来館・成約

式場の折り返し電話は、つながる時間帯を二人に選んでもらう

問い合わせや資料請求が入ったあと、式場から二人に電話をかけて、見学の日程まで話を進める。多くの式場がやっている段取りです。そして、その電話がつながらないことも、多くの式場が経験しています。

つながらないとき、現場でまず起きるのは「もう一度かける」です。夕方にかけて出なかったら、翌日の午後にまたかける。それでも出なければ、数日おいてもう一度。回数を重ねれば、いつかはつながるはずだと考えるからです。

ただ、僕はここに一つの見落としがあると考えています。かけ直しの回数を増やしても、かける時間帯が同じなら、つながりやすさはあまり変わらないという点です。この記事では、仮の数字を置いた試算でそれを確かめ、折り返し電話の時間帯を二人に選んでもらう段取りと、選んでもらえなかったときの決め方をまとめます。

先にお断りしておくと、この記事に出てくる確率や件数はすべて、考え方を見るための想定です。実際のつながりやすさは、式場の客層や地域で違います。自社の発信履歴を数えれば、この記事と同じ形の計算を実数でできます。その方法も後半に書きます。

つながらない原因は、回数ではなく時間帯にある

式場に問い合わせてくる二人の多くは、日中は仕事をしています。ここで言いたいのは「平日の昼は出られない人が多い」という、ごく当たり前のことです。

その二人に、式場が平日の13時、15時、17時と電話をかけたとします。時刻は違っても、「仕事中」という状況は同じです。3回かけても、出られない理由が3回とも同じなら、3回目につながる確率は1回目とほとんど変わりません。

一方で、同じ3回でも、平日の昼、平日の夜、休日の昼に1回ずつかけたらどうでしょうか。出られない理由が毎回違うので、どれかでつながる可能性が上がります。

つまり、折り返し電話の成否を左右しているのは、かけた回数より、かけた時間帯が二人の生活と重なったかどうかです。

もう一つ、見落とされやすい点があります。知らない番号からの着信に出ない人が増えている、という現実です。式場の代表番号やプランナーの番号は、二人の携帯には登録されていません。そのため、出られる時間帯であっても、出てもらえるとは限りません。時間帯の問題に加えて、「誰からの電話か分かっているか」も効いてきます。この点は後半の段取りで扱います。

仮の数字で、回数と時間帯の差を見る

どのくらい差が出うるのかを、モデルで見てみます。以下はすべて想定です。

  • 二人が電話に出られる確率は、時間帯で次のように違うとする
    • 平日の日中(9〜18時):15%
    • 平日の夜(18〜21時):50%
    • 休日の日中:40%
  • 各回の電話は、前の回の結果とは関係なく、この確率で出てもらえるとする

この条件で、「少なくとも1回はつながる確率」を計算します。1回もつながらない確率を1から引く形です。

かけ方 少なくとも1回つながる確率
平日の日中に2回 約28%
平日の日中に3回 約39%
平日の日中・平日の夜・休日の日中に1回ずつ(計3回) 約75%
平日の夜に2回 75%
平日の夜に1回だけ 50%

見てほしいのは次の二点です。

  1. 平日の日中に2回から3回に増やしても、つながる確率は約28%から約39%に、11ポイント上がるだけです。回数を1.5倍にしても、効果は小さいままです
  2. 平日の夜に1回かけるだけで、日中に3回かけた場合より高い確率(50%対約39%)になります

この数字は想定ですから、「夜は50%」と覚える必要はありません。覚えてほしいのは、確率が低い時間帯への電話は、何回重ねても、確率が高い時間帯への1回に届かないことがあるという形です。

もちろん、現実の二人は「出られる時間」が毎回独立ではありません。毎日18時まで会議が続く人は、17時台に何度かけても同じです。この点で、上の試算は日中の重ね打ちにむしろ甘い数字になっています。実際には、同じ時間帯に重ねるほど、独立の場合より成果は伸びにくくなります。

