業界動向

土日に当たるゾロ目の日は、2026年の8日から2028年は2日に減る。仮の式場なら、希望する二人のうち2.8組が土日に入れない。平日に誘導するのに値引きは要らない

日付そのものに意味を持たせて、挙式日を選ぶ二人がいます。6月6日、11月11日、2月22日のような、ゾロ目の日です。

大安は暦の決まりで、年によって土日に当たる数が揺れます。ゾロ目の日も同じで、曜日は毎年ずれていきます。2026年は14日のうち8日が土日ですが、2028年は2日しかありません。

この記事の出典はありません。曜日は暦から数えた事実で、そこに載せる数字(ゾロ目を選ぶ二人の割合、土日の枠の数、粗利)は全部、僕が置いた仮の数字です。ゾロ目を選ぶ二人が実際に何割いるかを示す調査は、今回の調べでは見つけていません。自分の会場の過去の挙式日を数えれば、割合は出ます。その割合を差し替えて読んでください。

数えるゾロ目の日

数えるのは、月と日が同じか、並びのよい次の14日です。

1月11日、2月2日、2月22日、3月3日、4月4日、5月5日、6月6日、7月7日、8月8日、9月9日、10月10日、11月11日、11月22日、12月12日。

1月1日は元日で式場が休みなので外しました。11月22日は「いい夫婦の日」として知られる日です。12月24日や12月25日、2月14日は、ゾロ目ではなく行事の日なので別に扱います。5月5日は祝日ですが、ここでは平日として数えます。祝日を土日の仲間に入れると、5月5日が水曜に当たる2027年と、金曜に当たる2028年は、土日と祝日の合計が1日ずつ増えます。

この14日が土曜か日曜に当たる数を、年ごとに数えました。

年 土日に当たる日数 土日に当たる日
2026年 8日 1/11、2/22、4/4、6/6、8/8、10/10、11/22、12/12
2027年 5日 4/4、6/6、8/8、10/10、12/12
2028年 2日 9/9、11/11
2029年 5日 3/3、5/5、7/7、9/9、11/11
2030年 4日 2/2、3/3、5/5、7/7
2031年 4日 1/11、2/2、2/22、11/22
2032年 7日 1/11、2/22、4/4、6/6、8/8、10/10、12/12

見てほしいのは、2026年の8日と2028年の2日の差です。同じ14日の暦でも、4倍違います。土日の枠が足りるかどうかは、二人の希望ではなく、暦で先に決まる年があります。

土曜と日曜の合計は、年に104日か106日で、ほとんど動きません。ゾロ目の日だけが、年ごとに大きく揺れます。

土日に入れない二人の数

ここから、年120組の仮の式場で計算します。前提を先に並べます。

  • 年の挙式は120組
  • ゾロ目の日を挙式日にしたい二人は、全体の4%(年4.8組)。仮置きです
  • 土日1日に入れる挙式は2組(午前と午後の2枠)
  • ゾロ目の土日の枠のうち、実際にゾロ目希望の二人が使えるのは半分。残りは、すでに他の理由で埋まっている日だと置きます
  • 1組あたりの粗利は80万円

ゾロ目の土日の枠は、2026年なら8日×2組=16枠。使えるのは半分の8枠で、希望の4.8組より多いので、全員が土日に入れます。

2028年は2日×2組=4枠。使えるのは半分の2枠です。希望の4.8組に対して、2.8組が土日に入れません。

年 ゾロ目の土日の枠 使える枠(半分) 土日に入れない二人
2026年 16 8 0組
2027年 10 5 0組
2028年 4 2 2.8組
2029年 10 5 0組
2030年 8 4 0.8組

2028年だけが目立ちます。2026年、2027年、2029年は、仮の前提では全員が土日に入れて、計算する意味がありません。計算が要るのは、谷の年だけです。

この2.8組は、断っているわけではありません。ゾロ目の土日が埋まっていると知った二人は、ゾロ目をあきらめて別の日に動くか、別の式場を探します。式場から見ると、何も起きていないように見えます。問い合わせの日付欄に「2028年11月11日」と書かれていたのに、見学の後で連絡が止まった。その記録が残っているなら、それが谷の年に取りこぼした二人です。

