結婚式の費用相場で検索する二人には全国平均より式場の帯を見せる
「結婚式 費用 相場」。結婚式場を探し始めた二人が、わりと早い段階で打つ言葉です。式場の名前を知る前に、まず「みんなはいくら払っているのか」を調べる。ここで二人が目にするのは、結婚情報サイトの調査記事や、まとめサイトの平均値です。
式場の公式サイトは、この検索にほとんど答えていません。料金ページはあっても、「当会場のプラン料金」が並んでいるだけで、相場という言葉で探している二人の疑問とは噛み合わないからです。
結論から言います。相場で検索する二人に必要なのは、全国平均を読み上げることではなく、全国平均と自分たちの人数の差を、式場の側で埋めてあげることです。全国平均を出典つきで1行だけ引き、そのすぐ下に、人数ごとの式場の総額の帯を置く。この2段が、相場ページの骨組みです。
二人が「相場」で調べているもの
相場で検索する二人は、式場を選んでいるわけではありません。見ているのは、自分たちの予算の置き場所です。
僕はこの検索の中身を、だいたい3つに分けて考えています。
- 自分たちが考えている金額が高すぎるのか、安すぎるのかを確かめたい
- 親に予算を相談するための、数字の根拠が欲しい
- 式場に問い合わせたとき、足元を見られないように基準を持っておきたい
どれも「判断の物差し」を探している点が共通です。ですから、ここで式場が自社のプランの魅力を語っても、読まれません。二人が欲しいのは物差しで、パンフレットではないからです。
全国平均を引くときの扱い方
物差しの一つ目は、全国の平均です。出典をはっきりさせて、使えるものを使います。
ゼクシィ結婚トレンド調査2024(リクルートブライダル総研)では、披露宴・ウエディングパーティーの招待客人数の平均が52.0人、挙式を含めた総額の平均が343.9万円でした。調査対象は、2023年4月から2024年3月に挙式や披露宴を行った全国(沖縄県を除く)のゼクシィ読者とネット会員です。
この数字を、公式サイトのページに載せるときの注意が3つあります。
平均は「誰の平均か」を添える
上の調査は、ゼクシィの読者とネット会員が対象です。結婚情報誌を読む層に偏っている可能性があるので、「全国の結婚式を行った全員の平均」とは書けません。「ゼクシィの調査では」と固有名詞まで書きます。これが、読み手が数字を信用するための最低限の条件です。
年が変わると比べられない
リクルートは2025年から、この調査を「結婚マーケット調査」に切り替えました。ゼクシィ会員への調査から、結婚マーケット全体を見る市場調査に対象を広げたそうです。2024年版と2025年版は対象が違うので、そのまま並べて「去年より上がった」とは言えません。サイトに平均を載せるなら、調査名と年を必ず書く。古くなっても、「どの年の調査か」が書いてあれば嘘にはなりません。
平均は一人あたりに割らない
343.9万円を52.0人で割ると、1人あたり約6.6万円になります。割り算としては正しいのですが、これをサイトに載せるのは勧めません。平均の総額と平均の人数は、それぞれ別の二人の集まりの平均です。割った数字は、実際に誰かが払った金額を表していないからです。計算の途中で使うのはかまいませんが、「1人6.6万円が相場です」と書いてしまうと、少人数の二人は総額が小さく見え、大人数の二人は大きく見えて、どちらも自分の予算に当てはめられません。
式場の帯は人数で3つに切る
物差しの二つ目が、式場の側の数字です。ここが、相場ページを他と分ける部分になります。
全国平均が52.0人だとしても、その式場が得意なのは30人かもしれませんし、80人かもしれません。二人の人数は、平均から大きくずれていることのほうが多いはずです。そこで、式場の帯を人数ごとに切って見せます。
人数の切り方は自会場の実績から決める
切り方に正解はありませんが、僕が勧めるのは、直近1年の成約の人数を並べて、3つの山に切る方法です。たとえば、次のような置き方になります。数字は、考え方を示すための仮のものです。
| 人数の帯 | 総額の帯(仮) | 何が入っているか |
|---|---|---|
| 〜30人 | 200〜280万円 | 挙式、料理、飲み物、衣裳の基本分 |
| 31〜50人 | 280〜380万円 | 同上に、装花と写真の基本分 |
| 51人〜 | 380〜500万円 | 同上に、演出の基本分 |
この表の数字は仮です。自会場の見積書の実績から作らないと意味がありません。載せるときは、成約した見積書の最終金額を人数帯ごとに並べ、下から1割と上から1割を外した幅にします。最安値の例外と、特別な豪華プランの例外を外すためです。
「何が入っているか」が帯の半分を決める
総額の帯の価値は、数字よりも、何が入っているかにあります。同じ300万円でも、衣裳と写真が入っている会場と、別に手配する会場では、二人にとっての意味がまるで違うからです。
帯の隣には、含まれるものを一行で書きます。含まれないものを先に書く方法は、別の記事で扱いました。相場ページでは、含まれる範囲は短くして、「詳しくは料金ページへ」とリンクを張るだけで足ります。ここで長く書くと、肝心の帯が読まれません。
全国平均と帯のあいだに一行を入れる
