来館・成約

見学後のお礼連絡は当日の夜か翌日の昼か|式場が送る時刻の決め方

見学が終わったあと、お礼の連絡をいつ送るか。多くの会場で、これは担当者の裁量に任されています。早く送る人もいれば、翌日の午前中に送る人もいて、3日後にまとめて送る人もいます。

結論から書きます。送る時刻を決めるときに見るのは、担当者の手間ではありません。二人が帰り道や夕食の席で「どうだった?」と話す時間に、その場で開ける材料が届いているかどうかです。手間のほうは計算するとほとんど差が出ないので、迷う理由になりません。

この記事に出てくる数字は、手間の計算も含めてすべて僕が置いた仮のものです。業界の平均値ではありません。自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

お礼連絡の役割は材料を渡すこと

お礼連絡は、礼儀として送るものだと考えられがちです。礼儀であることは間違いないです。ただ、会場の損益で見るなら役割はもうひとつあります。二人の相談に、材料を渡すことです。

見学の直後、二人は話し合います。その場でも話しますし、帰りの車や電車の中でも、夕食を食べながらでも話します。このとき、頭に残っているのは「あの会場は雰囲気がよかった」「見積もりは思ったより高かった」といった印象です。細かい数字や、担当者が話した例外の扱いは、翌日になるとかなり抜け落ちます。

つまり、お礼連絡に見積もりや次の選択肢が付いていれば、二人は記憶に頼らずに話し合えます。付いていなければ、二人は自分たちの記憶と、他の会場の資料を比べることになります。

もうひとつ、結婚式の検討は二人で完結しないことが多いです。親や、費用を出す家族に「どこを見てきたの?」と聞かれます。そのとき、画面を見せられる材料がある会場と、「えっと、名前は…」と検索から始める会場では、話の入り方が違います。

当日の夜、翌日の昼、3日後を比べる

送る時刻の候補を3つに絞って、それぞれが何を得意とするかを整理します。

送る時刻 二人の状況 向いている中身
当日の夜(見学後2〜4時間) 帰り道や夕食で、まさに話している 見積もりのPDF、次の選択肢、写真
翌日の昼 仕事や日常に戻っている。印象は薄れ始めている 質問への回答、補足資料
3日後 他の会場も見て、比べ始めている 比べるときの観点、次回の案内

当日の夜は、材料を渡すのに向いた時間です。ただし送る側には条件があります。見学が15時に終わる会場と、17時に終わる会場では、送る時刻の幅が変わります。

翌日の昼は、現実的で無難な選択です。担当者が出勤した状態で、見学時のメモを見ながら書けます。ただし、二人の最初の話し合いはすでに終わっています。この時刻の連絡は、話し合いの材料ではなく、二回目の話し合いのきっかけとして働きます。

3日後は、お礼ではなく追客の連絡です。お礼連絡をここまで遅らせると、「お礼」の意味が薄れます。見学から3日後に来る連絡は、二人にとって、数ある会場のひとつからの営業連絡に見えやすいと思います。

僕の立場ははっきりしています。見積もりを付けられる会場は、当日の夜に送るのが筋です。付けられない事情があるなら、翌日の昼で構いません。3日後にお礼を送るのは、やめたほうがいいです。

手間を計算すると、迷う理由にならない

当日の夜に送ろうとすると、担当者の手間が増えると考える会場は多いです。実際にどのくらい増えるのか、仮の数字で計算します。

仮に、月に60組が初回来館する会場だとします。お礼連絡1通を書くのに5分かかるとします。これは、テンプレートを土台にして、その二人の話した内容を1〜2行足す場合の想定です。

  • 月の作業時間は、60組×5分で300分。つまり5時間
  • 担当者の時間単価を仮に2,000円とすると、月の費用は1万円

次に、これで元が取れる条件を考えます。仮に1組の成約で会場に残る粗利を100万円とします。月1万円の手間は、成約が0.01組増えれば取り戻せます。年に直すと、年12万円の手間に対して、成約が0.12組増えれば足ります。つまり、8年に1組の成約が増えれば釣り合う計算です。

ここで言いたいのは、お礼連絡を当日の夜に送ると成約が増える、ということではありません。そういう数字は僕は持っていません。言いたいのは、手間のほうは、判断を左右するほど大きくないということです。当日の夜に送るかどうかは、手間の問題ではなく、運用の問題です。

当日の夜に送れない会場の条件

手間が小さいのに当日の夜に送れていない会場には、別の理由があるはずです。よくある条件は3つです。

1つ目は、担当者の勤務が見学の終了時刻で終わること。遅番の担当者が夜まで残らない会場では、当日の夜の送信は担当者のサービス残業になります。ここは手間の計算とは関係なく、勤務の組み方の問題です。

2つ目は、連絡手段が電話かメールに限られること。メールは夜に送っても、開かれるのが翌朝になることが多いです。LINEやSMSで連絡を取れる会場と、取れない会場では、当日の夜に送る意味が変わります。連絡手段の話は、会場ごとの運用ルールがあるはずなので、そこに合わせてください。

