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式場の資料は、写真より先に最初の見開きで総額の帯と人数の目安を見せる

資料請求をした二人の家に、式場の資料が3通、4通と届きます。表紙は、どこも似た写真です。白いドレス、緑の庭、光の入るチャペル。二人は封筒を開けて、最初の見開きを見て、次に価格のページを探します。探して見つからなければ、そこで資料を脇に置きます。

僕の提案は、資料の最初の見開きを、写真ではなく「総額の帯」と「人数の目安」で始めることです。写真は2枚目以降で十分に働きます。この記事では、なぜ最初の見開きが勝負になるのか、何を置くのか、向かない式場はどこかを整理します。数字は出典のあるものではなく、説明のために僕が置いた仮の前提です。

資料は、読まれる前にふるいにかけられる

資料請求は、気になった式場を何軒かまとめて申し込むことが多いはずです。僕はそう見ています。すると届いた資料は、1軒ずつ丁寧に読まれるのではなく、机の上に並べられます。

並べたときに二人がやっているのは、比べることです。比べる軸は、写真の好みよりも先に、「自分たちの予算と人数に合うか」です。合わない式場は、写真がどれだけ良くても候補から外れます。外れた理由は、式場には伝わりません。

ここで困るのは、価格のページが後ろのほうにある資料です。最初の見開きは憧れの写真、真ん中にこだわりの説明、価格は最後の1ページ。式場の側は順番に読んでもらえる前提で作りますが、二人は最後のページから見ます。順番に読まれない前提で作り直すほうが、実態に合います。

最初の見開きに置く3項目

置くのは3つです。多く置くほど、どれも読まれなくなります。

総額の帯

「挙式と披露宴で、ゲスト何人のとき、総額はいくらからいくらまで」を、帯で書きます。たとえば「ゲスト40名で、総額330万円から420万円」のような書き方です。この数字は自社の実際の契約から出します。僕が例に出した数字ではなく、書くときは自社の直近の成約の幅に合わせてください。

帯の上側も書くのが大事です。「330万円から」とだけ書くと、二人は下限を見て来館し、見積もりで上限に近い数字を見て帰ります。この食い違いは、資料の段階で潰せます。

人数の目安

この会場で気持ちよく収まる人数を、下限と上限で書きます。「20名から80名」のように。上限を書くと、人数が多い二人は早めに離れます。それでかまいません。来館してから「この広さでは入りません」と言うより、お互いの時間が減ります。

下限も同じです。少人数に対応しているかどうかは、二人がいちばん知りたいのに、聞きにくいことのひとつです。

見学で確かめてほしいこと

最初の見開きの右下に、短く1つだけ置きます。「資料では分からないので、見学でここを見てください」と書く項目です。たとえば「チャペルから披露宴会場までの距離」「ゲストの控室の広さ」のように、写真で伝わりにくいものを選びます。

これは来館の理由になります。資料で全部を見せてしまうと、見学に来る理由が減ります。逆に、資料で答えを出す項目と、見学でしか分からない項目を分けて書くと、二人は「資料で足りる部分」と「行かないと分からない部分」を整理して受け取れます。

仮の数字で、置き換えの効果を見積もる

効果の大きさは、出典のある数字では言えません。そこで、前提を置いて計算します。数字はすべて僕が置いた仮のものです。

仮に、ある式場が1か月に資料請求を100件受けるとします。資料を受け取った二人のうち、来館予約に進むのが20組。最初の見開きが写真だった場合の話です。

来館した20組のうち、見積もりの総額が予算に合わず、その場で保留になる二人が6組いたとします。この6組は、資料の段階で総額の帯を見ていれば、来館する前に自分で判断できていたかもしれません。仮に、その半分の3組が資料を見て来館を取りやめ、代わりに予算の合う二人が3組、来館に回ったとします。

resume = 20            # 来館組数
mismatch = 6           # 総額が合わず保留になる組数
shift = mismatch / 2   # 資料で判断して取りやめる組数
print(resume - shift)  # 資料の変更後に、予算の合わない来館が減った数
print(shift)           # 入れ替わる組数

計算の結果は、来館組数は変わらず、予算の合わない来館が6組から3組に減り、代わりに予算の合う二人が3組増える、というものです。入れ替わるのは3組です。ここでの前提は「入れ替わった3組が予算の合う二人」という点で、実際にそうなる保証はありません。ただ、予算が合わない二人に1組あたり60分の見学時間を使っているなら、3組で3時間分の枠が空きます。この3時間を、予算の合う二人に回せるかどうかが、この変更の価値です。

帯の作り方

帯は、広告用の「最安値」から作りません。直近1年の成約を、人数ごとに並べて作ります。

手順は単純です。成約した組を、ゲスト人数の区分ごとに分けます。30名以下、31名から50名、51名以上、のように3つほどで足ります。区分ごとに、契約時の総額を安い順に並べて、真ん中の半分あたりを帯にします。一番安かった1組と一番高かった1組は外します。外れ値を入れると、帯が広がって信用されなくなります。

