新郎新婦のリアル

招待客は6年で17人減った。減った人数の4割は職場関係で、上司・同僚は16.2人から8.4人に半減している

披露宴の招待客の平均は、2018年調査の69.4人から、2024年調査では52.0人になりました。17.4人、率にして25%の減少です。

「招待客が減った」という話は、もう何度も聞いたと思います。ただ、減った人数の中身を見ている式場は、あまり多くありません。ゼクシィ結婚トレンド調査2024には、新郎新婦との間柄別に招待客数を並べた表があります。それを2018年と2024年で比べると、減り方がそろっていないことが分かります。

最も大きく減ったのは職場関係です。上司・同僚は16.2人から8.4人へ、ほぼ半分になっています。親族が25.1人から20.6人、学生時代の友人が26.5人から22.6人ですから、同じ6年間で職場関係だけが別の速さで減ったことになります。

この記事では、その数字を分解して、会場が提案の前提をどこから直すべきかを整理します。数字はすべて、ゼクシィ結婚トレンド調査2024が出典です。モデル計算だけは、僕が置いた前提で、その旨を書きます。

間柄別に並べると、減り方は3つに分かれる

まず、表の数字をそのまま並べます。単位は人で、披露宴・ウエディングパーティーを実施した人のうち、その間柄の人数を答えた人の平均です。

  • 親族:25.1人(2018年)→20.6人(2024年)。4.5人減、率で18%減
  • 学生時代の恩師・友人(勤務先以外の友人):26.5人→22.6人。3.9人減、15%減
  • 勤務先の上司・同僚:16.2人→8.4人。7.8人減、48%減
  • 親の友人・知人、近所の人:2.5人→1.2人。1.3人減、52%減
  • その他:2.6人→1.5人。1.1人減、42%減

減り方を見ると、3つのグループに分かれます。

1つ目は、親族と友人です。減ってはいますが、15〜18%の減少にとどまっています。二人にとっての「呼ぶ理由」が最も強い人たちで、コロナ禍の底だった2021年・2022年から戻ってきた幅も大きいです。親族は2021年の18.4人から20.6人へ、友人は16.0人から22.6人へ戻っています。

2つ目は、職場関係です。48%減ですから、親族や友人の3倍近い速さで減っています。しかも戻りが鈍いです。2021年は7.4人、2022年は6.8人、2023年は7.3人、2024年は8.4人。底からは少し戻っていますが、2018年の16.2人には遠く及びません。

3つ目は、親の友人・知人や近所の人、その他です。割合では半分前後減っていますが、もともとの人数が少ないので、全体の人数への影響は大きくありません。

減った人数の4割強を、職場関係が占めている

間柄別の人数は、それぞれ「その間柄の人数を答えた人」の平均なので、足し合わせても全体の招待客数とは一致しません。実際、5つの間柄の減少を足すと18.6人になり、全体の減少17.4人より少し大きくなります。そのため、以下は「どの間柄が、減少の大きな部分を占めているか」の目安として読んでください。

5つの間柄の減少を合計した18.6人のうち、割合は次のとおりです。

  • 職場関係:7.8人で約42%
  • 親族:4.5人で約24%
  • 友人:3.9人で約21%
  • 親の友人・知人:1.3人で約7%
  • その他:1.1人で約6%

職場関係は、人数でいえば3番目の間柄です。それでも、減少の約4割を占めています。「招待客が6年で4分の1減った」という話の、いちばん大きな部分は職場関係です。

親族と友人の2つを合わせても、減少の約45%です。職場関係1つで、親族と友人の合計にほぼ並びます。招待客数の減少を「みんなが少しずつ呼ばなくなった」と読むと、実態を取り違えます。実際には、職場の人を呼ぶ二人がかなり減った、あるいは呼ぶ人数を絞った、という変化が中心にあります。

