式場のGoogleマップの電話とルート検索は、見学予約と突き合わせて読む
Googleビジネスプロフィールの管理画面を開くと、「電話」「ルート検索」「ウェブサイトのクリック」の数字が月ごとに並んでいます。先月より増えていれば良い知らせに見えますし、減っていれば何か手を打ちたくなります。
ただ、この3つの数字は見学予約の数ではありません。来館の数でもありません。電話はボタンが押された回数で、ルート検索は経路を調べた回数で、サイトのクリックはリンクが押された回数です。そのあとに何が起きたかは、Googleの画面には出てきません。起きたかどうかを知っているのは、式場の予約台帳と受付の記録だけです。
この記事の結論は、マップの3つの数字は単体で良し悪しを決めず、台帳の見学予約と並べて、その比率の変化で読む、です。数字の定義はGoogleの公式ヘルプとその解説記事で確認できる範囲に絞りました。後半の数字はすべて僕が置いた仮のもので、業界の平均ではありません。判断の条件と段取りの話として読んでください。
3つの数字が数えているもの
Googleの公式ヘルプによると、パフォーマンスのデータを見られるのは、オーナー確認が済んだプロフィールだけです。見られるのは自分のプロフィールに関する指標で、他の式場の数字は出てきません。この時点で、「近隣の式場より多いか少ないか」を管理画面で比べることはできないと分かります。
海外の解説記事では、指標の定義は次のように整理されています。ウェブサイトは、プロフィール上のリンクが押された回数です。通話は、電話ボタンが押された回数です。ルート検索は、経路の案内を求めた回数です。ルート検索は、連続タップやキャンセル、スパムへの対策が入った影響で、以前のレポートより少なく出ることがあるとも書かれています。つまり、昔の数字と並べて「去年より減った」と言うときは、数え方が変わった可能性を先に疑います。
2023年の初めには、総閲覧数や直接検索数など、いくつかの指標が廃止されたという報告もあります。昔の資料や他社の記事に「マップでの閲覧数」が載っていても、いまの画面では同じ数字が取れないことがあります。式場が見るべきなのは、いま画面に残っている3つに絞って、自分の台帳と対応づけられるものだけです。
ここで押さえておきたいのは、3つとも「押された回数」だということです。1人の二人が3回押せば3と数えられます。押したのが新郎新婦かどうかも分かりません。親、友人、同業の他社、広告代理店の担当者も、同じように押します。
電話のクリックと、つながった電話は別です
3つのうち、台帳と突き合わせやすいのは電話です。式場側に着信の記録があるからです。
仮の数字で考えます。ある月の管理画面の電話が90回だったとします。式場の電話機の着信履歴を見ると、その月にマップ経由と思われる時間帯の着信で、つながった通話が54件だったとします。つながった割合は6割です。残りの36回は、押したけれど、つながる前に切れたか、受付時間外か、見学中で誰も取れなかった電話です。
そのうえで、見学の予約につながった電話が10件だったとします。計算すると、ボタンが押された90回に対して予約10件で、約11%です。つながった54件に対しては約19%です。
ここで効いてくるのは、つながった割合です。同じ90回でも、つながった割合が4割なら通話は36件で、予約10件は28%になります。8割なら通話は72件で、予約10件は14%になります。予約の数は同じ10件でも、「電話の取り方は悪くない、問題は押される数」なのか、「押されても取れていない」のかで、打つ手が反対になります。
つながらない電話が多い式場では、プロフィールの営業時間と実際の電話受付の時間がずれていないか、見学中に鳴った電話を誰が折り返すかが決まっているかを先に見ます。電話のクリックを増やす工夫は、そのあとです。取れない電話を増やすと、損をする組が増えるだけです。
ルート検索は来館の予告ではありません
ルート検索は、来館に近い動きに見えるので、いちばん読み違えやすい数字です。
二人が経路を調べる場面は、見学の前だけではありません。披露宴に招かれたゲストが、当日の行き方を調べます。ゲストが自分の式場に来る前に確認するのは、当然のことです。つまり、披露宴が多い土曜日の前後は、見学の予定と関係なくルート検索が増えます。
仮の数字で見ます。ある月のルート検索が150回で、その月の来館組数が30組だったとします。来館時のアンケートで「Googleマップを見て来た」と答えた組が9組です。ルート検索150回に対して9組なので、比は6%です。
翌月、ルート検索が210回に増えたとします。40%の増加です。ところが、マップを見たと答えた来館組は10組でした。比は約5%に下がります。ルート検索は増えたのに、見学につながった数はほとんど動いていません。この月に披露宴が増えていたなら、増えた60回はゲストの下調べだった可能性があります。
だから、ルート検索は「増えたか減ったか」ではなく、「披露宴の件数が違う月で比べたとき、台帳の見学がどう動いたか」で読みます。披露宴の件数が近い月同士で比べるのが、いちばん素直です。
ルート検索の数字が使えるのは、見学の予約ページとマップの導線を直したときです。直した前後の2か月ずつで、ルート検索と見学来館の比が動いたかを見ます。数字の動きだけを見て、直したから増えたと言い切らないでください。時期が重なった要因が必ず混ざります。
ウェブサイトのクリックは、サイト側の数字で受け直す
ウェブサイトのクリックは、押された先のサイトで何が起きたかを、サイト側の計測で確かめられる唯一の指標です。
