新郎新婦のリアル

披露宴の最終人数の確定日を14日前から7日前に縮めると、仮の式場で譲る減員は年336万円分減る。ただし二人が抱える「未定のゲスト」も3.9人減る

最終人数の確定日は、会場の都合で決まっているようで、実は二人の都合でもあります。挙式の14日前に人数を決めてくださいと言われても、招待した人のなかに出欠が決まっていない人がいる。会場の側は食材を発注するために早く知りたく、二人の側は一人でも多く出欠が固まってから伝えたい。締め日は、この2つの綱引きの結果です。

この記事では、確定日を14日前、10日前、7日前、3日前に置いたとき、会場と二人のそれぞれに何が起きるかを、仮の式場で計算します。使う数字はすべて僕が置いた仮の数字です。調査や実績ではありません。自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

確定日で動くのは、確定「後」の人数の増減

まず、言葉をそろえます。ここでいう確定日とは、会場が料理と飲み物を発注するために「この人数で進めます」と二人に伝えてもらう日のことです。確定日より前の人数の増減は、会場にとっては何も起きません。見積もりが変わるだけです。

困るのは確定日より後の変化です。確定したあとに、体調不良や仕事の都合で欠席が出る。逆に、急に一人増やしたいという連絡が来る。この変化は、確定日が挙式に近いほど小さくなります。直前に決めるほど、出欠は固まっているからです。

つまり確定日の話は、「確定後にどれだけ人数が動くか」の話に言い換えられます。動いた人数を誰が負担するかで、会場の粗利と二人の負担が分かれます。

仮の式場を置く

計算に使う前提です。すべて仮の数字です。

  • 年間の挙式は120組
  • 1人あたりの料理・飲み物の売上は2万円。食材と飲み物の原価は、そのうち0.8万円
  • 確定日より後に出る減員と増員は、確定日が挙式に近いほど小さくなる(下の表で置く)
  • 確定後の減員は、発注が済んでいるので、原価の0.8万円は戻らない

確定日ごとの、確定後の平均的な動きを、次のように置きます。

確定日 確定後の減員(1組あたり) 確定後の増員(1組あたり)
14日前 2.4人 0.6人
10日前 1.6人 0.5人
7日前 1.0人 0.4人
3日前 0.4人 0.3人

この表は仮置きです。減員が14日前のときに2.4人、3日前のときに0.4人、というのは、僕の想定にすぎません。実際の会場でどうなっているかは、確定時の人数と当日の人数を記録して、はじめて分かります。この点は後の節で触れます。

減員を請求しないと、確定日ごとに売上が消える

確定後の減員を、会場が請求しない運用だったとします。たとえば、体調不良で急に来られなくなった人の分を、二人に請求するのは気が引ける。そう考えて、請求しないで譲る会場は少なくないはずです。

このとき、会場が失う売上は、減員の人数 × 1人あたり2万円です。計算は次のとおりです。

  • 14日前:120組 × 2.4人 × 2万円 = 576万円
  • 10日前:120組 × 1.6人 × 2万円 = 384万円
  • 7日前:120組 × 1.0人 × 2万円 = 240万円
  • 3日前:120組 × 0.4人 × 2万円 = 96万円

確定日を14日前から7日前に縮めると、譲って消える売上は年576万円から240万円に減ります。差は336万円です。さらに3日前まで縮めると、240万円から96万円になり、差は144万円です。

14日前から7日前への短縮は7日、7日前から3日前への短縮は4日です。1日あたりで見ると、前者は48万円、後者は36万円。縮めるほど効きは小さくなります。確定日を挙式の直前に近づけるほど、確定後の動きがもともと小さくなっているからです。

原価は戻らない:減員1人で見ると、損は0.8万円から2万円の間にある

「売上2万円が消える」と書きましたが、実際に会場の手元から出ていくお金は、もう少し複雑です。確定後の減員1人について、起きていることを分けます。

  • 食材と飲み物は発注済みなので、原価0.8万円は戻らない
  • 売上2万円を請求できれば、その分は会場に残る
  • 請求しなければ、売上2万円が入らない。手元に残る粗利は、マイナス0.8万円になる

