式場の比較表で空欄になる項目を、公式サイトで先に埋める
結婚式場を探している二人は、気になった会場を並べて比べます。スプレッドシートを作る人もいれば、スマホのメモに1行ずつ書く人もいます。形はいろいろですが、やっていることは同じです。会場ごとに同じ項目を書いて、横に見比べる。
このとき、公式サイトを見ても答えが見つからない項目は、空欄のまま残ります。僕は、この空欄が集客の取りこぼしを作っていると考えています。空欄の多い会場は、見学の候補から静かに外れやすい。しかも、外れたことが会場側には一切見えません。
この記事では、二人の比較表で空欄になりやすい項目と、公式サイトにどこまで書くかの線引きを整理します。なお、この記事の数字は、説明のために僕が置いた仮のものです。業界の平均値ではないので、自分の会場の数字に置き換えて読んでください。
二人の比較表は、空欄から読まれる
比較表には、答えの入った欄と、空欄があります。見る側は、答えの入った欄を読み比べるより先に、空欄に目がいきます。揃っている中で1つだけ抜けていると、そこが気になるからです。
空欄を見た二人には、2つの選択肢があります。
- 問い合わせて聞く
- 聞かずに、その会場を後回しにする
1を選ぶ二人は、もともと関心が強い二人です。2を選ぶ二人のほうが、はるかに多いはずです。問い合わせは、確認のメッセージを書く手間がかかります。まだ見学もしていない会場に、そこまでする理由がありません。ほかに情報の揃った会場が3つあれば、その3つを先に見ます。
つまり、公式サイトに答えがない項目は、その会場の弱みとして比較表に残ります。実際には答えがあるのに、です。
空欄になりやすい項目
二人が比較表に書く項目は、会場ごとにまちまちです。ただ、よく入る項目はおおよそ決まっています。次の7つは、公式サイトで答えが見つからないことが多い項目です。
1. 総額の目安
「プラン料金」は載っていても、料理・飲み物・衣裳・装花・写真を含めた総額の目安がない会場は多いです。二人が知りたいのは、プランの価格ではなく、自分たちが払う金額の大きさです。人数帯ごとに、総額がいくらからいくらになるかを幅で書きます。幅の根拠は、直近の成約の見積もりです。
2. 人数の目安と受け入れ幅
「最大〇名」だけで、最少が書いていない会場があります。少人数で考えている二人は、20人で挙げても会場が広すぎないか、料金が割高にならないかを確かめたい。人数の下限と上限、それぞれの人数帯での会場の使い方を書いておきます。
3. 見学の所要時間と内容
見学が1時間なのか、試食を入れて3時間なのか。二人は予定を組むので、所要時間は比較表の項目になります。内訳も添えると、休日の予定に入れやすくなります。
4. 空き日程の見え方
「空き状況は個別にご案内します」だけでは、日取りが決まっている二人は動けません。月ごとの大まかな空きの度合い(人気日はほぼ埋まっている、平日は余裕がある、など)だけでも書くと、候補に残れるかどうかが変わります。
5. キャンセル・日程変更の考え方
契約後のキャンセル料の細かな金額は、見学の場で説明すれば足ります。ただ、「キャンセルの規定があること」「いつから発生するか」の骨組みが公式サイトに無いと、不安だけが残ります。金額まで書かなくても、段階と考え方は書けます。
6. 持ち込みの可否
衣裳、写真、引出物、ケーキ、音響機器など。持ち込みの可否と、持ち込み料の有無は、費用を気にする二人が必ず比べます。「応相談」で済ませると、空欄と同じ扱いになります。
7. アクセスと、ゲストの足
最寄り駅からの徒歩分数は、たいてい載っています。載っていないのは、送迎バスの有無、駐車場の台数、遠方のゲストの宿泊の案内です。二人は、ゲストの負担を想像しながら会場を比べます。
全部を書くべきか、書かないほうがいい項目はあるか
ここまでの7項目を、全部具体的な数字で書く必要はありません。書き方を選ぶ項目があります。判断の分かれ目は、次の2つです。
分かれ目1:その答えは、見学前と見学後で変わるか
総額は、人数、日取り、衣裳、装花で大きく変わります。見学前に確定した金額を載せると、あとで「聞いていた金額と違う」という不信につながります。このタイプの項目は、確定額ではなく、幅と前提を書きます。
- 悪い例:「総額 380万円」
- 良い例:「60人・土曜の場合、直近の成約の総額は〇万円〜〇万円の範囲です。衣裳・装花の選び方で上下します」
〇に入る数字は、自分の会場の成約データから出します。ここは、確認していない数字を載せないための線引きです。幅が広すぎて意味がないと感じたら、人数帯を分けて幅を狭くします。
分かれ目2:書くと、競合にそのまま使われないか
総額の幅や持ち込み料は、他会場に見られても困らないか。気にする会場は多いです。ただ、二人はもう比較表を作っています。載せないことで守れるのは、他会場に見られない安心だけで、二人からの信頼ではありません。
迷う項目は、二人が比べる側に立って決めればよいと思います。二人が知りたい項目は、他会場も同じことを聞かれています。先に出した側が、比較表に答えが入る側になります。
