来館・成約

内金の入金期限を過ぎた二人への連絡は、翌日・3日後・7日後・14日後の4段階にする。仮の式場で年19組が遅れ、連絡の工数は年13時間、失効の判断を放置すると年200万円規模の枠が止まる

内金の入金期限は、契約書に日付が書いてあります。ところが期限を過ぎたあとに誰がいつ何を連絡するかは、書いてある式場が少ないと思います。担当プランナーが気づいたときに「そろそろお振込みを」と連絡し、返事がなければ忙しさに紛れてそのままになる、という運用を見聞きします。

僕は、期限を過ぎた二人への連絡は、日付で決めておくものだと考えています。翌日、3日後、7日後、14日後の4段階です。理由は単純で、遅れの原因が3種類あり、それぞれ必要な連絡が違うからです。さらに、連絡を決めずに放置すると、いちばん高くつくのは督促の手間ではなく、挙式日の枠が止まることだからです。

先に断っておくと、この記事に出典はありません。数字はすべて僕が置いた仮の前提で、式場の実績ではありません。自分の会場の数字に置き換えるための計算の型として読んでください。

仮の式場の前提

計算に使う前提を並べます。

  • 年間の契約は240組
  • 内金は契約から14日以内に入金してもらう
  • 期限までに入金されない二人は、契約組数の8%とする
  • 契約1組あたりの売上は350万円、粗利率は30%とする
  • 連絡1組あたりの工数は、全部で40分。担当者の時給換算は2,000円とする

8%という遅れの割合は、僕が置いた数字です。実際の割合は、式場の入金方法(振込か、カードか、来館時の現金か)や、期限の長さによってまったく変わります。まず自分の会場の入金台帳から、直近1年の「期限日までに入金がなかった件数」を数えてみてください。数えたことがない式場がほとんどだと思います。数えるだけで、この話を続ける価値があるかが分かります。

この前提だと、遅れは年に240組×8%で、約19組です。月にならすと1.6組。月に1〜2組が、期限を過ぎる計算になります。

遅れの原因は3種類ある

期限を過ぎた二人を、ひとまとめに「未入金」と呼ぶと、連絡の文面がぶれます。僕は原因を3つに分けて考えています。比率は仮の置き方です。

原因 仮の比率 仮の組数(年) 中身
忘れ 60% 約12組 日々の予定に紛れた。振込先を探している。仕事が忙しい
手当て待ち 25% 約5組 親の援助や貯金の移動待ち。ボーナス待ち。支払いはするつもり
迷い 15% 約3組 契約したが、他の式場も気になっている。実質、解約を考えている

忘れの二人に必要なのは、振込先と期限の再確認です。手当て待ちの二人に必要なのは、いつなら払えるかを聞いて、期限を引き直すことです。迷いの二人に必要なのは、督促ではありません。迷っている理由を聞く場です。

同じ「お振込みがまだのようです」という文面を3種類の二人に送ると、忘れの二人には足りて、手当て待ちの二人には気まずく、迷いの二人には「急かされた」という印象だけが残ります。迷いの二人にとって、この連絡は解約を決める最後の一押しになりかねません。

だから連絡は、1回目で原因の見当をつけ、2回目以降で分岐する形にします。

4段階の連絡

期限日を0日目として、翌日・3日後・7日後・14日後に分けます。

翌日:事務連絡として短く

1回目は、メールかLINEなど、二人が普段返事をしている手段で送ります。電話ではありません。文面は3行で足ります。

  • 内金のお振込み期限が昨日だったこと
  • 行き違いでお振込み済みの場合は、お知らせいただきたいこと
  • 振込先と、期限を過ぎた場合の扱い(次の連絡までの日数)

ここで大事なのは、責める調子を入れないことと、「行き違いならすみません」と書くことです。実際に、二人が期限の前に振り込んでいて、式場側の確認が遅れているだけ、というケースがあります。これは督促以前の話で、台帳の確認を先にします。

仮の式場では、忘れの二人12組の大半が、この1回目で入金すると僕は見ています。ただ、割合は置きません。確かめる方法は簡単で、1回目の連絡のあとに入金した件数を台帳に残すことです。1年続ければ、自分の会場の数字になります。

3日後:電話で原因を聞く

1回目の連絡のあとも入金がなければ、3日後に電話をします。電話の目的は、入金のお願いではなく、原因の聞き取りです。

聞くことは1つで足ります。「お振込みの予定は、いつ頃になりそうでしょうか」。この聞き方だと、忘れの二人は「すぐやります」と答え、手当て待ちの二人は「来週のボーナス後に」と具体的な日付を言います。迷いの二人は、言葉に詰まるか、話をそらします。

ここで手当て待ちの二人には、期限の引き直しを提案します。たとえば「では来週金曜までに」と日付を一緒に決めて、台帳に書きます。契約書の期限から延びますが、二人が自分で言った日付なので、守られる確率は上がると僕は思います。期限を延ばすことを恐れて督促を続けるより、日付を二人の口から出してもらうほうが、あとの連絡が楽になります。

この電話は、契約後の担当プランナーがかけるのが基本です。経理や事務の担当が初めて電話をかけると、二人は「お金の話だけで連絡が来た」と感じます。契約後の担当との関係が、まだ薄い時期だからです。

7日後:書面で期限を再設定する

電話で約束した日付を過ぎても入金がない、または電話がつながらなかった場合は、7日後に書面を送ります。メールでも構いませんが、件名に「内金お振込み期限の再設定について」と書き、本文は次の3点に絞ります。

