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式場のPinterestは投稿を増やす前に保存される写真の型を確かめる

式場のSNSといえばInstagramで、その次にLINEやYouTubeが話題になります。ところが二人の側に回ると、もう一つ別の使い方があります。気に入った会場や装花の写真を集めて、ボードにためていく使い方です。Pinterestはそのための場所として使われていて、先輩花嫁の体験談でも、会場装飾のイメージ集めに使ったという声が見つかります。

そこで式場側が「うちもPinterestを始めよう」と考えるのは自然です。ただ、僕が気になるのは始め方です。Instagramと同じ写真を同じ頻度で流し込み、フォロワーの数を見て続けるかを決める。この進め方だと、数か月後に「手間のわりに何も起きなかった」で終わりやすい。

この記事の結論を先に書きます。Pinterestは、投稿を増やす前に、保存される写真の型を小さく確かめる。そのうえで、保存された写真から飛んだ先で見学予約が取れる状態を整える。この順番を守ると、続けるか止めるかの判断が数字でできます。

なお、この記事には調査の数字を使っていません。Pinterestの国内利用率のような客観的なデータは、探した範囲では見つかりませんでした。後半のモデル計算はすべて仮置きなので、自社の数字に置き換えて読んでください。

Pinterestは検索の場所ではなく保存の場所

Instagramは、流れてくる投稿を見て、気になったらフォローや保存をする場所です。Pinterestは少し違い、二人が自分で言葉を入れて探し、見つけた写真を自分のボードに分けて保存していく場所です。先輩花嫁の声にも、言葉で検索すると関連する写真がたくさん出てきて、カテゴリごとに保存できるので見返しやすかった、というものがあります。

この違いは、式場の側の打ち手を変えます。

  • Instagramは、フォロワーに向けて毎日の投稿をする運用になりやすい
  • Pinterestは、二人が探す言葉に合う写真を置いておき、保存されて残る運用になる

前者は「今日の投稿が見られたか」で測り、後者は「写真が保存されて、後から見返されたか」で測ります。時間の流れが違うので、同じ物差しで続けるかどうかを決めると判断を誤ります。

もう一つ大事な点があります。Pinterestの写真は、保存された後にもとのページへ飛べます。保存された写真が公式サイトの実例ページや会場ページにつながっていれば、二人は「この写真の会場はどこだろう」と、サイトまで来てくれます。写真をためる場所であり、同時に、会場を知らなかった二人が公式サイトへ来る入り口にもなります。

始める前に決める3つのこと

投稿を始める前に、次の3つだけ決めます。これが決まらないまま始めると、後で測れません。

1つ目は、写真のリンク先です。写真が飛ぶ先を、トップページにしないでください。写真が挙式実例なら実例のページ、会場の雰囲気なら会場ページ、と写真と中身が合うページに飛ばします。飛んだ先で「写真と違うページが出た」となると、二人はすぐ戻ります。

2つ目は、飛んだ先に見学予約の入り口があるかです。実例ページの下に予約への導線がなければ、写真が保存されても、見学予約には変わりません。Pinterestを始める前に、リンク先のページを先に直すほうが効きます。

3つ目は、やめる基準を先に書いておくことです。たとえば「3か月続けて、リンク経由の見学予約が1組もなければ止める」のように、数字で決めておきます。始める前に決めないと、「もう少し続ければ」が延々と続きます。

保存される写真の型を3つに分けて試す

何を投稿するかで悩むと、手が止まります。そこで、保存されそうな写真の型を3つに分け、各型を同じ枚数だけ出して比べます。型の分け方は、二人がボードに分けて保存する単位に合わせます。

1つ目は「空間全体」の型です。チャペルや宴会場を引きで撮った写真です。会場探しの段階の二人が、候補の雰囲気を比べるときに保存しやすい型です。

2つ目は「ディテール」の型です。テーブルの装花、ケーキ、ペーパーアイテムなど、一部を寄りで撮った写真です。二人が自分たちの式のイメージを組み立てるときに保存します。この型は、会場を決める前の二人にも、決めた後の二人にも保存されます。後者は見学予約にはなりません。

3つ目は「時間や季節」の型です。夕方の光が入るチャペル、雨の日の庭、冬の夜の宴会場のように、条件がはっきりした写真です。条件で探す二人が、一つの会場を具体的に想像できる型です。

3つを同じ枚数で出す理由は、枚数が違うと比べられないからです。たとえば各型を同じ枚数ずつ、同じ頻度で出します。1か月たつと、どの型の保存が多いかが見えます。

保存数だけで型を決めない

Pinterestの管理画面では、写真ごとの保存数やリンクのクリック数を見られます。ここで保存数が多い型に寄せたくなりますが、一つ注意があります。

保存の多い写真が、見学予約につながる写真とは限りません。ディテールの写真は保存されやすい一方で、会場への関心が薄いまま保存されることがあります。逆に、空間全体の写真は保存が少なくても、リンクから公式サイトへ来る二人は会場を探している可能性が高い。

そのため、型ごとに次の3つを並べて見ます。

  • 保存数(どれだけ残されたか)
  • リンクのクリック数(どれだけ公式サイトへ来たか)
  • そこからの見学予約数(予約フォームの流入元で確認する)

