フェアの模擬挙式は、6年で参加が5割から3割に減った。見学と試食は、参加した人の9割が役に立ったと答えている
ブライダルフェアの中身を、いつ見直しましたか。模擬挙式、演出体験、試食、会場見学と、毎回同じ顔ぶれが並んでいる式場は多いと思います。
首都圏の新郎新婦に聞いたゼクシィ結婚トレンド調査2024を読むと、フェアに来た人が実際に体験しているものは、ここ数年でかなり偏ってきています。模擬挙式に参加した人は、2018年の49.5%から2024年は28.2%に減りました。会場見学と試食は、どちらも9割前後のままです。
僕はこの表を、フェアの時間をどこに配るかという経営の話として読みました。数字を順番に見ていきます。
調査の範囲と読み方
先に、使う数字の範囲を決めておきます。
- 調査名:リクルートブライダル総研「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」の首都圏版(東京、神奈川、千葉、埼玉)
- 対象:披露宴・ウエディングパーティーを実施した人。2024年調査は394人
- フェアの内容を聞かれたのは、その中でブライダルフェアに行った人。2024年調査は280人
- 2018年の同じ設問は、フェア訪問者535人
全国版ではなく首都圏版です。地方の式場にそのまま当てはまるとは言えません。また280人という人数では、数ポイントの動きは誤差の範囲に入ります。以下では、動きが10ポイントを超えたところだけを「動いた」と書きます。
フェアに行く人の割合は動いていない
まず、フェアに行った人の割合です。首都圏の2018年から2024年までは次のとおりです。
- 2018年:71.9%
- 2019年:66.8%
- 2020年:70.2%
- 2021年:73.1%
- 2022年:68.0%
- 2023年:71.6%
- 2024年:71.1%
7年間、67%から73%の間に収まっています。コロナ禍の前後でも動いていません。式場探しをする新郎新婦の約7割が、フェアには行く。この前提は変わっていないということです。
減ったのは、行く人の数ではなく、行った先で体験するものの種類です。
訪問先の数と、予約したのに行かなかった数
もう少し周辺の数字を見ておきます。
フェアに行った人が訪ねた会場数は、2024年の平均が2.6ヶ所でした。2023年は3.0ヶ所、2018年は2.9ヶ所なので、少し減っています。
内訳を見ると、1ヶ所だけだった人が31.8%で、7年間で一番多い値です。2018年は26.5%でした。反対に5ヶ所以上は10.0%で、7年間で一番少なくなっています。2018年は14.6%でした。
ただし、2023年から2024年の1年で1ヶ所だけの人が24.9%から31.8%に跳ねたのは、人数の少なさ(2023年は353人、2024年は280人)も効いていると思います。傾向として「回る数が少し減っている」までは言えますが、「1ヶ所で決める人が増えた」と言い切るには、来年の数字も見たいところです。
予約のほうは、披露宴を実施した人全体で見て、フェアを1件も予約しなかった人が17.5%、予約した人の平均は2.3ヶ所でした。
予約したのに行かなかったフェアがある人は、予約者の25.2%(100%から、全て訪問した74.1%と無回答0.7%を引いた値)です。4人に1人は、予約を入れた会場のどこかを実際には訪ねていません。内訳は1ヶ所が17.9%、2ヶ所が6.2%、3ヶ所が1.0%でした。
仮予約をした会場数は、平均で1.0ヶ所です。55.6%が1ヶ所だけ仮予約して、25.6%は仮予約をしていません。2018年からほとんど変わっていません。フェアをいくつ回っても、仮予約を入れるのは1ヶ所という形は、7年間ずっと続いています。
つまり、フェアで見てもらえるのは平均2〜3ヶ所で、そのうちの1ヶ所に絞られます。同じ日の中で、自分の会場が「覚えられる1ヶ所」になる設計が要る、という話になります。
参加した体験の中身
ここから本題です。フェアに行った人が「どんな内容のフェアに行ったか」という設問の結果を、2018年と2024年で並べます。複数回答です。
| 内容 | 2018年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 会場見学 | 92.3% | 90.4% |
| 試食 | 91.2% | 88.9% |
| 模擬挙式 | 49.5% | 28.2% |
| 演出体験 | 37.8% | 27.9% |
| パーティー(披露宴)の疑似体験 | 29.2% | 18.2% |
| 試着 | 18.3% | 13.2% |
会場見学と試食は、ほとんど動いていません。動いたのは、その下の4つです。模擬挙式は21.3ポイント、パーティーの疑似体験は11.0ポイント、演出体験は9.9ポイント減っています。
ここは断定を避けたいところです。この数字が「新郎新婦が模擬挙式を選ばなくなった」のか、「式場側が模擬挙式つきのフェアを減らした」のかは、この表だけでは分かりません。体験した、という結果しか聞いていないからです。ただ、どちらの場合でも、フェアに来た人が模擬挙式を目にする確率は、6年前の約6割になっています(28.2÷49.5=57%)。
役に立ったと答える割合
