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式場の実例ページは、写真ごとに人数と総額の帯を添える

式場の公式サイトで、いちばん写真に力が入っているのは実例ページだと思います。プロのカメラマンが撮った、光の入るチャペルと、花に囲まれた長いテーブル。見ているだけで楽しいページです。

ただ、二人がそのページを見て考えていることは、たぶん写真の感想ではありません。「これ、うちの人数でもできるのかな」「いくらかかった例なんだろう」です。写真だけが並んでいて、その答えがどこにも書いていないと、二人は自分で想像します。そして想像は、たいてい高いほうに振れます。

この記事の結論は、実例ページの写真には、人数、総額の帯、準備期間を一行ずつ添えて、二人が自分に引き寄せて読めるようにする、ということです。値段を丸出しにせよという話ではありません。「この写真の結婚式は、どのくらいの規模の話か」を、見る前の二人に渡すという話です。

なお、この記事の組数や率は、すべて僕が置いた仮の数字です。業界の平均や実績ではありません。自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

実例ページは「憧れの棚」で止まりやすい

実例ページには、会場側の都合がよく出ます。いちばん映える一組を選び、いちばん綺麗な写真を並べ、一組につき10枚から20枚を載せる。見せたいのは会場の魅力ですから、これは自然な作りです。

ところが、二人の側から見ると、このページは「比較の棚」としては使えません。比較するための情報が無いからです。たとえば、次のような疑問が残ります。

  • 写真に写っているのは何人の披露宴なのか
  • 総額はだいたいどのくらいの帯の話なのか
  • 日取りは人気の土曜か、平日か
  • 決めてから挙式まで、どのくらいの期間があったのか

この四つは、写真から読み取れません。読み取れないまま、二人は「自分たちの予算では届かない会場かもしれない」という仮説を持って、次のタブを開きます。見学の予約までたどり着かず、別の式場のページに移る。これが、実例ページの一番ありがちな漏れ方だと僕は考えています。

ここで大事なのは、「高く見える」ことそのものは悪くない、という点です。会場が上質に見えるのは強みです。問題は、その上質さが「自分たちの規模でも届く上質さなのか」が分からないことです。届くと分かれば、同じ写真が「憧れ」から「現実的な候補」に変わります。

添える情報は三つ。人数、総額の帯、準備期間

実例ごとに一行ずつ添えるなら、僕は次の三つを優先します。

人数

いちばん効くのは人数です。写真の印象は、人数で大きく変わります。同じ長いテーブルでも、20人の食事会と70人の披露宴では、必要な予算も、準備の重さも違います。

二人が実例を見るとき、頭の中でやっているのは「自分たちの人数に置き換える」作業です。呼びたい人数が30人の二人は、80人の実例を見ても、自分たちの話として読めません。逆に、30人前後の実例が並んでいれば、「ここは少人数もちゃんと受けてくれる」と読み取れます。

人数は、「ゲスト32名」のように一つの数字で書くか、「30〜40名」のように幅で書きます。幅のほうが、個人の特定を避けやすく、掲載の許諾も取りやすいです。

総額の帯

総額は、ぴったりの金額ではなく帯で書きます。「総額250〜300万円の帯」「総額400万円台」のような書き方です。

総額を載せることに抵抗のある会場は多いと思います。理由はだいたい三つです。一つ目は、見積もりの出し方が組ごとに違うので、数字が独り歩きすること。二つ目は、他の式場に比較の材料として使われること。三つ目は、載せた帯より安い・高い契約が生まれたとき、説明が必要になることです。

どれも実際に起こりえます。だから帯で書き、「ご祝儀を引く前の総額」「ドレスと写真を含む」のように、何が入った数字かを一言添えます。何が入っているか分からない総額は、載せないほうがましです。二人は別の式場の総額と並べて比べるので、含まれるものが違う数字を渡すと、かえって誤解を生みます。

準備期間

三つ目は準備期間です。「契約から挙式まで7か月」のような一行です。

これは見落とされがちですが、効きます。特に、日取りが近い二人にとって、「この会場は半年を切っても間に合うのか」は、会場選びの前提条件です。準備期間の短い実例が一つあるだけで、短い期間で探している二人が、問い合わせの電話を取る気になります。

仮の数字で考える。写真の見せ方で、見学予約はどう動くか

ここから、前提を置いたモデル計算をします。繰り返しますが、数字はすべて仮です。

仮に、ある会場の公式サイトで、実例ページを見た人が月に400人いるとします。そのうち、見学の予約まで進む人の割合を、現状で3%とします。月に12組です。

実例に人数と総額の帯を添えたことで、予約まで進む割合が3%から3.5%に動いたと仮定します。月の実例ページ閲覧が同じ400人なら、予約は14組。差は月に2組です。

この2組のうち、見学に来る率を6割、来館した人が成約する率を3割と仮定すると、2×0.6×0.3で、月に0.36組、年に4.3組ほどの成約の差になります。1組の売上を仮に300万円とすると、年に1,300万円ほどです。

もちろん、これは「3%が3.5%に動く」と置いたから出る数字です。動かなければゼロですし、逆に、総額の帯を見て離れる人が増えて、予約の割合が下がることもありえます。ここで言いたいのは、効果の大きさではありません。実例ページは、閲覧数の割に予約への貢献が測られていないことが多いので、この小さな差でも、写真の追加撮影より安く試せる、という点です。

