新郎新婦のリアル

両家で招待人数が倍以上違うとき、席は「側」で分けず「関係」で混ぜる。60人で卓が1つ減り、空席は12から4になる

披露宴の打ち合わせで、招待リストを突き合わせた瞬間に空気が変わることがあります。新郎側が18人、新婦側が42人。倍以上の差です。二人のどちらかが「うちの親族、少なくてごめん」と口にして、もう一方が「大丈夫だよ」と返す。このやりとりは、僕が聞く範囲ではけっこうよく見ます。

先に結論を言います。両家の人数に差があるとき、席を「新郎側・新婦側」で分けるのは、見た目でも卓数でも損をしやすいです。席を「関係」(友人、職場、親族)で組み直すと、偏りが目立たなくなり、仮の60人の披露宴なら卓が1つ減って、空席は12から4になります。ただしこの数字は僕が置いた仮の前提での算数で、実際の会場の数字ではありません。この記事では、前提を全部書いたうえで、式場が打ち合わせで何を提案できるかを整理します。

人数差が悩みになる理由は、数ではなく「見た目」にある

人数差そのものは、費用にはほとんど響きません。料理も飲み物も引出物も、基本は来る人数で決まります。新郎側が18人でも、新婦側が42人でも、合計が60人なら、請求の土台は60人分です。

では何が悩みになるかというと、会場に入った瞬間の絵です。左に9卓、右に3卓。親族の席が片側だけ広く空いて見える。新郎側のゲストは、自分たちの側だけ人が少ないと感じて、必要以上に恐縮する。二人の親も、挨拶に回る距離が違いすぎると気にします。

つまり、人数差は費用の問題ではなく、並べ方で見え方が変わる問題です。並べ方を決めるのは二人ですが、選択肢を持っているのは式場です。二人は「側で分けるもの」と思い込んでいることが多いので、式場の側から別の並べ方を出せるかどうかが分かれ目になります。

席の分け方は3通りある

ここで言う席の分け方を、3つに整理します。

  1. 側で分ける:新郎側は新郎の近く、新婦側は新婦の近く。最も一般的で、説明が要らない
  2. 関係で分ける:親族、友人、職場といった関係ごとにまとめ、側は気にしない
  3. 混ぜる:同じ卓に両家の人を意図して座らせる(同年代の親族同士、共通の友人など)

どれが正解ということはありません。人数差が小さければ1で困らないので、この記事の対象は、差が倍以上あるとき、あるいは片方が10人を切るような極端なときです。

卓数と空席を数える(仮の前提)

数字で見ます。以下は全部、僕が置いた仮の前提です。

  • ゲストは60人(二人は含まない)
  • 1卓は8席。ゲストが8人に満たない卓も、1卓として場所を取る
  • 新郎側18人、新婦側42人(30%対70%)

側で分ける場合、新郎側は18人÷8席で3卓(24席、空席6)、新婦側は42人÷8席で6卓(48席、空席6)。合計9卓、72席で、空席は12です。

関係で分けて、側を混ぜる場合は、60人÷8席で8卓(64席)、空席は4です。卓が1つ減り、空席が8減ります。

この差は、人数差が極端なほど、また卓の席数が大きいほど開きます。同じ前提で、1卓10席に変えると、側で分けた場合は新郎側2卓(20席)、新婦側5卓(50席)の7卓で空席10、混ぜた場合は6卓で空席0です。

一方、差が小さいと、この効果はほとんど出ません。30人ずつ(50%対50%)の場合、8席卓なら、側で分けても混ぜても8卓で、空席は4で同じです。卓の割り方が変わって得をするのは、端数が両側にばらける場合、つまり差があって、かつ端数が悪いときです。

つまり、混ぜると必ず得をするのではなく、端数の出方で空席が増えることがある、というのが正確な言い方です。60人・8席卓で新郎側の人数を6人、12人、18人と変えて数えると、側で分けて卓が増えたのは18人のときだけで、6人と12人では卓数が変わりませんでした。差が大きいほど得、という単純な話ではないので、自分の会場の席数で一度数えてみるのが確実です。

卓が1つ増えると、費用はどう動くか

空席は料理の請求には乗らないので、直接の損はありません。動くのは卓に付く費用です。

仮に、1卓あたりの装花とクロス、ナプキンなどの卓まわりの費用を8,000円としてみます。この8,000円は仮置きで、会場によって大きく違います。卓が1つ増えれば、その分が増えます。年に100組が同じ構成で挙げるとして、8,000円×100組=80万円です。

ただし、100組すべてに人数差があるわけではありません。差があるのが全体の3割だとすると、30組で24万円です。この3割も仮です。式場の側で意識して数えるなら、まず自分の会場の過去の披露宴で、両家の人数差が倍以上だった組の割合を数えます。半日で数えられます。

そこで、卓まわりの費用が年24万円ほど動く、というのが仮の結果です。大きくはありません。判断の中心は、費用ではなく、二人の気持ちと見た目のほうに置いたほうが正確です。

