結婚式場のプラン名は見学前に比べてもらえるかで決める
式場の公式サイトを開くと、料金のところに「プレミアムプラン」「ハッピーウエディングプラン」「Bouquet(ブーケ)プラン」のような名前が並んでいます。式場の側から見れば、会場の世界観を表した大事な名前です。けれど二人は、その名前だけを見て他の式場と並べることができません。
プラン名は、呼び名として付けるのか、比べてもらうための札として付けるのか。見学の前に二人が何を手がかりに候補を絞るのかを考えると、答えは変わります。この記事では、プラン名に人数と中身を添えるかどうかの判断の分かれ目を整理します。数字は出典のある統計ではなく、前提を置いたモデル計算です。前提は本文に書きます。
二人はプラン名を「読む」前に「並べる」
見学の前の二人は、複数の式場のサイトを開いて、同じ条件で並べようとします。「60人で、挙式と披露宴で、土日だとどれくらいか」という条件を決めて、各式場のページに当てはめていく作業です。
このとき手がかりになるのは、プラン名よりも先に、人数・内容・曜日のような条件です。プラン名が「プレミアム」だけだと、二人は次のことを自分でやらないと比べられません。
- ページを開いて、中身の一覧を読む
- 自分の条件(人数、挙式の有無)に当てはまるかを判断する
- 当てはまらなければ戻る
この手間が、ほかの式場のページを見に行く理由になります。式場の側から見ると、読んでもらえなかった、というより、読む前に並べられなかった、という状態です。
プラン名の付け方は3種類ある
プラン名の付け方は、大きく3つに分けられます。
| 型 | 例 | 二人が分かること |
|---|---|---|
| 雰囲気型 | 「ブーケプラン」「ハッピーウエディング」 | 会場の雰囲気。条件は分からない |
| グレード型 | 「ライト」「スタンダード」「プレミアム」 | 式場内での上下関係。他式場との比較はできない |
| 条件型 | 「60名・挙式と披露宴・土日」 | 人数と中身。他式場と並べられる |
雰囲気型は、世界観を伝えるのに向いています。ただ、検索する二人は「雰囲気」では検索しません。検索窓に入れるのは「60人 結婚式 費用」「少人数 結婚式場 〇〇市」のような条件の言葉です。
グレード型は、式場の中では分かりやすい並びです。ただ、「ライト」の中身が式場ごとにまったく違うので、他式場の「スタンダード」と並べても意味がありません。
条件型は、比べやすい代わりに、会場の個性が消えます。「60名プラン」と書いてあるだけでは、どの式場でも同じに見えるからです。
判断の分かれ目:条件型がうまくいくのはどんなときか
条件型が向いているのは、次のような式場です。
1. 二人の人数のばらつきが小さい式場。 来館する二人の多くが40〜70名ぐらいに収まるなら、「50名」「70名」と書いておけば、ほとんどの二人は自分の条件に近いプランを見つけられます。人数がばらつく式場は、人数ごとにプランを分けるとページが長くなります。
2. 価格が人数と内容でほぼ決まる式場。 見積もりの大半が人数と料理で決まる式場は、条件を書いた方が見積もりとのずれが小さくなります。逆に、装花や演出のオプションの比重が大きい式場では、条件を並べても総額が読めません。
3. 検索や媒体からの流入が、条件の言葉に寄っている式場。 媒体のページに載るときの見出しが「〇名・〇万円〜」のような形式の場合、公式サイトのプラン名が呼び名のままだと、媒体の見出しと公式サイトの名前が一致しません。二人は「媒体で見たあのプランは、公式サイトのどれのこと?」と迷います。
雰囲気型のまま残した方がよいのは、プランの中身よりも会場の体験そのものが売りの式場です。たとえば貸切で1日1組の式場や、唯一のロケーションを持つ式場では、プラン名に会場の名前や物語が入っていることが、ほかとの違いになります。
呼び名を捨てずに、条件を添える
実際の運用では、どちらかを選ぶより、両方を置く形がいちばん多く使えます。
リュミエール|60名・挙式と披露宴・土日
前半が呼び名、後半が条件です。呼び名は会場のなかで使い続け、条件は二人が並べるときに使います。ページの見出しにも、媒体への掲載にも、この形で揃えます。
条件を添えるときの決め方は、次の通りです。
- 人数は、式場が実際に多く受けている人数帯を使う。「30〜80名」のように幅を広げすぎると、何も言っていないのと同じになる
- 内容は、「挙式と披露宴」「会食のみ」のような、二人が自分で選べる言葉にする。「フルコース」「スペシャル」は条件ではなく感想なので使わない
- 曜日や時間帯で金額が変わる場合は、プラン名に入れるか、プランの直下に書く。「土日」「平日」を片方だけ書くと、読んだ人が安いほうを想像してしまう
- プラン名は短く保つ。条件を詰め込んで30字を超えるなら、人数と内容だけにして、曜日は本文に回す
モデル計算:来館予約が減っても、成約数が変わらない条件
条件型にすると、見学の予約が減ることがあります。理由は、条件を見て「うちの人数や内容には合わない」と判断した二人が、予約の前に離れるからです。予約が減るぶん、残った二人の成約率が上がらないと、得になりません。
ここでは、前提を置いて計算します。実際の式場の数字ではなく、考え方を見るための仮の数字です。
- 月の来館が40組、成約率が30%とする(月の成約は12組)
- プラン名に条件を添えたあと、来館が何割減ったら、成約率がいくつになれば同じ12組を保てるか
