来館・成約

30代後半以降の二人の問い合わせには、年齢でなく人数と段取りを聞く

30代後半、40代、50代の二人から問い合わせが入ったとき、返信の文面を無意識に変えていないでしょうか。「落ち着いたお式を」「少人数で」「大げさにならないプランを」といった言葉が、年齢を見ただけで先に出てくる、という話です。

結論から言うと、年齢は返信を変える理由にしません。変えるのは、人数、親族や職場の呼び方、準備に使える時間の3つで、これは年齢を聞かずに、二人の言葉から拾えます。この記事では、年齢で決めつけると見学前にどこで外れるのか、代わりに最初の返信で何を聞くのか、答えに応じて見学をどう組むのかを順に整理します。

なお、この記事の中身は現場の段取りと判断の考え方です。出典のある調査の数字は使っていません。試算は仮の前提を置いた計算で、そのまま自社の実績ではありません。

年齢で決めつけると、どこで外れるのか

年齢が上の二人には、あるイメージが付きやすいと思います。親族だけの小さな式、派手な演出はいらない、費用も抑えたい、というものです。実際にそうした二人もいます。ただ、同じ年齢でも、希望はかなりばらけます。僕が現場の話から整理すると、外れ方は大きく3つあります。

1つ目は、人数です。再婚か初婚か、職場の付き合いがどれだけあるかで、招待したい人は10人にも、80人にもなります。40代で仕事の付き合いが広い二人が、取引先も含めて60人を考えていることは珍しくありません。それに対して「少人数向けのプランをご案内します」と返すと、二人は「うちの規模は受けてもらえないのかな」と受け取ります。

2つ目は、費用の考え方です。年齢が上だと貯蓄に余裕がある、というのも思い込みです。余裕があるから妥協したくない二人もいれば、結婚資金を別の暮らしに回したい二人もいます。どちらの二人に、どの価格帯から案内するかは、年齢からは決められません。

3つ目は、親の関わり方です。年齢が上がるほど親は高齢になり、会場までの移動や段差、座っている時間が気になる、という条件が増えます。一方で、二人が自分たちで費用を出す割合が高く、親は呼ぶだけで口を出さない家もあれば、逆に親の意向が強い家もあります。ここも年齢では読めません。

つまり、年齢は「この二人にはこの案内」と決める材料としては粗すぎます。間違った前提で返信すると、二人は「分かってもらえていない」と感じ、その式場を候補から外します。外れたことは式場側には見えません。問い合わせが来て、返信して、見学に来なかった、という記録が残るだけです。

年齢の代わりに最初の返信で聞く3つ

では何を聞くか。年齢を聞くのではなく、決めつけを捨てて、次の3つを返信の中で自然に聞きます。

  1. 人数の見込み:「お招きしたい方は、およそ何名くらいをお考えですか。10名前後、30名前後、50名以上といった幅でも大丈夫です」
  2. 呼びたい人の範囲:「ご親族のみか、ご友人や職場の方もお呼びになるご予定か」
  3. 挙式までに使える時間:「いつ頃までにお式を挙げたいか、または急いでいない」

ポイントは聞き方です。年齢やこれまでの経緯(再婚かどうか、お子さんがいるか)は、二人が自分から書いてきたときだけ受け止めます。式場から聞くと詮索に見えます。人数と範囲と時間なら、どんな二人にも答えやすく、答えた内容がそのまま会場選びの条件になります。

幅を示して聞くのは、二人がまだ決めていないことが多いからです。「何名ですか」とだけ聞くと、決めていない二人は返信自体を後回しにします。「10名前後、30名前後、50名以上」のように3段階で示すと、選ぶだけで済み、返信が返ってくる確率が上がります。ここは確かめた数字ではなく、フォームやメールの設計として僕がそう考えているという範囲の話です。

答えに応じて、見学の組み立てを3通りに分ける

返ってきた答えは、見学の組み立てに直結します。ここでは人数の見込みで3通りに分けて考えます。

10名前後の場合。会場の大きさよりも、小さな規模でも寂しくならない見せ方を伝えるのが先です。広い宴会場に10名が座った写真を見せると、「うちには大きすぎる」と感じさせます。小さな会場や個室、少人数の実例の写真を先に用意し、料理と会話の距離感を見てもらえる試食を軸に組みます。料金は、人数が少ないと1人あたりの金額が上がりやすいので、最初の見積もりでは総額の帯を示し、内訳を説明できるようにしておきます。

30名前後の場合。もっとも見学の幅を取りやすい規模です。親族と親しい友人が中心で、会場の雰囲気と料理の評価が決め手になりやすいと考えます。ここは通常の見学の流れで構いませんが、二人の「呼びたい人の範囲」の答えを使い、たとえば親族の高齢の方がいるなら、会場までの動線と段差、控室の位置を見学の中で先に見せます。

50名以上の場合。職場や取引先も含む規模です。披露宴の進行(スピーチ、乾杯の人選、席次)が気がかりになります。「年齢が上だから簡素に」という前提で案内すると完全に外れるので、通常の披露宴と同じ見積もりの組み方で、進行の例を見てもらいます。席次や主賓の扱いは、年齢が上の二人ほど、職場の序列で悩むことがあるので、担当者の経験を先に伝えると安心されます。

