。ただ、投稿の中身が違えば、見られ方も違います。投稿の中身が違う二つの数字を比べても、タグの違いは分かりません。
比べるなら、同じ型の投稿で比べます。たとえば、見学の流れを紹介するリールを四本続けて、二本は定型の十個、二本は3つに絞る、というように、投稿の種類を揃えます。四本では少ないので、はっきりした結論は出せません。それでも、「ハッシュタグ経由の割合が、どちらのほうが高い傾向にあるか」は見えます。
見学予約までつなげる見方
ハッシュタグ経由で見た人の数が増えても、見学予約につながらなければ、運用の目的は果たしていません。見学予約までつなげて見るために、次の二つを決めておきます。
一つは、プロフィールのリンクの飛ばし先です。インサイトでプロフィールへの移動が増えても、そのあとのリンクが会場の総合トップだと、二人はどこを見ればいいのか迷います。見学予約のページに直接つなぐと、移動の数と予約の数が、同じ流れの中で見られるようになります。
もう一つは、予約フォームに「どこで知ったか」を聞く一問を置くことです。選択肢に「インスタグラムで検索して」と「インスタグラムで広告を見て」を分けておくと、検索から来た二人の数を、自分のアカウントの数字として持てます。この一問があれば、ハッシュタグを変える前と後で、予約の数を比べられます。
フェア告知の投稿は、日付より条件の言葉を先に
ブライダルフェアの告知は、日付と特典を書いた画像を載せて、定型のタグを付けて終わりになりがちです。フェアの告知こそ、探している二人に届けたい投稿です。
この種類の投稿では、悩み・条件の言葉を、フェアの中身に寄せて選びます。たとえば、試食つきのフェアなら「#結婚式の試食」、少人数向けの見学会なら「#少人数結婚式」といった言葉です。日付そのものは、タグではなく画像とキャプションの冒頭に書きます。日付のタグを打って探す人は少ないからです。
そのうえで、地域のタグを1つ必ず入れます。フェアは来てもらう催しなので、通える範囲の二人に届かなければ意味が薄いためです。段階のタグは、フェアの案内文の読み手が「見学を始めたばかりの二人」なら付け、すでに複数の式場を回った二人向けの個別相談会なら外します。同じ式場の投稿でも、読んでほしい二人の段階が違えば、札も変わります。
運用で起こりがちな失敗
最後に、この運用でよく起きる失敗を三つ挙げます。
一つ目は、流行の言葉に引っ張られて、タグが投稿の中身から離れていくことです。流行のタグは見に来る人の数が多く、付けたくなります。ただ、その人たちは式場を探している二人ではないことが多く、見学予約には結びつきにくいです。
二つ目は、地域の言葉を、会場の所在地ではなく、広い範囲の名前にしてしまうことです。商圏の外の二人が見に来ても、見学には来られません。
三つ目は、タグを選ぶ作業を、担当者の感覚だけで終わらせることです。選んだ理由を一行、運用メモに残しておくと、担当が替わっても、どんな考えで付けたのかが引き継げます。
まとめ
- 定型の十個は、大きすぎる言葉と小さすぎる言葉が混ざり、式場を探している二人に届きにくい
- 二人が打つ言葉は、地域と式場、悩みや条件、時期や段階の3種類に分けられる
- 投稿ごとに「誰のどんな疑問に答えるか」を一文で書き、3種類から1つずつ、合計3つを選ぶ
- 会場名のタグは毎回付けなくてよい。二人が付けたタグを読むために残しておく
- 効果は、同じ型の投稿で、ハッシュタグ経由の割合とプロフィールへの移動数を比べて見る
- 見学予約までつなぐには、プロフィールのリンクを予約ページにし、予約フォームに「どこで知ったか」の一問を置く
ハッシュタグは、貼るものではなく、その投稿が誰に向けたものかを決めるための札だと僕は捉えています。
