式場の終わったフェアのページは、消さずに次の入口を置く
フェアが終わったら、そのフェアのページを消す。多くの式場サイトで、これが当たり前の運用になっています。期限切れの特典が載ったままだと景表法的にも気持ちが悪いし、「古い情報が残っている式場」に見えるのも避けたい。消す理由は、どれももっともです。
ただ、僕は終わったフェアのページは消さずに、終了の表示と次の入口を置いて残すほうがよいと考えています。理由は単純で、そのページには、まだ人が来るからです。検索結果、Instagramのプロフィールに貼ったリンク、結婚情報サイトの古い掲載、二人が自分のLINEに保存したURL。入口は、フェアが終わった日に自動で消えてはくれません。
この記事では、終わったフェアのページに来る人がどこから来るのか、消したときに何が起きるのか、残すなら何を置くのか、そして残すより消したほうがよい場合はどんなときかを、判断の条件として整理します。
なお、出てくる数字はすべて説明のために僕が置いた仮の前提で、調査から引いた数字ではありません。自社のアクセス数や来館率に置き換えて読んでください。
消したページに来た二人は、行き止まりに着きます
ページを削除すると、そのURLにアクセスしたときの表示は、多くの場合「404 ページが見つかりません」になります。設定によってはトップページに飛ばされることもありますが、飛ばされた二人は「さっき見ていたフェアの話」が消えているので、どこから探し直せばよいのか分かりません。
二人の立場で考えてみます。夜に検索して、フェアの案内ページが出てきた。見てみようと思ってタップしたら「ページが見つかりません」。ここで、わざわざトップから探し直してくれる二人は多くありません。検索結果に戻って、次の式場のページを開きます。式場探しの序盤は、候補を広げている時期です。1か所で手間取ったら、ほかを見ればいい。二人にとって、その式場に戻る理由はまだありません。
式場の側からは、この損失が見えません。アクセス解析には「404のページを表示した数」が出ているはずですが、そこを毎月見ている式場は少ないと思います。予約が入らなかった二人は「来なかった二人」として数えられるだけで、「来ようとして行き止まりに着いた二人」とは区別されません。
終わったフェアのページには、どこから人が来るのか
消すか残すかを決める前に、そのページに、いま誰が来ているのかを確かめます。入口は、おおまかに4つあります。
- 検索結果:「(地域名) ブライダルフェア」のような言葉で、過去に出ていたページがしばらく表示され続けます。検索エンジンが古いページを検索結果から外すまでには時間がかかります。
- SNSのリンク:Instagramのストーリーズやプロフィール、Xの固定投稿、LINEの案内。投稿した本人は、フェアが終わったら見に行きませんが、投稿は残り、リンクも生きています。
- 他サイトからのリンク:結婚情報サイトの掲載ページ、地図サービスの「ウェブサイト」欄、提携先のブログなど。自社で直せない場所に、古いURLが貼られています。
- 二人の手元のURL:ブラウザのブックマーク、LINEのKeepメモ、パートナーに送ったメッセージ。「このフェア、行ってみない?」と送られたURLは、二人が相談する日まで生きています。
4つめが、とくに見落とされます。二人は、気になったフェアのURLをパートナーに送り、「今度の週末に相談しよう」と言い合います。その週末が、フェアの終了後だったら。相談の場で開かれるのは、404のページです。気になっていた式場が、相談の場で脱落します。
この4つの入口のうち、自分で直せるのは1つめと2つめの一部だけです。3つめと4つめは、ページ側を残すことでしか受け止められません。だから、消すという選択は、自分では直せない入口を、まとめて行き止まりにすることになります。
仮の前提で、残す価値を見積もる
どのくらいの価値があるのか。式場ごとにアクセス数が違うので、ここでは仮の数字で見積もり方だけを示します。
仮に、終わったフェアのページに、月に200回のアクセスが続いているとします。1年で2,400回です。ここに、来館予約の導線を置いたとして、予約に進む二人が1.5%だったとします。年に36組です。来館した組のうち、成約するのが仮に3割とすると、年に約10.8組が成約に進む計算になります。
Pythonで計算した結果は、次のとおりです。
| 来館予約に進む割合 | 年間の予約数 | 成約3割として |
|---|---|---|
| 1.0% | 24件 | 約7.2組 |
| 1.5% | 36件 | 約10.8組 |
| 2.0% | 48件 | 約14.4組 |
もちろん、行き止まりに着いた二人が全員、残したページなら予約してくれたわけではありません。かなり割り引いて、予約に進む割合が半分の0.75%だったとしても、年に約5.4組の成約です。1組の売上を仮に数百万円と置けば、ページを1枚残して数行足す作業の対価としては、小さくありません。
逆に、月のアクセスが10回しかないページなら、年間の成約への影響は、ほぼ数えられない大きさになります。この場合は、無理に作り込まず、後で触れる「まとめて飛ばす」運用で足ります。
大事なのは、数字の大小より、自社のページの実際のアクセスを見ることです。アクセス解析で、過去のフェアページのURLを、直近3か月で並べてみてください。思ったより見られているページが、1つか2つは混じっているはずです。
残すなら、ページの上に3つを置きます
残すといっても、期限切れの特典が、そのまま載っているのはよくありません。ページの上のほうに、次の3つを置きます。
1. 終了したことを、最初の1行で伝える