予約ページのリンクにマップ経由と分かる印をつけておく方法があります。ページのアドレスの末尾に、流入元を示す文字列を足すやり方です。これでサイト側の解析ツールで「マップから来た人数」が出ます。マップ画面のクリック数と、サイトに着いた人数が近ければ問題ありません。大きくずれていたら、リンク先が遅い、リンクが切れている、プロフィールのリンク先がトップページで予約ページまで遠い、といった原因を疑います。
マップのリンクを予約ページに直接つなぐかどうかは、別の記事で扱っています。この記事で言いたいのは、クリックが押された後に何が起きたかを、サイト側の数字で受け直すところまで行ってはじめて、マップの数字が使えるということです。マップの管理画面だけで完結させると、押されたあとの損失が見えません。
突き合わせ表は月1回、4行で作ります
台帳と並べるのに、難しい道具は要りません。月に1回、次の4行を表にします。
1行目は、マップの3つの数字です。電話のクリック、ルート検索、ウェブサイトのクリック。 2行目は、式場側の記録です。つながった着信数、予約ページへの流入、見学予約の組数。 3行目は、来館時に二人へ聞いた「最初に式場を知った入口」と「今日来る前に見たもの」の回答です。マップと答えた組数。 4行目は、その月の披露宴の件数と、土日の見学枠の埋まり具合です。ルート検索の増減を読むときの下敷きになります。
この4行を3か月続けると、自分の式場の「ふつうの幅」が分かります。仮の数字で言えば、ルート検索と来館の比が5〜6%に収まっている式場なら、4%や8%に動いた月が「いつもと違う月」です。その月に何があったかを台帳の記録から探します。広告を止めた、写真を差し替えた、改装した、雨が続いた、といった記録が、そこで役に立ちます。
注意したいのは、3か月分では、まだ傾向とは呼べない点です。月の見学予約が少ない式場では、1組の増減で比が大きく動きます。9組が10組になるだけで比は1ポイント変わります。比が動いたから何かが変わったと考えず、動いた幅が「ふつうの幅」の中かどうかを先に見ます。
数字が動いた月の読み方
動き方の組み合わせで、見る場所を分けます。
マップの数字が増えて、台帳の見学予約も増えたなら、入口が広がった可能性があります。何を直した月だったかを記録に残します。
マップの数字が増えて、台帳の見学予約が動かないなら、増えた分は見学に関係のない人たちだった可能性があります。ルート検索なら披露宴のゲスト、電話なら業者や求職者です。電話の着信の中身を5件ほど聞き返してみると、すぐ分かります。
マップの数字が減って、台帳の見学予約が減らないなら、他の入口が埋めている可能性があります。媒体、公式サイトからの直接の予約、紹介です。マップの数字が減ったことだけで、手を打たないほうがよい場合です。
マップの数字が動かず、台帳の見学予約だけが減ったなら、問題はマップの外にあります。予約ページ、返信の速さ、枠の空き方を見ます。
4つめの場合に、マップの写真や説明文を直しても、効きません。マップの数字は良く見えているので、手を入れた気分にだけなります。
マップの数字を、媒体の数字と同じ棚に置かない
結婚情報サイトの管理画面にも、閲覧数、資料請求数、来館予約数といった数字があります。マップの数字はこれらと同じ棚に置けません。
媒体の来館予約数は、媒体のシステムの中で予約が完結した数です。マップの電話のクリックは、予約ではなく、押された回数です。「媒体が月40件、マップが月90件」と並べて、マップのほうが効いていると考えるのは誤りです。マップは90回押されて、10件が予約になっています。媒体は40件がそのまま予約です。
この比べ方をする前に、マップの数字を「予約の数」に換算しておきます。換算の元になるのは、さきほどの突き合わせ表です。換算ができていない数字を、他の入口の数字と同じ表に入れないことが、広告費や掲載費の判断を誤らないための最低条件です。
仮の数字の置き方
この記事の数字は、僕が置いた仮のものだと書きました。自分の式場で突き合わせ表を作るときは、仮の数字を、次のものに置き換えます。
- 電話のクリックは、管理画面の月次の値
- つながった通話は、電話機の着信履歴から数えた値
- 見学予約の組数は、予約台帳の値
- マップを見て来たと答えた組数は、来館時の聞き取りの値
聞き取りがまだない式場は、まず1問から始めます。「今日来る前に、Googleマップで式場を調べましたか」。はい、いいえで答えられる質問が、いちばん回収しやすいです。回答が10組ぶんも集まれば、おおまかな比は出せます。
まとめ
- マップの電話、ルート検索、ウェブサイトのクリックは、どれも押された回数で、見学予約や来館の数ではありません
- 管理画面で見られるのは自分の式場の数字だけで、近隣との比較はできません。数え方が変わって、昔の数字と合わないこともあります
- 電話は、押された数と、つながった数と、予約になった数を分けます。つながらない電話が多いなら、クリックを増やす前に受け方を直します
- ルート検索は、披露宴のゲストの下調べでも増えます。披露宴の件数が近い月同士で、台帳の見学の動きと並べて読みます
- ウェブサイトのクリックは、サイト側の流入の数字で受け直します。ここで初めて、押された後の損失が見えます
- 月1回、マップの数字、式場側の記録、来館時の聞き取り、披露宴の件数の4行を表にします。3か月続けて「ふつうの幅」を知ってから、動いた月を探します
- マップの数字は、予約の数に換算してから、媒体の数字と同じ表に入れます
マップの数字は、台帳と並べたときに、はじめて式場の判断に使える数字になります。
