来館・成約

資料請求のあとのメールは、迷う順に3通で答えて見学につなげる

資料請求が入ると、式場は資料を送り、その数日後に電話かメールで様子をうかがう。ここまでは、多くの式場が同じことをしています。分かれるのは、その後です。見学の予約が入らないまま、何も送らなくなる式場もあれば、毎週のようにフェアの案内を送り続ける式場もあります。

僕は、このどちらにも見落としがあると考えています。何も送らなければ、資料を請求した二人は、他の式場の連絡に埋もれます。毎週フェアの案内を送れば、「売り込みの来る式場」として、読まれなくなります。

結論から言うと、資料請求のあとのメールは、二人が迷う順に3通で答えるのがいい、というのが僕の考えです。1通目は「資料を見て、何から確かめるか」、2通目は「総額はどう決まるか」、3通目は「見学の日の決め方」。売り込みではなく、二人の迷いに答える並びにします。

この記事では、仮の数字で費用と効果の大きさを見て、3通の中身と間隔、止めどき、守っておくべき送信のルールをまとめます。

先にお断りしておくと、この記事の件数や確率は、考え方を見るための想定です。式場の客層や資料の渡し方で、実際の数字は違います。自社の配信記録で同じ計算を実数にできます。その方法も最後に書きます。

毎週の案内が読まれなくなる理由

資料請求をした二人は、同じ時期に、数軒の式場へ請求していることが多いはずです。ここで言えるのは、その二人の受信箱には、各式場からのメールが並ぶ、ということだけです。

その並びの中で、毎週届く「今月のフェア情報」は、二人の迷いに答えていません。二人が知りたいのは、おおよそ次の順番だと僕は考えています。

  • この式場は、自分たちの人数と予算に合うのか
  • 総額は、最終的にいくらになるのか
  • 見学に行くとして、何を持っていき、何を聞けばいいのか

フェアの案内は、この三つのどれにも答えていません。「今月はこんな特典があります」と言われても、二人の迷いは動きません。読まれない案内が続くと、そのうち式場名ごと見られなくなります。

逆に、迷いに答えるメールは、読まれなくても害が小さい。件名を見て「あとで読もう」と思ってもらえれば、見学を考え始めたときに、探し出してもらえます。

仮の数字で、効果の大きさを見る

3通のメールを作る手間と、見学予約が増える効果を、仮の数字で比べます。以下はすべて想定です。

  • 資料請求は月に100組
  • 現状、資料請求から見学予約に進む二人は、20%(月20組)
  • 3通のメールで、見学予約に進む割合が3ポイント上がるとする(月23組になる)
  • 見学に来た二人の成約率は30%、成約1組の粗利は100万円とする
  • 3通のメールを作る手間は、10時間。時間あたり2,000円で見て、2万円

見学予約が月3組増えると、成約の期待値は 3組 × 30% = 0.9組、粗利で 0.9 × 100万円 = 90万円です。メールを作る費用は2万円なので、回収に必要な成約は 2万円 ÷ (30% × 100万円) = 約0.07組。資料請求100組のうち、見学予約の割合が0.07ポイント上がれば、元は取れます。

言い換えると、3ポイント上がるという想定がかなり外れても、費用は回収できる大きさです。配信を始めるのに、大きな準備は要りません。

ただし、この計算は「3通が見学予約を増やす」という想定の上に立っています。実際に増えるかは、自社の記録でしか分かりません。その確かめ方は、最後に書きます。

1通目:資料を見たあとに、何から確かめるか

資料が届いた翌日か翌々日に、1通目を送ります。中身は、資料の読み方の案内です。

  • 資料のなかで、見る順番を示す。「最初に人数と会場の広さ、次に料金の目安」と、二人が確かめる順番を書きます
  • 資料に載っていないことを、先に書く。たとえば、料金表は基本の金額で、実際の総額は人数や演出で変わること
  • 質問の受け口を、返信でもLINEでも、一つだけ示す

ここで売り込みは入れません。見学の誘いも、最後に一行、「見学は、迷いが出てからで大丈夫です」と添える程度にとどめます。この通は、式場が「急かさない」ことを伝える役目です。

2通目:総額はどう決まるか

1通目から3〜4日あけて、2通目を送ります。二人がいちばん知りたい総額の話です。

  • 資料の料金は、何が含まれていて、何が含まれていないのか
  • 人数が10人増えたとき、総額がどう動くのか。式場の価格表で計算できる範囲で、一例を書きます
  • 見積もりを出すには、何を教えてもらえばいいのか(人数、希望の時期、希望の料理の水準など)

ここで書く金額は、必ず自社の価格表から出した実数を使います。他の式場の相場や、出典の分からない平均値は書きません。一例を出すときは、「たとえば60名の場合」と前提を書いて、全員にそうなるわけではないと分かる書き方にします。

この通で、二人が「自分たちの場合はいくらか」を知りたくなる。それが、見学予約や見積もり依頼の入口になります。

3通目:見学の日の決め方

2通目からさらに4〜5日あけて、3通目を送ります。見学の予約を、取りやすくする通です。

  • 見学にかかる時間と、当日の流れ
  • 持ち物と、事前に二人で話しておくと役立つこと(人数の見込み、譲れない条件を一つ)
  • 予約の取り方と、空いている枠の見せ方