この調査には、もう1つ設問があります。「役に立ったブライダルフェアの内容」です。これも複数回答で、同じフェア訪問者に聞いています。
2024年の結果は次のとおりです。
- 会場見学:80.7%
- 試食:79.6%
- 模擬挙式:15.7%
- 演出体験:13.9%
- パーティーの疑似体験:10.7%
- 試着:5.4%
見学と試食が突き抜けていて、残りは2割に届きません。
ただし、この比較には落とし穴があります。分母が違うのです。会場見学はほぼ全員が参加していて、模擬挙式は3割弱しか参加していません。参加者が少ないものの「役に立った」が小さく見えるのは、当たり前に起きます。
そこで、僕のほうで計算し直しました。「参加した」と答えた人の中で「役に立った」と答えた人の割合を、役に立った%÷参加した%で出します。役に立ったと答えた人は、その内容に参加した人のはずなので、この割り算は成り立つと考えました。ただし調査の公表値ではなく、僕の試算です。
| 内容 | 2018年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 会場見学 | 86% | 89% |
| 試食 | 87% | 90% |
| 模擬挙式 | 61% | 56% |
| 演出体験 | 52% | 50% |
| パーティーの疑似体験 | 61% | 59% |
| 試着 | 42% | 41% |
並べてみると、見方が変わります。模擬挙式は、参加した人の5〜6割が役に立ったと答えています。見学と試食の9割には及ばないものの、悪い数字ではありません。2018年からの変化も、5ポイント程度で、誤差の範囲です。
分かったことは2つあります。1つは、見学と試食が突出して役に立っているのは、本当だということです。もう1つは、模擬挙式や演出体験は、参加した人の評価が極端に低いわけではないのに、参加する人の割合が下がっている、ということです。
評価が落ちたから減ったのではないとすると、減った理由は別のところにあるはずです。フェアの設計、予約時の選び方、1日に回る件数。どれが効いているのかは、この表から言えません。
試食だけ、別の数字がある
試食は、もう少し詳しく聞かれています。
会場を決める前に試食をした人のうち、「試食をしてよかった」と思う人は95.8%(2024年、236人)でした。2018年は92.6%で、7年間ずっと9割を超えています。
もう1つ、見落としやすいのは費用です。試食の費用が「必要だった」人は20.3%で、78.4%は「必要なかった」と答えています。この割合も2018年(21.3%)からほぼ同じです。5人に4人は無料で試食しているということです。
無料の試食は、参加者の9割が役に立ったと答える、満足度の高い体験です。そこに費用の原価が乗っているので、式場にとっては安くない数字のはずですが、この調査は原価を聞いていません。
時間配分に置き換える
ここからは数字ではなく、僕の考えです。調査の結果から直接導いたものではなく、置き換えた話として読んでください。
仮に、フェアの1組あたりの滞在時間が3時間だとします。この3時間の内訳を、参加した人の「役に立った」の割合の高いものから順に配るなら、見学と試食にまず厚みを持たせることになります。この2つは、参加者の約9割が役に立つと答えているからです。
模擬挙式や演出体験は、参加した人の半分は役に立ったと答えています。やめる理由はありません。ただし、時間を取るなら、参加した人の半分にしか届かないという前提が要ります。
逆に、試着は参加した人の4割強です。もともと参加者が1割台なので、フェアの目玉にするには弱いかもしれません。もちろん、試着は衣装の収益や成約に別の効き方をするはずなので、フェアの評価だけで決めるのは危ないです。
もう1つ見ておきたいのは、時間よりも「どの順番で見せるか」です。来場者は平均2〜3ヶ所を回り、1ヶ所に仮予約します。最初に見学と試食の「確実に評価される部分」を置いて、模擬挙式などはその後に置く、という順番は、検討の余地があると思います。これも仮説で、調査では確かめていません。
見直すときの数字
自分の会場で確かめるなら、次の数字を取ればいいと思います。
- フェア来場者のうち、模擬挙式に参加した割合と、その後の成約率
- 試食まで行った組と、見学だけで帰った組の成約率の差
- 予約したのに来なかった組の割合(調査では予約者の25.2%)
調査の数字は、首都圏の平均です。自分の会場の組数で出した数字のほうが、判断にはずっと効きます。特に、模擬挙式の参加者と非参加者の成約率の差が取れていれば、「減らしていいのか」に答えが出ます。
まとめ
- 首都圏でフェアに行く人は、7年間ずっと約7割で動いていない(2024年は71.1%)
- 模擬挙式の参加は49.5%から28.2%、演出体験は37.8%から27.9%に減った。会場見学と試食は約9割のまま
- 「役に立った」を参加者あたりに直すと、見学89%、試食90%、模擬挙式56%、演出体験50%(僕の試算)
- 模擬挙式の評価は6年前と大きく変わっていない。減ったのは評価ではなく、参加する人の割合
- 訪問先は平均2.6ヶ所で、仮予約は平均1.0ヶ所。見てもらえる数が少ないぶん、1回のフェアの中身が重い
- 数字は首都圏の2024年調査1本の結果。自分の会場では、体験別の成約率を取ってから決める
