新婦が35歳以上だと、結婚式の総額は93万円低い。差をつくるのは単価ではなく人数
新婦の年齢が35歳以上だと、結婚式の総額は25〜29歳より約93万円低くなります。ゼクシィ結婚トレンド調査2024の、妻の年齢別集計に出ている数字です。
ただ、この93万円を「年齢が上がると節約志向になる」と読むと外します。差の中身を分けると、効いているのは1人あたりの費用ではなく、招待客の人数でした。そして、結婚する年齢の平均は上がり続けているのに、年齢構成の変化は、いまのところ式場の平均客単価をほとんど動かしていません。
この記事では、その2つを数字で確かめます。
結婚の年齢は、この40年で妻が4.6歳上がった
先に、結婚する年齢そのものの動きを見ておきます。国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集に、厚生労働省の人口動態統計をもとにした平均初婚年齢の表があります。初婚同士の夫と妻の平均を拾うと、次のとおりです。
- 1980年:夫27.8歳、妻25.2歳
- 2000年:夫28.8歳、妻27.0歳
- 2010年:夫30.5歳、妻28.8歳
- 2015年:夫31.1歳、妻29.4歳
- 2019年:夫31.2歳、妻29.6歳
- 2024年:夫31.1歳、妻29.8歳(厚生労働省の人口動態統計・確定数)
1980年から2024年までの44年で、夫は3.3歳、妻は4.6歳上がりました。夫と妻の差も、1980年の2.6歳から2024年の1.3歳まで縮んでいます。
ここ10年に絞ると、夫は31.1歳のまま動いていません。妻は29.4歳から29.8歳へ、0.4歳しか上がっていません。平均年齢の上昇は、足元ではほぼ止まっています。
ただ、平均が止まっていることと、年齢の幅が動いていないことは別の話です。式場の現場で効くのは平均ではなく、どの年齢層の組が何割いるかです。そこで、ゼクシィ結婚トレンド調査の年齢の分布を見ます。
新婦の6割は25〜29歳。35歳以上は1割
ゼクシィ結婚トレンド調査2024で、結婚時の妻の年齢を答えた人の分布は次のとおりです(全国の推計値、%)。
- 24歳以下:8.3
- 25〜29歳:57.1
- 30〜34歳:24.0
- 35歳以上:10.0
平均は29.0歳でした。夫は24歳以下6.3%、25〜29歳49.3%、30〜34歳26.9%、35歳以上16.7%で、平均30.1歳です。
2018年調査と並べると、動きが見えます。妻の分布は2018年が24歳以下11.9%、25〜29歳56.9%、30〜34歳22.7%、35歳以上8.4%。平均は28.4歳でした。6年で24歳以下が3.6ポイント減り、30〜34歳が1.3ポイント、35歳以上が1.6ポイント増えています。25〜29歳の層はほとんど変わっていません。
ここで1つ、数字の食い違いにふれておきます。ゼクシィの妻の平均29.0歳は、厚生労働省の初婚の平均29.8歳より0.8歳低く出ています。調査の対象が違うからです。人口動態統計は婚姻届を出した初婚の全員、ゼクシィは結婚情報誌の読者層に近い、挙式や披露宴を考えた人たちです。どちらが正しいというより、聞いている母集団が違うので、そのまま足し引きはできません。この記事では、式場の見積もりに近い母集団として、年齢別の金額はゼクシィの数字を使います。
新婦の年齢別に見た、結婚式のお金と人数
ここからが本題です。ゼクシィ結婚トレンド調査2024には、妻の年齢別の集計が載っています。披露宴の招待客数、挙式・披露宴の総額、カップルの自己負担額、親・親族からの援助額のうち挙式と披露宴に使った金額、の4つを並べます。
| 妻の年齢 | 招待客数(人) | 総額(万円) | 自己負担額(万円) | 援助のうち挙式・披露宴に使った額(万円) |
|---|---|---|---|---|
| 24歳以下 | 57.2 | 338.1 | 156.2 | 164.8 |
| 25〜29歳 | 54.2 | 361.2 | 169.3 | 170.5 |
| 30〜34歳 | 49.2 | 336.2 | 159.6 | 172.7 |
| 35歳以上 | 41.5 | 268.3 | 120.0 | 150.6 |
| 全体 | 52.0 | 343.9 | 161.3 | 168.6 |
総額が最も高いのは25〜29歳の361.2万円で、30〜34歳は336.2万円。ここまでは25万円の差です。35歳以上になると268.3万円まで落ち、25〜29歳との差は92.9万円になります。25〜29歳を100とすると、35歳以上は74です。