平日のゾロ目を売る

土日が埋まっている谷の年に、ゾロ目の平日は空いています。2028年のゾロ目14日のうち、土日は2日、残りの12日は平日です。

ここで考えるのは、土日に入れなかった2.8組のうち、何組が平日のゾロ目に動くか、です。ゾロ目の二人は、日付が目的です。曜日は2番目の条件になります。大安を重視する二人が土日を外せないのとは、条件の順番が違います。

仮に、平日のゾロ目に動く二人の割合(受け入れ率)を、値引きなしで30%とおきます。

  • 2.8組×30%=0.84組
  • 粗利80万円×0.84組=約67万円

平日の人件費や、ゲストの減り方で粗利が下がる分は、ここでは見ていません。後ろの章で触れます。

0.84組は、年120組の0.7%です。大きな数字ではありません。ただ、これは何もしなければ取りこぼす二人で、既存の土日の枠を食わない増分です。平日の枠は、もともと空いていた日です。

値引きは要るか

平日に誘導するとき、値引きを付けたくなります。「平日は安くします」という説明は、誰にでも伝わるからです。ここで、値引きが元を取れる条件を計算します。

値引きを10万円とおきます。粗利80万円の組が、粗利70万円になります。値引きで受け入れ率を30%から上げられたとして、いくつまで上がればよいか。

値引きをした後の受け入れ率をbとすると、条件は次の式です。

増える組の粗利(b−0.3)×2.8組×80万円 ≧ 値引きで減る粗利 b×2.8組×10万円

この式を整理すると、b ≧ 0.3÷0.875=34.3%です。値引きで受け入れ率が30%から34.3%以上に上がらなければ、値引きは損になります。

値引き後の受け入れ率 増える粗利 値引きの総額 差し引き
35% 11.2万円 9.8万円 1.4万円
40% 22.4万円 11.2万円 11.2万円
50% 44.8万円 14.0万円 30.8万円

10万円の値引きで受け入れ率が35%に上がっても、手元に残るのは1.4万円です。誤差の範囲です。40%まで上がれば11.2万円残ります。

分かれ目は、値引きが誰の背中を押すか、です。ゾロ目を選ぶ二人は、日付に価格以外の価値を置いています。その二人に10万円値引きしても、30%が35%や40%に動く保証はありません。もともと日付の特別感で動く二人は、値引きが付いてもついていなくても、動く人は動きます。

値引きで受け入れ率が上がる二人は、ゾロ目が目的ではなく、安い日を探している二人のほうです。その二人には、ゾロ目という切り口は要りません。値引きをゾロ目の平日につけると、ゾロ目を目的としていない二人まで、ゾロ目の平日に流れ込んできます。その二人は、本来は別の平日の安い枠を選ぶ二人です。

僕なら、値引きなしで進めます。平日の準備や撮影の手間が増えるなら、そこだけオプションの話をします。日付に価値を置いている二人に、日付の価値を下げる説明は要りません。

日付が主役の二人の見分け方

平日に誘導する相手を間違えると、値引きをしなくても失注します。日付が主役の二人かどうかは、最初の見学の段階で、次の3つで見分けられます。

  1. 問い合わせの時点で、挙式日に具体的な日付を書いている。「秋ごろ」「11月」ではなく「11月11日」と書いている二人は、日付が主役です。
  2. 最初の希望が「その日の土日で一番近い日」ではなく、その日だけ。大安を重視する二人は、他の大安の土日に動く余地があります。ゾロ目の二人は、他の日に動く余地が小さいです。
  3. 日付の理由を話す。付き合い始めた日、プロポーズの日、両親の記念日のように、日付に由来がある二人は、曜日を2番目の条件にしやすいです。

