新郎新婦のリアル

披露宴の余興は、6年で45%から17%に減った。満足度は下がっていない

披露宴の余興と聞くと、友人がステージに立って、ダンスや寸劇や映像を披露する場面を思い浮かべる方が多いと思います。会場の側でも、余興の時間枠を取り、音響と映像の確認を入れ、当日のタイムテーブルに組み込むのは、長く当たり前の段取りでした。

その当たり前が、数字の上ではほとんど残っていません。ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、披露宴・ウエディングパーティーを実施した人のうち、招待客による余興を行った人は17.0%でした。2018年の調査では45.3%です。6年で28.3ポイント下がり、水準は4割弱になっています。

しかも同じ調査で、披露宴の満足度は2018年より少し上がっています。演出がこれだけ減って、満足が落ちていないなら、見積もりや提案の組み方にも見直せるところがあるはずです。今回はリクルートの一次資料を読み直し、ハナユメの別の調査と照らし合わせて、何が減り、何が増え、会場の仕事にどう効くのかを確かめます。

余興の実施率の推移

まず、ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)で「招待客による余興」を実施した割合の推移です。対象は披露宴・ウエディングパーティーの実施者で、複数回答の演出項目の一つです。

調査年 実施率(%) 前年からの差
2018年 45.3 -
2019年 39.9 -5.4
2020年 36.6 -3.3
2021年 23.5 -13.1
2022年 18.4 -5.1
2023年 17.2 -1.2
2024年 17.0 -0.2

2024年調査は、2023年4月から2024年3月に挙式または披露宴を実施した人が対象です。ほかの年も同じ区切りで調べていると思われますが、報告書の抜粋では各年の対象期間までは確認できていません。

この表で目を引くのは、下がり方の形です。2018年から2020年までは年に3〜5ポイントずつ、ゆるやかに下がっていました。2021年に一気に13.1ポイント落ちて、2022年にもう5.1ポイント下がり、そのあと2023年と2024年はほぼ横ばいです。

つまり、コロナ禍で急に落ちて、そのまま戻っていません。感染対策で余興が難しかった時期が終わったあとも、17%台で止まっています。一時的な自粛なら、規制が外れたあとに回復するはずです。回復していないので、僕は「やらなくなった」のではなく「やらなくてよいと分かった」と読んだほうが数字に合うと思っています。ただ、これは数字から僕が立てた読みで、調査が理由を聞いた結果ではありません。

ハナユメの調査との照合

ここまでは一つの調査の話です。別の調査でも同じ方向かを確かめます。

ハナユメ(エイチームライフデザイン)は2022年7月に、コロナ禍の結婚式についてのアンケート結果を発表しています。対象は2021年9月から2022年5月までに挙式を済ませた人などで、ハナユメ公式Instagramのフォロワーに聞いた調査です。余興の質問に答えたのは320名でした。

  • 披露宴で、ゲストによる余興を実施した人は約26%
  • コロナ禍が原因で余興をあきらめた人は11%
  • 実施した人とあきらめた人を足すと、コロナ禍でなければ余興をしていた人は約37%

同じ資料は、2018年1月にハナユメが行ったWEBアンケートでは余興の実施率が48.1%だったことにも触れています。ハナユメ自身が「約4年で余興の実施意向そのものが大幅に減少している」と書いています。

ゼクシィの調査とハナユメの調査は、運営会社も、調べ方も、回答者の集め方も違います。ゼクシィは『ゼクシィ』読者とネット会員に調査票を郵送し、ハナユメはInstagramのフォロワーにWEBで聞いています。それでも、2018年の水準は45.3%と48.1%でほぼ同じです。そこから4年ほどで、ゼクシィは18.4%(2022年調査)、ハナユメはあきらめた分を足しても37%と、どちらも大きく下がっています。

ここは正直に断っておくと、数字は同じではありません。ハナユメの26%はゼクシィの2021年調査23.5%と2022年調査18.4%の間に入りますが、ぴったりは合いません。母集団が違うので、合うほうがおかしいとも言えます。裏取りできるのは「2018年の4〜5割から、コロナ禍を経て半分以下に下がった」という方向と規模までです。2024年の17.0%は、僕が確認できた範囲ではゼクシィの調査だけの数字です。

増えた演出と、減った演出

余興が減ったぶん、何が増えたのか。同じ報告書の演出別の表から、2018年と2024年を並べます。披露宴・ウエディングパーティー実施者の複数回答で、2024年に10%以上だった項目だけが載っています。