招待客数は、年齢が上がるほど素直に減っています。24歳以下の57.2人から35歳以上の41.5人まで、15.7人の差です。25〜29歳との比較では、54.2人から41.5人で12.7人減り、約23%の減少です。総額の減少が約26%なので、総額の差のほとんどは人数の差で説明がつきます。
1人あたりで見ると、ほとんど差がない
人数と総額が両方わかるので、総額を招待客数で割った概算を出してみます。
- 24歳以下:338.1 ÷ 57.2 = 約5.9万円
- 25〜29歳:361.2 ÷ 54.2 = 約6.7万円
- 30〜34歳:336.2 ÷ 49.2 = 約6.8万円
- 35歳以上:268.3 ÷ 41.5 = 約6.5万円
35歳以上の6.5万円は、25〜29歳の6.7万円より約3%低いだけです。30〜34歳は25〜29歳より高くなります。年齢が上がると1人あたりの費用を絞る、という傾向は、この概算からは読み取れません。
ここは割り算の限界を分けて書いておきます。招待客数は披露宴・ウエディングパーティーをした人の回答で、総額は金額を答えた人の回答です。回答した人の範囲が少し違うので、この割り算は厳密な1人あたりではありません。以前の記事でも触れたとおり、調査が公表している「1人あたり」はサンプルごとに割った値の平均で、またちがう数字になります。ここで見たいのは年齢層ごとの大小関係で、その点では、人数が総額の差のほとんどを決めているという結論はぶれないと考えています。
自己負担は35歳以上で120万円。親の援助は少し細る
次にお金の出どころです。カップルの自己負担額の平均は、全体で161.3万円でした。年齢別では、24歳以下が156.2万円、25〜29歳が169.3万円、30〜34歳が159.6万円、35歳以上が120.0万円です。
35歳以上は、25〜29歳より49.3万円低く出ています。総額の差92.9万円のうち、約半分が自己負担の差ということになります。残りの約44万円は、ご祝儀や親の援助など、自己負担以外の部分が小さいことによります。
親・親族からの援助の有無も、年齢別に出ています。「援助があった」と答えた割合は、全体で74.2%。年齢別では次のとおりです。
- 24歳以下:75.4%
- 25〜29歳:77.1%
- 30〜34歳:70.7%
- 35歳以上:65.4%
35歳以上でも、3人に2人は援助を受けています。ただ25〜29歳と比べると11.7ポイント低いです。
援助があった人の、挙式と披露宴に使った援助額の平均は、全体で168.6万円でした。年齢別では24歳以下が164.8万円、25〜29歳が170.5万円、30〜34歳が172.7万円、35歳以上が150.6万円です。35歳以上は、援助を受ける人の割合が低いうえに、受けた人の金額も22万円ほど低くなっています。
こう並べると、35歳以上の結婚式は「人数が少ない」「自己負担が小さい」「援助も細い」が同時に起きている、少人数で、自分たちの手持ちの範囲に収める式だと読めます。ただ、これは平均の姿です。ばらつきは大きく、35歳以上にも500万円以上かける組はいます。総額の分布を見ると、35歳以上は50万円未満が5.8%、50〜100万円が9.7%で、全体の1.5%、3.4%と比べて厚く出ています。
年齢構成が動くと、平均客単価はどれだけ動くのか
ここからは試算です。前提を先に書きます。
- 年齢別の平均値は、2024年調査の上の表の数字で固定する
- 年齢構成の比率だけを動かす(2024年の構成:24歳以下8.3、25〜29歳57.1、30〜34歳24.0、35歳以上10.0)
- 構成比の合計が100にならない分(無回答)は、各層に同じ比率で按分する
まず検算として、2024年の構成と年齢別の値から全体の平均を再現します。総額は343.9万円、招待客数は52.0人、自己負担額は160.9万円になりました。公表されている全体の値(343.9万円、52.0人、161.3万円)とほぼ一致するので、この計算の仕方は使えます。
試算1:2018年と2024年の構成の違いが、平均を動かした分
2018年の構成(24歳以下11.9、25〜29歳56.9、30〜34歳22.7、35歳以上8.4)と、2024年の構成に、同じ年齢別の値をかけて比べます。総額は344.96万円と343.89万円で、差は1.1万円。招待客数は52.35人と51.97人で、0.4人。自己負担額は0.5万円。
つまり、この6年間に起きた年齢構成の変化は、平均の総額を約1万円、人数を約0.4人動かしただけです。2024年の平均総額が343.9万円なので、約0.3%にすぎません。年齢構成の変化は、ここ数年の平均客単価の動きを説明する要因にはなっていません。
