披露宴の人数で一番多い帯は、7年で80人台から60人台に動いた
披露宴の招待客数は、平均で語られることがほとんどです。ゼクシィ結婚トレンド調査2024では52.0人。見積もりのモデルプランも、フェアで見せる試食の人数も、この平均の近くに置いている会場は多いのではないでしょうか。
ところが同じ調査の人数帯別の表を見ると、平均の近くにいる組は意外に少ないです。しかも、いちばん多い人数帯は2018年から2024年にかけて動いています。平均が同じ52人でも、中身の山の形が違えば、会場の座席も料理の仕込みも見積もりの組み方も変わります。
今回は、リクルートの調査の人数帯別データを読み直して、マイナビウエディングと結婚スタイルマガジンの別々の調査と照らし合わせます。平均値の裏で何が起きているのかを、数字で確かめていきます。
平均52人に近い組は、4組に1組もいない
まず、ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)の人数帯別の割合です。披露宴・ウエディングパーティー実施者のうち、数値で人数を答えた人の分布で、単位は%です。
- 10人未満 4.3
- 10〜20人未満 9.5
- 20〜30人未満 8.8
- 30〜40人未満 9.7
- 40〜50人未満 11.1
- 50〜60人未満 11.9
- 60〜70人未満 14.1
- 70〜80人未満 9.6
- 80〜90人未満 7.4
- 90〜100人未満 3.1
- 100人以上の合計 約6.8(100〜110人未満 3.4、110〜120人未満 1.5、以降は1%以下)
- 無回答 3.8
平均は52.0人です。この52人を挟んだ「40〜60人未満」に入る組を足すと、11.1と11.9で23.0%。無回答を除いて割り直しても約24%です。平均値のまわり20人幅に、4組に1組もいません。
いちばん多いのは60〜70人未満の14.1%で、平均より10人ほど上にあります。しかも、30人未満が22.6%、80人以上が約17%と、両端にもそれなりに厚みがあります。平均は、真ん中に山があるから52人になっているわけではありません。小さい式と大きい式が混ざった結果として52人に落ち着いている、というのが実態に近いです。
数字を見て僕がまず気になったのは、平均が52人のとき、52人前後の式を中心に据えたモデル見積もりは、全体の4分の1にしか近くないという点でした。残りの4分の3の組には、人数も、そこにかかる料理や引き出物の数も、ズレた状態で見積もりが出ていくことになります。
一番多い帯は、7年で80人台から60人台に動いた
次に、同じ調査の過去分を並べます。各年の調査で、最も割合が高かった人数帯と、その割合です。
| 調査年 | 平均 | 最も多い人数帯 | 30人未満 | 80人以上 |
|---|---|---|---|---|
| 2018年 | 69.4人 | 80〜90人未満(14.1%) | 約11% | 約38% |
| 2021年 | 42.8人 | 10〜20人未満(14.2%) | 約34% | 約10% |
| 2022年 | 43.2人 | 10〜20人未満(13.6%) | 約33% | 約10% |
| 2023年 | 49.1人 | 60〜70人未満(13.9%) | 約26% | 約16% |
| 2024年 | 52.0人 | 60〜70人未満(14.1%) | 約23% | 約17% |
30人未満と80人以上は、報告書の人数帯を僕が足し合わせた値です。四捨五入の都合で、報告書本文が載せている「80人以上」の17.1%とは0.2ポイントほどずれます。
読み取れることは3つあります。
1つめ。コロナ禍の2021年と2022年は、山が10〜20人の少人数に寄っていました。2023年には60〜70人に戻っています。大人数が戻ったのではなく、山が少人数から中規模へ引っ張り上げられた形です。
2つめ。2018年の山は80〜90人でした。2024年の山は60〜70人で、コロナ前の位置には戻っていません。平均で見ると69.4人と52.0人の差は17.4人ですが、いちばん多い帯の差は20人ほどです。平均の差とほぼ同じ幅で、山の位置がずれています。
3つめ。ゼクシィの報告書によると、「20人未満」は2021年調査の23.5%から2024年調査の13.9%まで3年連続で減り、「80人以上」は9.7%から17.1%まで3年連続で増えて、2024年調査で「20人未満」を上回りました。少人数婚が増えている、という見方はコロナ禍の2021年と2022年には正しかったのですが、最新の数字は逆向きに動いています。
もちろん、これはゼクシィ会員の調査です。調査の対象や集計の方法が変わった2025年の結婚マーケット調査と並べることはできません(ここは別の記事で書いた論点です)。2024年までの同じ物差しの中で言える話に限ります。
別の調査でも、大人数は少人数より多い
リクルート1社の調査だけで言い切るのは危ないので、母集団が別の調査を2つ見ます。
結婚スタイルマガジンが公開している「結婚スタイルマガジントレンド調査2025」では、招待人数の平均が52.9人。最も多い人数帯は50〜60人未満の21.7%です。80人以上を合計した割合は20.8%で、30人未満は合計16.2%でした。記事は80人以上を「5組に1組」と表現しています。リクルートの2024年調査より、少人数は少なく、大人数は多く出ています。
マイナビウエディングの「結婚・結婚式の実態調査2025」は、2024年7月〜2025年6月に結婚式を実施した全国の20〜49歳の男女1,000人が対象で、調査期間は2025年7月25日〜31日です。披露宴の招待人数は平均56.2人でほぼ横ばい。人数別では、30人以上60人未満が37.7%(前年比3.3ポイント増)、60人以上90人未満が21.2%(前年比3.7ポイント減)でした。
