来館・成約

ブライダルフェアで「役に立った」と言われるのは、見学と試食の8割。模擬挙式は1割強

ブライダルフェアで、新郎新婦が「役に立った」と答える内容は、思っているほど散らばっていません。

ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、フェアに行った人の約8割が、会場見学と試食を「役に立った」と答えています。一方、模擬挙式は、参加した人が24.5%、役に立ったと答えた人が12.7%でした。

フェアの企画会議では、毎月のように新しい体験を足す話が出ます。でもこの数字を見ると、足し算の前に確かめておきたいことがあります。新郎新婦が実際に判断材料にしているのは、どの部分か。今回は、リクルートの一次資料を読み、フェアの中身ごとの「参加率」と「役に立った率」を並べて、時間と手間の置き場所を考えます。

調査の範囲と、数字の読み方

まず、数字の出どころを書いておきます。

  • 調査:リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」(2024年10月25日公表)
  • 対象:2023年4月から2024年3月に挙式や披露宴を実施した、『ゼクシィ』読者とネット会員
  • 全国の数字:15地域別の婚姻件数(令和4年の厚生労働省人口動態統計)に合わせて重みづけした推計値
  • 首都圏の数字:回答者394組、うちフェアに行った人は280組

注意したいのは、これが「実際に結婚式を挙げた人」への調査で、『ゼクシィ』の読者という偏りがある点です。式を挙げなかった人、他の媒体で探した人は入っていません。ですから、全国の新郎新婦の行動そのものではなく、ゼクシィ経由で式を挙げた層の行動として読みます。

もう1つ。フェアの中身の質問は、フェアに行った人だけが答えています。「参加した内容」も「役に立った内容」も複数回答です。ここから、僕が計算で出す「参加した人のうち役に立ったと答えた割合」は、元の調査に載っている数字ではありません。役に立った%を、参加した%で割っただけの、おおまかな目安です。参加していない人が「役に立った」を選ぶことは、質問の作りから考えて通常ありません。ですから割り算としては筋が通りますが、目安として扱います。

71.2%がフェアに行き、平均2.6か所を回っている

中身の前に、フェア自体の数字を整理します。

全国の推計値では、検討期間中にブライダルフェアへ出かけた人は71.2%です。出かけなかった人は28.1%でした。約7割は行っています。

行った人が回った数を見ると、次のとおりです。

  • 1か所:30.9%
  • 2か所:23.2%
  • 3か所:23.1%
  • 4か所:12.1%
  • 5か所以上:10.0%
  • 平均:2.6か所

1か所だけの人が約3割。3か所以上を合わせると45.2%になります。半分近くが3か所以上回る一方で、約3割は1か所で終えている。回る数は、かなり開いています。

予約の数字も見ておきます。フェアを予約した数は、全国推計で平均2.2か所です。予約はしたのに行かなかったフェアがある人は、予約した人のうち約22%いました。内訳は、予約したフェアを全て訪問した人が77.9%、1か所行かなかった人が15.5%、2か所が4.7%という並びです。5人に1人強は、予約を入れたのに、どこかのフェアに行っていません。

ここで、フェア当日の「中身」の話に移ります。予約した人の2割強が来ない中で、来てくれた人に何を見せるか。その時間の使い方を数字で見ていきます。

参加率と「役に立った」率を並べる

全国推計値で、フェアに行った人の参加内容と、役に立った内容を並べます。

内容 参加した 役に立った 参加者のうち役に立った割合(僕の計算)
会場見学 90.8% 81.6% 約90%
試食 91.3% 81.1% 約89%
模擬挙式 24.5% 12.7% 約52%
演出体験 29.4% 15.8% 約54%

会場見学と試食は、ほぼ全員が参加し、参加者の約9割が役に立ったと答えています。模擬挙式と演出体験は、参加者が2〜3割にとどまり、役に立ったと答えた人は参加者の半分強です。

この表で目を引くのは、ほぼ同じ数字が2つ並んでいる点です。見学の81.6%と試食の81.1%。どちらも、フェアに行った人の8割以上が役に立ったと言っています。そして模擬挙式の12.7%は、その6分の1ほどです。81.1÷12.7を計算すると6.4倍になります。

誤解してほしくないのは、模擬挙式が「悪い」という話ではないことです。模擬挙式に参加した人の約半数は、役に立ったと答えています。ただ、フェアに行った全員を母数にすると、役に立ったと言う人は8人に1人。この体験は、全員に効くのではなく、一部の人に深く効く種類のものだと読むほうが実態に近いと思います。

首都圏の7年の推移:模擬挙式の参加は49.5%から28.2%へ

次に、時間の動きを見ます。首都圏版には、2018年から2024年までの7年分の推移が載っています。

フェアで参加した内容(首都圏):