3つ目は、見積もりの作成に時間がかかること。見学中に口頭で出した金額を、その場で書面にできない会場です。この場合は、見積もりを待たせて遅い連絡にするより、先にお礼だけを当日に送り、見積もりは翌日に送るやり方もあります。ただしこの場合、お礼だけの連絡は「中身のない連絡」になりやすいです。次に何がいつ届くかを一文で書いておくと、受け取る側の戸惑いが減ります。

予約送信という手

担当者が夜まで残れない場合、予約送信を使う手があります。見学が終わった時点で本文を書き、送信を2〜3時間後にセットします。本文を書く時間は見学直後の方が記憶が新しく、正確になります。担当者の勤務時間と、二人に届く時間を切り離せます。

予約送信が使えるのは、連絡手段にその機能があるときだけです。使えない場合は、見学の終了時刻を基準に、翌日の午前10時など、担当者が出勤している時間帯に固定するほうが無理がありません。

中身は3つに絞る

時刻を決めても、中身が長すぎると読まれません。お礼連絡に入れるのは、次の3つだけにします。

  1. 見学に来てくれたことへのお礼を、1〜2行で
  2. その日に話した内容のうち、二人が決める必要があることを1つ
  3. 見積もりまたは次の選択肢(次回の来館、相談の手段)

1つ目は短く済ませます。長いお礼は、形式的に読まれます。

2つ目は、その二人に向けた一文です。テンプレートの中で、ここだけは書き換えます。たとえば、親の参加について話が出たなら「ご両親にもご覧いただけるよう、写真と見積もりを添えています」のような一文です。この一文が入っているかどうかで、同じテンプレートが、その二人に宛てた連絡に変わります。

3つ目は、二人が次に何をすればいいかが分かるようにします。選択肢は2つまでにします。3つ以上並べると、二人は何も選ばなくなります。

期限や特典でせかす書き方は避けます。「今月中なら」「本日中に」のような文は、帰り道で見ている二人には、圧力に見えます。そして、その圧力は、他の会場と比べているときほど逆効果になります。

送らないほうがいい場面

お礼連絡を急がなくていい場面もあります。

  • 契約当日の連絡は、契約書の案内が中心になる。お礼連絡とは別の流れ
  • 見学中に二人がはっきり断った場合は、お礼だけを短く送って終える。追加の資料は付けない
  • 二人が「ひとりで考えたい」と言っていた場合は、翌日の昼以降にする。当日の夜は、二人の時間に踏み込みすぎる

つまり、当日の夜に送るのは、二人が話し合いを前向きに進めていて、材料が欲しい状態のときです。見学中の様子から、担当者がその判断をする。ここは、時刻のルールより、現場の観察のほうが重要です。

時刻の違いを自分の会場で測る場合

どちらが良いかを、自分の会場の数字で確かめたくなると思います。ここは注意が要ります。

測る方法は単純です。ある期間は当日の夜に送り、別の期間は翌日の昼に送って、返信率を比べます。ただし、差を見分けるのに必要な件数を計算すると、月60組の会場では足りません。

仮に、返信率が当日の夜で50%、翌日の昼で40%だったとします。この10ポイントの差が偶然ではないと言えるためには、片方の群で約390組が必要です。月60組なら、6〜7か月分です。しかも2つの群を同じ期間に並行して走らせないと、季節の影響が混ざります。

そのため、小さな会場では、数字で白黒をつけようとするより、次の運用にするほうが現実的です。

  • 見積もりを添付できる日は、当日の夜に送る
  • 添付できない日は、翌日の昼に送る
  • どちらで送ったかを、契約台帳に1列足して残す

1年たつと、台帳に数百件の記録が残ります。そのときに初めて、時刻の違いが返信や来館の再予約にどう関わったかを見られます。最初から比べようとせず、記録だけは取っておく。これが、小さな会場にとって現実的な進め方です。

まとめ

  • お礼連絡の役割は礼儀に加えて、二人の話し合いに材料を渡すこと。見積もりや次の選択肢が付いていれば、二人は記憶に頼らずに話し合える
  • 当日の夜は材料を渡す時間、翌日の昼は二回目の話し合いのきっかけ、3日後は追客の連絡になる。3日後にお礼を送るのは遅い
  • 仮の計算では、月60組、1通5分、時間単価2,000円で月1万円。成約が年に0.12組増えれば釣り合う。手間は判断を左右しない
  • 当日の夜に送れない原因は、勤務の組み方、連絡手段、見積もりの作成時間にある。予約送信は、使える手段なら有効
  • 中身はお礼、その二人への一文、見積もりか次の選択肢の3つだけ。期限や特典でせかさない
  • 時刻の違いを数字で比べるには、仮の想定でも片方約390組が必要。小さな会場は、送った時刻を台帳に残して、1年後に見る