仮に空欄が3つあると、どれだけ失うか
ここで、仮の計算をします。前提は次のとおりです。すべて説明用の数字です。
- 月に公式サイトを見る二人:500組
- そのうち、比較表に載せる段階まで進む二人:100組
- 比較表のなかで、空欄が3つ以上ある会場を後回しにする二人の割合:10%
- 見学予約に進んだ二人が成約する割合:25%
- 1成約の粗利:80万円
空欄が原因で後回しにされる二人は、100組 × 10% = 10組です。この10組のうち、本来なら見学に来て、成約した二人は、10組 × 25% = 2.5組。粗利にすると、2.5組 × 80万円 = 200万円です。
100組 × 10% × 25% × 80万円 = 200万円(月)
これは、比較表に載る段階まで来た二人だけの計算です。公式サイトを見る500組のうち、そもそも比較表に載せる気にならなかった400組は含まれていません。
もちろん、10%という前提は僕が置いたものです。実際には、1%かもしれませんし、20%かもしれません。ただ、見てほしいのは数字の大きさではなく、見えない損失だという点です。後回しにされた二人は、問い合わせてこないので、会場側には一組も見えません。
空欄に気づく方法
自分の会場の空欄は、自分では見つけにくいです。公式サイトを知り尽くした人が見ても、答えが「どこかにある」と分かってしまうからです。見つける方法は3つあります。
他会場のサイトで、同じ表を埋めてみる
実際に、比較表を作ってみます。自分の会場を含めて、同じエリアの会場を3つ並べ、上の7項目を埋める。公式サイトだけを見て、埋まらない欄が自分の会場の空欄です。他会場の空欄も見えるので、先に埋めれば差がつく項目も分かります。
見学に来た二人の比較表を見せてもらう
見学で二人が持っている表やメモを、見せてもらえることがあります。見せてもらえなくても、「他の会場も回っているなら、何を比べていますか」と聞くだけで、項目の一覧が聞けます。見学の冒頭で聞くと、説明の順番も組み立てやすくなります。
問い合わせの質問を数える
問い合わせや見学の場で、同じ質問を何度も受けていないでしょうか。繰り返し聞かれる質問は、公式サイトに答えがない項目です。1か月分を数えて、上位5つを公式サイトに書きます。
書く場所は、料金ページに限らない
空欄を埋める場所は、料金ページに限りません。二人は、項目ごとに別のページを探すとは限らないからです。
- 総額の幅と人数の幅は、料金・プランのページ
- 見学の所要時間と内容は、見学予約のページ
- 空きの度合いは、見学予約のページ(予約カレンダーの近く)
- キャンセル・日程変更の考え方と持ち込みは、よくある質問
- アクセスとゲストの足は、アクセスのページ
予約のページに、見学に必要な情報が集まっていると、二人は予約の前に迷いません。比較表の空欄を埋めると同時に、予約の手前の迷いも減らせます。
書いたあとの確かめ方
項目を足したあとに、効果があったかは、次のように確かめます。
- 変更の日付を記録する
- 変更前後の4週間で、公式サイトからの見学予約数を比べる
- 見学の冒頭に「公式サイトで分からなかった点はありましたか」と1問聞き、答えを記録する
予約数は、季節で大きく動きます。前年の同じ時期との比較、あるいは変更しなかった別のページの予約数との比較を添えないと、効果と季節を区別できません。数字だけで効果を断定せず、見学の場の1問で補います。
埋めたあとに起きやすい失敗
空欄を埋める作業は、一度やって終わりにしがちです。ただ、書いた内容が古くなると、空欄より悪い状態になります。
- 総額の幅が、値上げ前のまま残っている
- 持ち込み料の改定が、よくある質問に反映されていない
- 空きの度合いが、半年前の書き方のまま動いていない
二人は、公式サイトの情報を信じて比較表に書き込みます。見学で違う説明を受けると、サイトの情報が古いと感じるだけでなく、会場全体への信頼が下がります。だから、書いた項目には更新の担当と時期を決めておきます。僕は、四半期に1回、7項目だけを見直す日を決めるくらいで足りると思います。成約の見積もりを見るついでに、幅がずれていないかを確かめる。それだけでも、空欄より悪い状態は避けられます。
まとめ
- 二人は、気になる式場を同じ項目で並べた比較表で比べる。公式サイトで答えが見つからない項目は空欄になる
- 空欄の多い会場は、問い合わせではなく後回しで外される。外れたことは、会場側には見えない
- 空欄になりやすい項目は、総額の目安、人数の幅、見学の所要時間、空き日程、キャンセルの考え方、持ち込み、ゲストの足の7つ
- 見学前後で変わる項目は、確定額でなく幅と前提を書く。数字は自分の会場の成約データから出す
- 迷う項目は、二人が比べる側に立って決める。先に出した側が、比較表に答えが入る側になる
- 空欄は、他会場と同じ表を埋めてみる、二人の比較項目を聞く、同じ質問を数える、の3つで見つける
- 書いたあとは、見学予約数の前後比較に、見学の場の1問を添えて確かめる
