ゲストのお見送りは、グループ数と1組あたりの秒数で時間が決まる
披露宴の最後、新郎新婦が出口に立ってゲストを一人ずつ見送る場面があります。打合せでは「お見送りはやりたい」の一言で決まり、時間の話はほとんど出ません。
ただ、このお見送りは、人数と1組あたりの秒数をかけ算すれば、何分かかるかがほぼ分かります。そして、その時間は進行表のどこかから出さないといけません。今日はこの計算と、お見送りの型を選ぶ条件の話です。
この記事の数字は、すべて僕が置いた仮のものです。実際の式場の統計や調査ではありません。自分の式場の数字に置き換えて使ってください。
お見送りの時間は「人数」ではなく「グループ数」で決まる
ゲストが80名いるとき、出口の列に80人が一人ずつ並ぶわけではありません。夫婦で来る人、友人同士で来る人、家族で来る人がいて、二人の前に立つのは「グループ」です。
仮に、80名が平均2人のグループで動くとします。出口で二人の前に立つのは40グループです。1グループあたり、ひとことの会話と、プチギフトを渡す時間、写真を1枚撮る時間がかかる。これを30秒とすると、40グループで1,200秒、つまり20分です。
計算は単純です。
- 所要時間 = グループ数 × 1グループあたりの秒数
この式で、人数別・秒数別に並べます。平均2人のグループで動く前提です。
| ゲスト数 | グループ数 | 15秒 | 30秒 | 60秒 |
|---|---|---|---|---|
| 40名 | 20 | 5分 | 10分 | 20分 |
| 60名 | 30 | 7.5分 | 15分 | 30分 |
| 80名 | 40 | 10分 | 20分 | 40分 |
| 100名 | 50 | 12.5分 | 25分 | 50分 |
60秒かけると、80名で40分です。披露宴の最後の40分を、出口の列が使うことになります。15秒なら10分で済みますが、15秒だと「ありがとうございました」の一言と握手で終わります。写真を撮る余裕はありません。
つまり、「お見送りをやるか」の前に、「1グループに何秒かけるか」を決めないと、時間が見えません。
この時間は、進行表のどこから出ているのか
披露宴の持ち時間が決まっている式場では、お見送りの時間は、どこかの時間を削って作ります。削られる先は、次のどれかになりがちです。
- 歓談の時間
- お色直しの中座の時間
- 余興やスピーチの時間
- 最後の新郎新婦の挨拶のあとの余韻
よくあるのは、お見送りの時間を最初に確保せず、進行が少しずつ押して、最後のお見送りの時間が削られる形です。そうすると、お見送りが「やる予定だったが、時間が足りず短縮」になります。短縮されたお見送りは、二人にとっていちばん印象に残りやすい場面が、いちばん雑になる結果です。
先に時間を決めておくほうが、現場は楽です。例えば80名で、1グループ20秒を目標にするなら、約13分です。この13分を進行表の最初に置いて、残りで他の項目を組む。順番を逆にするだけで、短縮は起きにくくなります。
型は3つに分かれる
お見送りには、大きく3つの型があります。
型1:二人が出口に立ち、一組ずつ見送る
いちばん定番の型です。二人の前に列ができて、ひとことずつ話し、プチギフトを渡す。上の計算式がそのまま当てはまります。
向いているのは、ゲストが60名以下で、親族や友人との会話が多くなる披露宴です。向かないのは、80名を超えて、かつ後の枠が詰まっている日です。
型2:二人が各卓を回って見送る
宴が終わる前に、二人が各卓を回って最後のひとことを伝え、そのまま退場する型です。出口に列を作らなくてよいぶん、ゲストが一斉に動かず、出口の混雑も起きません。
時間は、卓の数 × 1卓あたりの秒数で決まります。10卓で1卓60秒なら10分です。グループ数ではなく卓数で数えるので、人数が増えても卓の数が増えにくい円卓の式場では、時間が読みやすくなります。
向かないのは、卓ごとの会話が弾みすぎて、予定が読めなくなるときです。1卓の秒数に上限を置く、スタッフが目安の時間を知らせる、といった運用が必要です。
型3:二人は退場し、出口には立たない
ゲストへの見送りは、会場の外のスペースで、プチギフトを渡して終わる。二人は別室で待機する型です。時間は最も短くなりますが、二人とゲストが顔を合わせる最後の機会が、披露宴の中のスピーチや写真になります。
向いているのは、日程が詰まっていて、次の組の転換時間が最優先のときです。向かないのは、遠方から来るゲストが多く、「最後にひとこと」を二人が望むケースです。
型を選ぶ条件は、人数と後ろの予定の2つ
3つの型を選ぶのに、迷う必要はありません。条件は2つです。
- ゲストが何グループか(または何卓か)
- 後ろの予定がどれだけ詰まっているか
この2つを見て、次のように決めます。
- 60名以下で、後ろに余裕がある → 型1
- 60名を超えるが、卓が10以内 → 型2
- 後ろの転換が詰まっている、または式場の運営上どうしても短くしたい → 型3