増えたもの(%)

演出 2018年 2024年 差
ウエルカムスピーチを新郎・新婦二人で行う 20.8 34.8 +14.0
招待状・席札をオリジナルデザインでつくる 41.5 52.3 +10.8
親に花束以外のものを贈呈する 59.5 67.9 +8.4
花婿の手紙を読む 8.1 12.5 +4.4

減ったもの(%)

演出 2018年 2024年 差
招待客による余興 45.3 17.0 -28.3
ウエディング小物を自分たちでつくる 46.7 30.3 -16.4
キャンドルサービス以外の演出で招待客席を回る 35.7 21.6 -14.1
風船など花以外のものも使って会場を飾る 29.7 17.7 -12.0
会場装花を持ち帰れるようにする 71.2 60.9 -10.3
親に花束を贈呈する 65.4 56.5 -8.9
ファーストバイト 79.7 71.2 -8.5
花嫁の手紙を読む 77.6 69.2 -8.4

並べて気づくのは、減った側に「準備に人手と時間がかかるもの」が多いことです。余興は頼む相手と練習の時間が要ります。小物の手づくりは新郎新婦の夜なべが要ります。風船の飾りつけ、卓を回る演出も、段取りが増えます。増えた側は、スピーチは原稿を一つ用意すれば済み、招待状のデザインは発注すれば済み、手紙や花束以外の贈り物も一人で用意できます。

もちろん、花嫁の手紙のように準備が軽くても減っている項目はあります。ですから「手間のかかるものが減った」だけでは説明がつきません。それでも、減少幅の大きい上位に、他人を巻き込む演出と手作業の演出が並んでいるのは確かです。この見方は僕の仮説で、検証するには新郎新婦に直接聞くしかありません。

演出の数と満足度

演出が減って、新郎新婦は不満を持っているのか。同じ調査の満足度を見ます。披露宴・ウエディングパーティー実施者に、満足度を単一回答で聞いた結果です。

調査年 非常に満足 満足計(非常に+まあ)
2018年 73.1% 96.7%
2022年 72.7% 96.3%
2023年 77.8% 97.8%
2024年 77.2% 97.4%

満足計は2018年の96.7%から2024年の97.4%へ、0.7ポイント上がりました。「非常に満足」に絞ると73.1%から77.2%で、4.1ポイントの上昇です。余興が45%から17%に減った期間に、満足度は落ちるどころか、わずかに上がっています。

満足計はもともと97%前後で天井に近いので、0.7ポイントを「上がった」と大きく言うのは控えます。言えるのは、演出の数や余興の有無が、満足度を決める主な条件ではなさそうだ、ということまでです。

同じ報告書には、価値観の質問もあります。「結婚式の内容は、定番やしきたりにとらわれず、二人の価値観に合った自由なやり方をすればよい」に「そう思う」と答えた人(「非常に」と「やや」の合計)は、2024年調査で90.0%、2023年調査で90.0%、2022年調査で89.8%と、3年続けて約9割でした。やるべき演出が決まっているという前提が薄れ、二人が選んだ結果として、余興を入れない式が増えていると読めます。

ゲスト側の数字との食い違い

ここまで来ると、「余興は減った」で話を閉じたくなります。ところが、同じリクルートの結婚総合意識調査2024(ゲスト編)には、反対に見える数字があります。

結婚式に参列したときに「した」ことを聞いた項目で、「事前に依頼された余興やスピーチをした」の割合は、2022年調査が17.8%、2023年調査が24.5%、2024年調査が25.4%でした。2022年から7.6ポイントの増加です。報告書は、ゲスト同士の交流やゲスト参加型の結婚式が増えていると書いています。

新郎新婦側の余興は17%台で横ばいなのに、ゲスト側の「余興やスピーチを頼まれた」は増えている。どちらも本当の数字だとすると、食い違いの理由は何でしょうか。僕が考えたのは三つですが、報告書からは確かめられません。

  • ゲスト側の項目は「余興やスピーチ」で、スピーチ(乾杯の挨拶や友人代表の祝辞)を含んでいる。新婦側の「余興」はスピーチを含まない可能性がある
  • ゲスト側は、その人が過去に参列した結婚式全体への回答で、新婦側は直近1年に挙式した人への回答になっている
  • 調査の対象者が違う(新郎新婦側は『ゼクシィ』読者とネット会員への郵送、ゲスト側は全国のインターネット調査の既婚者)