このとき、日程の候補を二つか三つ、具体的に書くと、返事が来やすくなります。「ご都合のよい日をお知らせください」では、二人が自分で日付を考える手間が残ります。直近の空き枠を、メールを書く時点の実際のものから拾って載せます。

売り込みの文言は要りません。「特典があるので急いでください」といった期限で追う書き方は、使いません。

件名と書き出しで、開いてもらう

3通とも、件名は二人の迷いをそのまま書きます。「【ご案内】ブライダルフェアのお知らせ」ではなく、「総額は、人数でどう変わるか」「資料のどこから見ればいいか」のように、読めば中身が分かる件名にします。式場名は件名の頭ではなく、送信者名の欄で伝わるので、件名には入れなくても構いません。

書き出しは、前の通の続きから入ります。「先日お送りした資料は、ご覧いただけましたか」ではなく、「資料の料金表を見て、総額が分からないと感じた方が多いので、その決まり方を書きます」のように、読む理由を一文で示します。ただし「多いので」と書くなら、自社の問い合わせの実績で言えることだけにします。言えないなら、「料金表だけでは総額が分かりにくいので」と、仕組みの説明にとどめます。

本文は、スマホで一画面に収まる長さを目安にします。長い説明が要る話は、公式サイトのページに置き、メールからはそのページへ案内します。1通に一つの話だけを書くと、読み終えたあとに、二人が次にすることも一つに絞れます。

請求の経路が違えば、1通目を変える

資料請求は、公式サイトのフォームから来る場合と、結婚情報サイトの請求から来る場合とで、二人の状態が違います。サイト経由の二人は、複数の式場へまとめて請求していることが多く、式場の名前をまだ覚えていないかもしれません。その場合の1通目は、冒頭で「どこの式場から届いたメールか」が分かるようにし、会場の写真を一枚添えます。公式サイトのフォームから来た二人は、すでに式場を絞り込んでいる可能性があります。そのときは、1通目から総額の話に入ってもかまいません。

どちらの経路かは、請求の記録にある流入元で分かります。経路ごとに文面を変えるのが手間なら、まず1通目の冒頭の一段落だけ差し替える運用で十分です。

3通で止める。そのあとは、変化があったときだけ

3通を送って反応がなければ、そこで止めます。理由は、反応のない二人に重ねても、読まれる見込みが上がらないからです。1通目から3通目までは、二人の迷いに順に答えているので、その範囲で必要なことは伝え終わっています。

止めたあとに再び連絡してよいのは、二人の側の条件が変わったときです。たとえば、二人が公式サイトの料金ページを見た、見学予約のページに来た、といった動きがあったときです。

この判断のために、メールの配信ツールが、リンクのクリックを記録できるかを確かめます。記録できないなら、クリックを数えようとせず、3通で止める運用だけを守ります。

送信のルールは、先に確認する

資料請求の入口で、メールを受け取ることに同意を得ているかを、先に確かめます。広告や宣伝にあたるメールを送るときは、特定電子メール法で、受信者の同意や、配信停止の方法の表示、送信者名の表示などが求められます。資料請求のフォームに、「資料と関連するご案内のメールを送ります」と書いてあるかどうか。書いていなければ、フォームの文言から直します。

細かい要件は、法令の本文か、専門家に確かめてください。この記事では、「確かめる項目がある」ということまでにとどめます。

実務では、3通とも、次のことを入れておくと安全です。

  • 送信者の名前(式場名と担当者名)
  • 配信を止める方法(本文の下に、一行のリンク)
  • 問い合わせ先の連絡手段

自社の記録で確かめる

最後に、自社の数字で確かめる方法です。

  1. 3通を送った期間の資料請求者と、送らなかった期間(またはそれ以前)の資料請求者を、見学予約に進んだ割合で比べる
  2. 3通のうち、どの通の後に予約が入ったかを数える。予約フォームの流入元か、予約に使ったリンクで区別できる
  3. 配信を止めた人の数を見る。急に増えたら、中身か間隔に問題があります

件数が少ないうちは、差を言い切らないでください。月に20〜30組の資料請求では、1組の動きで割合が大きく変わります。数か月分をまとめて見るのがいいです。

差が小さい、または見えないなら、3通の中身を見直します。特に2通目の総額の話が、二人の迷いに答えているかを確かめます。

まとめ

  • 毎週のフェア案内は、二人の迷いに答えていないので、読まれなくなる。何も送らない式場も、他の式場に埋もれる
  • 資料請求のあとは、迷う順に3通で答える。1通目は資料の読み方、2通目は総額の決まり方、3通目は見学の日の決め方
  • 仮の数字(月100組・3ポイント上昇・成約率30%・粗利100万円)では、作成の手間2万円に対し、見学予約が月3組増えれば粗利で約90万円の期待値。想定が大きく外れても回収できる大きさ
  • 金額は自社の価格表の実数だけを使い、一例を出すときは前提を書く。期限で追う書き方は使わない
  • 3通で反応がなければ止める。再び連絡するのは、二人の側の条件が変わったときだけ
  • 宣伝にあたるメールは、同意の取り方、送信者名、配信停止の方法を先に確かめる
  • 自社の配信前後で見学予約に進んだ割合を比べる。件数が少ないうちは差を言い切らない