全国平均と式場の帯をただ並べると、二人は「うちの式場は平均より高い(安い)」と、そのまま比べます。比べさせてよい場合もありますが、人数が違えば比べ方はまるで変わります。
そこで、2つの数字のあいだに一行入れます。
全国の平均は招待客52.0人で、総額343.9万円でした(ゼクシィ結婚トレンド調査2024)。当会場では、50人前後の披露宴の総額は〇〇万円台が中心です。人数が10人変わると、総額は〇〇万円前後動きます。
最後の「人数が10人変わると〇〇万円動く」が、この一行の肝です。二人は自分の人数を、この一行で式場の帯に重ねられます。この数字も、自会場の実績から出します。たとえば、30人の帯の中央と50人の帯の中央の差を20で割る、という程度の計算で十分です。
帯を作る手順
実際に帯を作る手順を、手を動かす順に書いておきます。半日あればできる作業です。
- 直近1年の成約の見積書を、人数と最終金額の2列で一覧にする。キャンセルになったものは外す
- 人数の山を3つに切る。切る位置は、件数がほぼ同じ数ずつ入る場所にする
- 山ごとに金額を小さい順に並べ、下から1割と上から1割を外す。残った最小と最大が、その山の帯になる
- 帯の端は切りのよい数字に丸める。ここで丸めるのは式場自身の数字なので、調査の値を丸めるのとは話が違う
- 山ごとに、見積書に必ず入っている項目を一行で書き出す
仮に、50人前後の山に成約が20件あったとします。下から2件と上から2件を外すと、残るのは16件です。この16件の最小と最大が、その山の帯です。件数が10件を切る山は、外す件数が1件になって帯が荒れるので、隣の山と合わせて2つの山に減らします。成約が年に数件しかない会場は、帯ではなく「過去の成約の中央値」を一つだけ載せるほうが正直です。
もう一つ、やっておくと良いのが、営業担当に帯を見せる確認です。担当者が「この帯は、実際の感覚より低い」と感じたら、たいていは見積書の最終金額と、二人が最初に聞いた金額のあいだに、追加の項目があります。その追加項目は、相場ページの「何が入っているか」の行に書き足す候補になります。
相場ページに載せないもの
足すことより、載せないことのほうが、このページの信用を守ります。
- 他の式場の料金との比較。比較は事故リストにも入っていますし、そもそも裏が取れません
- 「全国で一番お得」「相場より安い」のような言い切り。根拠の出せる比較対象がありません
- 割引や特典の期限。相場ページは長く読まれるので、期限つきの文言はすぐ古くなります
- 平均の数字の勝手な丸め。343.9万円を「約350万円」と書くと、調査の値ではなくなります
この中で、いちばん書きたくなるのは「相場より安い」だと思います。ただ、二人が探しているのは「安い式場」ではなく、「自分の人数と予算で、現実に挙げられる式場」です。安さを言い切るより、帯を正直に見せるほうが、問い合わせに来た二人との話が早くなります。
ページの置き方
料金ページの手前に置く
料金ページは、すでに式場に興味を持った二人が見るページです。相場で検索する二人は、その手前にいます。ですから、相場ページは料金ページと別にして、相場ページの末尾から料金ページへ橋をかけます。検索で最初に当たるのが相場ページ、次に開くのが料金ページ、という順番を想定します。
見出しは二人が打つ言葉にする
見出しには、「結婚式 費用 相場」「結婚式 人数 費用」のような、二人が打つ言葉を入れます。式場の都合で「当会場のお見積もりの目安」のような言い方にすると、検索の言葉と見出しが離れます。この点は、式場名の検索候補を見出しにする話と同じです。
更新の日付を書く
帯は、見積書の実績から作ります。実績が変われば、帯も変わります。更新日をページに書いておくと、二人は「いつの数字か」を確かめられます。年に一度、見積書の実績を並べ直して帯を更新する。この作業が、相場ページを続ける条件です。
どれくらいで効果を見るか
相場ページを作ったあと、効果を何で測るのか。検索順位ではなく、僕は次の2つを見ます。
- 相場ページから料金ページへ進んだ割合
- 相場ページを最初に見た二人の、見学予約までの日数
前者が低ければ、橋のかけ方が悪いのです。後者が長ければ、相場ページが二人の疑問を解いていません。2つとも、月に数十件しか動かない会場では、数か月はまとめて見ないと判断できません。数が足りないうちは、順位より先に、ページの文面を読み直すほうが当たります。
まとめ
- 「結婚式 費用 相場」で検索する二人は、式場を選ぶ前に、予算の物差しを探している
- 全国平均は、調査名・年・対象を添えて1行だけ引く。例:ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、招待客52.0人、総額343.9万円
- 平均の総額を平均の人数で割って、1人あたりの金額として載せない
- 式場の帯は、直近の成約の見積書から、人数の3つの山に切って作る
- 全国平均と式場の帯のあいだに「人数が10人変わると総額がいくら動くか」を一行入れる
- 他の式場との比較、「相場より安い」の言い切り、期限つきの特典は載せない
- 効果は、料金ページへの遷移と見学予約までの日数で見る
