式場サイトの料金ページは、含まれないものを先に書く
式場サイトの料金ページには、たいてい「挙式・披露宴プラン 〇〇万円〜」と書いてあります。この「〜」の先に何が足されるのかを、ページのどこにも書いていない式場は少なくありません。見学に行って見積もりをもらってはじめて、衣装、装花、写真、引出物が別になっていると分かる。こういう順番で総額を知らされることになります。
僕の考えは、料金ページには「含まれるもの」より先に「含まれないもの」を書いたほうがいい、というものです。見学予約が減りそうで怖い、という気持ちは分かります。ただ、見学前に総額の見当をつけたい二人にとっては、これがいちばん助かる情報です。この記事では、何を載せるか、どこまで書くか、載せて失敗するのはどんなときかを、判断の条件として整理します。
なお、出てくる金額はすべて説明のために僕が置いた仮の前提で、調査から引いた数字ではありません。自社の実績に置き換えて使ってください。
「〜」の先が見えないと、二人は自分で補う
料金ページを見ている二人は、「〇〇万円〜」を見て、頭の中で総額を作っています。ここで起きるのは、二つのうちどちらかです。
一つめは、二人が総額を低く見積もるパターンです。「〇〇万円からなら、このくらいで収まるだろう」と考えて見学を予約する。見学で見積もりが出て、思っていたより高いと分かる。この場合、見学は無駄になります。式場側は枠を使い、案内の時間を使い、成約には届かない。
二つめは、二人が総額を高く見積もるパターンです。「ほかの式場は項目が細かく書いてあるのに、ここは書いていない。きっと後から足されるはずだ」と考えて、見学を予約しない。こちらは式場側から見えません。予約が入らなかった理由は、アクセス解析に残らないからです。
どちらも「書いていない」ことが原因です。前者は来館後に、後者は来館前に、機会を失っています。
載せるのは「含まれないもの」のうち、金額が大きいものだけ
「含まれないもの」を全部書こうとすると、ページが注意書きだらけになります。載せる基準は一つで十分です。二人の総額を、見学前の想像から大きく動かす項目かどうかです。
仮に、プラン料金が一人あたりの料理と会場費で組まれていて、次のものが別料金だとします。
- 衣装(新郎新婦)
- 装花・会場装飾
- 写真・映像
- 引出物・引菓子
- 司会・音響などの演出
この中で、見学前の想像を大きく動かすのは、衣装、装花、写真の三つでしょう。引出物は二人もなんとなく別だと思っていますし、金額も人数に比例して読めます。ここまで分けると、載せる項目はかなり絞れます。
逆に、載せなくていいのは、金額が小さくて、どの二人でも大きく変わらない項目です。たとえば、ウェルカムボードの持ち込み料のような細目は、見学で聞かれたときに答えれば足ります。料金ページに載せる目的は、見学前の「思っていたより高い」を減らすことで、すべてを開示することではありません。
金額まで書くか、幅だけ書くか
次の判断は、金額をどこまで書くかです。選択肢は三つあります。
- 項目名だけ書く(「衣装・装花・写真は別料金です」)
- 目安の幅を書く(「衣装は40〜80万円の範囲で選ばれる方が多いです」)
- 平均の総額を書く(「見学後の見積もりは平均〇〇万円です」)
僕は、まず2をやってみることを勧めます。理由は、1では二人の想像がほとんど変わらないからです。「別料金」と書いてあっても、いくらなのかが分からなければ、二人は低めに見積もります。3は、自社の契約総額の平均を出す必要があり、平均が高いと見学予約を減らす怖さもあります。その点、2は項目ごとの幅なので、二人が自分の希望で総額を足し算できます。
幅を書くときの注意点が二つあります。
一つは、幅の根拠を自社の実績にすることです。「契約した二人の過去1年の実績で、この項目は下限〇万円、上限〇万円」と、自社の見積書から出します。他社の数字や、業界の平均を借りてきて書くと、見学で出す見積もりとズレたときに説明がつきません。
もう一つは、幅の端を丸めないことです。上限を低めに書くと、見学後に「ページにはこう書いてあったのに」と言われます。ページに書いた幅は、見学の見積もりで外れる二人が少数になる範囲で置きます。
前提つきの計算:載せると誰が減り、誰が残るのか
載せると見学予約が減る、という不安を、仮の数字で確かめておきます。ここからの数字は、すべて僕が置いた想定です。
ある式場の料金ページを、月に400人が見ているとします。そのうち40人が見学を予約し、見学後に10組が契約する。ページの閲覧から見学予約までは10%、見学から契約までは25%です。
ここで、料金ページに「含まれないもの」の目安を載せたとします。見学予約が減るのは、総額が自分の予算に合わない二人です。この二人が、仮に10人いたとします。予約は40人から30人になります。