聞くのがいちばん早い:予約フォームに折り返し時間の欄を置く

時間帯の当たりを外さない一番確実な方法は、二人に聞くことです。

問い合わせフォームや資料請求フォームに、次のような欄を置きます。

  • 折り返しのご希望:電話でも、メールでも、LINEでも
  • 電話の場合、つながりやすい時間帯:平日の昼/平日の夜/土日の昼/どれでも

こうする利点は三つあります。

一つ目は、時間帯の当たりが取れること。 上の試算で見たとおり、時間帯が合うかどうかで、つながる確率の水準そのものが変わります。

二つ目は、「電話が嫌な人」を先に見つけられること。 電話が苦手な二人にかけ続けても、つながらないうえに印象を悪くします。「メールで」「LINEで」という希望が書かれていれば、最初からそちらで返せます。電話しか選べないフォームは、電話が苦手な二人にとっては、問い合わせの段階で一つ壁になっている可能性があります。

三つ目は、電話をかける理由が二人にも分かること。 「折り返しをご希望の時間帯に差し上げます」と、確認メールに一文あれば、二人はその時間に電話が来ることを知っています。知らない番号でも、出る理由ができます。

注意したいのは、欄を増やすと入力の負担が増え、フォームの完了率が下がりうることです。ここは必須にせず、選択式の1問にとどめるのが無難です。見学予約フォームの項目数については、別の記事で扱いました(「式場の見学予約フォームは何項目がよいか」)。

聞けなかったとき:時間帯をずらして3回で止める

資料請求のように、フォームに時間帯の欄を置けない入口もあります。媒体経由で届く問い合わせは、媒体側のフォームの形が決まっていて、自社で項目を足せないことも多いはずです。

その場合は、時間帯を聞けないまま、かける順番を決めます。僕が考える基本形は、次のとおりです。

  1. 1回目:問い合わせを受けた当日か翌営業日の、平日の夕方から夜。式場の営業時間内でできる限り遅い時間(たとえば18〜19時台)にします。問い合わせ直後は二人の関心が高く、出てもらえる可能性が高い時期でもあります
  2. 2回目:1回目と違う曜日区分で。1回目が平日なら、2回目は休日の日中にします。式場の営業日が土日にもある式場は、そのまま使えます
  3. 3回目:1回目・2回目と違う時間帯で。たとえば平日の昼休み(12時台)です
  4. 4回目はかけない。 代わりにメールかLINEで、折り返しの時間帯を二人に選んでもらう連絡を送ります

3回で止める理由は、二つあります。

一つは、すでに見たとおり、時間帯を変えた3回で、つながる見込みの大半を使い切るからです。4回目以降は、同じ時間帯のどれかを繰り返すことになりやすく、効果が薄くなります。

もう一つは、かけすぎが式場の印象を悪くするからです。資料請求後の電話フォローをどこで止めるかは、別の記事で扱いました(「資料請求後の電話フォローを止める線は、費用でなく嫌がられる数」)。着信履歴に同じ式場の番号が並ぶと、二人は「しつこい」と受け取るかもしれません。3回という数字そのものに根拠があるわけではなく、現場の感覚でずらすのは構いません。大事なのは、回数に上限を決めておくことと、毎回、時間帯を変えることの二つです。

つながらなかった電話のあとに送る、一通のメッセージ

3回目が不在着信に終わったら、すぐにメールかLINEで連絡を入れます。ここで書くことを決めておくと、プランナーごとのばらつきが減ります。

  • 誰からの連絡か(式場名と担当者名)
  • 何の件で電話したか(「ご請求いただいた資料の件で」など、二人が覚えている言葉で)
  • 電話以外の返し方があること(「このままメールでお返事いただいても大丈夫です」)
  • 電話を希望するなら、つながりやすい時間帯を返信してもらえば、その時間にかけること