ここで注意が必要なのは、この表だけでは「職場の人を呼ばない二人が増えた」のか、「呼ぶ二人は変わらないが、呼ぶ人数が減った」のかは分からないことです。平均は、人数を答えた人の平均なので、後者の動きが強く出ます。ただ、どちらの場合でも、会場にとっての結論は同じです。1組あたりの職場関係のゲストは、6年前の半分ほどになっています。

職場関係が減ると、披露宴の「型」が変わる

職場関係のゲストは、披露宴の中で、他の間柄とは違う役割を持っていました。

  • 主賓の挨拶、乾杯の発声。上司にお願いする場面
  • 余興やスピーチ。同僚が担当する場面
  • 席次。上司を上座にして、部署ごとに席をまとめる配慮
  • 受付や会費の取りまとめ。職場の幹事が動く場面

職場関係が16人いた披露宴は、この「職場の流れ」が披露宴の1つの柱でした。8人になると、その柱は細くなります。

実際、同じ調査の演出項目にも、同じ方向の変化が出ています。今回見たのは、2018年と2024年を比べた実施率の差です。「入退場の際に親・親族・知人にエスコートしてもらう」は55.8%から62.9%へ。「親に花束を贈呈する」は56.5%から65.4%へ。「生い立ちなどを映像演出で行う」は72.0%から78.6%へ。親や二人の過去に向かう演出が増えています。

一方で、「招待客による余興」は、2018年の17.0%から2024年の45.3%まで増えています。これは職場の余興とは限らず、友人による余興も含みます。ここは、職場関係の減少とは別の動きとして、切り分けて読む必要があります。この表だけで「職場の余興が減った」とは言えません。

つまり、演出の面では、二人は親や自分たちの歩みを見せる方向を強め、友人が参加する演出も増やしています。上司・同僚が主役になる場面は、相対的に小さくなっていると読めます。ただし、これは僕の読みで、調査が職場の役割の変化を直接示しているわけではありません。

会場の提案が、6年前の前提のままになっていないか

職場関係が半分になったことで、現場で起きやすいずれは、次の3つです。

1つ目は、席次と卓数の前提です。 6年前の70人規模の名簿を基準に作った卓割りの例は、親族・友人・職場関係の比率が、いまとは違っているかもしれません。仮に2018年の平均(25.1人、26.5人、16.2人)をそのまま卓割りにしていたなら、比率はおよそ4:4:2.5です。いまの平均で計算し直すと、親族20.6人、友人22.6人、職場8.4人で、比率はおよそ4:4.4:1.6です。1卓を8人とすると、職場の卓は2卓ほどから1卓ほどに減る計算になります。提案資料の卓割りの例が、職場2卓の前提のままなら、実際の名簿とずれます。

2つ目は、主賓・乾杯の提案です。 上司を主賓にする前提で作った進行表は、上司を呼ばない二人には使えません。そのとき二人は、乾杯を誰にお願いするかを自分で考えることになります。ここを会場が代案として出せるかどうかで、「この会場は自分たちのスタイルを分かっている」という印象が変わります。たとえば、親族の代表、友人、あるいは二人自身による乾杯、という選択肢を最初から並べておく方法があります。

3つ目は、人数の見立てです。 見積もりを出すとき、最初の人数の目安を「平均52人」とするのは自然です。ただ、その52人の内訳が、親族20人、友人22人、職場8人だとすると、職場関係を呼ぶ予定のない二人の人数は、もっと小さくなります。逆に、職場の人を多く呼ぶ二人は、平均より大きくなります。平均に合わせて資料を作ると、どちらの二人にも合わない提案になりかねません。

前提を置いた計算:職場8人分は、1組でいくらの話か

ここから先は、出典のある数字ではなく、前提を置いたモデル計算です。

同じ調査で、招待客1人あたりの挙式・披露宴費用の平均は8.6万円です。仮に、職場関係のゲストが6年前より7.8人少ないとして、1人あたり8.6万円がそのまま減ると考えると、1組あたり約67万円の差になります。年120組の会場なら、約8,000万円分の売上規模です。