ページを開いて最初に見える場所に、「このフェアは◯月◯日に終了しました」と書きます。期限が過ぎた特典や割引は、ページ内で取り消し線にするか、はっきり「終了」と分かる形にします。期限を過ぎた特典が有効に見えると、行ってみたら使えなかったという不信に変わります。ここは、景表法の観点からも、曖昧にしないほうがよい部分です。
2. 次の開催日を、予約ボタンつきで置く
終わったフェアの内容のうち、次の回でも体験できるものを書いて、その予約ページへのボタンを置きます。「同じ内容のフェアは、◯月◯日と◯月◯日に開催します」。次の開催が決まっていなければ、直近の見学予約の空き枠を案内します。
ポイントは、二人が「このフェアに行きたかった」のではなく、「この式場を見てみたかった」のだと考えることです。フェアという形式はなくなっても、式場を見たい気持ちは残っています。だから、ボタンの文言は「次のフェアを見る」より、二人がすることで書くほうが伝わります。「見学の空きを見る」「試食つきの回を探す」のような書き方です。
3. 終わった内容の「中身」を、残しておく
もう1つ置けるのが、終わったフェアで何が体験できたか、という記録です。模擬挙式の内容、試食のメニュー、見学できた会場。これは特典の期限と関係なく、二人が式場を判断する材料になります。「過去のフェアの内容」として残しておくと、検索から来た二人は、この式場がどんなフェアをする式場なのかを読めます。
ただし、料理のメニューや会場の様子が、いまと違う場合は注意が必要です。過去の内容を載せるなら、「◯年◯月開催時の内容です」と日付を書きます。日付がなければ、二人は、いまもそのとおりだと受け取ります。
消したほうがよい場合も、はっきりあります
何でも残せばよいわけではありません。次のような場合は、消すほうが安全です。
特典の中身が、いまの契約条件と矛盾するとき
終わったフェアで、「契約で◯万円割引」と大きく書いていて、いまはその割引をやめている。この場合、日付を入れても、二人は「ここで契約したら割引が受けられる」と受け取る可能性があります。割引の金額が大きく見えるページは、残すより消すか、中身を書き換えるほうが無難です。
法的な表示に不安があるとき
期間限定の価格表示や、「先着◯組」のような表示は、終了後に残っていると誤認を招きます。判断に迷うなら、ページを残さず、後で触れる転送の運用に切り替えます。
アクセスがほとんど無く、他のページで代替できるとき
月にほんの数回しか見られないページを、すべて手入れする手間は釣り合いません。
消すなら、消しっぱなしにせず転送する
消すと決めたページでも、そのURLに来る二人は、ゼロにはなりません。そこで、消したページのURLから、内容が近い生きているページへ自動で転送する設定(301リダイレクト)を入れます。
転送先は、トップページではなく、いちばん近い内容のページにします。たとえば、試食つきのフェアのページなら、現在の試食つきフェアの予約ページ。フェア全般のページなら、フェア一覧です。トップに飛ばすと、二人は「さっきのフェアの話」が消えたことに気づいて、そこで離れます。
転送できる設定がサイトの管理画面に無い場合は、サイトを作った制作会社に「消したフェアのページのURLを、現在のフェア一覧に転送したい」と頼めば足ります。一度に全部頼まず、アクセスの多いページから先に頼むと、制作会社も作業しやすくなります。
月に1回、5分で確かめます
運用は難しくありません。月に1回、5分で次の3つを見ます。
- アクセス解析で、404ページの表示回数と、そこに来る前のURLを見る。多いURLが、消したフェアのページなら、転送先を決める
- 終わったフェアのページのうち、直近3か月でアクセスのあるものを一覧にする。残すか、消して転送するかを、この記事の条件で決める
- SNSのプロフィールと、地図サービスの「ウェブサイト」欄に、終わったフェアのURLが貼られていないか確かめる
3つめは、とくに効果があります。自分たちの手で直せる入口ですし、直すだけで、行き止まりに着く二人が減ります。
フェアを企画するときにも、1つ決めておくと楽になります。フェアのページは、フェアごとに新しく作るのではなく、「ブライダルフェア」という常設のページの中で、開催日を差し替えるやり方です。URLが変わらないので、二人の手元にあるURLも、検索結果も、そのまま生き続けます。終わったフェアのページが溜まる、という問題自体が、起きにくくなります。
費用は、ほぼかかりません
この運用にかかる費用は、サイトの管理画面を触れる人がいれば、ほぼ人の時間だけです。初回の見直しで、終わったフェアのページの数にもよりますが、数時間。その後は、月に5分です。広告費のように、止めたら効果が消える性質のものでもありません。
一方で、見えにくい損失の側は、この記事の仮の計算が示したとおりです。年に数組の成約が、行き止まりのページで、気づかないまま消えているかもしれません。確かめるには、自社のアクセス解析を、1回開くだけで足ります。
まとめ
- フェアが終わっても、検索結果・SNS・他サイト・二人の手元のURLから、そのページには人が来続けます
- ページを消すと、自分では直せない入口をまとめて行き止まりにします。式場側には「来なかった二人」にしか見えません
- 残すなら、ページの上に、終了の表示・次の入口の予約ボタン・過去の内容の記録(日付つき)の3つを置きます
- 特典が今の条件と矛盾するときや、表示の法的な不安があるときは、消すほうが安全です。消すなら、近い内容の生きているページへ転送します
- 仮にアクセスが月200回、予約に進む割合が0.75〜1.5%なら、年に約5〜11組の成約に関わります。実際の数字は、自社のアクセス解析で確かめます
- 月に1回5分、404の表示回数・終わったフェアのページのアクセス・SNSのリンクを見ます。フェアのページは常設にして、開催日だけ差し替えると、問題が起きにくくなります