3つの調査は、対象も人数帯の区切り方も違うので、数字を直接比べることはできません。ただ、向きは揃っています。
- 平均は52〜56人。同じ調査の中で見た平均は、どの調査でも50人台です
- 大人数(80人以上)の組は、少なくとも5組に1組前後、リクルートでは約6組に1組。無視できる少数ではありません
- 30人未満の少人数は、調査によって16%から23%。多数派ではないが、5組に1組前後はいる
少人数が増えているから大人数向けの設備はいらない、という判断も、大人数が戻ったから少人数プランは要らない、という判断も、数字は支持していません。
地域で山の形がまったく違う
全国の分布は、地域差を混ぜた形です。ゼクシィ結婚トレンド調査2024の地域別の表から、4つを抜き出して、同じ区切りで足し合わせてみます。
| 地域 | 平均 | 最も多い人数帯 | 30人未満 | 40〜60人未満 | 80人以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 九州 | 68.8人 | 60〜70人未満(11.7%) | 約16% | 約16% | 約38% |
| 首都圏 | 53.2人 | 60〜70人未満(15.2%) | 約23% | 約19% | 約19% |
| 関西 | 46.2人 | 50〜60人未満(18.2%) | 約26% | 約29% | 約11% |
| 東海 | 45.2人 | 40〜50人未満(17.3%) | 約22% | 約32% | 約6% |
九州は、80人以上が38%近くを占めます。100人以上だけでも約22%で、5組に1組は100人を超える披露宴を行っています。一方、東海は80人以上が6%程度で、40〜60人未満に3組に1組が集まっています。
九州の平均68.8人は全国平均の52.0人を大きく上回りますが、東海の平均45.2人は全国より7人近く少ないです。全国平均に合わせたモデル見積もりは、九州でも東海でも、どちらの会場から見てもズレます。
同じ全国平均52人で語られても、地域によって、中心の人数も、広い宴会場が埋まるかどうかも、まるで違います。会場の規模を決めるときは、全国の平均ではなく、自分のエリアの分布を見る必要があります。
見積もりのモデル人数を置き直す3つの点
では、分布の形を知って、現場で何を変えられるでしょうか。僕は、見積もりのモデル人数に絞って3点を挙げます。
1つめは、モデル見積もりを平均人数ひとつで作らないことです。平均52人のモデルを1本出す代わりに、30人、60人、90人の3本を並べる形にします。全国の分布を見ると、30人未満が約23%、30〜80人未満が約56%、80人以上が約17%。3本あれば、来館した組のほとんどが自分の人数に近い見積もりを見られます。
2つめは、自店の過去1〜2年の成約組の人数分布を、10人刻みで一度出しておくことです。全国の山が60〜70人でも、自店の山が40〜50人なら、見せるべきモデルは別です。分布は成約管理表から集計すれば、半日で出せます。全国の数字を、自店の数字の比べる相手として使います。
3つめは、見積もり提示後の変更の方向を見ることです。初回見積もり時の人数と、最終契約時の人数を、成約組ごとに並べます。増える組が多いのか、減る組が多いのかで、初回に出すモデル人数を高めに置くか低めに置くかの判断が変わります。この数字は、各社の管理システムにあるはずですが、全国の統計にはありません。ここが、自店だけが持てる材料です。
人数の分布をどう読むか
ここまでを踏まえて、分布を読むときの注意点を3つ書きます。
- 推計値を使うときは、調査の対象を確認します。リクルートは『ゼクシィ』会員、マイナビは全国の20〜49歳で結婚式を実施した人、結婚スタイルマガジンはその媒体の調査です。母集団が違えば、分布の形も変わります
- 人数帯の区切りは調査ごとに違います。「30人未満」を自分で足し算したなら、どの帯を足したのかを明記しておきます。僕は上の表で、リクルートの10人刻みの帯を足し合わせました
- 無回答の扱いで数字がずれます。リクルートの人数帯には無回答が3.8%入っています。無回答を除くと、各帯は1.04倍ほどになります
また、今回見たのはどれも披露宴・ウエディングパーティーを行った組の分布です。結婚式を挙げない組、写真だけの組は含まれていません。マイナビウエディングの調査では、結婚式を挙げていない・挙げる予定はないと答えた人が26.3%で、前年から4.6ポイント増えています。この層は、人数の分布の外にいます。
まとめ
- ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、披露宴の招待客数の平均は52.0人ですが、40〜60人未満に入るのは23.0%。平均の近くにいる組は4組に1組以下です
- 最も多い人数帯は、2018年の80〜90人未満から、2024年は60〜70人未満へ。コロナ禍の2021〜2022年に10〜20人未満だった山は、2023年に60〜70人未満へ戻りました
- 20人未満は3年連続で減って13.9%、80人以上は3年連続で増えて17.1%。2024年調査で、80人以上が20人未満を上回りました
- 結婚スタイルマガジンの調査(80人以上20.8%、30人未満16.2%)とマイナビウエディングの調査(平均56.2人)でも、平均は50人台、大人数は5組に1組前後という向きは揃っています
- 九州は80人以上が約38%、東海は約6%。同じ全国平均でも、地域で山の形が違います
- 見積もりのモデル人数は、平均ひとつで置かずに3本並べ、自店の成約組の人数分布と、契約時の人数の変化を見て決めます
