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定休日の火曜に見学枠を開けるのは、仮の式場なら年6組の純増で元が取れる。足りなくなるのは、人の休みのほうだ

結婚式場には、週に1日の定休日を置いているところが多くあります。火曜や水曜が定番です。その定休日に「見学だけ受けませんか」という話は、どの会場でも一度は出ます。平日に休みの取れる二人がいる、土日は混み合って予約が取れない、という声があるからです。

結論から書きます。仮の式場で、定休日の火曜に見学枠を開けると、追加コストは年300万円。成約1組の粗利が140万円で成約率が35%なら、純増の見学が年6組あれば元が取れます。週にすると0.12組、2か月に1組です。損益だけを見れば、開けるほうがほとんど常に得です。

ただ、この記事で言いたいのはそこではありません。計算の入口で止まる会場が多いのは、「見学が増えるか分からない」からです。けれど、本当に詰まるのは出口のほうで、開けた日に誰が働き、その人はいつ休むのかが決まっていないことです。損益は通っても、運用が通らない。その順番で整理します。

この記事の数字は、出典のある統計ではありません。見学枠も成約率も、会場ごとにまったく違います。僕が置いた前提を先に並べるので、自分の会場の数字に替えて使ってください。

前提を先に置きます

使う前提は、すべて仮置きです。実在の会場の実績ではありません。

  • 週1回の定休日は火曜。年間の営業週は50週
  • 火曜に開けるのは見学だけ。挙式も披露宴も入れない
  • 見学は1日4枠まで。埋まり率は50%と置くので、開けた日は平均2組が来る
  • 成約率(来館から契約まで)は35%、成約1組の粗利は140万円
  • 開けた日の追加コストは1日6万円。プランナー1人と案内役1人の人件費、光熱費、清掃を合わせたもの

年間で見ると、開けた日の見学は 50週×2組=100組。追加コストは 6万円×50週=300万円です。

分かれ目は、純増の見学が年6組

損益の分かれ目は、次の式で出ます。

  • 必要な純増の見学数 = 年間の追加コスト ÷(成約率 × 粗利)
  • 300万円 ÷(0.35 × 140万円)= 6.1組

つまり年6組です。開けた火曜に来た100組のうち、6組が「定休日がなければ来なかった人」であれば、コストは取り戻せます。

成約率と追加コストが変わると、必要な数はこう動きます。

  • 成約率25%なら、年8.6組
  • 成約率45%なら、年4.8組
  • 追加コストが1日3万円なら、年3.1組
  • 追加コストが1日9万円なら、年9.2組

どの組み合わせでも、年10組を超えません。100組が来るうちの1割もいらないので、この点は悩む必要がありません。

数えてはいけないのは、他の曜日から移っただけの見学

ここに落とし穴があります。火曜に来た100組の全員が、新しく取れた二人だとは限りません。土曜に来るつもりだった二人が、空いている火曜に移っただけ、ということが起こります。

その場合、会場の売上は増えません。コストだけが増えます。純増の割合ごとに年間の損益を置いてみます。

  • 100組全員が純増なら、成約35組で粗利4,900万円、差し引き4,600万円
  • 6割が純増なら、成約21組で粗利2,940万円、差し引き2,640万円
  • 4割が純増なら、成約14組で粗利1,960万円、差し引き1,660万円
  • 2割が純増なら、成約7組で粗利980万円、差し引き680万円

2割しか純増がなくても黒字です。分かれ目の6%を切るまでは赤字になりません。純増が6%を切るのは、かなり珍しい状況のはずです。それでも赤字になるなら、見学枠を開けたことより、案内する人の質や広報の足りなさのほうを疑うほうが自然です。

もう一つ注意があります。ここで言う成約は、火曜に見学した二人が、その後に契約まで進んだ数です。契約は見学から数週間から数か月後に決まることが多いので、開けた月に数字が動かなくても、半年は見ないと判断できません。見る指標は、見学数ではなく、火曜に見学した人の契約数です。予約システムに「火曜枠から来た」と分かる印を付けておくと、追いかけられます。

損益より先に決めること:誰が、いつ休むか

ここからが本題です。定休日を開けると、その日に働く人の休みが消えます。

多くの会場では、定休日が全員が一斉に休める日になっています。週1日の定休日は、スタッフにとって、確実に休める唯一の日です。そこを見学で埋めると、次のどれかになります。

  • 担当者が別の曜日に代わりの休みを取る。ただし、その曜日は土日の準備で動かしにくい
  • 開ける日だけ、アルバイトや派遣の案内役で回す。ただし、接客の品質がばらつく
  • 担当者を交代制にして、人数を増やす。人件費が上がり、前提の1日6万円では足りなくなる

前提の6万円には、プランナー1人と案内役1人の人件費が入っています。これを実際にやろうとすると、代わりに休む日を埋める人がもう一人必要になるかもしれません。その場合、追加コストは1日6万円ではなく、9万円や12万円に近づきます。

