式場のインスタ投稿は1行目に誰の悩みへの答えかを書く
式場のInstagramで、写真には力を入れているのに、キャプションは「こんにちは、〇〇です」「本日は挙式レポートをお届けします」で始まっている。僕がよく見る形です。
この記事の結論は一つです。キャプションの1行目には、誰のどんな悩みへの答えなのかを書く。 挨拶、会場名、投稿の種類の説明は、1行目から外します。理由は、1行目がフィードの上で読まれる唯一の場所だからです。続きを開いてもらえるかどうかは、そこで決まります。
出典のある調査の数字は、この記事では使いません。キャプションの1行目と見学予約の関係を、式場の経営者が自分の数字で確かめられるように、仕組みと試し方を整理します。計算に出てくる数字はすべて仮置きで、自社の数字に置き換えて読んでください。
1行目が担っている役割
フィードを流し読みしている人は、写真を見て、気になれば指を止めます。止まったあとに目に入るのが、キャプションの最初の部分です。長い文章は「続きを読む」の向こうに折りたたまれますから、最初の1行か2行が、そのまま投稿の看板になります。
ここで大事なのは、写真で止まった人が見たいのは「誰が投稿したか」ではないことです。式場のアカウントをフォローしている人は、すでに誰の投稿かを知っています。フォローしていない人も、アイコンと名前は写真の上に出ています。1行目で同じ情報を繰り返しても、読み手に新しい情報は渡りません。
1行目に置く価値があるのは、「この投稿は自分に関係があるか」を判断する材料です。たとえば次の2つを比べてください。
- 「こんにちは、〇〇ホールです。今日は先日の挙式をご紹介します」
- 「親族だけの会食で、30人の席が広すぎると感じていた二人の挙式です」
前者は、誰が読んでも同じ文です。後者は、人数の少ない式を考えている二人だけが「自分のことだ」と反応します。反応した人は続きを開きますし、保存もします。反応しなかった人は、そもそも見学予約をする見込みが薄い人です。1行目は、読み手を選ぶ場所だと考えたほうが、あとの数字が見やすくなります。
挨拶から始めると何が起きるか
挨拶で始めるのは、人としては自然です。ただ、フィードの上では、次のことが起きます。
1つ目は、続きを開く理由が無いことです。挨拶を読んだ人は、次に何が書いてあるか分かりません。分からないものを開く手間は、わざわざかけたくなりません。
2つ目は、投稿ごとの違いが消えることです。毎回同じ書き出しだと、アカウント全体が「同じ式場の、いつもの投稿」として流れていきます。保存や共有の対象になる投稿が、日常の投稿に埋もれます。
3つ目は、効果を測りにくくなることです。1行目が全投稿で同じなら、どの投稿の何が効いたのか、比べる手がかりが残りません。書き出しを変えない運用は、改善の機会を自分で減らしています。
挨拶を禁止したいわけではありません。挨拶は2行目以降に回すか、固定の自己紹介に任せれば足ります。1行目だけは、投稿ごとに違う、読み手を選ぶ一文にします。
「誰の、どんな悩みへの答えか」の書き方
1行目は、次の3つの部品で組み立てると書きやすくなります。
部品1:読み手の状況。 人数、時期、家族の事情、費用の不安など、二人がいま置かれている状況です。「30人の会食を考えている二人へ」「挙式まで半年を切っている二人へ」のように、名指しに近い形で書きます。
部品2:その人が抱えている悩み。 状況に紐づく具体的な迷いです。「席が広すぎる」「親の意見がまとまらない」「見積もりが想像より高い」のように、見学で実際に出てくる言葉に寄せます。接客の現場で聞く言い回しをそのまま使うのが、いちばん外れません。
部品3:投稿が出す答え。 この投稿を読めば何が分かるかを、1行目の後半か2行目の頭に書きます。「答えは、人数に合わせて席の置き方を変えたことです」のように、結論を隠しません。
3つを全部1行に入れる必要はありません。1行目に部品1と2、2行目の頭に部品3を置く形が、長さの面でも収まりやすいです。
避けたい書き方
- 会場名や式場名で始める:すでに投稿の上に出ている情報です
- 「〜をご紹介します」で始める:何を紹介するのかが後ろにあり、1行目が空になります
- 感動の形容で始める:「素敵な一日になりました」は、読み手が自分に関係あるかを判断する材料になりません
- 疑問形だけで終える:「こんなお悩みありませんか?」は、悩みの中身が書かれていないので、反応する人を選べません。悩みを具体的に書いたうえでの疑問形ならかまいません
二人の悩みを拾う場所
1行目に書く悩みは、想像で作ると外れます。式場の中には、悩みの言葉が最初から溜まっている場所が3つあります。
1つ目は、見学の記録です。担当者が見学のあとに残すメモに、二人が口にした迷いが書かれています。そのまま使うのではなく、複数の組に共通する言い回しを拾います。同じ言葉が何度も出てくる悩みは、投稿のテーマとして強いです。
2つ目は、問い合わせフォームの自由記入欄とDMです。二人が自分の言葉で書いた文章なので、検索や会話で使う言葉が見えます。
3つ目は、成約した二人に聞いた「決めた理由」です。選んだ理由の裏に、選ぶ前の迷いがあります。迷いの側を1行目に、理由の側を答えに置くと、見学前の二人に刺さる形になります。
ここで気をつけたいのは、個人が特定できる書き方をしないことです。特定の二人の事情をそのまま書くのではなく、複数の組に共通する悩みとして一般化します。実話のように見せて架空の事例を作ることも、避けます。