組数が少ない区分は、帯を出さないほうが安全です。たとえば1年で3組しか成約していない人数区分では、3組の幅が「この人数の相場」に見えてしまいます。その区分は「個別にお見積もりします」と書き、見学で話すほうが正直です。

もうひとつ、契約時の総額と、挙式当日の総額は別物です。契約のあとに衣裳や演出が足されて、最終的に増える二人もいます。資料に載せるのはどちらなのかを、帯の下に一行で書きます。「契約時のお見積もり総額です」と書くだけで、後から「聞いていない」と言われる場面が減ります。

最初の見開きの並べ方

3項目を置くとき、並べ方で読まれ方が変わります。

左上に総額の帯、その下に人数の目安を置きます。二人の目は左上から入るので、いちばん判断に使う数字を最初の位置に置きます。右側には、会場の写真を1枚だけ入れます。写真を消す必要はありません。数字だけの見開きは冷たく見えるので、1枚入れて、見開きの空気を作ります。

見学で確かめてほしいことは、右下に置きます。ここは文字を小さくしすぎないことです。小さい文字は読まれないので、飾りのつもりで置いても、置かなかったのと同じになります。

最後に、見開きの隅に、見学の予約方法を一行で書きます。電話番号と予約ページの場所だけで足ります。二人が「行ってみよう」と思ったその瞬間に、次の動きが見つかるようにするためです。

向かない条件

最初の見開きを総額の帯にする方法が合わない式場もあります。

帯の幅が広すぎるとき

オーダーメイドの度合いが高く、同じ人数でも総額が200万円も300万円も動く式場は、帯を書くと幅が広すぎます。幅が広い帯は「何も言っていない」のと同じで、二人は信用しません。この場合は帯をやめ、「いちばん多い選ばれ方」の総額を1つだけ書くほうが誠実です。

価格の話をする体制ができていないとき

資料に総額を載せると、電話やメールで「資料の価格と違う」と言われる場面が増えます。載せた帯と、見積もりで出す数字が食い違うと、信頼が下がります。載せるなら、資料の更新頻度を決めておきます。値上げや料金改定のたびに、紙の資料を刷り直すのは大変です。年に1回、決まった月に更新すると決めるか、帯の下に「更新月」を小さく書くかのどちらかになります。

写真で勝負している立地のとき

見学に来てもらえば成約率が高いが、資料の段階では写真の力でしか来館につながらない、という式場もあります。たとえば海辺や歴史的建築のような、写真が決定的な強みの式場です。その場合は、最初の見開きを写真にしたまま、2ページ目に総額の帯を置くのも手です。大事なのは、価格が最後のページにならないことです。

紙とPDFで、置き方を変えない

資料は紙で届く場合も、PDFで届く場合もあります。PDFのほうが、最初の見開きが画面の最初の1画面になるので、順番の影響がさらに強く出ます。スマホで開かれると、見開きは2枚に分かれて見えます。左上の総額の帯が、スマホでは1枚目の先頭になるように、ページを並べておきます。

紙とPDFで内容を変えると、更新のたびに2つ直す手間が増えます。最初の見開きだけは、紙もPDFも同じ原稿から作ると決めておくと、直し忘れが起きにくくなります。

試し方

いきなり全部の資料を作り直す必要はありません。次の資料を刷る時期に、1つの版だけを帯つきの最初の見開きにします。請求時の送付先で半分ずつに分ける、というやり方もあります。

比べる数字は、資料請求から来館予約までの率と、来館から成約までの率です。この2つを別々に見ます。来館予約までの率が少し下がっても、来館から成約までの率が上がっていれば、見学の枠を予算の合う二人に回せている証拠です。逆に、2つとも下がっているなら、帯の書き方が二人の期待を下げすぎています。書き方を見直す合図です。

見るのは2か月ほどです。資料請求から来館までは、それくらい日数が空く二人が多いと僕は見ています。短い期間で判断すると、帯の効果ではなく季節の波を見てしまいます。

まとめ

  • 二人は届いた資料を並べて、価格のページから先に見ます。最初の見開きは、憧れの写真よりも判断の材料に使うほうが実態に合います
  • 最初の見開きに置くのは、総額の帯、人数の目安、見学で確かめてほしいことの3つです
  • 帯は上側も書きます。下限だけを見て来館した二人は、見積もりで食い違いを感じます
  • 資料で答えを出す項目と、見学でしか分からない項目を分けて書くと、来館の理由が残ります
  • 向かないのは、帯の幅が広すぎる式場、資料を更新する体制が無い式場、写真が決定的な強みの式場です
  • 試すときは版を分けて、資料請求から来館予約までの率と、来館から成約までの率を別々に、2か月ほど見ます