出生数は2000年の119万人から2025年の67万人へ。ただ、式場の客層が実際に減るのは2045年以降で、2035年までは1割減に収まる
2025年に生まれた赤ちゃんは67万1,236人でした。2000年は119万547人なので、25年で44%減っています。
この数字を見ると、「結婚式の客層もこの勢いで減っていく」と思いたくなります。ただ、2025年に生まれた子が結婚式の年齢になるのは、2050年代の半ばです。いま式場に来ている二人は、1990年代に生まれた人たちです。出生数の減りは、結婚式の客層には30年ほど遅れて届きます。
今日は、出生数の年次表を並べて、「どの年に生まれた人が、何年に式場に来る年齢になるか」を数えます。そのうえで、年間120組の仮の式場に当てはめて、組数がどの年にどれだけ動くかを計算します。式場の数字は、割り算の形を見るための仮のものです。
出生数の表を、結婚する年に読み替える
使うのは、厚生労働省の人口動態統計をもとにした出生数です。1995年から2021年までは国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集、2024年と2025年は厚生労働省の発表を伝えた記事の表から取りました。
| 生まれた年 | 出生数(人) | 2000年を100とした指数 |
|---|---|---|
| 1995年 | 1,187,064 | 99.7 |
| 2000年 | 1,190,547 | 100.0 |
| 2005年 | 1,062,530 | 89.2 |
| 2010年 | 1,071,305 | 90.0 |
| 2015年 | 1,005,721 | 84.5 |
| 2020年 | 840,835 | 70.6 |
| 2021年 | 811,622 | 68.2 |
| 2024年 | 686,173 | 57.6 |
| 2025年 | 671,236 | 56.4 |
2024年は確定数で、2025年は概数です。概数は確定数で多少修正されることがあります。
表の形で目に入るのは、減り方が一定ではないことです。1995年と2000年はほぼ同じで、2005年に1割ほど下がります。その後の2010年は2005年とほぼ同じで、2015年が少し下がります。大きく落ちるのは2020年以降です。2015年の100万5,721人から2020年の84万835人まで、5年で16%減っています。
「少子化が続いている」という言い方だと、毎年なだらかに減っているように聞こえます。実際は、足踏みの時期と急に落ちる時期があります。この足踏みが、結婚式の客層に効いてきます。
結婚する年に置き換える
次に、生まれた年を結婚する年に置き換えます。必要なのは、結婚する年齢の仮置きです。
僕は30歳で置きます。厚生労働省の統計では、初婚の平均年齢は妻が29〜30歳前後、夫が31歳前後です(2024年の概況で夫31.1歳、妻29.8歳と書かれています)。式を挙げるのは入籍の少し前後になることもあり、年齢にもばらつきがあります。30歳はその真ん中あたりの仮置きです。
ここから先の計算は、次の前提で進めます。
- 生まれた年に30を足した年が、その世代の結婚のピークの年になる
- 各世代のうち、結婚して式を挙げる人の割合は、いまと変わらない(あとで動かします)
- 仮の式場は、商圏の挙式のうち同じ割合を取り続ける。年120組は、2000年生まれの世代が30歳になる2030年の姿とする
- 海外との出入りや、生まれたあとの死亡・転出は無視する
この前提で、年ごとの組数を並べます。
| 結婚の年(仮) | 生まれた年 | 出生数(人) | 仮の式場の年間組数 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | 1995年 | 1,187,064 | 120組 |
| 2030年 | 2000年 | 1,190,547 | 120組 |
| 2035年 | 2005年 | 1,062,530 | 107組 |
| 2040年 | 2010年 | 1,071,305 | 108組 |
| 2045年 | 2015年 | 1,005,721 | 101組 |
| 2050年 | 2020年 | 840,835 | 85組 |
| 2054年 | 2024年 | 686,173 | 69組 |
| 2055年 | 2025年 | 671,236 | 68組 |
計算式は、120組に「その年の出生数÷2000年の出生数」を掛けているだけです。たとえば2050年は、120組×840,835÷1,190,547で84.8組、つまり85組です。
読み取れること
この表から言えることを三つに分けます。
2030年までは、人数の面では動かない
いま結婚の年齢にいる世代は、1995年前後に生まれた人たちです。この世代は2000年生まれとほぼ同じ大きさです。人数だけで見れば、2030年ごろまでは「世代の大きさが減って、式場の組数が減る」という動きは起きません。
いま式場の現場で感じている件数の減りは、世代の人数の話ではない、ということです。同じ年齢の中で結婚する人が減っているか、結婚しても式を挙げない人が増えているか、のどちらかになります。実際、結婚式をしない人の割合は、調査によって14.7%から26.3%まで開く、という整理を以前の記事で書きました。人数の波が来る前から、割合の側では動いています。