書き出しを変えると何が測れるか
1行目を変えたとき、効果は次の順に現れます。
- 続きを開く人が増える(キャプションの展開)
- 保存や共有が増える
- プロフィールへの移動が増える
- 見学予約のリンクを押す人が増える
投稿ごとの数字は、Instagramのインサイトで見られます。ただ、見学予約まで追えるかどうかは、予約ページの計測の仕方で変わります。プロフィールのリンクを投稿ごとに分けていなければ、どの投稿が予約につながったのかは分かりません。そのときは、見学予約フォームに「何を見て来ましたか」の選択肢を置き、投稿のテーマと対応づけて聞く方法があります。
ここで、数字を置いて計算してみます。以下はすべて仮置きで、実績ではありません。
仮に、ある式場が月に8本投稿しているとします。1本あたりの表示を平均1,000人、そのうちプロフィールに移動する人を2%、プロフィールから見学予約に進む人を5%と置きます。
- 月の表示:8本 × 1,000人 = 8,000人
- プロフィール移動:8,000人 × 2% = 160人
- 見学予約:160人 × 5% = 8組
1行目を変えて、プロフィール移動が2%から3%になったとします。見学予約への進み方が同じ5%なら、移動は240人、予約は12組です。表示の数も、写真も、投稿の本数も変えずに、予約が月に4組増える計算です。
もちろん、現実には3%に上がる保証はありません。上がらないかもしれませんし、移動が増えても、見学予約に進む人の割合は下がるかもしれません。1行目で読み手を選ぶと、反応する人は減って、反応した人の質は上がる、という動きが普通だからです。計算で見たいのは、移動の割合ではなく、最終的な見学予約の組数が増えるかどうかです。
3か月で試す手順
大きな投資は要りません。次の手順で、3か月だけ試します。
1か月目:現状を記録する。 直近の投稿の1行目を全部書き出し、「挨拶」「会場名」「紹介」「悩み」のどれで始まっているかを分類します。そのうえで、プロフィール移動と保存数を、投稿ごとに表にします。ここまでは、書き出しを変えません。
2か月目:半分だけ変える。 月8本なら、4本の1行目を「状況と悩み」で始めます。残り4本は、これまでどおりにします。同じ月に両方を出すことで、時期の違い(繁忙期か閑散期か)による差を混ぜにくくなります。
3か月目:結果を比べる。 変えた4本と変えなかった4本で、保存数、プロフィール移動、見学予約の組数を比べます。投稿数が少ないので、1本ずつの差を見ず、4本の合計で見ます。
やめる基準も、先に決めておきます。たとえば「変えた4本の合計で、見学予約が変えなかった4本を3か月続けて上回らなければ、元に戻す」のように、数字で書きます。基準を置かないと、「もう少し続ければ」が延々と続きます。
数が少ないことを前提にする
月に数組の見学予約で比べると、偶然のぶれが大きいです。1行目の差を、組数だけで判断するのは危険です。保存数やプロフィール移動のような手前の数字もあわせて見て、同じ向きに動いているかを確認します。向きがそろわないときは、結論を出さず、さらに1か月続けるほうが安全です。
1行目だけでは足りない場面
1行目を磨いても、効かない場面があります。
1つは、写真が目に留まらないときです。1行目を読んでもらう前に、写真で指を止めてもらう必要があります。写真が選ばれていないなら、1行目の前に、写真の型を見直します。
もう1つは、投稿から先の道が閉じているときです。プロフィールのリンクが予約ページに直通していなかったり、予約ページの空き枠が見えなかったりすれば、1行目で関心を持った二人が、そこで離れます。1行目の改善は、道が通っていることが前提です。
3つ目は、悩みが式場の強みと合っていないときです。たとえば、人数の少ない式の悩みを1行目に書いても、会場が100人規模の宴会場しか持っていなければ、見学に来た二人とのずれが生まれます。1行目で読み手を選ぶ以上、選んだ読み手に出せる答えが、実際に式場に無ければいけません。ここがずれると、見学予約は増えても、成約にはつながりません。
運用の細かい点
- 文字数:1行目は、スマートフォンの画面で改行されずに収まる長さを目安にします。長くなるなら、2文に分けて、1文目だけで意味が通るようにします
- 文体:式場のトーンに合わせます。ただ、二人に向けて話しかける形にして、「〜の二人へ」と呼びかけると、読み手が選ばれた感覚を持ちやすいです
- ハッシュタグ:1行目の工夫は、タグの工夫と別の話です。タグは二人が探す言葉で付け、1行目は二人が自分ごととして読む言葉で書きます
- 過去の投稿:古い投稿の1行目は、書き換えられます。保存数の多い過去投稿から順に直すと、新しい投稿を作るより早く効果を確かめられます
まとめ
- キャプションの1行目は、フィードの上で読まれる唯一の場所で、続きを開いてもらえるかがここで決まる
- 挨拶・会場名・「ご紹介します」で始めると、1行目が空になり、投稿ごとの違いも消える
- 1行目は「読み手の状況」「その人の悩み」の2つで組み、答えは2行目の頭に置く
- 悩みの言葉は、見学の記録・問い合わせの自由記入・成約者の「決めた理由」から拾う
- 見るべき数字は、移動の割合ではなく、最終的な見学予約の組数
- 月8本のうち4本だけ変え、3か月で合計を比べる。やめる基準を先に決めておく
- 1行目は、写真・予約までの道・式場の強みが整っていることが前提で、それが無いときは先にそちらを直す
