新郎新婦のリアル

招待リストは「確定・たぶん・親が決める」の3つに分けて持ち込む。60人の見積もりが契約後に66人になると、300万円は315万円になる

契約した日の見積もりは60人前提だったのに、招待状を出す段階では66人になっている。ブライダルの現場では珍しくない動きです。

増えた6人は、多くの場合、二人が急に友人を足したわけではありません。契約の時点で「まだ決まっていなかった人」が、あとから確定しただけです。親が呼びたい親戚、職場の上司、父親の仕事関係、母親の古い友人。二人のリストには最初から載っていなかった人たちです。

この記事では、招待リストを「確定」「たぶん」「親が決める」の3つの枠に分けて持ち込むと、契約後の人数の動きが読みやすくなる、という話をします。数字の出典は用意していません。人数の動きと金額の関係は、仮の式場を置いた計算で見ます。仮の数字は本文でそのつど前提を書くので、実際の会場の数字とは別物として読んでください。

契約後に人数が動くのは、リストが一本だから

見学の段階で二人が持っているリストは、たいてい一本です。「とりあえず60人くらい」という数字が頭にあって、そこから式場の見積もりをもらう。

この一本のリストには、性質の違う3種類の人が混ざっています。

  • 二人が呼ぶと決めている人。友人、きょうだい、祖父母、直属の上司など
  • 二人は呼びたいが、相手の都合や関係の濃さで迷っている人。昔の友人、会社の別部署の人、いとこなど
  • 二人が決められない人。親が呼びたいと考える親戚、親の仕事関係、親の友人

3つ目は、二人の意思では決まりません。親に聞かないと分からないし、親も聞かれてすぐには決められないことが多いです。契約の時点で「60人」と言った二人は、1つ目と2つ目の合計を言っていて、3つ目をまだ数えていない場合があります。

人数が契約後に動く多くのケースは、この数え忘れで説明できます。リストが甘かったのではなく、リストが一本で、3つ目の枠の存在がどこにも書かれていなかったのです。

仮の式場で、人数が動くと金額はどう動くか

人数が増えると見積もりがいくら増えるのかを、仮の式場で計算してみます。次の前提を置きます。実在の会場の数字ではありません。

  • 披露宴の料理、飲物、引出物など、人数に比例する費用は1人あたり2.5万円(売価)
  • 人数に関係なく決まる費用(会場費、装花、衣装、写真など)は150万円
  • 見積もり人数は60人

総額は 150万円 + 60人 × 2.5万円 = 300万円です。

契約後に6人増えて66人になると、総額は 150万円 + 66人 × 2.5万円 = 315万円。増えるのは15万円、見積もり総額の5%です。

1組だけ見れば、15万円の増額は二人にとって大きな額ですが、式場にとっては珍しくない増え方です。問題は、この増額が「想定外」として二人に伝わることです。二人は300万円で契約したつもりでいて、あとから15万円足りないと知らされる。この食い違いが、契約後の不信感や、親との揉めごとの種になります。

式場の側から見ても、同じ動きが年間の数字に出ます。年120組の仮の式場で、半数の60組が平均5人増えるとします。60組 × 5人 × 2.5万円 = 750万円です。人数の増加は式場にとって増収ですが、直前になるほど席や料理の手配が詰まります。さらに「最初の見積もりより高い」という印象が残れば、紹介や口コミに響きます。

増える場合だけではありません。親が呼ぶと言っていた人が、直前になって来られなくなる。二人が悩んで入れていた人を外す。人数が減る方向の動きも、同じ構造で起きます。料理の最低保証人数や、キャンセルの扱いに関わるので、式場にとっては増える場合と同じくらい読みにくい動きです。

3つの枠に分けて持ち込む

そこで、二人が見学に行く前に、リストを3つの枠に分けておきます。名前をつけると次のようになります。

確定枠:二人が呼ぶと決めた人

二人の側で意思が固まっている人です。ここは人数を言い切れます。親族でも、二人が「この人は呼ぶ」と決めた人はここに入ります。

確定枠のコツは、「呼ぶ人」だけを入れることです。「呼ぶかもしれない人」は入れません。入れてしまうと、確定枠の人数が契約後に崩れます。

たぶん枠:二人は呼びたいが迷っている人

呼びたい気持ちはあるが、相手の都合や関係の濃さで決めきれない人です。遠方の友人、久しぶりに会う友人、職場の別部署の人が入ります。

たぶん枠は、人数ではなく「何人くらい動きそうか」の幅で持ちます。たとえば「3人から8人」のように幅を決めておく。幅を決めることで、見積もりを比べるときに、その幅の両端で金額を出してもらえます。

親が決める枠:親に聞かないと決まらない人

二人の意思では決まらない人です。ここを空欄にしたまま契約すると、のちに人数が動きます。

この枠の扱い方は、二つあります。ひとつは、見学前に親に聞いて、人数の見込みを出しておくこと。もうひとつは、親に聞く前に、枠の上限を二人の側で決めておくことです。「親族は最大10人まで」のように上限を決めておき、それを超える場合は二人と親で相談する、という順番にします。