ここで効くのは、二人が一言で返せる形にしておくことです。「平日夜と土日の昼なら、どちらがよいですか」のように選ぶだけにすれば、返信の手間が小さくなります。自由記述で聞くと、返事が来る前に二人の熱が冷めてしまいます。

反対に、書かないほうがよいのは、不在だったことを責める言い方や、返信の期限を切る言い方です。「何度かお電話しましたが」のような一文は、事実でも、二人には圧に聞こえます。電話をかけた側が事実を書いているだけでも、受け取る側の印象は別です。

自社の数字で確かめる:発信履歴を時間帯で数える

この記事の数字は想定ですが、式場の記録には、本当のつながりやすさを知る材料がすでにあります。電話の発信履歴と、その結果(つながった/不在)です。

集計の手順は単純です。

  1. 直近3か月ほどの折り返し電話について、発信した日時と、つながったかどうかを一覧にする
  2. 時間帯を「平日の日中」「平日の夜」「休日の日中」に分ける
  3. 時間帯ごとに、つながった件数を発信件数で割る

これで出た3つの数字が、上の試算の15%、50%、40%に当たる、自社の実際の値です。

読むときの注意が二つあります。

  • 件数が少ないうちは、差を言い切らない。 夜の発信が10件しかないなら、その中の1件の違いで割合は10ポイント動きます。傾向だけを見るつもりで、数か月分を溜めてから判断します
  • 「つながった」は、見学の予約に進んだこととは別。 つながったあとに断られることもあります。可能なら、「つながった」「見学予約に進んだ」の2段で数えます。見学予約につながるかどうかは、電話の時間帯よりも、電話の中身で決まる部分が大きいからです

時間帯の差が実際に大きいと分かったら、電話当番のシフトを動かすかどうかを考えます。平日の夜の電話を担当者が受け持つなら、その分の勤務時間をどこかで減らす必要があります。折り返しの電話を営業時間の外に出すなら、その費用と、つながる確率の上がり幅を見比べて決めます。

「誰からの電話か」を先に知らせる

最後に、時間帯と並ぶもう一つの要因、「知らない番号」の問題です。

出られる時間帯でも、画面に表示されるのが見知らぬ番号だけなら、出ない人が少なくありません。二人側から見れば、営業電話かもしれないし、間違いかもしれません。

式場側でできる工夫は、次の三つです。

  • 問い合わせ直後の自動返信メールに、電話番号を書いておく。 「折り返しのお電話は、この番号からかけます」と書いておけば、二人は着信を見て、あの式場だと分かります
  • 電話をかける前に、一通メッセージを送る。 「これから30分以内にお電話します」とあれば、出る理由が生まれます。ただしこれは、フォームで希望の時間帯を聞けていない場合の補助です
  • 留守番電話に残す言葉を決める。 式場名、担当者名、用件、折り返し先の番号を、短く。長い録音は最後まで聞かれません

これらは、どれも費用がほとんどかかりません。電話の回数を増やすより先に、手元で変えられる部分です。

まとめ

  • 折り返し電話がつながらないとき、かけ直す回数を増やしても、時間帯が同じなら効果は小さい。仮の数字では、平日の日中に2回から3回へ増やしても、つながる確率は約28%から約39%にしか上がらなかった
  • 確率の高い時間帯への1回が、低い時間帯への重ね打ちを上回ることがある。仮の試算では、平日の夜1回(50%)が日中3回(約39%)より高かった
  • いちばん確実なのは、フォームで折り返しの手段と時間帯を二人に選んでもらうこと。ただし必須にせず、選択式の1問にとどめる
  • 聞けない入口では、時間帯と曜日区分を変えて3回で止め、4回目の代わりに、選ぶだけで返せるメッセージを送る
  • 自社の発信履歴を時間帯ごとに数えれば、実際の差が分かる。件数が少ないうちは差を言い切らない
  • 知らない番号が出ない原因になる。自動返信メールで番号を知らせ、電話の前に一通送り、留守電の言葉を決めておく