ただし、この計算は上限の見方です。招待客が減っても、会場費、装花、衣装、プランナーの人件費といった固定費の多くは減りません。1人あたり8.6万円というのは、総額を人数で割った平均で、人が1人減ったときに減る金額とは別物だからです。実際に減るのは、料理、飲み物、引出物など、人数に比例する部分だけです。

だからこの67万円は、「職場関係が減った分、会場の売上が67万円減った」という意味ではありません。見る場所はそこではなく、「その分の予算が、別の項目に回る余地」にあります。

たとえば、職場関係の7.8人が減った二人は、料理や引出物に回していた予算を、演出、装花、写真や映像、衣装などに回すことができます。実際、同じ調査では、生い立ちの映像演出、プロフィールパンフレット、ウエディング小物の手作りなど、二人らしさを出す項目の実施率が上がっています。人数が減った分を、そのまま値引きで返す必要はありません。「人数が減った分の予算を、何に使うか」の提案を持っている会場は、単価を保ちやすくなります。

提案の前に、名簿の内訳を一度聞く

ここまでの話を、現場で使える形にすると、次の質問になります。

「ご招待したい方を、親族・ご友人・職場の方、の3つに分けると、それぞれ何人くらいになりそうですか」

この質問を、人数の質問より先にします。理由は2つです。

1つは、二人の頭の中にある名簿の形が見えるからです。職場関係が0人の二人と、15人の二人では、必要な進行も席次も違います。

もう1つは、「職場の方は呼ばない」という二人が、それを言い出しにくい場合があるからです。会場側から「最近は、職場の方を呼ばない方も多いです」と先に言えれば、二人は安心して本音を話せます。ここで使う「多い」は、調査の平均が半分になったという事実に沿っています。ただ、個別の割合を言い切ると、確認していない数字になるので、「平均では6年前の半分ほどです」と言う範囲に留めます。

数字を読むときの注意

最後に、この記事の数字を使うときの注意を3つ挙げます。

  • 間柄別の人数は、その間柄の人数を答えた人の平均です。全体の平均とは一致しませんし、足し合わせることもできません。減少の割合は、あくまで目安です
  • 2018年と2024年の比較には、コロナ禍を挟んだ影響が入っています。招待客数の全国平均は、2021年に42.8人まで落ちて、2024年に52.0人まで戻りました。職場関係のゲストも、同じように落ちて、少し戻っています。2018年の水準に戻るかどうかは、この調査だけでは分かりません
  • 調査の対象は、全国の新郎新婦です。地域によって、職場関係を呼ぶ習慣には差があります。自分の商圏にそのままあてはまるかは、直近の成約済みの名簿で確かめる必要があります

3つ目の確認は、現場にとって難しくない作業です。直近1年に成約した組の名簿を、親族・友人・職場の3つに分けて、平均人数を出します。それを全国の数字と並べれば、自分の会場が全国の傾向に近いのか、違うのかが見えます。

まとめ

  • 披露宴の招待客は、ゼクシィ結婚トレンド調査で2018年の69.4人から2024年の52.0人に減った(17.4人、25%減)
  • 間柄別に見ると、親族は18%減、友人は15%減だが、職場の上司・同僚は16.2人から8.4人へ48%減っている
  • 間柄別の減少を足すと、職場関係が約4割(約42%)を占める。「みんなが少しずつ減った」のではなく、職場関係が大きく減った
  • 職場関係が減ると、主賓・乾杯・席次・職場卓といった「職場の型」の提案がずれる。卓割りの例や進行表を、いまの内訳に合わせて見直す余地がある
  • 人数が減った分は、すべてが売上の減少ではない。固定費は残り、予算は演出・映像・装花などに回りうる。人数が減った分の使い道の提案を持っておくと、単価を保ちやすい
  • 提案の最初の質問は、人数ではなく「親族・友人・職場の方の内訳」にする。二人の名簿の形が見えて、本音も出やすくなる
  • 全国の平均は、自分の会場のものと違うことがある。直近1年の成約名簿を3つに分けて、平均を自分で出して比べておく