保存数が高くて予約がゼロの型は、見た目が良いだけの型です。保存が少なくても予約がある型を、残す候補に入れます。

予約数を数えるには、Pinterestから来た二人かを見分ける必要があります。リンクの末尾に流入元の目印を付けておくか、見学予約の認知経路の質問(最初と最後の2問に分ける形)に選択肢を足しておきます。目印だけだと、写真を保存してから後日、検索して来た二人を取りこぼします。認知経路の質問も併用してください。

仮置きの数字で、続ける価値を見積もる

ここで、前提を置いたモデル計算をします。数字はすべて仮置きで、実績ではありません。自社の数字に置き換えて使ってください。

前提は次のとおりです。

  • Pinterestの運用に、月に8時間かかる
  • 担当者の1時間あたりの費用を、仮に3,000円とする
  • 3か月で、リンク経由の見学予約が6組入る
  • 見学から成約までの率を、仮に30%とする
  • 1成約あたりの粗利を、仮に40万円とする
hours_per_month = 8
cost_per_hour = 3000
months = 3
reservations = 6
close_rate = 0.30
gross_profit = 400000

cost = hours_per_month * cost_per_hour * months
contracts = reservations * close_rate
profit = contracts * gross_profit
print(cost)
print(contracts)
print(profit)
print(profit - cost)

計算すると、運用にかかる費用は72,000円、見込める成約は1.8組、粗利は720,000円で、差し引きは648,000円になります。

この計算で見てほしいのは、差し引きの金額そのものではありません。どの前提が崩れると赤字になるかです。たとえば見学予約が6組でなく1組なら、見込める成約は0.3組で、粗利は120,000円。費用72,000円を上回りますが、余りは小さくなります。見学予約が0組なら、費用だけが残ります。

つまり、続けるかどうかの分かれ目は、3か月のリンク経由の見学予約が何組あるかです。フォロワーの数や保存の合計は、この分かれ目に出てきません。やめる基準を「見学予約が何組」で書いておく理由は、ここにあります。

先に直すべきは写真ではなくリンク先のページ

Pinterestで反応が出ない原因は、写真の出来ではなく、飛んだ先のページにあることが少なくありません。始める前、または最初の1か月が終わった時点で、次のように確かめます。

  • 写真をクリックして、公式サイトの該当ページが開くか
  • 開いたページの最初の画面に、保存された写真と同じ雰囲気の写真があるか
  • そのページから、見学予約の入り口まで、画面を1つスクロールするだけでたどり着けるか
  • スマホで開いたとき、予約ボタンが画面の外に隠れていないか

二人はスマホで写真を見て、そのまま公式サイトへ飛びます。パソコンで確認しただけでは、スマホで起きる問題を見落とします。

挙式実例のページがすでにある式場は、実例ごとに写真を保存用の形で用意するだけで、リンク先の準備が整います。実例ページが無い式場は、先に実例ページを作るほうが、Pinterestを始めるより優先です。

保存された写真の権利と許諾を先に確かめる

もう一つ、始める前に見ておくことがあります。写真に二人やゲストが写っているときの扱いです。

挙式実例の写真をPinterestに出すと、二人が保存して、さらに他の人が保存して、写真が広がっていきます。広がった後で撤回を頼まれても、すべてを取り下げるのは難しい。契約時に、写真の掲載許諾をどこまで取っているかを、先に確認します。

許諾が「公式サイトへの掲載」までなら、Pinterestへの掲載は別の許諾が要るかもしれません。判断に迷う場合は、人が写らない写真(会場の空間、装花、ペーパーアイテム)から始めると安全です。人が写らない写真でも、見学予約につながる型は作れます。

やめる基準と、続ける基準を分けて書く

3か月続けた時点で、判断を次の形にしておきます。

  • 見学予約が基準以上なら、続ける。保存が多い型と予約がある型を見比べ、予約がある型を増やす
  • 見学予約が少ないが、リンクのクリックはある場合は、リンク先のページを直して、さらに3か月続ける
  • リンクのクリックも少ないなら、写真の型を入れ替えて1か月だけ試し、変わらなければ止める

止めるときは、「やめました」で終えないでください。どの型が保存され、どの型が予約になったかを1枚のメモにして残します。次に別のSNSを始めるときに、その知見が使えます。

まとめ

  • Pinterestは、二人が探して保存する場所。毎日の投稿の量でなく、保存されて残る写真で測る
  • 始める前に決めるのは、リンク先のページ、見学予約への入り口、やめる基準の3つ
  • 写真は「空間全体」「ディテール」「時間や季節」の3つの型を同じ枚数で出し、1か月後に比べる
  • 保存数だけで型を決めない。保存数、リンクのクリック数、見学予約数を並べて見る
  • 続けるかどうかは、3か月のリンク経由の見学予約が何組かで決める。仮置きの計算では、1組と0組の差が分かれ目になる
  • 反応が出ないときは、写真より先に、飛んだ先のページとスマホでの表示を直す
  • 人が写る写真は、掲載許諾の範囲を確かめてから。迷うときは人が写らない写真から始める