3通りに共通するのは、会場の広さや価格の話の前に、二人の人数の答えを見学の入口に置く、ということです。これが年齢ではなく二人の言葉に合わせる、という意味です。

準備に使える時間は、年齢と関係なく聞く

3つ目の「挙式までに使える時間」は、年齢が上の二人に特に多いと言われがちな、短期間での準備の希望を拾うための質問です。ただ、これも年齢で決めつけず、聞きます。

急ぐ二人には、空き日の候補を先に3つほど示します。急がない二人には、空き日よりも、準備の流れを先に説明します。どちらの二人に、何を先に出すかを間違えると、同じ内容でも印象が変わります。急ぐ二人に準備の流れから説明すると遅く見え、急がない二人に空き日を畳みかけると急かされたと感じます。

「準備の順番を先に返す」という考え方は、別の記事で半年未満の問い合わせ向けに整理しています。ここでの要点は、期間は年齢ではなく二人の答えで決める、という点だけです。

やってしまいがちな言い換えの例

実際の返信で起きやすい言い換えを、悪い例と直した例で並べます。

  • 「落ち着いたお式をご希望ですか」→「どのような雰囲気のお式を思い描いていらっしゃいますか」
  • 「少人数向けのプランがございます」→「お招きになる方の人数に合わせて、会場とお見積もりをご案内します。おおよその人数を教えていただけますか」
  • 「ご両親もご高齢かと思いますので」→「ご親族の中に、段差や移動で配慮が必要な方はいらっしゃいますか」
  • 「お仕事がお忙しいかと思いますので、見学は土日でよろしいでしょうか」→「ご都合のよい曜日と時間帯を、いくつかお知らせください」

直した例に共通するのは、式場が先に結論を言わず、二人の答えを待つ形になっている点です。決めつけを外すと、返信が長くなる心配はありません。聞く文が一つ増えるだけで、中身は変わりません。

聞いた内容の使い道と、聞いてはいけないこと

聞いた3つの答えは、見学予約の時点で担当者に共有します。共有する中身は、人数の見込み、呼びたい人の範囲、挙式までの期間、の3行です。担当者が見学の入口でこれを読み返し、二人の言葉をそのまま使って話し始めると、「事前に聞いたことを覚えてもらえている」という安心になります。

一方で、聞かない方がいいこともあります。年齢そのもの、再婚かどうか、お子さんの有無、費用の出どころ(自分たちか、親か)です。二人が自分から話したときだけ受け止めます。受け止めたときも、見積もりの組み立てや会場の提案を変える材料にはしますが、「ご年齢的に」「再婚ですと」といった理由づけは口にしません。理由づけが見えると、二人は評価されている感覚になります。

仮の前提で、返信の外れ方を試算する

最後に、年齢で決めつけた返信がどれだけ見学前に落ちるかを、仮の前提で考えます。数字は確かめた実績ではなく、考え方を見るための想定です。

  • 月に年齢が上の二人からの問い合わせが20件ある
  • 年齢で決めつけた返信をすると、そのうち2割(4件)は、人数や雰囲気が合わない返信になり、見学予約に進まない
  • 人数と範囲を聞く返信にすると、外れが半分(2件)に減る
  • 見学に来た二人のうち、成約するのが3割だとする

この想定だと、見学予約に進む組が2件増え、成約は0.6件増えます。1件あたりの契約額をいくつと置くかは式場ごとに違うので、ここでは出しません。大事なのは、増える件数ではなく、外れている4件が「なぜ外れたのか」が記録に残らない、という点です。見えない損なので、返信の型を変えたときに、見学予約率が動くかどうかを、人数の幅別に月ごとに見ます。

見るのは次の2つです。

  • 年齢が上の二人からの問い合わせのうち、人数の答えが返ってきた割合
  • 人数の答えがあった二人と、なかった二人の、見学予約率の差

差がなければ、返信の型を変えても効いていません。差が出たら、その幅の見学の組み立てを先に整えます。

まとめ

  • 年齢が上の二人への返信を「少人数・落ち着いた式」と決めつけると、人数、費用感、親の関わり方の3か所で外れる
  • 外れた返信は、見学予約に進まないだけで、記録に理由が残らない
  • 年齢の代わりに、人数の見込み、呼びたい人の範囲、挙式までの期間の3つを最初の返信で聞く
  • 人数は幅(10名前後・30名前後・50名以上)で選んでもらうと答えやすい
  • 人数の答えに応じて、見学の入口で見せるもの(小さな会場、動線、披露宴の進行例)を変える
  • 年齢、再婚、お子さん、費用の出どころは、二人が自分から話したときだけ受け止める
  • 返信の型を変えたら、人数の答えが返った割合と、その見学予約率を月ごとに見る

年齢は二人の事情の入口でしかなく、会場選びの条件になるのは、人数と範囲と時間です。