2025年の婚姻届は7月が5.9万組、9月は2.8万組と2.1倍開く。でもこの山を来館計画に写すと、月の人員配置を読み違える
2025年の婚姻届は、月によって2倍以上違います。最も多かった7月が5万8,764組、最も少なかった9月が2万7,503組です。比べると2.1倍です。
この山の形を見ると、「婚姻が多い月は、式場も忙しいはず」と考えたくなります。ただ、婚姻届を出した月と、式を挙げる月と、式場を見に来る月は、三つとも別の月です。山をそのまま来館計画に写すと、人員配置も広告の出しどきも読み違えます。
今日は、厚生労働省の月別の婚姻件数を並べて、山の形を確かめます。そのうえで、仮の式場にこの形を当てはめると何が起きるかを計算し、自分の会場の実績で月のずれを測る手順まで書きます。式場も数字も、割り算の形を見るための仮のものです。
2025年の月別婚姻件数
使うのは、厚生労働省の人口動態統計速報です。2025年1月分から12月分までを、月ごとに並べました。
| 月 | 婚姻件数(組) | 年間に占める割合 |
|---|---|---|
| 1月 | 34,204 | 6.8% |
| 2月 | 41,366 | 8.2% |
| 3月 | 55,762 | 11.0% |
| 4月 | 31,553 | 6.2% |
| 5月 | 43,257 | 8.6% |
| 6月 | 32,419 | 6.4% |
| 7月 | 58,764 | 11.6% |
| 8月 | 42,888 | 8.5% |
| 9月 | 27,503 | 5.4% |
| 10月 | 41,891 | 8.3% |
| 11月 | 49,489 | 9.8% |
| 12月 | 46,560 | 9.2% |
12か月を足すと50万5,656組です。ここで一つ注意があります。速報の数字は、日本における日本人だけでなく、日本における外国人なども含む調査票の枚数です。日本人についてまとめた概数だと、2025年の婚姻は48万9,119組でした。速報の合計は概数より3.4%大きくなります。
月ごとの形は速報で見られますが、絶対数は概数や確定数と食い違います。この記事で使うのは割合のほうで、組数は形を見るための数字だと思ってください。
形を見ると、山は3月、7月、11月から12月にあります。谷は4月、6月、9月です。春と秋に挙式が多い式場の感覚とは、並びがだいぶ違います。
山の理由は、ここからは推測です
7月が最多になった理由を、僕は確かめられていません。2025年の7月7日は月曜日で、令和7年7月7日という数字の揃う日でした。ゾロ目の日に出したい人が多かったのかもしれません。ただ、日別の届出数は今回の資料に出ていないので、これは仮説です。
3月も同じで、年度末の区切りや転勤前に出す人がいる、という説明はよく聞きます。それも、今回の数字から言えることではありません。
はっきり言えるのは次の二つです。
- 婚姻届の月の山は、挙式の月の山と形が違うように見える。ただし、挙式月の分布をここでは数えていないので、並べて比べた結果ではない
- 休日が多い月が必ず山になるわけでもない。2025年で土日が10日ある月は3月、8月、11月です。3月と11月は多いのですが、8月は4万2,888組で、年の中では平均的な位置でした。届出は休日や夜間でも預かってもらえる窓口があるので、カレンダーの土日だけでは説明がつきません
山の理由を決めつけると、そこから間違った打ち手が出ます。理由は分からないまま、形だけを使う場面を考えます。
届出地という落とし穴
もう一つ、数字を使うときの注意があります。都道府県別の表は、届出地による集計です。二人が住んでいる場所ではなく、婚姻届を受け付けた役所の場所です。
2025年12月の速報で、東京都の婚姻は7,572組でした。全国の4万6,560組のうち16.3%です。同じ月の出生数は、東京都が7,455人で、全国6万554人の12.3%です。出生の割合より婚姻の割合が4ポイントほど大きく出ています。
届出が、住んでいる場所とは別の場所に出されていると考えれば、つじつまは合います。勤め先の近く、二人の思い出の場所、実家に近い役所など、理由はいくつも考えられます。これも僕の仮説で、数字だけでは確かめられません。
商圏の婚姻件数を見るとき、都道府県や市の届出数をそのまま二人の居住者数として使うと、東京や大阪のような都市部では大きく出すぎます。逆に、周辺の県は小さく出ます。式場の商圏を考えるなら、届出地の数字は「その役所に出された数」だと割り引いて読みます。
仮の式場に当てはめるとどうなるか
ここからは計算です。前提は僕が置きました。実在の式場ではありません。
- 年間の来館は400組
- 来館の月別の形が、2025年の婚姻届の月別の形とまったく同じ、という仮定を置いてみる
- 月の来館を何組まで1人で受けるかは、担当1人あたり月に20組。これも仮の数字
この仮定のもとで、月の来館を配分します。
| 月 | 来館(組) | 必要な担当(人) |
|---|---|---|
