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式場サイトの地域別ページは、市区町村ごとに作らず起点を絞る

「〇〇市 結婚式場」「〇〇駅 結婚式場」。二人は式場を探すとき、地名を入れて検索します。それを見た式場のWeb担当者や代理店が、思いつくことがあります。「だったら、市区町村ごとに地域別ページを作れば、その検索に拾ってもらえるのでは」という発想です。

結論から書きます。市区町村ごとにページを量産するのは、おすすめしません。作るなら、二人とゲストが移動してくる「起点」を2〜3つに絞り、起点ごとに中身の違うページを1本ずつ作ります。理由は、地名だけ差し替えたページは二人の役に立たず、更新も回らなくなるからです。

この記事の数字は、工数の比較に使うものも含めて、すべて僕が置いた仮のものです。業界の平均でも、どこかの式場の実績でもありません。自分の式場の数字に置き換えて読んでください。

地域別ページを作りたくなる理由は、間違っていない

まず、作りたくなる気持ちは自然です。二人の検索には地名が入ります。式場の公式サイトのトップページに「〇〇県の結婚式場」と書いてあるだけでは、「隣の市から通えるのか」「あの駅から何分なのか」といった個別の疑問には答えられません。

地名ごとのページがあれば、検索に出やすくなるだけでなく、二人も「自分たちのいる場所から来られる式場だ」と判断しやすくなります。この狙いは間違っていません。

間違えやすいのは、「地名の数=ページの数」にしてしまう点です。市区町村は、県内だけで数十あります。その全部にページを作ると、ほとんどのページが同じ中身の使い回しになります。

地名だけ差し替えたページが、うまくいかない理由

典型的な量産ページは、こういう形です。

「〇〇市で結婚式場をお探しの方へ。当式場は〇〇市からのアクセスも良好です。美しいチャペルと上質な料理で、お二人の特別な一日をお手伝いします」

〇〇のところに市の名前を入れ替えれば、30本でも40本でも作れます。作る側は楽です。ただ、これを読んだ二人は何も得ていません。「〇〇市から何分かかるのか」「ゲストはどう来るのか」「帰りの足はあるのか」という、二人がいちばん知りたいことが書かれていないからです。

検索の仕組みの面でも、リスクがあります。Google検索セントラルのスパムに関するポリシーには、「ドアウェイの不正使用」という項目があります。特定の検索語で上位に出ることだけを目的に、中身がほとんど同じのページを量産するやり方を指します。式場が悪意をもって作っていなくても、地名だけ差し替えたページが大量に並べば、この形に近づきます。実際にどこまで評価が落ちるかは、僕には断言できません。ただ、二人の役に立たないページを増やして得をする場面は、あまり想像できません。

もう一つ、量産ページには更新の問題があります。アクセスの経路やバスの時刻、近くの宿泊施設は、時間がたつと変わります。ページが40本あれば、直す箇所が40か所に増えます。誰も直さないまま、古い情報が残ります。古い送迎バスの時刻を見て来館した二人は、式場への印象を悪くして帰ります。

市区町村ではなく「起点」で数える

では、どう絞るか。考え方は、式場から見た「地名」ではなく、二人とゲストから見た「起点」で数えることです。

起点とは、二人やゲストが式場へ来るときに「ここから動き出す」と考える場所です。具体的には次のようなものです。

  • 新幹線や特急が止まる主要駅
  • 空港
  • 二人の多くが住む、車で来る方面
  • 遠方のゲストが前泊するときに使う、宿泊の多い駅や繁華街

式場によって、起点の数と顔ぶれは違います。駅前のホテル併設の式場なら、起点は主要駅と空港の2つで足りるかもしれません。郊外の貸切型の式場なら、「車で来る方面」が2〜3つ並ぶでしょう。自分の式場の予約フォームの「お住まいの地域」を数えるか、見学のときに聞いている認知経路と合わせて、どの起点から来る二人が多いかを見てみてください。数が取れていなければ、受付のスタッフに聞くだけでも、おおよその見当はつきます。

起点で数えると、ページの数が現実的な本数に収まります。県内の市区町村が40あっても、二人にとっての起点は、せいぜい数か所です。「〇〇市の二人」と「△△市の二人」が、同じ主要駅から同じ電車で来るなら、ページを分ける意味はありません。

起点ページに書く中身は、地名では変わらないことにする

起点ごとにページを作るときに大事なのは、ページごとに中身を変えることです。地名を入れ替えるだけにならないよう、次の4つを、起点ごとに別の内容で書きます。

  1. 二人が来るときの移動時間と手段。電車なら乗り換えの回数、車なら高速の出口と所要時間
  2. ゲストが来るときの移動。特に、遠方のゲストの前泊や帰りの終電の時刻
  3. 送迎の有無と、乗り場の場所。写真が一枚あるだけで、初めての二人は安心します
  4. その起点から来た二人が、見学の日にどう動くか。たとえば、「午前に見学して昼過ぎに戻れる」といった具体例