ここで大事なのは、これを二人に「無理です」と断る話にしないことです。型2や型3は、型1より劣るわけではありません。ゲストの人数と進行の都合で、型を選ぶ。選ぶ理由が見えれば、二人も納得しやすくなります。
打合せでの聞き方を変える
打合せで二人に「お見送りはしますか」と聞くと、答えはほぼ「したい」になります。聞き方を変えたほうがいい。
例えばこうです。
- 「お見送りは、1組あたり何秒くらいを想定されていますか」
- 「80名の場合、1組30秒で20分かかります。この20分は、歓談の時間か、余興の時間のどちらかから出す形になります。どちらがよいですか」
- 「各卓を回る形なら、10分で終わります。二人が回る形と、出口に立つ形では、どちらが近いですか」
数字を出すと、二人も考えやすくなります。「やりたい」で終わらず、「どの時間を使ってやるか」まで一緒に決める。これで、当日の短縮を防げます。
当日の運用で、時間を守る3つの工夫
型が決まっても、当日の進行で時間は伸びます。守るための運用を、3つ挙げます。
1. 開始時刻を逆算して決める
お見送りの終わりの時刻から、必要な時間を引いて、お見送りの開始時刻を決めます。たとえば、会場を空ける時刻が15時30分で、お見送りに20分かかるなら、15時10分には二人が出口に立っている必要があります。この時刻を、進行表の上でも、スタッフの共有でも、目に見える場所に書きます。
2. 列の先頭と最後に、スタッフを置く
列の先頭にスタッフがいると、ゲストが二人に近づきすぎず、順番も崩れません。列の最後のスタッフは、列が何グループ残っているかを数えて、進行担当に伝えます。残り10グループで残り時間が3分なら、この場で秒数を落とす判断ができます。
3. 写真は、1グループ1枚と決めておく
お見送りでは、ほぼ全員が二人と写真を撮りたがります。撮影を許すと、1グループの時間は30秒を簡単に超えます。「写真は1グループ1枚」「撮影はカメラマンがまとめて」といったルールを先に決めておくと、秒数が安定します。
ルールが決まっていないと、前のグループが長くなり、後ろのグループが短くなる。ゲストの不公平感にもつながります。
見送りの秒数を縮めたいときに、削ってはいけないもの
時間が足りないとき、真っ先に削られるのは「ひとこと」の会話です。握手とプチギフトだけが残る。けれど、ゲストの記憶に残るのは、二人から名前を呼ばれてひとこと言われた数秒のほうです。
削るなら、写真と、プチギフトを渡す動作のほうです。写真は1グループ1枚にまとめるか、カメラマンが列の横から撮る形にする。プチギフトは、二人が渡さずに、列の途中でスタッフが先に渡しておく。こうすると、二人の前に立つ秒数のうち、会話に使える部分は残せます。
たとえば30秒のうち、写真に10秒、ギフトの受け渡しに8秒かかっているなら、会話は12秒です。写真とギフトを前後に逃がせば、同じ30秒でも会話に20秒近く使えます。秒数を変えずに、中身の配分を変える。これも、型を替える前に試せる手です。
出口の列が詰まるときの例
仮に、60名の披露宴を、型1で20秒の想定で組んだとします。グループは30、所要時間は10分です。
実際の当日、前半のグループで1組あたり45秒かかったとします。15グループが前半で、約11分かかる。残りの15グループを予定どおり20秒で進めても5分かかります。合計で16分。想定の10分より6分延びます。
この6分を、後ろの予定が吸収できるかを、事前に見ておく必要があります。会場の転換に余裕が6分あれば問題ありません。ないなら、前半の秒数を守る運用か、型を変えるかのどちらかです。
つまり、お見送りの時間は、「想定の時間」ではなく、「延びたときに何分まで吸収できるか」で決めておくと安全です。
式場側が持っておくといい数字
お見送りについて、式場側が自社の数字として持っておくと便利な項目があります。
- 過去の披露宴で、お見送りにかかった実時間(開始から最後のゲストまで)
- その披露宴のゲスト数とグループ数
- 予定より延びた回数と、その理由
実績を10組分も集めれば、「80名のとき平均で何分かかるか」が見えます。自社の平均が分かると、打合せで「80名の場合、だいたい22分です」と数字で答えられます。仮の計算ではなく、自社の実績で提案できるようになります。
集計は難しくありません。進行担当がお見送りの開始と終了の時刻をメモして、月に一度まとめるだけです。
まとめ
- お見送りの所要時間は、グループ数 × 1グループあたりの秒数でほぼ決まる。80名(40グループ)で30秒なら20分
- 時間を先に確保しないと、進行が押したときに最後のお見送りから削られる。進行表の最初にお見送りの時間を置く
- 型は3つ。出口で一組ずつ(型1)、各卓を回る(型2)、二人は出口に立たない(型3)
- 型を選ぶ条件は、ゲストのグループ数(卓数)と、後ろの予定の詰まり具合の2つ
- 打合せでは「したいか」ではなく、「1組何秒で、どの時間から出すか」まで聞く
- 当日は、開始時刻の逆算、列の先頭と最後のスタッフ、写真は1グループ1枚の3つで時間を守る
- 自社のお見送りの実時間を10組分記録すると、仮の計算を自社の数字に置き換えられる