つまり、減員を請求するかどうかで、1人あたりの粗利は「1.2万円」と「マイナス0.8万円」に分かれます。差は2万円です。上の計算で使った1人2万円は、この差をそのまま使ったものです。

食材の一部が転用できる会場なら、実際の原価ロスは0.8万円より小さく、その分「譲る」ことのコストも軽くなります。逆に、人数に合わせて固定でスタッフを置いている会場では、人件費まで含めると損は大きくなります。ここは会場ごとに違います。

請求する会場は、二人の側に負担を移している

請求すれば会場は損をしません。では、請求する会場の二人は、何を引き受けているのか。

確定日が14日前だと、二人は挙式の2週間前に、まだ出欠が決まっていない人も含めて人数を決めます。仮に、招待した55人のうち、14日前の時点で出欠が決まっていない人が10%いるとします。5.5人です。この5.5人について、二人は「来る」と「来ない」のどちらかに賭けて、確定の人数を出します。

「来る」に賭けて外れると、その人の分を請求されます。「来ない」に賭けて外れると、当日に席も料理もない人が来てしまう。どちらに賭けても、二人にとっては気の重い話です。

確定日ごとに、未定のゲストの割合を次のように置いて計算します(これも仮の数字です)。

  • 14日前:10% × 55人 = 5.5人
  • 10日前:6% × 55人 = 3.3人
  • 7日前:3% × 55人 = 1.65人
  • 3日前:1% × 55人 = 0.55人

14日前から7日前に縮めると、二人が賭けるゲストは5.5人から1.65人に減ります。差は約3.9人。見出しの「3.9人」はこの数字です。

会場が請求しないと決めると、この賭けの負担は会場に移ります。請求すると決めると、二人に残ります。確定日を縮めると、どちらの負担も軽くなる。ここが、締め日を動かす価値の中心です。

確定日を縮めると、会場側で何が重くなるか

縮めたときに、会場の側で重くなるものもあります。仮に、7日前の確定にすると、次のことが起きます。

  • 発注の締めが挙式の1週間前になるので、仕入れ先との調整の余裕が減る
  • 食材を使い切れなかった場合の転用先を探す時間が短くなる
  • 確定後の増員の対応が、残り1週間の中で必要になる

増員の対応コストを、仮に1人あたり0.3万円(追加発注の割増や段取りの手間)と置いて計算します。

  • 14日前:120組 × 0.6人 × 0.3万円 = 21.6万円
  • 10日前:120組 × 0.5人 × 0.3万円 = 18万円
  • 7日前:120組 × 0.4人 × 0.3万円 = 14.4万円
  • 3日前:120組 × 0.3人 × 0.3万円 = 10.8万円

増員の対応コストは、確定日を縮めても、むしろ下がっています。確定後の増員自体が減るからです。この仮の式場では、縮めて重くなるのは、増員の対応よりも、発注の余裕のほうです。

そして、発注の余裕は、この仮の式場の数字には入っていません。入れられないからです。仕入れ先が1週間前の確定を受けてくれるかどうかは、会場ごとに決まります。ここが、締め日を決めるときの本当の制約です。

判断の分かれ目:どれだけ早く、確かな数字がほしいか

ここまでをまとめると、確定日を決める判断は、次の3つの問いに分けられます。

  1. 仕入れ先は、何日前の確定まで受けてくれるか。ここが最初の制約になる。10日前までしか受けてもらえないなら、7日前は選べない
  2. 確定後の減員を、請求するか、譲るか。請求するなら、会場の損失は小さいが、二人の負担は大きい。譲るなら、確定日を縮める価値は大きくなる
  3. 確定後の動きは、実際にどれだけあるか。ここが空欄だと、上の表は想像でしかない