食い違いの理由は、僕には特定できていません。ここから言えるのは、「余興が消えた」ではなく、「友人が出し物を披露する形の余興が減り、頼まれる役割は別の形で残っている」可能性まで、ということです。

もう一つ、リクルートの結婚マーケット調査2025にも、余興に触れた数字があります。国内で披露宴・ウエディングパーティーか食事会を実施した人(n=692)の演出で、「ゲストによる余興・演出」は11.1%、「特別な演出を行わずに食事を楽しむ」は18.0%でした。ただし、この調査は2024年までのトレンド調査とは調べ方が変わっていて、数字を並べて増減を言えません。2025年の調査で言えるのは、演出なしで食事を楽しむ人が、ゲストによる余興・演出をした人より多い、という事実だけです。

100組の会場に当てはめる

数字を会場の仕事に落とします。年間100組が披露宴を行う会場を考えます。全国平均の割合をそのまま当てはめた単純なモデルで、自分の会場の割合とは違うはずです。

  • 2018年水準(45.3%)なら、余興を行う組は約45組
  • 2024年水準(17.0%)なら、約17組
  • 差は約28組

この28組が減ると、プランナーの仕事は何が変わるでしょうか。余興には、依頼先との連絡、持ち込み機材と音響の確認、タイムテーブルへの組み込み、当日の進行調整がついてきます。一組あたりの合計時間を仮に3時間とすると、28組で年84時間です。この3時間は僕の置いた仮の値で、会場ごとに実際の時間は違います。自分の会場の打合せ記録で、余興がある組とない組の工数を比べれば、本当の数字が出ます。

もう一つ見るべきは、余興の時間枠を何に使っているかです。余興が10〜20分あった枠が空いたとき、その時間が歓談や料理の提供に使われているのか、空白のまま終わりが早くなっているのか。満足度が下がっていないなら、空いた時間は悪いものではなさそうです。ただ、料理や飲み物の追加注文が増えているのか、二次会に流れているのかは、会場の売上の数字を見ないと分かりません。

見積もりと提案の見直しどころ

ここから先は、僕の考えです。調査の数字から直接出てくる結論ではありません。

一つ目は、初期見積もりやモデルプランに、余興の枠を最初から入れていないかの確認です。フェアで見せる披露宴のタイムテーブルに余興の時間が組まれていると、新郎新婦は「入れるのが普通」と受け取ります。2024年の実施率が17.0%なら、モデルは入れていない形のほうが、実態に近いです。

二つ目は、増えている演出を、オプションとして整えておくことです。二人のウエルカムスピーチは34.8%、オリジナルデザインの招待状・席札は52.3%まで増えています。スピーチの構成を一緒に考える、デザインの発注先を紹介する、といった支援は、手間がかかる割に見積もりに載っていない会場が多いのではないでしょうか。載せるかどうかは、会場の判断です。

三つ目は、提案の聞き方です。「余興はどうされますか」と聞かれると、新郎新婦はやるかやらないかの二択になります。調査で約9割が「二人の価値観に合った自由なやり方」を肯定しているなら、最初に聞くべきは「ゲストに何を楽しんでほしいか」であって、演出の有無ではないはずです。

四つ目は、ゲスト側の数字との折り合いです。「頼まれた」ゲストが増えているとしたら、頼まれたゲストの負担と、会場がどこまで関与するかが問題になります。この点は、僕には会場の現場の数字がなく、判断できません。

まとめ

  • 招待客による余興の実施率は、ゼクシィ結婚トレンド調査で2018年の45.3%から2024年の17.0%に下がった
  • 下がり方はコロナ禍の2021年調査で13.1ポイントと大きく、その後は17%台で横ばいになり、戻っていない
  • ハナユメの別の調査(2018年1月48.1%、2021年9月〜2022年5月挙式の回答者26%)でも、半分近くに下がっている
  • 増えた演出は二人のウエルカムスピーチやオリジナルの招待状で、減った演出は余興、手作り小物、卓を回る演出など準備に人手のかかるものが目立つ
  • 披露宴の満足計は2018年96.7%、2024年97.4%で、演出が減っても下がっていない
  • ゲスト側の「余興やスピーチを頼まれた」は2022年17.8%から2024年25.4%に増えており、新郎新婦側の数字との食い違いは報告書から説明できない
  • 年100組の会場で全国平均を当てはめると、余興のある組は約45組から約17組に減る。工数の影響は、自分の会場の記録で測る