新郎新婦のリアル

片方がシフト勤務だと、二人の休みが土日に重なるのは月2.3日。土日の見学枠だけでは、来館できない二人が出る。平日夜の枠は年78万円、取り戻すのは来館1.4組で足りる

ブライダルフェアも見学も、土日に枠を厚くする式場がほとんどです。二人が会社員で土日休みなら、それで足ります。でも、二人のどちらかがシフト勤務だと、土日に二人そろって動ける日はぐっと減ります。

この記事は、その減り方を数えます。調査の数字ではなく、僕が置いた仮の前提での計算です。シフト勤務の人の休みがどう割り振られているかは職場ごとに違うので、断定はしません。ただ、前提を動かせば自社の予約表に当てはめられる形にしました。

先に結論を書きます。片方が土日休み、もう片方が月8日休みのシフト勤務だと、二人の休みが土日に重なるのは月に約2.3日です。両方がシフト勤務だと、月に約0.6日まで減ります。土日の見学枠だけで受けていると、来館したいのに日が合わない二人が一定数いるはずです。その二人のために平日夜の枠を週2日つくると、年にかかる人件費は約78万円。粗利140万円の式場なら、そのうち来館1.4組が成約に至る程度の取り戻しで元が取れます。

二人の休みが重なる日を数える

仮の前提を置きます。数字はすべて計算のための仮置きです。

  • 1か月は30.4日。土日は年間104日なので、月に約8.7日
  • 片方(A)は土日休みの会社員
  • もう片方(B)はシフト勤務で、月に8日休む。休みの日は月のなかでばらばらに割り振られる
  • Bがどの日に休みになるかはAの休みと関係なく決まる(独立)

Bが休みの確率は、1日あたり8÷30.4で約26%です。AとBがそろって休める土日は、土日の日数にこの確率をかけて、8.7×0.26で約2.3日。月のなかで、土日のうち二人の予定が合うのは2日ちょっとです。

Bの休みが月9日なら2.6日、月10日なら2.9日。休みが1日増えても、重なる土日は0.3日しか増えません。休みの日数がそのまま来館のチャンスにならないのは、休みの一部が平日に落ちるからです。Bの休みのうち、平日に当たる分(月で約5.7日)は、Aが仕事をしている日です。Aは、Bの平日の休みには付き合えません。

では、両方がシフト勤務ならどうか。二人とも月8日休みで、休みの日が独立に決まるとすると、二人がそろって休める日は月に30.4×0.26×0.26で約2.1日です。このうち土日に当たるのは0.6日。全日で見れば2日あっても、土日に限ると月0.6日しかありません。

二人の働き方(仮) 二人がそろって休める日 うち土日
二人とも土日休み 月8.7日 月8.7日
A:土日休み、B:月8日休みのシフト 月約2.3日(Aが休むのは土日だけ) 月約2.3日
二人とも月8日休みのシフト 月約2.1日 月約0.6日

二人とも土日休みの場合は、土日が8.7日あるうえ、すべて二人の休みです。ここを100とすると、片方がシフトなら約26、両方がシフトなら約7まで下がります。見学を土日に集めている式場にとって、この差が来館のしやすさの差です。

月に1度も土日が重ならない確率

次は、重なる日が月に1度もない確率です。土日が8日あり、Bが土日に休みになる確率を26%と置くと、1日も重ならない確率は、(1−0.26)の8乗で約9%です。Bの休みが月9日なら約6%、土日が9日ある月なら4〜6%に下がります。

月ごとに見ると、1度も重ならない月は1割未満です。ここだけ見ると、土日の見学で困る二人は少なそうに見えます。

ただし、この計算には2つ穴があります。

1つ目は、休みの日が独立だという前提です。実際には、結婚式の準備のために休みを合わせにいく二人も多いはずです。希望休を出して、同じ日に休みをとる。これは、重なる日数が計算より多くなる方向の誤差です。

2つ目は、重なれば来館できるわけではないことです。土日の見学が13時に集まりやすいことは別の記事で書きましたが、重なった土日に、二人の希望の時間の枠が空いているかどうかは別の問題です。午前、昼、夕方のどこで動けるかも、シフトの早番・遅番で変わります。

つまり、「1度も重ならない二人」は少数でも、「重なってはいるが、日と時間を合わせにくい二人」は、もっと多いと考えるのが自然です。

取りこぼす来館を数える

ここから、式場の損益に結びつけます。仮の式場を置きます。

  • 来館が月48組(問い合わせ80件の6割)
  • そのうち、片方または両方がシフト勤務の二人が2割(9.6組)
  • シフト勤務の二人のうち、土日だけでは日程が合わず、来館に至らない割合を2割とする

この割合(2割)は、僕が置いた仮の数字です。調査の数字ではありません。自社の予約システムで、来館を決めた二人が「日程が合わない」を理由に外れた件数を数えれば、この数字は自分で出せます。

月に取りこぼす来館は、48×0.2×0.2で約1.9組。年にすると約23組です。来館後の成約率が40%なら、成約換算で約9組。粗利140万円で、約1,290万円です。

