新郎新婦のリアル

披露宴の演出は6年で入れ替わった。ウエルカムスピーチを二人で行う組は20.8%から34.8%に、花束贈呈は65.4%から56.5%に

披露宴の演出は、6年かけてゆっくり入れ替わっています。目立つのは「何が流行ったか」より、「誰が前に出るか」が変わったことです。

ゼクシィ結婚トレンド調査2024で、披露宴・ウエディングパーティーで実施した演出を2018年調査と並べると、いちばん増えたのは「ウエルカムスピーチを新郎・新婦お二人で行う」でした。20.8%から34.8%へ、14.0ポイントの増加です。反対に、「親に花束を贈呈する」は65.4%から56.5%に下がり、代わりに「親に花束以外のものを贈呈する」が59.5%から67.9%に上がっています。

式場の提案書や打ち合わせの台本は、新婦が手紙を読み、花束を渡し、ファーストバイトをする、という型で組まれていることが多いはずです。その型の中のどこが今も強く、どこが弱っているのか。この記事では、同じ調査の数字を並べて、年120組の仮の式場で提案の順番をどう決め直せるかを考えます。

調査の範囲と読み方の注意

まず、この数字がどういう調査から出ているかを書いておきます。

ゼクシィ結婚トレンド調査2024は、2023年4月から2024年3月に挙式・披露宴・ウエディングパーティーを実施した『ゼクシィ』読者とネット会員が対象です。集計サンプルは3,656人で、全国集計は婚姻件数の地域別の割合に合わせたウエイトバック集計の推計値です。2018年調査から2024年調査まで、同じ設問で毎年聞いています。

読むときの注意が3つあります。

1つめは、複数回答だということです。1組が複数の演出を実施しているので、実施率を足しても100%にはなりません。花束贈呈と花束以外の贈呈が同時に増減しても、矛盾ではありません。

2つめは、「実施した」の数字であって、「やりたかった」の数字ではないことです。式場が提案しなかったから実施率が下がった、という可能性は、この調査からは切り分けられません。

3つめは、調査の対象が『ゼクシィ』の読者とネット会員だということです。ほかの媒体を使って式場を探した二人や、自社サイトから直接来た二人とは、傾向が違うかもしれません。自分の式場の数字は、自分の式場の過去の進行表で確かめるのがいちばん確かです。

この3つを踏まえたうえで、「動いている方向」だけを使います。全国の水準を、そのまま自分の式場の件数に当てはめるのではなく、提案の順番を決める手がかりとして使うということです。

増えた演出と減った演出

調査には、2024年調査で実施率が10%以上の演出が並んでいます。2018年調査との差で、主なものを拾います。

増えた演出は次のとおりです。

  • ウエルカムスピーチを新郎・新婦お二人で行う:20.8%→34.8%(+14.0ポイント)
  • 招待状・席札をオリジナルデザインでつくる:41.5%→52.3%(+10.8ポイント)
  • 親に花束以外のものを贈呈する:59.5%→67.9%(+8.4ポイント)
  • 花婿の手紙を読む:8.1%→12.5%(+4.4ポイント)
  • 新郎・新婦の席を雛壇にしない:19.4%→23.5%(+4.1ポイント)

減った演出は次のとおりです。

  • 招待客による余興:45.3%→17.0%(-28.3ポイント)
  • ウエディング小物を自分たちでつくる:46.7%→30.3%(-16.4ポイント)
  • キャンドルサービス以外の演出で招待客席を回る:35.7%→21.6%(-14.1ポイント)
  • 風船など花以外のものも使って会場を飾りつける:29.7%→17.7%(-12.0ポイント)
  • 会場装花を持ち帰れるようにする:71.2%→60.9%(-10.3ポイント)
  • 親に花束を贈呈する:65.4%→56.5%(-8.9ポイント)
  • ファーストバイト:79.7%→71.2%(-8.5ポイント)
  • 花嫁の手紙を読む:77.6%→69.2%(-8.4ポイント)

大きく動いたものを見ると、増えたほうは「二人が自分の言葉で話す」「親にものを贈る」「席札などの紙ものを自分たちらしくする」といった、二人と親に関わる演出です。減ったほうは、ゲストに任せる余興と、二人が時間をかけて手作りする小物が目立ちます。

同じ調査の別の項目で、演出を決めるときに心がけたこととして「列席者も参加できるようにすること」が、2018年の30.9%から2024年の40.5%へ増えています。ゲストを巻き込む意識は強まっているのに、ゲストの余興は減っている。ここは一見ずれていますが、余興という「出し物」ではなく、全員が同じ時間に同じことをする形に、参加の仕方が移っているのかもしれません。ただし、これは数字からの推測で、調査が理由まで聞いているわけではありません。

動いているのは「主役」の置き方

増えた演出を並べ直すと、共通点が見えます。

ウエルカムスピーチを二人で行う、花婿の手紙を読む、雛壇にしない。どれも、新婦を中心にした従来の型から、二人を並べる方向への変化です。ゼクシィの調査は、結婚式の内容を定番やしきたりにとらわれず自由にやればよいと思う人が90.0%で、3年連続で約9割だったと報告しています。二人の価値観に合わせる、という前提が広く共有されていることと、方向は合っています。

式場の側から見ると、ここに2つの実務があります。

1つは、進行表に「二人でする枠」を最初から持っておくことです。ウエルカムスピーチを二人で行う組が34.8%あるなら、3組に1組は、新郎が話す場面を求めていることになります。標準の進行表が新婦単独の流れで組まれていると、その場で調整することになり、司会者とマイクの手配が当日の直前になりがちです。

