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式場の半年先の挙式数は、見学数でなく成約済みの組数で読む

月次の会議で、先月の来館数と成約数を並べて「今月は良かった」「今月は悪かった」と話す式場は多いです。数字そのものは正しくても、その数字が動かすのは、先月や今月の売上ではありません。成約が動かすのは、半年後から1年後の挙式です。

結論から書きます。半年先の挙式数を知りたいときは、来館数ではなく、成約済みで挙式を待っている組数(受注残)を、挙式月ごとに並べて見るのが確実です。来館数は、受注残が数か月後にどう変わるかを知らせてくれる数字で、半年先の挙式数そのものは教えてくれません。

この記事の数字は、成約から挙式までの月数も、月の成約数も、すべて僕が置いた仮のものです。業界の平均ではありません。自分の会場の過去の契約データに置き換えて読んでください。

今日の成約は、今日の売上にならない

結婚式の売上は、挙式を終えた月に立ちます。契約した日ではありません。内金は契約時に入りますが、売上の大半は挙式の月に計上される会場が多いはずです。ここでは、売上は挙式月に立つものとして話を進めます。

そうすると、成約から売上までに時間差が生まれます。たとえば今月に成約した二人の挙式が半年後や、1年近く後になることは珍しくありません。成約から挙式までの月数が人によってばらつくので、今月の成約は、来月から1年後までの複数の月に散らばって挙式になります。

仮に、成約から挙式までの月数が次のように分かれるとします。

  • 3か月:5%
  • 4か月:8%
  • 5か月:10%
  • 6か月:13%
  • 7か月:14%
  • 8か月:14%
  • 9か月:12%
  • 10か月:9%
  • 11か月:6%
  • 12か月:5%
  • 13か月:2%
  • 14か月:2%

これは僕が置いた分布です。山の位置は6〜8か月に置いています。短い人は3か月、長い人は14か月で挙式する、という想定です。会場によって山の位置はまったく違うので、ここは自分の会場の数字で置き換えるところです。

毎月15組を成約している会場の、受注残の姿

毎月15組を成約し続けている会場を考えます。この状態が長く続いているなら、どの月の挙式も、最終的には15組になります(上の分布は合計が100%なので、15組がそのまま挙式月に回ってきます)。

では、今日の時点で、k か月先の挙式月に、すでに何組が埋まっているか。Python で計算すると次のようになります。

何か月先の挙式月か すでに成約済みの割合 組数(最終15組)
1〜3か月先 100% 15.0組
4か月先 95% 14.3組
5か月先 87% 13.1組
6か月先 77% 11.6組
7か月先 64% 9.6組
8か月先 50% 7.5組
9か月先 36% 5.4組
10か月先 24% 3.6組
11か月先 15% 2.2組
12か月先 9% 1.4組

見方は単純です。この仮定のもとでは、6か月先の挙式月は、いまの時点で約77%が埋まっています。8か月先なら半分です。1年先でも1割近くは、もう決まっています。

この表は、会場ごとに作れます。過去の契約日と挙式日が並んだ表があれば、「挙式の何か月前の時点で、最終的な組数の何%が埋まっていたか」を、挙式月ごとに数えるだけです。これを僕は「埋まりの曲線」と呼んでいます。

去年の同じ時点と比べると、遅れが見える

曲線ができたら、次はこう使います。

今日の時点で、6か月先の挙式月に9組が入っているとします。曲線では、この時点で約11.6組あるのが平常です。つまり、平常より2.6組少ない。最終的に15組に届かせるには、残りの6か月で、足りない分を成約する必要があります。

ここで大事なのは、この遅れが見えるのが「今日」だという点です。挙式月の直前に空き日が見えても、そのときに打てる手は、直前割引や特典の追加といった、単価を削る手に寄ります。半年前に見えていれば、打てる手が増えます。

  • フェアの回数や日程を増やす
  • 見学の予約から来館までの間隔を詰める
  • 仮押さえの期限を短くして、保留のまま止まっている日取りを動かす
  • その月の日取りを狙った二人に、空き日を案内する

どれも時間がかかる手です。時間がかかる手を使うには、遅れに早く気づく必要があります。

来館数は、いつ効いてくるのか

では、来館数を見るのは意味がないのかというと、そうではありません。来館数は、成約を経由して、受注残に効いてきます。ただし効くのは、数か月先です。

仮に、毎月の来館が60組で、成約率が25%なら、成約は15組です。ここで来館が先月だけ60組から72組に増えたとします(フェアを増やした月など)。成約率が同じなら、成約が3組増えます。

この3組は、先ほどの分布に従って、3か月先から14か月先の挙式月に散らばります。いちばん多い7〜8か月先の挙式月で、0.4組ほど増えるだけです。

反対に、来館が先月だけ減って、成約が12組に落ちた月がある場合も同じです。落ちた3組は、特定の月に集まらず、1年近くの月に薄く広がります。

実際に、成約が毎月15組のところ、直近3か月だけ12組に落ちたとして計算してみます。いまの時点で、挙式月ごとの成約済みの組数は次のようになります。

挙式月 平常 3か月落ちた後 差
4か月先 14.2組 13.3組 −0.9組
6か月先 11.6組 10.3組 −1.3組
8か月先 7.5組 6.4組 −1.1組
10か月先 3.6組 3.0組 −0.6組