3つ目は、記録をつけるだけで埋まります。次の節で書きます。

仮の式場の場合、減員を譲る運用なら、14日前から7日前に縮めると年336万円の取りこぼしが減ります。減員を請求する運用なら、会場の取りこぼしは動きません。動くのは二人の負担と、請求したときの関係です。

請求する運用の見えない費用

減員を請求する運用では、会場の数字には損失が出ません。ただ、見えない費用が二つあります。

一つは、請求の連絡にかかる手間です。担当のプランナーが、二人に連絡して、請求の理由を説明し、納得してもらう。仮に、この連絡に1件あたり30分かかるとします。確定後に減員が出る組が、14日前の確定で年80組、7日前の確定で年55組だとすると、30分 × 25件 = 12.5時間の差が出ます。大きな時間ではありません。

もう一つは、挙式の直前に二人が抱える気持ちです。請求の連絡が来た日に、二人がどう感じるか。これは数字にできません。ただ、挙式の直前で、二人が最も気を張っている時期に、お金の話が出る。僕はこれが、確定後の請求で最も重いコストだと見ています。口コミや紹介に出るのは、請求の金額よりも、請求の言い方のほうだからです。

仮にそうだとしても、ここは仮説です。確定後の請求を受けた二人の評価と、受けなかった二人の評価を、アンケートで比べて、はじめて分かります。

数え方:確定時の人数と、当日の人数を並べる

確定日の議論が止まる理由は、数字が残っていないからです。次の2つを、1組ごとに記録します。

  • 確定日に二人が出した人数
  • 挙式当日に実際に出席した人数

この2つの差が、確定後の動きです。減った組と、増えた組を分けて持っておきます。3か月分で40組ほどたまれば、仮の式場の表に近い形が、自分の会場の数字で作れます。

もう一つ、確定日の時点で「出欠が決まっていない人が何人いたか」を、二人に聞いておくと、未定のゲストの割合が分かります。これは、確定日を縮めたときに二人の負担がどれだけ減るかの、ほぼ唯一の手がかりです。聞き方は簡単で、確定の連絡を受けるときに、「出欠の返事がまだの方は何人ですか」と一言足すだけです。

確定日を縮めたときの、運用の組み方

仮に、14日前から7日前に縮めるなら、段階を踏む方法があります。

  • 最初に「概算人数」を14日前に受ける。この人数で発注の準備を始め、7日前の確定で微調整する。仕入れ先が1週間前の確定を受けてくれなくても、概算で動き出せる
  • 7日前の確定のあとの減員は、料理の原価分だけを請求する。全額ではなく、戻らない0.8万円だけにすると、二人の負担は軽くなり、会場も最低限のロスは守れる
  • 増員は、確定後も受ける。ただし、追加の割増を事前に伝えておく。増員の割増が見えていれば、二人は直前でも遠慮なく連絡できる

2つ目の「原価分だけ請求」は、仮の式場で計算すると、減員を全額譲る運用よりも、確定後の減員1人あたり0.8万円が会場に戻ります。7日前の確定なら、120組 × 1.0人 × 0.8万円 = 96万円です。譲る場合の240万円は、144万円まで縮みます。

請求の額を、全額と原価分のどちらにするかは、会場の考え方次第です。ただ、「全額か、ゼロか」の二択にしないことで、二人の負担と会場のロスの両方が軽くなる余地は残ります。

まとめ

  • 確定日で動くのは、確定「後」の人数の増減。確定が挙式に近いほど、動きは小さくなる
  • 仮の式場で、確定後の減員を譲る場合、14日前の確定だと年576万円、7日前だと240万円、3日前だと96万円の売上が消える。14日前から7日前への短縮で336万円減る
  • 同じ短縮で、二人が賭けるゲストも5.5人から1.65人、約3.9人減る
  • 縮められるかどうかは、最初に仕入れ先の締め日で決まる。その次に、確定後の減員を請求するか譲るかが効く
  • 確定時の人数と当日の人数を1組ごとに並べると、仮の表が自分の会場の数字に置き換わる