年 会場見学 試食 模擬挙式 演出体験
2018 92.3% 91.2% 49.5% 37.8%
2019 87.1% 92.3% 40.1% 30.6%
2020 92.1% 91.5% 36.8% 33.3%
2021 90.5% 93.6% 34.0% 26.5%
2022 89.8% 92.6% 30.8% 29.2%
2023 96.3% 94.3% 28.3% 35.4%
2024 90.4% 88.9% 28.2% 27.9%

会場見学と試食は、87%から96%の間を動いているだけで、7年を通じてほぼ変わりません。模擬挙式は、49.5%から28.2%へ、7年で21.3ポイント下がりました。

役に立った内容(首都圏)はこうです。

年 会場見学 試食 模擬挙式 演出体験
2018 79.1% 79.3% 30.3% 19.8%
2019 78.2% 76.4% 23.8% 15.3%
2020 81.3% 78.8% 23.2% 18.1%
2021 82.5% 80.6% 19.4% 15.8%
2022 81.8% 78.2% 16.6% 16.0%
2023 89.5% 83.0% 15.3% 20.4%
2024 80.7% 79.6% 15.7% 13.9%

模擬挙式の「役に立った」は、30.3%から15.7%へ、ほぼ半分になりました。会場見学と試食は、80%前後で変わりません。

ここで時期に注意します。模擬挙式の減少は、2018年の49.5%から2019年の40.1%へ、すでにコロナ禍の前から始まっています。コロナ禍で一気に減って戻っていない、という単純な話ではありません。2023年、2024年は28%台で止まっていて、コロナ前の水準には戻っていないという見方はできます。ただし、7年のデータだけで原因まで言い切ることは僕にはできません。増やさなくなったのか、新郎新婦が選ばなくなったのか、フェアの組み方が変わったのか。この調査は、そこまで教えてくれません。

もう1つ、首都圏で2024年に起きている小さな動きがあります。会場見学が96.3%から90.4%に、試食が94.3%から88.9%に、前年から5〜6ポイント下がりました。2023年が高く出ていた年なので、2022年までの水準(約90%と約93%)に戻ったとも読めます。1年の動きで結論は出せません。見学や試食を省く動きが始まったと決めつけず、来年の数字を見る材料として持っておくのが妥当です。

地域で見ると、フェアの行き方も、模擬挙式の参加率も開く

全国推計は、地域の差を平らにならした数字です。15地域の数字を見ると、かなり開いています。

フェアに出かけた人の割合:

  • 長野・山梨:84.7%
  • 静岡:83.8%
  • 新潟:82.1%
  • 首都圏:71.1%
  • 関西:64.9%
  • 東海:64.7%
  • 北海道:62.1%

最高と最低で22.6ポイントの差があります。北海道、東海、関西では3人に1人以上がフェアに行かず、長野・山梨、静岡、新潟では行かなかった人が6人に1人ほどです。

模擬挙式の参加率(フェアに行った人のうち)も開きます。

  • 新潟:30.6%
  • 青森・秋田・岩手:29.9%
  • 首都圏:28.2%
  • 九州:18.4%
  • 宮城・山形:17.0%
  • 北海道:16.5%
  • 福島:12.0%

福島の12.0%と新潟の30.6%では、2.5倍違います。模擬挙式で役に立ったと答えた割合も、福島は6.8%、北海道は10.8%、全国は12.7%です。

ただし、地域別の回答数は150前後から280程度で、福島は117組、新潟は147組です。数ポイントの差は誤差の範囲に入ります。見るべきは順位ではなく、地域によって模擬挙式を「やる会場が少ない」可能性がある、という大まかな傾向です。自分の商圏で模擬挙式がどのくらい競合に並んでいるかは、地域平均より、近隣の競合のフェアの告知を数えたほうが確かです。

フェアの1時間に、どの内容が何分使われているか

数字から、会場側の時間配分を考えます。

ここからは僕の推計で、調査の数字ではありません。考え方を示すための仮置きです。

仮に、3時間のフェアを次のように組んでいる会場があるとします。

  • 会場見学:40分
  • 模擬挙式:30分
  • 試食:50分
  • 相談・見積もり:60分

この会場で、模擬挙式の30分に、1回あたりスタッフ3人が1時間半(準備と片付けを含む)かかっているとします。1回4.5時間です。人件費を1時間2,000円と置くと、1回9,000円。月に20回開催すると18万円、年間で216万円になります。

この数字は全部仮定です。人数、時間、時給、回数のどれも、実際の会場とは違います。大事なのは、式の形です。

年間コスト = 1回あたりの人手(時間)× 時給 × 年間開催回数

自社の数字を入れて計算してみると、「模擬挙式に年間いくらかけているか」がわかります。ここに、調査の数字をぶつけます。フェアに行った人のうち、模擬挙式を役に立ったと答える人は12.7%です。仮に、年間のフェア参加者が600組なら、役に立ったと答える人は約76組という計算になります。216万円を76組で割ると、約2.8万円です。「役に立った」と言ってくれた1組あたり、約2.8万円の人手がかかっている計算になります。これが高いか安いかは、その1組が成約にどれだけ近づいたかで決まります。模擬挙式の効果は、成約への影響として自社で数えるのが筋です。