| 3月 | 44.1 | 2.2 |
| 7月 | 46.5 | 2.3 |
| 9月 | 21.8 | 1.1 |
| 4月 | 25.0 | 1.3 |
7月は46.5組で、必要な担当は2.3人です。9月は21.8組で、1.1人です。この計算が合っていれば、7月に3人、9月に1人を置く、という計画が出てきます。
ところが、実際の来館が婚姻届の形に沿っていないとします。極端な場合として、来館が毎月ほぼ同じ33.3組だとします。このときの必要な担当は、毎月1.7人です。
7月に3人を置いても、実際に必要なのは1.7人なので、1.3人分が余ります。逆に9月に1人しか置かないと、必要な1.7人に0.7人足りません。9月の来館33.3組のうち、20組しか受けられず、残りの13.3組は待ってもらうか、断ることになります。
仮に、受けきれなかった13.3組の成約率が20%で、そのうち半分が他社へ流れるとします。13.3組に20%と50%を掛けると、1.3組です。1年のうち1か月でこれが起きれば、年に1組強の成約が減ります。1組あたり350万円とすれば、450万円前後です。
数字は仮のものです。大事なのは形のほうで、婚姻届の山をそのまま来館の山に写すと、実際の来館が違った場合に、ひと月の配置が裏目に出ます。
反対の場合も同じです。実際の来館が7月に偏っているのに、婚姻届は山が小さいからと7月を手薄にすれば、一番来る月に受けきれません。当たっても外れても、グラフを根拠に人を動かすのは、自分の会場の来館実績を一度も見ないまま決めるのと同じです。人の配置を動かす前に、過去の来館の月別を一度出してください。出してみると、婚姻届の形とは似ても似つかない会場も、思ったより似ている会場もあるはずです。どちらなのかは、会場ごとに違います。
婚姻届の月と、来館の月は、何か月ずれるか
では、婚姻届の月と来館の月の関係は、どう考えればよいでしょうか。
二人が式場を探し始めるのは、挙式の平均9.9か月前、決めるのは8.3か月前、という調査があります(リクルートのゼクシィ結婚トレンド調査2024)。この数字を使うなら、来館は挙式の前年の同じ時期に近い月に起きます。婚姻届の月とは、先に入籍して式を後から挙げる人もいれば、式のあとに入籍する人もいて、順番が一定ではありません。
つまり、月別の婚姻届のグラフは「ある月に出した人の数」であって、「その人たちが式場に来た月」は何もわかりません。来館の月は、二人の日付の決め方、入籍の順番、式場を探し始めたタイミングによって、前にも後ろにもずれます。
この話を自分の会場に当てはめるなら、グラフを見るより、自分の実績を3列で並べるほうが早いです。
- 成約した組の来館月
- 同じ組の挙式月
- 同じ組の入籍月(聞いていれば)
3つの列は、すでにシステムか契約書に残っているはずです。入籍月は、聞いていなければ空欄でかまいません。来館月と挙式月の差を、組ごとに出します。これが自分の会場にとっての「ずれ」です。
自分の会場のずれを測る手順
手順は次のとおりです。
- 過去2年ぶんの成約を、来館月、契約月、挙式月で並べる
- 来館から挙式までの月数を、組ごとに出す
- 月数の分布を、短い順に並べて真ん中の値を見る
- 挙式月の希望が多い月から、真ん中の値だけ遡る。その月が来館の山になる
- 来館の月別実績と、遡った月がおおよそ合うかを見る
合っていれば、挙式の希望月が来館計画に使えます。合っていなければ、自分の会場では「日付をまず決めてから会場を探す人」と「会場を先に決める人」の割合が、どこかで変わっている可能性があります。そこは数字ではなく、接客で聞いて確かめるところです。
婚姻届の月別グラフが使える場面
ここまで、使えない場面を書いてきました。使える場面もあります。
一つは、商圏の婚姻の大きさを、年単位で見るときです。月別の形は使わず、年間の合計だけを見ます。その場合も、届出地の落とし穴には気をつけます。
もう一つは、入籍の記念日を絡めた訴求を考えるときです。7月7日のようなゾロ目の日に、二人の入籍に合わせて挙式を出す提案ができるかを、前もって考えられます。ただし、これが集客に効くかどうかは、今回の数字からは言えません。やるなら小さく試して、来館の数で確かめます。
まとめ
- 2025年の婚姻届は、7月が5万8,764組、9月が2万7,503組で、月によって2.1倍違った(厚生労働省 人口動態統計速報)
- 速報は外国人などを含むため、年の合計が概数の48万9,119組より3.4%大きい。月別は形を見る数字で、絶対数は概数や確定数で読む
- 婚姻届の月は、挙式の月でも来館の月でもない。山の形をそのまま来館計画に写すと、仮の式場では9月に13組ぶんの受け入れ余力が足りなくなり、年に1組強の成約を失いうる
- 都道府県別の数字は届出地で、住んでいる場所ではない。東京都は2025年12月の婚姻の割合が出生の割合より4ポイント大きく出ている
- 月のずれは、自分の会場の成約を来館月と挙式月で並べて、組ごとの月数の真ん中の値で測る
