来館・成約

式場の見学予約フォームで記念日を聞き、挙式日の最初の候補にする

式場の見学予約フォームには、二人の記念日を聞く欄を1つ置く。僕はこれが、フォームの項目を増やして離脱が増えても、それでも置く価値のある欄だと思っています。

多くの式場の予約フォームは、希望日、人数、連絡先、きっかけで終わります。見学の段取りには足りています。ただ、挙式日の相談は、見学の日にいきなり始まります。「いつ頃をお考えですか」と聞かれた二人は、その場でカレンダーを開き、空いている土曜を探しはじめます。そこで決まる日は、二人が本当に大事にしたい日とは別のことが多いんです。

この記事では、記念日を聞く欄に何を書いてもらうのか、その答えを誰がどう使うのか、聞くことで何が変わるのか、そして手間に見合うのかを前提つきの計算で確かめます。

欄に書いてもらうのは記念日ではなく「大切にしている日」

最初に決めておきたいのは、欄の名前です。「記念日」と書くと、結婚記念日や付き合った日のように、日付がはっきりした答えだけが返ってきます。二人にとって大事な日は、それだけとは限りません。

たとえば次のような日があります。

  • 付き合いはじめた日、プロポーズの日
  • どちらかの誕生日
  • 祖父母や親が元気で集まれそうな連休
  • 二人が出会った季節(桜の頃、紅葉の頃)
  • 入籍を決めている日

だから欄の名前は「二人にとって大切にしている日や季節があれば教えてください」くらいにします。任意で、自由記述で、1行。選択式にすると、式場が想像できる範囲の答えしか集まりません。

聞く側が手に入れたいのは、日付そのものというより「この二人は日程をどう決めようとしているか」という手がかりです。日付が書かれていれば、日付を起点に空きを探せます。「秋が好きです」とだけ書かれていれば、季節を起点に探せます。空欄でも、それは「特に決めていない」という情報です。

空き確認から始めると、二人は日程で式場を絞ってしまう

記念日を聞かない場合に、見学の現場で何が起きるかを考えます。

二人が「来年の秋くらいで」と伝え、担当者が空きカレンダーを見せます。人気の土曜は埋まっていて、空いているのは平日と、仏滅の週末です。ここで二人は、日程を理由に式場を外す選択肢を手に入れます。「空いている日がなかったので、他を当たります」と言いやすいんです。式場側からすれば、会場の良さを伝える前に、日程の壁で候補から落ちたことになります。

逆に、見学の前に「この日が大切」と分かっていれば、順番を入れ替えられます。

  1. 先にその日の空きを調べておく
  2. 空いていれば、見学の最初に「この日はまだ取れます」と伝える
  3. 埋まっていれば、前後の日と、近い意味を持つ別の日を用意しておく

2の場合、二人は見学の冒頭で「自分たちの話を覚えてくれている」と受け取ります。3の場合も、断られる前に代案が出てくるので、日程を理由に外れにくくなります。日程の相談が、断りの場から提案の場に変わる。聞く価値はここにあります。

聞いた答えを誰が、いつ見るかを先に決める

欄を置いただけでは何も変わりません。答えを使う人と、使う時間を決めておきます。

予約が入ってから見学までの間に、次の3つを済ませる運用にします。

  • 予約を受けた人が、記入された日や季節を担当プランナーに渡す
  • 担当プランナーが、その日の空きを調べる。見学の前日までに終える
  • 見学の冒頭で伝える一言を決めておく(空いているとき、埋まっているとき)

ここで気をつけたいのは、答えを聞いておきながら見学で触れないことです。聞かれた二人は、聞かれた分だけ期待します。何も言われないまま空き確認が始まると、聞かなかったときよりも印象が悪くなりかねません。欄を置くなら、使い切る体制とセットで置いてください。体制が作れないなら、置かないほうが安全です。

担当者が決まっていない予約は、予約を受けた人が先に空きを調べて、見学の担当者に引き継ぎます。引き継ぎの紙は1行で足ります。「大切にしている日:〇月〇日(プロポーズの日)。空き:あり/なし。なしの場合の代案:〇月〇日」。

埋まっていたときの代案の出し方

大切な日が埋まっていることは、普通にあります。このとき、近い日をただ並べるのでは弱いんです。代案には理由をつけます。

  • 前後に寄せる:その日の前後の土日で空いている日を出す。「その週末ならこちらが空いています」
  • 同じ意味の別の日を探す:誕生日なら、もう一方の誕生日。出会った季節なら、同じ季節の別の週
  • 曜日を替える:その日が平日なら、前の土曜、後の日曜
  • 入籍日だけをその日にする:挙式日と入籍日は別の日にできます。入籍はその日、挙式は近い週末、と分ければ、二人の大事な日は守れます

最後の案は、日程の相談を断らずに済む方法として使えます。式場は挙式日を売るので、入籍日までは動かせません。ただ、二人の話の中に入籍日という選択肢を置くだけで、「その日は無理です」という会話が減ります。

代案に理由を添えるかどうかで、二人の受け取り方は違います。ただ空いている日を並べられると「空いているから勧められた」と感じます。理由があれば「自分たちの日から考えてくれた」と感じます。

