来館・成約

式場の見学予約が入った直後の確認メールに書く5つのこと

式場の見学予約が入ると、システムが自動で確認メールを返します。「ご予約ありがとうございます。日時は〇月〇日〇時です。お待ちしております」。多くの式場で、この文面は導入時のテンプレートのまま、何年も触られていないのではないでしょうか。

僕は、この1通が見学の成否に思っているより効くと考えています。予約から当日までの数日から数週間、式場が二人に確実に届けられる接点は、実はあまり多くありません。確認メールは、そのなかで唯一、ほぼ全員が開く1通です。事務連絡として扱うか、当日の見学を始める最初の接客として扱うかで、当日の二人の状態が変わります。

この記事は、予約直後の確認メールに何を書き、何を書かないかを決めるための整理です。今回は出典のある統計は使いません。確認メールの中身と来館率・成約率の関係を、全国で比べた公開の数字を僕は見つけていないからです。そのかわり、仕組みとして何が起きるかの整理と、仮の数字を置いたモデル計算で書きます。数字はすべて想定だと分かる形で書きます。

予約から当日までに、二人に起きていること

見学予約を入れた二人は、予約の直後から当日までのあいだ、いくつかのことを同時に進めています。

ひとつは、ほかの式場の予約です。ブライダルフェアは週末に集中するので、同じ土日に午前と午後で2会場を回る二人は珍しくありません。予約を取った時点では「ここも見てみよう」くらいの温度で、日が近づくにつれて予定が詰まり、移動時間の見積もりが甘かったことに気づきます。

もうひとつは、二人以外の予定です。親が同行するかもしれない、見学のあとに両家の食事が入るかもしれない。予約を入れた段階では決まっていなかったことが、当日までに決まっていきます。

さらに、予約の時点では勢いで押した二人が、数日たつと「本当に行くほどの会場だったか」と迷うこともあります。予約のきっかけになった広告や口コミの熱は、日がたつと下がります。

つまり、予約が入った時点がいちばん温度の高い瞬間で、当日に向けて熱も情報も目減りしていきます。そのあいだに式場が何も渡さなければ、二人の頭のなかの「この式場」は、予約したときの記憶だけで保たれます。確認メールは、その記憶に具体的な情報を足せる最初の機会です。

確認メールに書く5つのこと

書く内容を5つに絞ります。多ければ親切というわけではなく、二人が当日の動きを頭のなかで組み立てるのに足りるものだけを入れます。

1. 日時と、終わりの時刻

「〇月〇日 11:00」だけでなく、「13:00ごろまでの予定です」と終わりの時刻を書きます。見学の出迎えで所要時間を先に伝える話は別の記事で書きましたが、メールの段階で書くと効き方が違います。出迎えで伝えられるのは当日の玄関ですが、メールなら、ほかの式場の予約と並べて予定を組む時点で二人の手元に届きます。

幅のある書き方(2時間程度)より、時刻で書くほうが、二人の予定表にそのまま入ります。「次の予約まで1時間しかないから、ここは諦めよう」と二人が判断するなら、それは予約の段階で分かったほうが式場にとっても良い話です。当日の途中で時計を気にされるより、事前に条件を合わせておくほうが、見学の質が上がります。

2. 着いてから誰に何と言うか

会場に着いたとき、受付はどこか、誰に声をかければいいのか、予約名を言えばいいのか。初めての場所で二人が迷うのは、この数分です。「正面玄関を入って右手の受付で、予約のお名前をお伝えください」と一文で足ります。

担当者が決まっているなら、名前も書きます。「当日は〇〇がご案内します」とあれば、二人は受付で名前を呼べますし、担当者の側も顔と名前を結びつけて出迎えられます。まだ決まっていないなら、決まっていないと書かずに、当日の朝に連絡する形にしてもかまいません。