どちらの場合も、親の枠は「いつまでに、誰が、誰に聞くか」まで決めておくのが大切です。決める人がいないまま締切が来ると、式場の確定期限ぎりぎりに人数が動きます。

見学のときに、式場に伝えること

3つの枠に分けたリストは、見学の最初のヒアリングで式場に伝えます。伝え方の例です。

  • 確定枠が45人
  • たぶん枠が5人から10人
  • 親が決める枠が、いまのところ5人から10人。親と相談して、○月○日までに決める

このように伝えると、式場は見積もりを一本ではなく、幅で出しやすくなります。合計の最小は45人、最大は65人。最小の見積もりと最大の見積もりを並べて見られるので、二人も金額の幅を把握した状態で契約に進めます。

先ほどの仮の式場の前提(固定費150万円、1人2.5万円)で計算すると、45人で262.5万円、65人で312.5万円です。50万円の幅があります。「300万円前後」という一本の見積もりでは見えなかった幅が、最初から見えるようになります。

式場が最初のヒアリングで聞くこと

二人が3つの枠を持ってくるとは限りません。多くの二人は、一本のリストしか持っていません。そこで、式場の側の聞き方で、3つの枠を引き出すことができます。

聞き方は難しくありません。次の4つの質問で足ります。

  1. 「呼ぶと決めている人は、いま何人くらいですか」
  2. 「迷っている人は、何人くらいいそうですか」
  3. 「ご両親に、呼びたい方を聞いていますか」
  4. 「ご両親に聞く予定はありますか。いつごろ聞けそうですか」

3と4は、親が決める枠の存在に気づいてもらう質問です。答えが「まだ聞いていない」であれば、その場で枠をつくればよいのです。

質問の順番は、確定、迷い、親、の順にします。最初に親を聞くと、二人は「親に聞いていないから決められない」と答えを止めてしまいます。まず二人が決められる範囲を数えてもらい、そのあとで二人が決められない部分に進みます。

親の枠が揉める場面

親が決める枠は、揉めやすいところでもあります。よくある場面を3つ整理します。

一つ目は、親が思ったより多く呼びたいと言い出す場面です。二人は50人のつもりだったのに、親が15人の親戚を挙げた。二人が減らしたいと言うと、親は「呼ばないと失礼になる」と言う。ここで、枠の上限を先に決めていれば、「上限は10人。それを超える相談は、上限を見直すかどうかの話として扱う」と、人数の話を上限の話に置き換えられます。

二つ目は、費用の援助がある場面です。援助を受ける場合、親は人数に口を出しやすくなります。この場合は、援助の額と親の枠の人数を、先に切り離して話すほうが落ち着きます。「援助はありがたいが、親の枠は10人までで決める」と、二人から先に提案する形です。

三つ目は、両家の人数に差が出る場面です。一方の家が20人、他方の家が5人。式場は席次で両家のバランスを調整できますが、人数の差そのものは変えられません。この場合も、どちらの家も同じ「親の枠」の上限を持つという決め方があります。上限を同じにすれば、人数の差は「上限まで呼ぶかどうか」の差として扱えます。

どの場面でも、人数の話を人間関係の話にせず、枠と上限の話に置き換えるのが効きます。枠は、二人が親と話すための道具です。

契約書に書く確定の期限

最後に、人数の確定期限を確かめておきます。式場によって、人数の最終確定は挙式の何週間前、何日前と決まっています。確定後に減らすと、減らした分の料理代を請求されることもあります。

期限の定め方は式場ごとに違うので、契約前に確認してください。3つの枠の考え方と組み合わせるなら、次の順番が自然です。

  • 契約時:確定枠の人数で契約し、たぶん枠と親の枠は幅で把握する
  • 招待状の発送前:たぶん枠と親の枠を確定させる
  • 人数の最終確定:ここで人数が動かない状態にしておく

契約時に最大人数で契約してしまうと、人数が減ったときに無駄が出ます。最小人数で契約して、あとから増やすほうが、二人にとっては金額の動きが小さくなります。ただし、会場の広さや席数、人気日の空き状況によっては、あとから増やせない場合があります。この点は、式場側に先に確認しておくべきところです。

まとめ

  • 契約後に人数が動く多くのケースは、招待リストが一本で、二人が決められない人が数えられていないことで説明できる
  • 仮の式場(固定費150万円、1人2.5万円)では、60人の見積もりが66人になると、300万円が315万円になる。増額は5%
  • リストを「確定」「たぶん」「親が決める」の3つに分けて見学に持ち込むと、人数を幅で伝えられる
  • 親が決める枠は、上限を二人の側で先に決め、「いつまでに、誰が、誰に聞くか」まで置く
  • 式場は「呼ぶと決めた人」「迷っている人」「ご両親に聞く予定」の順に聞くと、3つの枠を引き出せる
  • 人数の話を人間関係の話にせず、枠と上限の話に置き換えると、親との話が進みやすい