試算2:25〜29歳の層から35歳以上へ、5ポイント・10ポイント移ったら
もし25〜29歳の層から、35歳以上の層へ構成比が5ポイント移ると、総額の平均は4.7万円、招待客数は0.6人、自己負担額は2.5万円下がります。10ポイント移ると、総額は9.3万円、招待客数は1.3人、自己負担額は5.0万円の減です。
10ポイントの移動は、35歳以上が全体の10%から20%に倍増する規模です。ここ6年の動き(8.4%から10.0%への1.6ポイント)と比べると、約6倍の速さが必要になります。そこまで動いても、平均総額への影響は9.3万円、約2.7%にとどまります。
この2つの試算から言えるのは、次の2点です。
- 平均の客単価が動かなくても、中を見ると、年齢で人数と予算の層は分かれている
- ただし、年齢構成が動いて会場の平均が崩れるのは、まだ先の話
数字の限界
読み方の限界も書いておきます。
1つ目。年齢別のサンプル数は、資料から読み取れませんでした。調査が示しているのは推計値の割合と平均で、35歳以上は全体の約1割です。サンプルが小さければ、平均はぶれます。268.3万円や41.5人は、傾向としては使えても、小数点以下の差で比べる数字ではありません。
2つ目。35歳以上の人たちが、初婚なのか再婚なのかは、この集計からわかりません。再婚の場合、結婚式の位置づけが違ってくることは考えられますが、数字では確かめられていません。
3つ目。これは年齢の影響を取り出した数字ではありません。35歳以上の人は、居住地、働き方、同居の有無、挙式スタイルの違いも一緒に持っています。人数が少ないのが年齢のせいなのか、年齢と相関した別の事情のせいなのかは、この表だけでは言えません。「35歳以上の組は、こうなりやすい」という傾向までが読める範囲です。
4つ目。ここで使った金額と人数は、挙式・披露宴をした人の回答です。挙式も披露宴もしない人は入っていません。
見積もりと提案で見直す点
数字が示している範囲で、式場側が見直せる点を挙げます。
モデル人数を年齢で分けて持つ。 見積もりの標準人数を1本に置くと、35歳以上の組には多すぎ、24歳以下の組には少し足りなくなります。年齢層別に平均を並べると、57.2人、54.2人、49.2人、41.5人です。初回の相談で年齢を聞いたうえで、モデル人数を切り替えるだけで、見積もりの外れは小さくなります。
少人数の組には、総額ではなく1人あたりで提案する。 35歳以上の概算の1人あたりは約6.5万円で、25〜29歳の約6.7万円とほとんど変わりません。人数が少なくても、1人にかける費用は維持されています。そうすると、少人数の組に安いプランを勧めるのは、実態とずれる可能性があります。人数を前提にした見積もりに、1人あたりを同じ水準で残した提案を出すほうが、数字には合っています。
親の援助の有無を、早い段階で聞く。 援助を受けた人は74.2%で、受けた金額は挙式と披露宴に使った分だけで平均168.6万円。総額343.9万円のほぼ半分です。年齢が上がるほど援助の割合は下がるので、35歳以上の組では「援助なし」を前提にした予算の置き方が、他の層より多くなります。
構成比を、自社の来館者で見る。 全国で年齢構成が動いていなくても、会場ごとの構成は違います。自社の成約組を新婦の年齢帯で分けて、人数と総額を出してみると、この記事の表と同じ形になっているかを確かめられます。違っていれば、そこが自社の特徴です。
まとめ
- 新婦が35歳以上だと、結婚式の総額は268.3万円で、25〜29歳の361.2万円より92.9万円低い(ゼクシィ結婚トレンド調査2024、妻の年齢別)
- 差の中身は主に人数。招待客数は25〜29歳の54.2人から、35歳以上の41.5人へ約23%減った。総額の減少は約26%
- 総額を人数で割った概算は、35歳以上が約6.5万円、25〜29歳が約6.7万円。1人あたりはほとんど変わらない
- 自己負担額は35歳以上で120.0万円(25〜29歳は169.3万円)。親族の援助があった割合も65.4%と、25〜29歳の77.1%より低い
- 平均初婚年齢は1980年から妻で4.6歳上がったが、ここ10年はほぼ横ばい(妻29.4歳→29.8歳)。年齢構成の変化が2018年から2024年の平均総額を動かした分は、約1万円
- 年齢別のサンプル数は資料から読めない。35歳以上は全体の約1割で、小数点以下の差は比べない。年齢以外の事情が混ざっている可能性も残る
年齢で動くのは1人あたりの費用ではなく、呼ぶ人数です。