行き方そのものはアクセスページに任せ、メールにはリンクを1つ置きます。地図や電車の乗り換えまでメールに書き込むと長くなり、肝心の日時が埋もれます。駐車場がある式場は、停められる台数と入口の場所だけ、一行で足します。

3. 当日の流れと、見積もりが入ること

「会場のご案内、お料理のご説明、お見積もり、ご質問の時間の順に進みます」と、流れを4つの区切りで書きます。ここで大事なのは、見積もりが入ることをメールの段階で伝えることです。

見積もりを当日に突然切り出されると、二人は断りにくさを感じます。逆に、前もって知っていれば、その場で決めなくていいこと、持ち帰って比べるつもりでいることを、二人が自分の中で整えてから来ます。当日の会話が「出された数字をどう受けるか」ではなく「出された数字をどう読むか」に移ります。

見積もりを出さない方針の式場なら、そのことを書きます。「当日はお見積もりのご提示はせず、ご希望をうかがったうえで後日お送りします」と書いてあれば、それも二人の安心になります。出す・出さないのどちらでも、二人が当日を予想できる状態にするのが目的です。

4. 持ち物と同行者

持ち物は、必須のものだけを書きます。たいていの式場では、手ぶらで構わないはずです。それなら「お持ち物は特にありません。ご希望の日程や人数が決まっていれば、メモしてお越しください」で足ります。何も要らないとはっきり書くだけで、二人の準備の負担が消えます。

同行者の欄は、任意でひとこと添えます。「ご両親など、ご一緒に来られる方がいらっしゃれば、お席を用意しますのでお知らせください」。ここで人数を聞くのは、席の準備のためです。同行者の有無が分かると、当日の説明の組み立てが変わります。親が一緒なら、費用の話の順番や、導線の話を厚くできます。ただし、回答を必須にすると面倒になって返信されなくなるので、任意にします。

5. 変更と中止の連絡方法

予定が変わったとき、二人がどこに連絡すればいいかを書きます。ここが書かれていないと、二人は予定が変わったことを言い出せないまま、当日を迎えます。連絡手段を電話だけにすると、日中に電話をかけられない二人は連絡自体を諦めます。

メールの返信、LINE、予約ページの変更ボタンなど、二人が選べる手段を2つ以上、一行で並べます。「変更・中止は、このメールへの返信か、予約ページの変更ボタンからお願いします。ご連絡なしの場合でも、お気になさらずご連絡いただいて大丈夫です」。連絡しやすくしておくことと、連絡なしの欠席を減らすことは、同じ作業です。

書かないものも決めておく

確認メールに何でも載せられるので、書かないものを先に決めておかないと、長くなります。

特典や割引の案内。 来館特典の説明は、予約ページや当日の案内に任せます。確認メールで特典を重ねると、事務連絡のメールが宣伝メールに見えます。開封されなくなるのも困りますが、それより「営業メールだ」と思われて以降の連絡が読まれなくなるほうが痛手です。

会場の紹介文。 二人はすでに予約ページを見て予約しています。紹介文をもう一度読ませる必要はありません。

アンケートへの誘導。 見学前のアンケートは、答えてもらえれば当日に役立ちます。ただし、確認メールの本文にアンケートを置くと、メールの本来の用件である日時と動き方が目に入りにくくなります。アンケートは別の1通にするか、予約フォームの側で聞きます。

長い注意書き。 キャンセル規定、個人情報の取り扱い、写真撮影の可否。必要なものは、リンク先に置きます。本文には、二人の当日の動きに関わることだけを書きます。

目安は、スマホで開いて、スクロールせずに日時と終わりの時刻が見える長さです。二人はほとんどスマホで読みます。最初の画面に日時が入らないメールは、読まれる前に閉じられます。

送る時刻と形

確認メールは、予約の完了直後に自動で返ります。この即時性は、そのまま強みです。予約した直後の二人は、まだその式場のことを考えています。数時間後に人が手書きで送るより、自動でも即時のほうが、二人の温度が高いうちに届きます。