| 来館の減り方 | 来館数 | 同じ成約数に必要な成約率 |
|---|---|---|
| 5%減 | 38組 | 31.6% |
| 10%減 | 36組 | 33.3% |
| 20%減 | 32組 | 37.5% |
| 30%減 | 28組 | 42.9% |
この表の読み方は、2つあります。
1つ目は、来館が1割減るなら、成約率が30%から33%に上がれば成約数は同じ、ということです。3ポイントの上昇なら、条件が合わない二人を事前に外せた分として、現実的な範囲に見えます。
2つ目は、来館が3割減ると、成約率を43%近くまで引き上げる必要がある、ということです。ここまで上がるのは簡単ではありません。条件型にした結果、予約が大きく落ちるなら、条件の書き方か、書く場所が合っていない可能性があります。
得になる側には、もう1つ別の効果があります。条件が合わない二人への接客時間が減ることです。見学1件にかかる担当者の時間は、人数が合わないと分かった時点でほぼ無駄になります。ただ、この時間の効果を金額にするには、式場ごとの見学の件数と人件費が要るので、ここでは計算に入れていません。
自社で確かめるときは、前後比較よりも「聞く」
プラン名を変える前と後で、来館数や成約率を比べるのは、あまり当てになりません。月の来館が数十組の式場では、1か月の増減が偶然の範囲に収まってしまうからです。季節や広告の出し方でも変わります。
比較より、二人に直接聞く方がはっきりします。
- 見学予約のフォームに「気になったプラン」の欄を置く。 プラン名を選ばせる欄にして、どのプラン名が選ばれたかを数える。選ばれない名前があれば、二人が中身を想像できていない可能性がある
- 見学の冒頭で、「サイトでどのプランをご覧になりましたか」と1問聞く。 答えが「ちょっと見ただけで」なら、プラン名は手がかりになっていない
- 見学後に「プランの内容で分かりにくかった言葉」を聞く。 プラン名や項目名で、毎回説明している言葉があれば、その言葉が壁になっている
- 電話・メールの問い合わせで、プラン名の意味を聞かれた件数を数える。 月に数件でも、同じ質問が出るなら名前を直す根拠になる
これらは、どれも手元にある接点で拾えます。1〜2か月で件数が数件でも、同じ答えが繰り返されるなら判断の材料になります。
名前を変えるときに、先に決めておくこと
プラン名の変更は、公式サイトの文字を直すだけに見えて、実際は関わる場所がたくさんあります。
1. 旧名での検索を迎える。 過去のパンフレットや媒体の掲載、SNSの投稿で旧名が残っています。二人が旧名で検索したとき、新しいページにたどり着けるよう、新しいページの本文に「旧:〇〇プラン」と書いておきます。
2. 媒体・公式サイト・見積書の名前を揃える。 同じプランが、媒体では「A」、公式サイトでは「B」、見積書では「C」と書いてあると、二人は3つの別のプランだと受け取ります。変更日を決めて、同じ日に揃えます。
3. 変更するタイミングは、料金の改定や商品の見直しと合わせる。 名前だけ変えると、値上げを隠したように受け取られることがあります。中身や料金を見直す機会に合わせて、名前の理由を一言添えるほうが安全です。
4. 担当者が説明に使う言葉を揃える。 サイトの名前が変わっても、見学で担当者が旧名で話していると、二人は混乱します。全員が新しい名前で話せる状態にしてから公開します。
条件を書くときに気をつけたいこと
条件型にするときは、書き方を間違えると別の問題が出ます。
- 「〇万円〜」の起点を、条件の中身と必ず一致させる。 「60名プラン 〇万円〜」と書いて、実際は特定の日だけ成り立つ金額なら、有利に見せていると受け取られるおそれがあります。曜日・時期などの条件は、金額のすぐそばに置きます
- 条件が変わったときに、プラン名を放置しない。 最低人数や料理が変わっても、名前が「60名」のままだと、二人は古い条件で比べます
- 条件の言葉は、見積書の項目名と同じにする。 サイトで「挙式と披露宴」と書いて、見積書で「ウエディングセット」と書くと、二人は同じものか分からなくなります
雰囲気を残したい式場は、副題で条件を足す
「式場の名前や世界観は残したい」という判断も、もちろんあります。その場合も、呼び名の下に1行、条件を書くだけで足ります。
ブーケプラン 50名・挙式と会食・平日
この形なら、呼び名は式場の中でも外でもそのまま使えて、二人が並べるための手がかりも残ります。新しいページを作らなくても、既存のプラン名の下に1行足すだけで始められます。
まとめ
- 二人は見学の前に、プラン名を読むより先に、人数と中身で他の式場と並べようとする
- プラン名には、雰囲気型・グレード型・条件型の3つがあり、他の式場と並べられるのは条件型だけ
- 人数のばらつきが小さく、価格が人数と内容で決まる式場は、条件型が向く
- 会場の体験そのものが売りの式場は、呼び名を残して副題で条件を添える形で足りる
- 来館が1割減っても、成約率が30%から33%に上がれば成約数は同じ。3割減ると43%近くまで要るので、減り方を見て書き方を直す
- 効果は前後比較より、予約フォームの「気になったプラン」や見学の冒頭の1問で確かめる
- 名前を変えるときは、旧名の検索、媒体と見積書の表記、担当者の言葉まで同じ日に揃える
- プラン名は、二人が他の式場と並べる札として設計すると、見学の前から選ばれ方が変わる