2035年に1割減って、そのあと2045年までは横ばいに近い
2035年に結婚の年齢になるのは2005年生まれです。2000年生まれより10.8%少なく、仮の式場では120組が107組になります。13組の差です。
ただ、そのあとの2040年は108組で、ほとんど戻っています。2045年も101組で、2035年から6組しか減りません。出生数が足踏みしていた2005年から2015年の世代が、結婚の年齢にいる間は、人数の面では穏やかです。2025年から2045年までの20年で、120組が101組まで、16%の減りです。
この「穏やかな20年」を、毎年なだらかに減る20年だと読むと、判断を誤ります。2035年に一度1割減って、そのあとは横ばいに近い、という階段の形です。
2050年代に、一気に落ちる
出生数が大きく落ちたのは2020年以降です。この世代が結婚の年齢になる2050年に、仮の式場の組数は85組になります。2045年の101組から5年で16組、16%減ります。2054年には69組で、2025年の120組の6割を切ります。
世代の大きさだけで、式場の商圏の挙式は2050年代に4割以上減る計算です。同じ組数を保つには、商圏の挙式のうち取るシェアを、120÷69で約1.74倍にしなければなりません。
結婚する割合が下がると、どうなるか
ここまでは、各世代の中で結婚して式を挙げる人の割合が変わらない前提でした。この前提を動かします。
仮に、割合が10年ごとに1割ずつ下がるとします。2025年を1として、2035年は0.9、2045年は0.81、2055年は0.729です。世代の大きさに、この割合を掛けます。
| 結婚の年(仮) | 世代の大きさだけ | 割合が10年で1割下がる場合 |
|---|---|---|
| 2035年 | 107組 | 96組 |
| 2045年 | 101組 | 82組 |
| 2055年 | 68組 | 49組 |
世代の大きさと割合の低下が重なると、2045年に82組、2055年に49組です。2055年の49組は、2025年の120組の4割です。
「10年で1割」はあくまで仮置きで、実際にその速さで下がるという意味ではありません。見てほしいのは、人数の波は2045年まで穏やかでも、割合の側が動くと、2045年の時点で2割近く減る、という二つの要因の重なり方です。
投資の回収期間と、見る年
この計算が経営の判断に効くのは、設備投資と借入の期間です。
10年で回収する投資なら、見る年は2036年までです。この範囲では、世代の大きさは2035年に1割減る程度で、そのあとの横ばいに近い期間が回収期間の後半に当たります。人数の波で組数が大きく崩れる時期は、回収期間に入りません。
一方、20年かけて返す借入や、20年使う前提の改装なら、見る年は2046年までです。世代の大きさは101組までで、まだ16%減に収まります。ここでも、人数の波だけで計算が崩れることは少ないです。問題になるのは、割合の側の動きです。
30年を超える長さで考えるなら、話が変わります。建物そのものの減価償却や、土地を含めた事業の継続を考える場合、2050年代の4割減は織り込む必要があります。
つまり、投資の期間によって、効いてくる要因が違います。
- 10年以内:世代の大きさはほぼ効かない。効くのは、結婚式をしない人の割合と、近隣の式場との競合
- 20年前後:世代の大きさが1割台で効く。割合の低下と重なると2割になる
- 30年以上:世代の大きさが4割で効く。割合の低下が重なると、半分以下もありうる
商圏の数字に置き換える
全国の出生数は、そのまま式場の商圏には当てはまりません。商圏によって、生まれた子どもの数の推移は違います。東京への流入が続く地域と、若い世代が出ていく地域では、同じ全国の出生数でも、10年後の20代後半から30代前半の人数は違います。
自分の商圏で同じ計算をするには、市区町村の年齢別人口を使います。国勢調査や住民基本台帳の年齢別人口なら、いま0歳から10歳の子どもの数と、20代の人数を並べて見られます。
手順は三つです。
- 商圏の市区町村について、いま25〜34歳の人数を出す
- 同じ商圏で、いま15〜24歳と5〜14歳の人数を出す
- 15〜24歳が25〜34歳に入る10年後と、5〜14歳が入る20年後の人数を、いまの25〜34歳と比べる
商圏の外に出る人の数は、この計算に入っていません。ただ、いまの年齢別人口の形を見るだけで、10年後と20年後の客層の大きさは、全国の出生数よりも自分の商圏に近い形で見えます。
まとめ
- 2025年の出生数は67万1,236人で、2000年の119万547人の56%。ただ結婚式の客層に届くのは30年ほど先
- 結婚年齢を30歳と仮置きすると、世代の大きさは2030年まで同じで、2035年に1割減って、2045年まで101〜108組で横ばいに近く、2050年に85組、2055年に68組になる(年120組の仮の式場、シェア一定の場合)
- いま現場で感じている件数の減りは、世代の人数ではなく、結婚する人・式を挙げる人の割合の側の動きが中心
- 割合が10年で1割ずつ下がると仮定すると、2045年は82組、2055年は49組。世代の大きさと割合の低下が重なる
- 10年で回収する投資は世代の大きさをほぼ気にしなくてよく、20年なら1〜2割、30年以上なら4割を織り込む
- 自分の商圏では、いまの5〜14歳と15〜24歳の人数を、25〜34歳と比べると、10年後・20年後の客層が見える