「役に立った」は成約ではない。自社の数字で確かめる3つの切り口

ここまでの数字は、新郎新婦の「感想」です。感想と成約は別物です。模擬挙式が役に立たなかったと答える人でも、その会場で契約している人はいますし、その逆もあります。

業界の数字を、自社の判断に変えるために、フェアのアンケートか成約後の聞き取りで、次の3つを数えます。

1. 内容ごとの参加と成約。 フェアに来た組のうち、模擬挙式に参加した組と、参加しなかった組で、その後の成約率がどれだけ違うか。差がなければ、手間に見合う根拠が薄くなります。差があっても、参加する人が元々意欲の高い人だった可能性は残ります。それでも、数字を見ないよりは判断に近づきます。

2. 成約者が挙げる決め手。 成約したカップルに「フェアのどの内容が決め手になりましたか」と聞きます。全国の「役に立った」の数字と、自社の成約者の声が、近いか違うか。ここで違う場合、自社には自社の勝ち筋があるということです。

3. 来なかった人の理由。 予約したのに行かなかった人は、約22%います。この人たちの理由を、ひとつでも聞けているか。予約から当日までの間に、何が起きているのか。フェアの中身を磨く前に、そもそも当日来てもらうための連絡の設計が効く場合もあります。

見学と試食を「ほぼ全員が体験する必須科目」として扱う

調査が教えてくれる、いちばん確かな点は、見学と試食です。

参加が9割を超え、役に立ったと答えるのが8割を超える。しかも7年間ほとんど動かない。この内容は、フェアの中身というより、フェアの前提条件に近いものです。

会場見学は、その会場の雰囲気を確かめる時間です。試食は、料理の質を確かめる時間です。結婚式の費用の中でも、料理と飲み物は大きな割合を占めます。新郎新婦にとっても、ゲストにとっても、試食の満足は直接の体験です。

だからこそ、次のことを確認する価値があります。

  • 見学の動線は、新郎新婦が当日の流れを想像できる順番になっているか
  • 試食は、実際の披露宴で出る料理と、どれくらい近いか
  • 見学と試食の間に、待ち時間や案内の抜けがないか

模擬挙式や演出体験を足すことより、まず見学と試食の質を落とさない。これが、数字から導ける最初の優先順位です。

模擬挙式は「やめる」ではなく「見せ方を選ぶ」

模擬挙式の数字を見て、「やめるべきだ」と判断するのは早計です。数字が示すのは、全員に必要とは限らない、ということだけです。

模擬挙式の参加者の約半数は、役に立ったと答えています。この半分には、挙式の演出が会場選びの核になる人が含まれるはずです。たとえば、挙式の雰囲気を重視する人、親族の参列を重く見る人、教会式やチャペルを譲れない人。

そうであれば、全員にいきなり参加を勧めるのではなく、事前のヒアリングで「挙式で気になっていること」を聞いて、必要な人に提案する形が考えられます。参加した人の満足は半分強、全員に勧めて半分が「役に立たなかった」と感じるなら、時間の使い方としては損です。

この形にするなら、フェアの予約フォームに、挙式で重視する点を選ぶ項目を1つ足すだけで足ります。これも、僕の案であって、効果が確かめられた手法ではありません。自社で1か月試して、参加者の評価が変わるかを見る程度の小さな実験から始めるのがいいと思います。

まとめ

ゼクシィ結婚トレンド調査2024から、ブライダルフェアの中身について言えることを整理します。

  • 検討期間中にフェアへ行った人は全国推計で71.2%で、平均2.6か所を回っている。1か所だけの人が30.9%、3か所以上が45.2%
  • 参加した人の約9割が、会場見学と試食を役に立ったと答えている(全国:見学81.6%、試食81.1%)。模擬挙式は12.7%、演出体験は15.8%で、参加者のうち役に立ったと答える割合は約半分
  • 首都圏の7年の推移では、模擬挙式の参加が49.5%から28.2%へ、役に立ったが30.3%から15.7%へ下がった。減少はコロナ前の2019年から始まっている。見学と試食は80〜90%台でほぼ動いていない
  • フェアに行く割合は地域で開く(長野・山梨84.7%、北海道62.1%)。模擬挙式の参加率も福島12.0%から新潟30.6%まで開くが、地域別の回答数は少なく、順位ではなく傾向として読む
  • 「役に立った」は感想であって成約ではない。内容ごとの参加と成約率、成約者が挙げる決め手、予約したのに来なかった人の理由の3つを、自社で数えて判断する