側で分けたほうがいい場合

混ぜるほうが得、とは言い切れません。側で分けたほうがうまくいくケースもあります。

  • 親族が互いに面識があり、離して座ると不自然な場合:同じ地域の親族同士なら、卓を分けるより一緒にしたほうが自然
  • 年配のゲストが多く、席の位置を「両親の近く」で決めたい場合:高齢の親族は、慣れた側の席のほうが安心する
  • 二人が、親への挨拶の順路をシンプルにしたい場合:側で分ければ、回る順番が分かりやすい
  • 家の格式や慣習を大切にする親族が多い場合:側を混ぜることに抵抗があるゲストが出る

この判断は二人がするものですが、打ち合わせで式場が「こういう分け方もできます」と一度示すだけで、二人が悩んでいた期間が短くなります。示さないと、二人は「これが普通」だと思って、そのまま決めます。

関係で組み直すときの順番

混ぜる、または関係で分けると決まったら、組み直す順番にコツがあります。

  1. 最初に、動かせない席を決める:両親、祖父母、主賓の席。ここは側が決まっている
  2. 次に、まとまりが強い関係を卓にする:同じ職場、同じ学校の友人。ここは人数が決まれば卓が決まる
  3. 最後に、余った親族と少人数の関係を、年代で卓にする:同年代の従兄弟同士など

この順で組むと、最後に残るのは「どこに座らせても角が立たない」人たちです。そこに卓の端数を吸収させます。

逆に、最初から側で分けて、あとから端数を詰めようとすると、「この人たちはどこに座らせよう」の最後の1卓が決まらず、打ち合わせが1回余分に増えます。僕が見る範囲では、席次の打ち合わせが長引く原因の大半は、最初の分け方の選択ミスではなく、端数の置き場所を最後まで決めないことです。この「大半」は感覚の話で、数えた数字ではありません。

人数差を気にする二人に、式場が言える言葉

差が大きい二人は、人数のことを謝りがちです。ここで式場の一言が効きます。

  • 「人数の差は、お料理や演出には影響しません」と、費用が変わらないことを先に伝える
  • 「席の並べ方で、見え方は変えられます」と、解決手段があることを示す
  • 「少ない側の方の席を、お二人の近くに置く方法もあります」と、具体例を一つだけ出す

逆に、言わないほうがいいのは「よくあることです」。慰めのつもりでも、二人の気持ちを軽く扱ったように聞こえます。実際によくあるのかを、僕は数字では確認できていません。調査を探しましたが、両家の招待人数の差を扱った公開データは見つかりませんでした。なので、「よくある」とは書けません。

当日の動線と、写真の撮り方にも影響する

席の分け方は、卓数だけでなく、当日の動きにも響きます。三つ挙げます。

一つ目は、お酌や挨拶で回る順路です。側で分けると、新郎の親は自分の側の3卓だけ回れば済み、新婦の親は6卓を回ります。回る数が倍違うので、新婦の親の挨拶に時間がかかり、進行が押します。混ぜて配置すると、両家の親が回る卓数が近づき、時間も揃います。

二つ目は、集合写真の並び方です。人数が少ない側を端に寄せると、写真の片側だけ余白が空きます。関係で席をまとめておくと、写真も関係ごとに撮りやすくなり、「友人」「職場」「親族」のまとまりで並べられます。

三つ目は、乾杯の発声や余興のときの視線です。人数が少ない側は、拍手の音も小さくなりがちです。卓が混ざっていると、拍手の厚みは会場全体でならされます。

どれも数字にはしにくい話ですが、打ち合わせで二人に見せる図面に、側で分けた案と関係で分けた案を並べて描くだけで、判断はかなり早くなります。図面を二案つくる手間は、席次の打ち合わせが1回減るかどうかで取り返せます。

数えるなら、どこから数えるか

この話を自分の会場の数字に置き換えるには、次の3つを数えます。

  1. 過去1年の披露宴のうち、両家の人数差が倍以上だった組の割合
  2. その組の卓数と空席数(側で分けた実績)
  3. 打ち合わせ回数が、人数差のない組と比べて何回多かったか

3つ目が出れば、人数差が会場の工数にどれだけ効いているかが分かります。仮に1組あたり打ち合わせが0.5回多いとして、1回の打ち合わせで担当者が使う時間を90分とすると、1組あたり45分です。年30組なら22.5時間。この22.5時間も全部仮の数字ですが、卓まわりの費用24万円より、工数のほうが先に重くなる可能性があります。

まとめ

  • 両家の人数差は、料理や引出物の費用にはほとんど影響せず、悩みの中身は会場に入ったときの「見た目」にある
  • 席の分け方は「側で分ける」「関係で分ける」「混ぜる」の3通りで、差が倍以上のときだけ選択肢を示す価値が出る
  • 8席卓、60人、新郎側18人・新婦側42人の仮の前提では、側で分けると9卓(空席12)、混ぜると8卓(空席4)になる
  • 差が小さい(30人ずつ)と、卓の割り方による空席の差はほとんど出ない。効くのは差があり、かつ端数が悪いとき
  • 卓まわりの費用は、仮に1卓8,000円で年24万円ほど。費用より、二人の気持ちと打ち合わせの工数で判断する
  • 組み直しは、動かせない席、まとまりの強い関係、余った席の順に決める。端数の置き場所を最後まで決めないと打ち合わせが伸びる
  • 年配の親族が多い場合や、慣習を大切にする場合は、側で分けたほうが収まりがいい
  • 自分の会場の数字は、過去1年の人数差、卓数と空席、打ち合わせ回数の3つを数えると出る