  • 新しい期限の日付
  • その日までに入金がなかった場合の扱い(契約の効力、枠の扱い)
  • 事情があれば相談してほしいこと

この書面の役目は、二人に事実を伝えることと、式場側の記録を残すことです。契約書に書いてある解除や失効の条件を、この時点で初めて二人の目に入れる式場もありますが、できれば1回目の連絡のときに触れておくほうが穏やかです。

14日後:失効するかどうかを決める

14日後の連絡は、二人への連絡というより、式場側の判断の日です。この日に決めるのは1つで、「この枠を、このまま二人に取っておくか」です。

判断の材料は3つです。

  1. 挙式日まで何か月あるか。半年以上あれば、枠を戻しても再販できる余地が大きい
  2. その日が人気日か。人気日なら、枠を止めるコストが高い
  3. 二人の反応。連絡がつくか、日付を言えているか、迷いの兆候があるか

迷いの兆候があり、連絡もつながらず、人気日で、挙式まで半年以上あるなら、失効の判断に傾きます。逆に、連絡がついていて、事情が具体的で、挙式まで余裕のない日でもなければ、もう一度だけ期限を引き直す選択もあります。

どちらにしても、「判断を先送りにして枠を止めたまま」にだけはしない、というのがこの段取りの要点です。

放置すると何が止まるか

ここから、前提つきの計算をします。

まず、連絡の工数です。1組あたり40分、時給換算で2,000円なら、1組あたりの費用は約1,333円。年19組で約2万6千円、時間にして約12.8時間です。連絡を4段階に分けても、年に13時間ほどです。ここは、やる・やらないの判断を左右する額ではありません。

次に、迷いの二人(15%、約3組)が、枠を止める費用です。迷いの二人が期限を過ぎたまま放置されると、挙式日の枠は、実質的には売れない状態で残ります。この枠を失効にして、再販できたとします。再販できる確率を、30%、50%、70%の3通りで置くと、粗利は次のとおりです(3組×再販確率×350万円×粗利率30%)。

再販できる確率 粗利の差(年)
30% 約91万円
50% 約151万円
70% 約212万円

人気日の場合、再販の確率は高く、閑散日の場合は低いでしょう。挙式日までの月数が短いほど、再販は難しくなります。だから14日後の判断を、日付と人気度で分けて考える意味があります。

最後に、忘れの二人(60%、約12組)の取りこぼしです。仮に、連絡の仕組みがなく、忘れの二人の3割から5割が、そのまま失効や解約に流れるとします。すると、年に約3.5組から5.8組、粗利で約363万円から605万円が消える計算です。この比率はまったくの仮定で、実際にはもっと低い式場も多いと思います。ただ、忘れの二人は、本来は契約するつもりだった人たちです。ここで失うのは、いちばんもったいない失い方です。

3つを並べると、連絡の工数(年2万6千円)は、残りの2つに比べて一桁から二桁小さいことが分かります。督促の手間を惜しんで、枠と二人を失う構造です。

連絡の文面で避けること

文面の調子についても、3つだけ書いておきます。

  1. 「早急に」「至急」といった言葉は使わない。期限は日付で書く
  2. 「このままだと契約が無効になります」のような脅しは、1回目や2回目では使わない。契約書の条件は、7日後の書面で淡々と伝える
  3. 二人のどちらに連絡するかを、契約時に決めておく。夫婦のどちらかが窓口になっている式場が多いと思いますが、窓口でない側に先に連絡して、波風が立つことがあります

もう1つ。入金方法を変えると、そもそもの遅れが減る可能性があります。たとえば、契約書を渡すときに、その場で振込先を二人のスマホに送る。カードで内金を払える仕組みにしておく。こうした入り口の工夫のほうが、後の督促より安くつきます。ただし、カード払いは手数料が発生するので、そちらの損益は別に確かめる必要があります。

段取りを台帳に落とす

仕組みにするときは、入金台帳に4つの列を足すだけで足ります。

  • 期限日
  • 1回目の連絡日と手段
  • 電話の結果(予定日、原因の見当)
  • 14日後の判断(継続か失効か)と、その理由

この列が埋まっていれば、1年後に「遅れは何組だったか」「1回目で入金した割合は」「失効の判断は正しかったか」が数えられます。最初の1年は、数字を集める年です。この記事の仮の前提を、自分の会場の数字に置き換えていくための、材料になります。

担当者が休んだときは、別の人が同じ台帳を見て連絡できます。連絡が担当者の記憶に頼らない、というのが、4段階を日付で決める本当の理由です。

まとめ

  • 内金の期限を過ぎた二人への連絡は、翌日・3日後・7日後・14日後の4段階に、日付で決めておく
  • 遅れの原因は、忘れ・手当て待ち・迷いの3種類。1回目は事務連絡、2回目の電話で原因を聞き、手当て待ちには本人が言った日付で期限を引き直す
  • 仮の式場(年240組契約、遅れ8%)では、遅れは年約19組。連絡の工数は年約13時間で、費用は年2万6千円ほど
  • 高くつくのは督促の手間ではなく、枠が止まることと、忘れの二人を失うこと。仮の前提で年に約91万〜212万円、約363万〜605万円の粗利が動く計算
  • 14日後は、枠を取っておくか失効するかを決める日。挙式までの月数と人気日で分けて判断し、先送りしない
  • まず数えるのは、自分の会場の「期限日までに入金がなかった件数」。この数字がないと、8%が高いのか低いのかも分からない