もちろん、この23組が全部、平日夜の枠をつくれば来館するわけではありません。そこで、取り戻せる割合をいくつか動かしてみます。

シフト勤務の二人の割合 日程が合わず外れる割合 年に取りこぼす来館 成約換算(40%)
1割 2割 約11.5組 約4.6組
2割 2割 約23組 約9.2組
2割 4割 約46組 約18.4組
3割 4割 約69組 約27.6組

1割で2割しか外れない控えめな置き方でも、年に約11組の来館が日程の問題で消えます。この11組のうち取り戻せるのが3分の1だったとしても、約4組の来館、成約換算で1.5組強です。

平日夜の枠をつくると、いくらかかるか

対策の1つは、平日の夜に見学・相談の枠をつくることです。費用を数えます。

  • 週2日、18時から21時までの3時間を枠にする
  • 接客担当が1人つく
  • 担当者の人件費は、給与・社会保険・間接費を含めて時給2,500円とみなす

月の時間は、2日×3時間×4.33週で約26時間。26時間×2,500円で月約6.5万円、年にすると約78万円です。実際には、平日夜に見学を受ける日は式場の運営も走っているので、追加の人件費はこの金額より安く済む式場もあるはずです。振替休日を出す前提なら、この額は、休日を前倒しで補償するための費用になります。

損益分岐を計算します。粗利140万円、来館後の成約率40%なら、来館1組あたりの期待粗利は56万円です。78万円÷56万円で、年に約1.4組の来館を取り戻せば元が取れます。

先ほどの控えめな置き方でも、取りこぼす来館は年に約11組。そのうち約13%(1.4÷11)を平日夜で取り戻せれば、費用は回収できます。3分の1取り戻せるなら、年の成約は1.5組強、粗利は約210万円で、費用の約2.7倍です。

逆に、シフト勤務の二人が1割で、日程が合わず外れる割合が1割なら、取りこぼしは年に約6組です。取り戻す割合を3分の1とすると2組。平日夜の人件費78万円に対して、取り戻した来館の期待粗利が約112万円。ぎりぎり黒字です。ここまで下がると、平日夜の枠は「やったほうがいい」より「やっても損はしない」に近づきます。

判断の分かれ目

数字を見た上で、どこから動かすかを整理します。三つとも、自社の予約データがあれば確かめられます。

平日夜の枠をつくるかどうかは、次の3つで決まります。

1つ目は、日程が合わず来館に至らない二人が、実際にどれだけいるかです。上の計算で一番効くのは、シフト勤務の二人の割合と、そのうち外れる割合の積です。この積が全来館希望の約4%(0.2×0.2)を超えるなら、平日夜の枠を検討する意味があります。1%台なら、枠をつくっても埋まりません。

2つ目は、平日夜の枠に来られる二人が誰かです。シフト勤務でも、夜勤や遅番の二人は18時には来られません。平日夜に動けるのは、日勤のシフト勤務や、日中は会社員の二人です。土日の枠に来られない二人のうち、夜なら来られる割合は、仮に半分と見ておくのが安全です。

3つ目は、枠の見せ方です。平日夜の枠がフェア予約の画面の奥にあって、土日の枠が先に並んでいるなら、シフト勤務の二人は見つけられません。同じ枠をつくるなら、予約画面の一番上に「平日夜・祝日OK」と出すほうが、同じ費用で取り戻せる数が増えます。

自社で確かめる方法

この計算を自社の数字にするには、3つのデータが要ります。

  • 問い合わせから来館に進まなかった二人のうち、「日程が合わない」を理由に挙げた人の数
  • 来館した二人の曜日・時間帯の分布。平日夜の希望が最初から出ている二人の数も合わせて見る
  • 予約フォームやLINEの自由記述で、「シフト」「平日休み」「夜なら」と書いた人の数

3つ目は、自由記述を検索するだけで出ます。件数が月に数件あるなら、平日夜の枠の需要は計算より大きいと考えられます。ゼロなら、そもそも二人が書く場所がない可能性もあるので、予約フォームに「ご希望の曜日・時間帯」の欄を足すところから始められます。

まとめ

  • 片方が土日休み、もう片方が月8日休みのシフト勤務だと、二人の休みが土日に重なるのは月約2.3日。両方がシフト勤務なら月約0.6日(仮の前提での計算)
  • 月に1度も土日が重ならない確率は1割未満でも、重なった土日に二人の希望の時間枠が空いているとは限らない
  • 来館月48組、シフト勤務の二人が2割、日程が合わず外れる割合が2割の仮の式場では、取りこぼす来館は年約23組、成約換算で約9組
  • 平日夜の枠(週2日・3時間)の人件費は年約78万円。来館後の成約率40%・粗利140万円なら、年に来館1.4組を取り戻せば元が取れる
  • 判断の分かれ目は、日程が合わず外れる二人の数、夜なら来られる二人の割合、予約画面での枠の見せ方の3つ