追加コストが1日12万円なら、必要な純増の見学は年12.2組。それでも100組の1割強です。損益はまだ通ります。けれど、担当者が疲れて辞めるなら、話は別です。プランナー1人が辞めた場合の損失は、別の記事で整理しました。そこで見たように、担当者の離職は、契約後の組数を担当できなくなる分まで含めて、粗利に響きます。

整理すると、損益の計算はこうなります。

  • 見学の純増による粗利:年6組(分かれ目)〜年30組超
  • 追加コスト:年300万円〜年600万円
  • 目に見えない側:担当者の休みが削られることでの離職リスク

最後の1行は、数字を置けません。置けないから、書かないほうが楽です。ただ、定休日を開ける判断は、この1行を無視して決めないほうがいいです。

埋まり率が低いと、必要な純増の「割合」が上がる

分かれ目の年6組は、来る人数に関係なく同じです。けれど、来る人数が減ると、その6組が占める割合は大きくなります。前提の埋まり率50%を動かしてみます。

  • 埋まり率50%(1日2組、年100組)なら、6.1組は6.1%
  • 埋まり率25%(1日1組、年50組)なら、6.1組は12.2%
  • 埋まり率10%(1日0.4組、年20組)なら、6.1組は30.6%

埋まり率が10%まで下がると、来た人の3割が純増でないと元が取れません。ここまで来ると、損益は通りにくくなります。開けて最初の1〜2か月で、埋まり率が1割にも届かないなら、告知が足りないか、定休日に来たい人が少ないかのどちらかです。この見分けは、公式サイトの火曜枠の閲覧数と、予約の入り方を見るとつきます。閲覧は多くて予約が入らないなら、枠の見せ方に問題がありそうです。閲覧自体が少ないなら、置き場所を変えるのが先です。

開ける日に、見学以外を詰め込まない

もう一つ、運用で効くことがあります。開ける日は、見学以外の予定を入れないほうがいいです。

定休日は、普段できない仕事を片づける日でもあります。清掃の深い作業、設備点検、業者との打ち合わせ、社内会議。これらを火曜に入れている会場は、見学を開けると、その仕事の置き場所がなくなります。見学枠を開けた結果、会議が土日の合間に押し込まれ、接客の質が落ちる。見学が増えても、成約率が下がっては意味がありません。

前提の成約率35%は、通常の見学と同じ質で案内できたときの数字です。火曜枠だけ成約率が25%に落ちるなら、分かれ目は年8.6組に動きます。開ける前に、その日の仕事の移し先を決めておくことが、計算と同じくらい大事です。

開け方の三つの形

全面的に開けるか、やめるかの二択にしないほうが、運用は楽になります。

1. 月に1〜2回だけ開ける。 定休日の毎週開放をやめて、第2火曜と第4火曜だけにする。コストは月2日分、年24日分で、前提の6万円なら144万円。分かれ目は年2.9組まで下がります。担当者は月に2回だけ休みが動くので、疲れ方も軽くなります。

2. 事前予約制にして、予約が入った日だけ開ける。 空振りの日のコストがゼロになります。ただし、「予約があれば開く」は、見る人にとって分かりにくい。公式サイトに「火曜は予約制」と書いて、枠を2〜3組に絞るのが現実的です。

3. 開ける代わりに、別の日を連休にする。 火曜に見学を受ける代わりに、翌週の月曜と火曜を連休にする。担当者の休みの総数は変わらず、コストの一部が代休で相殺されます。

三つのうち、仮の式場のように、スタッフの人数がぎりぎりの会場には1か2から始めるのが無難です。3は、土日の運営に余裕のある会場だけで成り立ちます。

試すときの手順

最後に、始めるときの手順を置きます。

  1. 試す期間を3か月と決める。最初に終わりを置いておくと、疲れてきたときにやめる判断がしやすい
  2. 火曜枠の予約には、システム上で印を付ける。見学数、来館後の契約数をその印で数える
  3. 3か月後に見るのは、火曜枠の契約数と、土日枠の見学数が減っていないか。土日が同じだけ減っていたら、移っただけだと分かる
  4. 担当者に、疲れ方を聞く。数字に出ない部分は、ここで拾う

土日の見学数が変わらず、火曜枠の契約が1組でも出れば、続ける価値があります。逆に、土日が火曜の分だけ減っているなら、その火曜は移動でしかありません。

まとめ

  • 定休日に見学枠を開ける損益の分かれ目は、仮の式場で純増の見学が年6組。月にすると0.5組です
  • 他の曜日から移っただけの見学は、純増に数えない。見る数字は見学数ではなく、火曜枠から来た人の契約数
  • 追加コストが1日12万円まで膨らんでも、必要な純増は年12組ほど。損益そのものは、ほとんどの前提で通る
  • 本当に詰まるのは、担当者の休みをどう確保するか。代わりに休む日を決めずに開けると、離職の形で損が出る
  • 月に1〜2回、事前予約制、代休つきの3つの形で、全面開放より小さく始められる
  • 試すなら期間を3か月と決めて、予約に印を付けておく