件名には、会場名と見学の日付を入れます。「【会場名】見学ご予約の確認(〇月〇日 11:00)」とあれば、二人は受信箱を探すときも、日付で見つけられます。複数の式場の確認メールが並んだ受信箱で、どの会場のものか一目で分かるのは、地味ですが大事です。

そもそも確認メールが届かない二人がいます。送信元のドメイン認証が整っていない、迷惑メールに振り分けられるといった理由です。これは別の記事で書きましたので、ここでは繰り返しません。確認メールが届いていない二人は、自分が予約できたのかさえ分からないまま当日を迎える可能性があります。

予約の連絡手段がLINEの式場は、LINEにも同じ内容を送る形にします。メールとLINEで内容が違うと、二人はどちらが正しいのか迷います。内容は揃えて、形だけ変えます。

前提を置いたモデル計算

確認メールの改善が、どのくらいの規模の話になるかを、仮の数字で見ます。以下は想定です。実在の式場の数字ではありません。

  • 見学予約が月40件入る
  • そのうち、連絡のない欠席や、直前の無連絡の変更が10%、つまり月4件ある
  • 確認メールに「終わりの時刻」「変更の連絡手段」を入れたことで、これが7.5%(月3件)に下がった
  • 来館した二人のうち、成約する割合を30%とする

この前提で計算します。

連絡のない欠席は、月4件から3件に減りました。差は月1件です。減った1件が来館に変わり、成約率が30%なら、月に0.3組、年にすると3.6組分の成約の機会になります。

この計算には、2つの弱いところがあります。ひとつは、減った欠席がそのまま来館に変わるとは限らないことです。連絡が来ても「やっぱりやめます」という中止になれば、来館にはなりません。ただ、その場合でも、枠は事前に空くので、別の二人に回せます。空いた枠を埋める手間はかかりますが、当日に誰も来ない時間を担当者が待つよりは、ずっと良い状態です。

もうひとつは、10%から7.5%という下がり幅が、僕の置いた仮の数字だということです。自分の式場で確かめるなら、確認メールを替える前の3か月と、替えた後の3か月で、連絡のない欠席の件数を並べるのが近道です。予約管理の画面に「来館・欠席・連絡あり中止」の区別があれば、数えるだけで済みます。区別がないなら、まずその区別を付けるところから始めます。

月1件の差は小さく見えます。ただ、メールの文面を直す作業は一度きりで、かかる時間は1時間もありません。直したあとは毎月、自動で効き続けます。大きな成果を狙うというより、一度の手間で毎月の取りこぼしを少し減らす、という種類の施策です。

判断の分かれ目

確認メールの作り方には、いくつか分かれ道があります。それぞれ、どちらかが正しいわけではなく、式場の状況で決まります。

全員に同じ文面か、予約の種類で替えるか。 フェアの予約と個別相談の予約で、流れや所要時間が違う式場は、文面を分けるべきです。フェアは試食があり、持ち物や食事の制限を聞く必要があります。個別相談は、見積もりの話が中心で、同行者の情報が効きます。1つの文面に両方を詰め込むと、どちらの二人にも要らない行が混ざります。予約の種類が2つ以内なら、文面も2つにするのが、運用の手間と効果のちょうどいい点だと僕は見ています。

自動で返すか、担当者が一言足すか。 自動返信は即時に届く強みがあります。そこに、担当者が数時間以内に一言を追加する形もあります。「当日の担当は〇〇です。お会いできるのを楽しみにしています」。人が書くので手間はかかりますが、予約数が月に数十件の規模なら、現実的です。逆に、月に数百件の予約を受ける式場なら、人が一言足すのは続きません。自動の文面に担当者名を差し込む形に寄せるほうが、続けられます。