ところが、この10人は、載せなくても見学に来たあとで見積もりを見て、契約しなかった二人です。成約には一度も届かない二人が、見学の枠を使っていたことになります。この二人が見学に来なくなれば、案内の時間は、予算の合う二人に回せます。
見学から契約までの率を見ましょう。30人が見学に来て、10組が契約するなら、見学から契約までは33%です。載せる前の25%から、8ポイント上がります。契約の組数は変わらず、見学の件数が減っています。
ただし、これは「見学に来なくなる10人が全員、もともと契約しなかった二人」という強い前提です。現実には、予算が合わないと思って見学をやめた二人の一部は、見学で工夫を見て、契約したかもしれません。ですから、載せるときは、契約の組数が減っていないかを必ず見る必要があります。見る数字は、見学予約の件数ではなく、契約の組数です。
載せて失敗するのは、どんなときか
次のようなときは、料金ページに「含まれないもの」を載せても、効果が出にくいか、逆効果になります。
- 見学で値引きや特典の幅が大きい式場。 ページで幅を示しても、見学で大きく動くなら、二人は「見学に行けば下がる」と考えて、幅を信じません。幅を載せるなら、見学でもその幅が守られる運営が先です
- プランの種類が多く、項目が組み合わせで決まる式場。 載せる幅が広がりすぎて、情報として役に立ちません。この場合は、代表的な1つか2つのプランに絞って載せます
- 衣装や写真が提携先ごとに料金の違う式場。 提携先の料金は変わりやすく、ページが古くなります。更新できる頻度(月1回など)を決めてから載せます
どれも、ページに書いたことと、見学で出す見積もりが食い違うと、載せないほうがましだった、という結果になります。料金ページと見積書のズレは、載せる前に二つを並べて確かめておく作業が必要です。
載せる場所と、載せた後の見方
載せる場所は、料金の「〜」のすぐ下か横です。ページの下のほうの注意書きにすると、二人は読みません。「〇〇万円〜」を見て総額の見当をつける目線の、すぐ近くに置きます。
載せた後は、次の三つを月に1回見ます。
- 料金ページから見学予約までの率。下がるのは想定内ですが、下がり幅を見ます
- 見学から契約までの率。上がっていれば、予算の合う二人に絞れてきたということです
- 見学時に「ページに書いてあったより高い」と言われた件数。ゼロに近づくのが理想です
三つ目は、受付や担当者に、一言メモを残してもらう形で数えられます。数えるのが難しければ、見学後アンケートに一問足す手もあります。
最初の1か月は、数字がブレます。月の見学予約が30件台の式場なら、1か月の増減は誤差の範囲に収まりやすいので、3か月は様子を見ます。契約の組数が3か月続けて前年より減っているなら、いったん幅を広げるか、載せる項目を減らします。
書き方の例:「含まれない」を言い切って、幅を添える
言い回しで迷う人が多いので、一つ例を置きます。金額は仮の前提です。
「プラン料金には、衣装・装花・写真は含まれません。過去1年にご契約いただいた二人の実績では、衣装は40〜80万円、装花は20〜40万円、写真は15〜30万円の範囲でした。人数やご希望で上下します」
この三行で足りることが多いです。避けたいのは、「お客様のご要望に応じて別途お見積もりとなります」のような一文です。誰にも読めない文章になり、二人の想像は何も変わりません。
もう一つ、幅の下に「この幅に入らない二人は、見学でどの項目が理由かを先に確かめます」と書き添える手もあります。幅から外れる二人が不安にならず、見学の入口として機能します。
見学の見積書と並べて、半年に一度だけ突き合わせる
料金ページの幅は、書いたきり放っておくと、見学の見積書とズレていきます。衣装の仕入れが変わった、装花の最低価格を上げた、といった変更はふつうにあります。
半年に一度、直近の契約の見積書から、衣装・装花・写真の金額を拾って、ページの幅に収まっているかを見ます。収まらない契約が、全体の1割を超えているなら、幅を直します。1割という線は僕が置いた目安なので、自社の見学の運びに合わせて動かしてください。
まとめ
- 料金ページの「〜」の先が見えないと、二人は総額を低く見積もるか、高く見積もる。どちらも式場側の機会損失になる
- 載せるのは、二人の総額の見当を大きく動かす項目(衣装・装花・写真など)に絞る
- 金額は、自社の見積書から出した「目安の幅」で書く。項目名だけでは想像が変わらず、平均の総額は見学予約を減らしすぎる恐れがある
- 載せると見学予約は減るが、もともと契約に届かなかった二人が減るなら、見学から契約までの率は上がる。ただし契約の組数が減っていないかを必ず見る
- 見学で値引きの幅が大きい式場、プランが多い式場、提携先ごとに料金が違う式場では、先に運営を整えてから載せる
- 載せる場所は「〜」のすぐ近く。載せた後は、予約率・見学から契約までの率・「ページより高い」と言われた件数を月1回見る