4つとも、起点が違えば答えが変わる内容です。ここが同じ文章になるなら、そのページは作らないでください。これが、作る本数を決める基準になります。

もう一つ、同じページに入れておきたいのは、見学予約への導線です。ページを読み終えた二人が、そのまま「この起点から来られる日で、見学の空き枠を見る」へ進めるようにしておきます。地域ページは、読んで終わりではなく、見学予約への入口として置くものだからです。

仮の数字で、量産と絞り込みの工数を比べる

どれくらい手間が違うのか、仮の前提で計算してみます。構造を見るための計算です。

仮の前提を置きます。

  • 市区町村ごとのページ(案A)は12本とする
  • 案Aは、1本の初回作成に4時間、年2回の見直しに1回1時間ずつかかるとする
  • 起点ごとのページ(案B)は3本とする
  • 案Bは、現地を見て写真を撮り、時刻表を調べるので、1本の初回作成に6時間、年2回の見直しに1回1時間ずつかかるとする

この前提で、最初の1年に使う時間を出します。

案 本数 初回作成 年2回の見直し 1年の合計
A 市区町村ごと 12本 4時間×12本=48時間 2時間×12本=24時間 72時間
B 起点ごと 3本 6時間×3本=18時間 2時間×3本=6時間 24時間

案Aは案Bの3倍の時間がかかります。しかも案Aの12本は、中身を変える材料がないので、実際には同じ文章の使い回しになりがちです。使い回しの12本を保つために72時間を使うより、中身の濃い3本に24時間を使い、残りの48時間を、見学予約の導線や口コミの返信に回したほうが、成約に近い仕事ができます。

この仮の計算が示しているのは、「どちらが何時間安い」ではありません。ページを1本増やすたびに、見直しの手間が増えることです。見直す手間をかけられないページは、時間がたつほど、二人を迷わせる原因に変わります。

絞ったあとに、地名の検索を捨てないための工夫

起点に絞ると、「〇〇市 結婚式場」で検索する二人を取りこぼすのでは、と心配になるかもしれません。ここは、ページを増やさず、次の方法で補えます。

起点ページの中に、その起点から来られる市区町村の名前を、自然な文章で入れます。たとえば、「△△市や□□市にお住まいの二人は、主要駅まで電車で出て、そこから送迎バスに乗るのが一般的です」というような文です。地名の一覧を羅列するのではなく、二人の動き方の説明の中に入れるのがコツです。羅列にすると、先ほどの量産ページと変わらなくなります。

それでも、特定の市で検索する二人が多く、その市からの来館が明らかに多い場合は、その市だけ単独のページを作る判断もあります。そのときの基準は、「その市の二人に固有の答えがあるか」です。たとえば、その市からだけ使える高速の出口があり、所要時間が他と大きく違うなら、独立したページを作る意味があります。固有の答えが書けない市のページは、作りません。

作る前に確かめる3つのこと

最後に、地域別ページを作る前に、次の3つを確かめます。

1つ目は、予約フォームの「お住まいの地域」です。どこから来る二人が多いのかを、数で見ます。フォームに項目がなければ、見学時の聞き取りで数えます。

2つ目は、起点ごとに書けるはずの固有の中身が、4つ揃うかです。1つの起点で4つ揃わなければ、その起点のページは作りません。

3つ目は、見直しの担当と時期です。年2回、誰がいつ時刻表や送迎の情報を見直すのか。担当が決まっていないなら、ページ数はその担当が回せる本数までに減らします。

見直しの時期は、挙式の繁忙期に入る前と、ダイヤ改正の後に置くと無理がありません。時刻表を直すだけなら、一本あたり数十分で済みます。

地域別ページは、本数が多いほど強い、というものではありません。二人が移動するときの不安に、起点ごとに答えられているか。そこに答えが書けるページだけを、回せる本数だけ置くのが、現実的な線だと僕は考えています。

まとめ

  • 市区町村ごとの地域別ページを量産すると、地名だけ差し替えた使い回しになり、二人の疑問に答えられない
  • Google検索セントラルのスパムポリシーには「ドアウェイの不正使用」の項目があり、中身が同じのページの量産は避ける
  • ページは市区町村ではなく、二人とゲストが移動してくる「起点」で数える。多くの式場で2〜3本に収まる
  • 起点ページには、移動時間と手段、ゲストの前泊と終電、送迎の乗り場、見学日の動き方を、起点ごとに別の内容で書く
  • 仮の計算では、12本の市区町村ページは3本の起点ページの3倍の工数になる。見直せない本数は作らない
  • 地名の検索は、起点ページの文章の中に市区町村名を自然に入れて補う。単独ページは、その市に固有の答えがあるときだけ
  • 作る前に、予約フォームの地域、固有の中身が4つ揃うか、年2回の見直しの担当を確かめる