手間と離脱を、前提を置いて計算する

項目を増やせば、フォームの途中で離脱する人が出る可能性があります。実際のところは、式場ごとのフォームと流入によって変わるので、ここでは前提を置いて計算します。数字はすべて仮置きで、実績ではありません。自分の式場の数字に置き換えて使ってください。

前提は次のとおりです。

  • 月のフォーム到達数:200組
  • 現在の予約完了率:40%(80組が予約)
  • 見学に来る割合:75%
  • 見学からの成約率:30%
  • 1組あたりの粗利:90万円

任意欄を1つ足すことで、予約完了率が2ポイント下がると仮定します。

現状:200 × 0.40 = 80組 → 来館 60組 → 成約 18組 → 粗利 1,620万円
追加後:200 × 0.38 = 76組 → 来館 57組 → 成約 17.1組 → 粗利 1,539万円
差:成約 −0.9組、粗利 −81万円

この損失を取り戻すには、成約率をどれだけ上げればよいかを逆算します。来館57組で18組を成約すれば、現状と同じ粗利になります。

必要な成約率:18 ÷ 57 = 31.6%(現状の30%から1.6ポイント)

つまり、大切にしている日を聞くことで、見学からの成約率が1.6ポイント以上上がれば、離脱で失った分を取り戻せます。1.6ポイントは、100組の見学でちょうど1.6組ぶんです。

これが大きいか小さいかは、判断が分かれます。日程が理由で外れていた二人が月に1〜2組いるなら、この式場には効きます。逆に、日程の相談で外れることがほとんどない式場には効きません。

試す前に、自分の式場で次の2つを数えておくと判断しやすくなります。

  • 見学後に断られた理由のうち、「日程」と書かれたものが何組あるか
  • 日程の相談の中で、二人から「この日がいい」と言われた件数

前者が少なければ、欄を置いても効きません。後者が多ければ、すでに現場で聞いているので、フォームで先に聞く意味が出ます。

離脱を抑える置き方

置き方で離脱は変わります。3つのことを守ります。

任意にする。 必須にすると、日付を決めていない二人が止まります。決めていない二人こそ、見学に来てほしい層です。

フォームの最後に置く。 連絡先を入れ終わった後で、ひと言だけ答えるほうが、途中で止まりにくくなります。最初の欄に置くと、入力画面を開いた二人が身構えます。

聞く理由を1行添える。 「見学の日に、空き状況をご案内するためにお聞きします」と書きます。何のために聞くのかが分からない欄は、答えにくいんです。理由が書いてあれば、二人は「見学のための準備なんだな」と読んでくれます。

加えて、予約完了の画面とメールには「いただいた日について、見学の日に空き状況をお伝えします」と書き戻します。答えた二人は、自分の回答が見られたと分かります。

運用して1か月後に見ること

置いたら、1か月後に次の3つを見ます。

  1. 記入率:予約のうち何割が書いたか。極端に低ければ、欄の名前か置き場所が合っていません
  2. 予約完了率:置く前の月と比べる。仮定の2ポイントより大きく下がっていれば、欄を外すか、さらに目立たない位置に移します
  3. 見学冒頭で触れた割合:記入があった予約のうち、見学の冒頭で触れられた件数。ここが低ければ、運用が回っていません

3つ目が特に大事です。記入率が高くても、現場が使っていなければ意味がありません。月末に10件ほど予約を抜き出して、記入内容と見学の記録を見比べるだけで足ります。

なお、同じ月に他の施策(広告の変更、フェアの内容変更)が重なると、成約率の変化が欄の効果なのか分からなくなります。置く月は他を動かさないでください。

記念日の欄が向かない式場

向かない式場も、はっきりあります。

  • 日程にほとんど空きがあり、大切な日でも取りやすい式場。聞いても分岐が起きません
  • 逆に、土日がほぼ埋まっていて、希望日の相談自体が難しい式場。聞いても代案を出せません
  • 見学の担当者が日替わりで、引き継ぎが回らない式場。聞いても使えません

向いているのは、人気日と余る日がはっきり分かれている式場です。繁忙日が埋まる一方で、平日や仏滅に空きがある。こういう式場では、「大切な日」を聞くことで、空きの多い日に二人の気持ちを寄せる余地が生まれます。

まとめ

  • 見学予約フォームには「二人にとって大切にしている日や季節」を聞く任意の欄を1つ置く。記念日と書くと答えの幅が狭くなる
  • 聞く目的は日付の取得ではなく、二人が日程をどう決めようとしているかの手がかりを得ること
  • 答えは予約を受けた人から担当プランナーへ1行で渡し、見学の前日までに空きを調べ、冒頭で必ず触れる。触れないなら聞かないほうがいい
  • 埋まっていたときは、前後の週末、同じ意味の別の日、曜日替え、入籍日だけその日にする、の順で理由をつけて代案を出す
  • 仮置きの計算では、予約完了率が2ポイント下がっても、見学からの成約率が1.6ポイント上がれば取り戻せる。自分の式場の「日程で外れた組数」を先に数えて、効くかを判断する
  • 任意・最後に置く・理由を1行添える、の3つで離脱を抑え、1か月後に記入率・予約完了率・冒頭で触れた割合を見る