メールだけか、LINEも使うか。 二人がLINEで予約している式場は、LINEで確認を返すべきです。メールアドレスを聞かない予約フォームの式場なら、メールで確認を送る手段がそもそもありません。二人の使っている手段に合わせるのが原則です。複数の窓口がある式場は、二人が選んだ側へ返し、内容は揃えます。

前日にもう一通送るか。 確認メールの先に、前日のリマインドを送る運用もあります。予約から当日までが長いほど効果が出やすい一方、頻度が高いと営業メールに見えます。僕の考えは、予約から当日までが2週間以上空くときだけ、間に1通足す形です。これは別の記事で書いた考え方と同じで、予約直後の確認メールが十分に具体的なら、あとは前日の1通までで足ります。

文面を見直すときの手順

見直すときは、いきなり書き直さずに、順番を踏むと早く終わります。

  1. 今の確認メールを、自分のスマホで受け取る。 テスト予約を入れて、二人と同じ画面で読みます。画面の最初に日時が入るか、リンクは押せるか、件名で会場が分かるか。ここで半分の問題が見つかります。
  2. 現場に「当日、二人から何を聞かれるか」を聞く。 受付や担当者が、毎回同じ質問を受けているなら、その答えがメールに入っていない可能性が高いです。「どこに停めればいいですか」「何時までかかりますか」「見積もりは出ますか」。繰り返し聞かれる質問が、確認メールに足す行の候補になります。
  3. 5つの要素を、足りているか確認する。 終わりの時刻、着いてからの動き、当日の流れと見積もり、持ち物と同行者、変更の連絡手段。足りない要素だけを足します。
  4. 書かないものを削る。 特典、会場紹介、長い注意書き。入っていたら、リンクに逃がします。
  5. 3か月後に、連絡のない欠席の件数を前と並べる。 結果が出なくても、仮説が間違っていたと分かるだけで十分に学びです。

この順番のよいところは、現場の質問から足す行を決めるので、式場の事情に合った文面になることです。他の式場の文面を借りてくると、見た目は整いますが、自分の式場で二人が迷う場所が埋まらないことがあります。

確認メールが担うもの

最後に、確認メールの役割を整理します。

確認メールの第一の役割は、二人が当日の動きを頭のなかで組み立てられるようにすることです。終わりの時刻、受付の場所、流れ、持ち物。これらが揃うと、二人は予定を組み、気持ちの準備を整えて来ます。

第二の役割は、予定が変わったときに連絡しやすくすることです。連絡しやすければ、連絡のない欠席は減り、枠を別の二人に回せる確率が上がります。

第三の役割は、式場の姿勢を見せることです。二人の予定を尊重し、見積もりの話があるなら先に言い、連絡しにくい理由を取り除いておく。メールの文面は、当日の接客の先取りになります。丁寧な文面だった式場は、当日も丁寧だろうと二人は予想します。逆に、日時だけの素っ気ないメールだった式場は、当日の印象にもそれが引き継がれます。

接客は、玄関で出迎えるところから始まる、と考えている式場は多いと思います。僕は、予約が入った瞬間から始まっていると考えます。予約直後の1通で、見学の質は少し変わります。

まとめ

  • 見学予約の確認メールは、予約から当日までに式場が確実に届けられる数少ない接点です
  • 書くのは5つです。日時と終わりの時刻、着いてからの動き、当日の流れと見積もりが入ること、持ち物と同行者、変更の連絡手段
  • 特典、会場紹介、アンケート、長い注意書きは書かず、リンクに逃がします
  • 目安は、スマホの最初の画面に日時と終わりの時刻が見える長さです
  • 仮に月40件の予約で連絡のない欠席が10%から7.5%に下がれば、月1件、年3.6組分の成約の機会が戻る計算です。数字は想定なので、自分の式場の前後3か月で確かめます
  • 文面を直す順番は、自分のスマホで受け取る、現場の繰り返しの質問を集める、足りない要素を足す、書かないものを削る、3か月後に数える、の順です