3つのうち1つだけ当てはまる二人は、日付が主役とは限りません。3つとも当てはまる二人にだけ、平日の提案を最初に出します。

土日にゾロ目が空いていない谷の年は、この提案を、見学の予約を受けた時点で用意しておく必要があります。見学の当日に「その日は土日が埋まっています。平日なら空いています」と言うのでは、二人が持ち帰って別の式場に回る時間を作ります。

平日の準備で見ておくこと

平日に誘導する場合、見ておくことが3つあります。いずれも、仮の前提では数字にしていません。自分の会場の数字を入れて確かめてください。

ゲストの出席しやすさ。 平日の披露宴は、ゲストが仕事を休む必要があります。ゾロ目の二人が何人を呼ぶかは、土日より減ることがあります。減る人数を、見学の段階で二人に具体的に伝えるかどうかは、会場の判断です。伝えなければ、契約の後に二人が気づいて、人数の確定日に減員が出ます。

スタッフの休み。 谷の年は、平日のゾロ目が12日あります。12日のうち何日を稼働させるかを決めないと、平日の休みを取っていたスタッフを、急に出勤させることになります。定休日に見学枠を開けるときにも出る問題で、足りなくなるのは枠より人の休みです。

撮影やフォトの条件。 平日の16時以降は、冬は日没が早く、庭の撮影が間に合わないことがあります。ゾロ目のうち、1月11日、2月2日、2月22日、11月22日、12月12日は、午前の枠を優先して売るほうが、撮影の条件を説明しやすいです。

3年先の暦を先に見る

ここまでの計算は、2028年を例にしました。実際の手順は、自分の会場に当てはめて、暦を3年分並べるところから始まります。

  1. 3年先までのゾロ目14日の曜日を並べる(上の表を使えます)
  2. 土日に入れない二人が出る年(2028年のように、土日のゾロ目が3日以下の年)に印を付ける
  3. その年の平日ゾロ目の稼働を、スタッフの休みと一緒に決める
  4. 谷の年の見学予約に、平日の提案を1枚用意する
  5. 過去の問い合わせの日付欄を見て、ゾロ目を書いた二人の数を数える。仮置きの4%を、この数に差し替える

2028年のゾロ目の挙式は、契約から挙式まで仮に8か月とすると、2028年の1月から3月ごろに契約が動きます。2026年10月の今から見ると、準備の期間は1年以上あります。谷の年が見えているなら、その間に平日の提案を作れます。

この計算が外れるとき

外れ方は3つあります。

  • ゾロ目を選ぶ二人が4%ではなく、実際には1%以下の会場。その場合、2028年に土日に入れない二人は0.7組になり、粗利は約17万円です。手間をかけるほどの差ではありません
  • 土日の使える枠が半分ではなく、ほとんど空いている会場。この場合、谷の年でも2日×2組で4枠が使え、土日に入れない二人はほぼ出ません
  • 平日の受け入れ率が30%より低い会場。ゾロ目の二人でも、平日は一切出席できない人が多い地域では、受け入れ率は10%以下になります。0.28組にしかなりません

数字が小さい会場は、この提案を作らなくて大丈夫です。作る価値があるのは、過去の問い合わせでゾロ目を書いた二人が年に3組以上いる会場です。まず数えるところから始めてください。

まとめ

  • ゾロ目14日が土日に当たる数は、2026年が8日、2027年が5日、2028年が2日、2029年が5日。年によって4倍違う
  • 年120組、ゾロ目希望が4%、土日の使える枠が半分という仮の式場なら、2028年は2.8組が土日に入れない。ほかの年は0〜0.8組
  • 平日のゾロ目への誘導は、値引きなしで受け入れ率30%なら、粗利で約67万円。10万円の値引きは、受け入れ率が34.3%以上に上がらなければ損になる
  • 日付が主役の二人は、日付に価値を置いている。その二人に値引きで説明するより、日付の話をそのまま受けるほうが、構造として筋が通る
  • 計算が要るのは谷の年だけ。自分の会場の過去の問い合わせで、ゾロ目を書いた二人が年に3組以上いるかを、先に数える