3か月で合計9組を取りこぼしても、ある1つの挙式月で見ると、減るのは多くても1組強です。これが、成約の落ち込みに気づきにくい理由です。月ごとに見れば、「今月はたまたま1組少ないだけ」に見えてしまう。気づいたときには、半年分の月がすべて1組ずつ薄くなっています。

だから、成約数が落ちたときは、挙式月ごとの受注残に直して見ます。1組の遅れを、1つの月の数字として見るのではなく、複数の月にまたがる「うっすらした遅れ」として見る。そうしないと、気づく頃には取り返す時間がなくなります。

去年との比べ方に、2つの注意点がある

埋まりの曲線を去年と比べるときは、注意することが2つあります。

1つ目は、挙式月の中身です。同じ6月でも、大安の土日の数は年によって違います。人気日が多い年は、同じ時点でも埋まりが早く出ます。去年と比べるなら、組数そのものより「人気日の埋まり」と「それ以外の埋まり」を分けて見たほうが、実態に近くなります。

2つ目は、キャンセルです。受注残には、あとでキャンセルになる組が混ざっています。挙式の直前に近づくほどキャンセルは減るので、遠い月の受注残は、実際より多めに見えているかもしれません。キャンセル率を仮に3%と置くなら、12か月先の「1.4組」は、1.36組くらいの重さで見ておく、という扱いです。自分の会場のキャンセル率が分かるなら、その分だけ割り引いて見ます。

どちらも、受注残を「確定した売上」ではなく、「確率つきの売上」として扱う、という話です。

毎月の会議に載せる表は、3列でいい

実務に落とすなら、毎月の会議に出す表は、次の3列で足ります。

  • 挙式月(今月から12か月先まで)
  • 現在の成約済みの組数
  • 去年の同じ時点の成約済みの組数

この表は、スプレッドシートで作れます。契約日、挙式日、キャンセルの有無の3つの列があれば、挙式月ごとに数えて、去年の同日のデータと並べるだけです。

見るのは、去年より少ない月です。少ない月が1〜2つなら、日取りの偏りで説明がつくことが多い。少ない月が連続して並んでいたら、成約が落ちた時期があったということなので、そこから逆算して、その時期に何があったかを確かめます。フェアの日程が減った、見学の予約導線を変えた、媒体の掲載が止まった、といった原因が出てくるはずです。

来館数や成約率は、その原因を探すときの二次資料になります。先に受注残で遅れを見つけ、その後で来館数や成約率に戻って、どの段階で落ちたかを調べる。順番を逆にすると、来館数が増えている月を見て安心してしまいます。

山の位置が変わると、見るべき時期も変わる

先ほどの分布は、山を6〜8か月先に置きました。この山が前にずれると、見るべき月も前にずれます。

たとえば、日取りを直前に決める二人が増えて、成約から挙式までの山が4〜5か月先に寄ったとします。すると、8か月先の挙式月は、いまの時点でほとんど埋まっていません。この場合、8か月先の埋まりが低くても、それは異常ではなく、普通の姿です。逆に、同じ会場が6か月先の埋まりで去年より低ければ、遅れの意味は重くなります。

つまり、受注残を見るときの基準は、「何か月先の月を見るか」を会場の実績で決めることです。成約から挙式までの月数の分布は、年に1回は取り直しておくと、基準がずれません。分布が変わっていることに気づくだけでも、日取りの決め方の変化という、それ自体が大事な情報になります。

受注残を見ても、分からないこと

最後に、この見方の限界も書いておきます。

受注残は、すでに決まった挙式の組数を教えてくれます。これから成約する組数は教えてくれません。たとえば6か月先の挙式月が、いま77%埋まっているとしても、残りの23%が埋まるかどうかは、来館数と成約率と日取りの空きで決まります。

また、受注残は単価を教えてくれません。組数が平常でも、少人数の挙式が増えていれば、売上は計画に届きません。組数の曲線に加えて、成約済みの1組あたりの見積もり総額も、挙式月ごとに並べておくと、組数と単価のどちらで遅れているかが分かります。

そして、この記事の数字は、仮の分布から出した計算です。山の位置が違う会場、たとえば成約から挙式までが短い会場では、曲線の形は大きく変わります。計算の方法だけを持ち帰って、数字は自分の会場のデータで置き直してください。

まとめ

  • 結婚式の売上は挙式月に立つので、今月の成約は、数か月先から1年後の複数の月に散らばって売上になる
  • 半年先の挙式数は、来館数ではなく、挙式月ごとの受注残(成約済みの組数)で読む
  • 過去の契約日と挙式日から「挙式の何か月前に何%埋まっていたか」の曲線を作り、去年の同じ時点と並べると、遅れが半年前に見える
  • 仮の計算では、成約が3か月だけ月3組落ちると、挙式月ごとの減りは多くても1組強で、月単位では見えにくい
  • 去年と比べるときは、人気日の数の違いとキャンセルの混ざりを分けて見る
  • 受注残は組数の遅れを教えるもので、これから成約する組数や単価は別の表で見る