試す費用は、既存の実例ページに文字を数行足すだけです。撮影も、デザインのやり直しもいりません。この「安く試せる」性質が、僕がこの打ち手を先に勧める理由です。

載せ方の実務

一組につき三行で足りる

実例のタイトルの下に、次のような三行を置きます。

  • ゲスト 32名
  • 総額 300〜350万円の帯(ご祝儀前。衣装と写真を含む)
  • 準備期間 契約から挙式まで 6か月

これだけです。長い説明はいりません。写真の邪魔にならない、小さな文字で十分に読まれます。見る人は、探している数字を一瞬で拾います。

実例は人数の違う組を並べる

実例の選び方も変わります。いちばん映える一組だけでなく、人数の帯が違う三組を並べるようにします。たとえば、20名前後、40名前後、70名前後です。

並べると、二人は自分の人数に近い一組を探して、そこだけを読みます。全部を読んでもらう必要はありません。自分に近い一組が見つかった二人は、そのページの滞在が長くなり、見学の予約ボタンまで進みやすくなります。

もし、人数の少ない実例が手元に無いなら、無理に作らないほうがいいです。少人数の実例が無いのに少人数向けのように見せると、見学に来た二人に「話が違う」と言われます。無いものは、無いままにしておきます。

閲覧の入口を人数で分ける

実例が10組以上あるなら、一覧の入口を人数の帯で分けるのも手です。「〜30名」「30〜60名」「60名〜」の三つ程度で十分です。結婚情報サイトの絞り込み条件にも人数が使われていることが多く、二人は人数から会場を探すことに慣れています。公式サイトでも同じ入口を用意すると、探し方が揃います。

載せないほうがよい場合

ここまで読むと、全部の会場でやったほうがいいように見えるかもしれません。ただ、載せないほうがよいケースもあります。

総額の帯が会場の標準とかけ離れているとき

実例の総額が、会場の通常の契約よりずっと高い、または安い場合です。たとえば、特別な割引の最中に決まった一組を載せると、通常の見積もりと並べたときに、二人が「話が違う」と感じます。こうした実例は、帯を載せるくらいなら、写真だけにしておくほうが安全です。

見積もりの出し方が組ごとにばらばらなとき

担当者によって、見積もりに含める項目が違う会場では、「総額の帯」の中身を説明しきれません。この場合は、先に見積もりの出し方を揃えるのが先です。揃っていない状態で総額を出すと、問い合わせの電話で「サイトの帯と見積もりが違う」というやり取りが増えます。

許諾を取っていないとき

人数や総額は、組を特定されうる情報です。写真の掲載許諾と同じく、数字を載せることも、事前に確認しておく必要があります。掲載の許諾に「人数と総額の帯を匿名で載せる」ことが入っていなければ、先に取り直します。帯で書くのは、この許諾を取りやすくするためでもあります。

数字を載せたあとに見るもの

載せて終わりにせず、二つだけ見ておきます。

一つ目は、実例ページから見学予約に進んだ割合です。載せる前の数か月と、載せた後の数か月を比べます。月ごとの揺れが大きいので、一か月で結論を出さず、できれば三か月は見ます。

二つ目は、見学のときの二人の最初の質問です。「予算はどのくらい見ておけば」から始まる二人が減って、「この人数の実例のような形で」から始まる二人が増えたなら、載せた情報が見学の会話に入り込んでいる証拠です。担当者が、最初の質問を一言メモしておくだけで、記録になります。

もし予約への進み方がかえって下がったなら、帯の幅を広げる、書く位置を変える、といった調整を挟みます。それでも下がるなら、その会場では、総額を見る前に会場の魅力を見てもらうほうが合っている可能性があります。その場合は、元に戻して構いません。やってみて戻せる、という点も、この打ち手の取り柄です。

実例ページを「比較の棚」にする

最後に、考え方を一つだけ整理します。

実例ページは、これまで「憧れの棚」として作られてきました。綺麗な写真を見て、会場の雰囲気を知ってもらう棚です。それは大事な役割で、手放す必要はありません。

ただ、二人が会場を絞り込む段階では、棚の役割が変わります。「自分たちの人数と予算で成り立つか」を確かめる、比較の棚です。写真に人数と総額の帯と準備期間を添えるのは、同じページに比較の棚の役割を足す作業です。

憧れの棚だけのページは、見て楽しんでもらえても、見学の予約にはつながりにくい。比較の棚の役割を足したページは、写真の見え方は変わらないまま、二人が次の行動を決めやすくなる。僕はそう考えています。

まとめ

  • 実例ページの写真だけでは、二人は「自分たちの規模で届くか」を判断できず、想像が高いほうに振れやすい
  • 添える情報は三つ。人数、総額の帯(何が含まれるかも一言)、契約から挙式までの準備期間
  • 実例は一組を飾るより、人数の帯が違う三組を並べて、二人が自分に近い一組を探せるようにする
  • 仮の数字では、予約への進み方が3%から3.5%に動くだけで、年に4組前後の成約の差になる。動かない可能性もあるが、文字を足すだけで試せる
  • 総額が標準とかけ離れている、見積もりの出し方が揃っていない、許諾が無い場合は、数字を載せない
  • 載せたあとは、実例ページからの予約率と、見学での二人の最初の質問を三か月見て、戻すかどうかを決める