もう1つは、親への贈りものの選択肢です。花束贈呈は56.5%でまだ過半数ですが、花束以外の贈呈が67.9%で、すでに花束を上回っています。両方を実施している組もあるはずなので、どちらかをやめるという話ではなく、「花束がデフォルト」ではなくなったという話です。

仮の式場で提案の順番を決める

ここから先は、調査の数字ではなく、前提を置いた計算です。

仮に、年120組が披露宴を実施する式場を考えます。すべての数字を2024年の全国の実施率に当てはめた場合の目安は、次のようになります。

  • ウエルカムスピーチを二人で行う:2018年水準だと25組、2024年水準だと42組。差は17組
  • 親に花束以外のものを贈呈する:71組が82組。差は11組
  • 招待状・席札をオリジナルデザインでつくる:50組が63組。差は13組
  • 招待客による余興:54組が20組。差は34組の減少
  • ウエディング小物を自分たちでつくる:56組が36組。差は20組の減少

自分の式場の過去の進行表を数えれば、同じ表を実数で作れます。全国の数字と自分の数字が違うところに、その式場の客層の特徴が出ます。

この表から、提案の順番を決める3つのルールを置くことができます。これは調査の結論ではなく、僕の提案です。

  1. 実施率が高く、増えているものは、提案の先頭に置く。 ウエルカムスピーチを二人で行う、親への贈りもの(花束以外の選択肢つき)がこれにあたります。聞かれる前に、選択肢として出す
  2. 実施率が過半数で、少し減っているものは、標準のまま残す。 花嫁の手紙(69.2%)、ファーストバイト(71.2%)、花束贈呈(56.5%)です。減ったといっても、まだ多数派です。提案から外すと、やりたかった二人が自分で言い出さなければならなくなります
  3. 大きく減っているものは、選択肢の一つに下げる。 余興(17.0%)、手作り小物(30.3%)です。やめるのではなく、「やりたい二人には用意がある」という位置に置く

外してはいけない演出

「減った演出は外す」と読むのは危険です。

減少幅だけを見ると、ファーストバイトの8.5ポイント減や、花嫁の手紙の8.4ポイント減は大きく見えます。ただ、水準を見ると、どちらも7割前後で、いまも多くの二人が実施しています。提案書から外して「今どき実施しない人が多いから」と説明すれば、やりたかった二人には案内が足りなくなります。

判断の分かれ目は、減少幅ではなく、現在の実施率です。

  • 実施率が5割を超える:標準に残す。減少幅が大きくても外さない
  • 実施率が2〜5割:選択肢として提案書に載せる。聞かれたときに用意があるようにする
  • 実施率が2割を切る:標準には載せず、相談があれば対応する。余興の17.0%がここにあたる

余興については、同じ調査から、満足度を見る別の記事で扱っています。実施率が下がっても満足度は下がっていません。減ったから悪い演出、という話ではないということです。

手順に落とす

ここまでを、実際に進めるときの手順にしておきます。

  1. 直近1年の進行表を、演出別に数える。20〜30項目を実施した組数でまとめる。表計算ソフトで足りる
  2. 3年前の進行表がある場合は、同じ数え方で並べる。無ければ、直近1年だけでよい。全国の2024年の数字と並べて、差が10ポイント以上ある項目に印をつける
  3. 上の3つのルールで、提案書の並び順を決め直す。先頭に二人でする演出と親への贈りもの、真ん中に定番、最後に減っている選択肢
  4. 進行表の標準フォーマットに、二人でするスピーチの枠を入れておく。時間は式場ごとの実績で決める
  5. 半年後に同じ表を作り、順番を変えた効果を見る。見るのは実施率ではなく、打ち合わせの追加調整の回数のほうがよい。変えた目的が、提案の手戻りを減らすことだからです

もう一つ見ておきたいのが、紙ものです。招待状・席札をオリジナルデザインでつくる組は52.3%まで増えています。手作り小物が減っている一方で、席札や招待状は「自分たちらしさ」を出す場所として残っているように見えます。式場の側の準備として、テンプレートの数を増やすか、持ち込みを受けるか、外注のデザイナーを紹介するかを決めておくと、聞かれたときに答えられます。

数字の使い方を間違えない

最後に、この調査の数字を使うときの注意を書いておきます。

  • 全国の実施率は、自分の式場の客層に合うとは限らない。式場の進行表で上書きできる部分は、必ず上書きする
  • 実施率の増減は、二人の希望の増減とは限らない。式場が提案しなくなったから減った、という経路もありうる
  • 「増えた」演出を無理に勧めない。二人が望まない場面を増やすと、準備の負担になる
  • 他の式場や他社のサービスと比べて決めない。自分の式場の進行表の数字が根拠になる

この調査から分かるのは、方向性だけです。ただ、方向性が分かれば、提案書の並べ方、進行表の標準の枠、準備しておく選択肢という3点については、根拠を持って決め直せます。

まとめ

  • ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、ウエルカムスピーチを二人で行う演出が2018年の20.8%から34.8%へ、招待状・席札のオリジナルが41.5%から52.3%へ増えた
  • 招待客による余興は45.3%から17.0%へ、手作り小物は46.7%から30.3%へ減った
  • 親への贈りものは、花束贈呈が65.4%から56.5%に下がり、花束以外が59.5%から67.9%に上がって、花束以外のほうが多くなった
  • 花嫁の手紙(69.2%)やファーストバイト(71.2%)は減ってもまだ7割前後で、外す対象ではない
  • 提案の順番は、増えていて実施率が高いものを先頭、過半数のものは標準のまま、大きく減ったものは選択肢に下げる、の3段で決められる
  • 全国の数字は方向の目安として使い、自分の式場の進行表を演出別に数えた実数で上書きする