集客

Instagramの利用率は、3つの調査で42%から55%まで開く。新郎新婦の年代で見ると8割に近い

「SNSって、結局どれくらいの人が使っているんですか」。運用を始めるときも、予算を見直すときも、会議で最初に出る問いです。調べると数字はすぐ見つかりますが、見つかる数字が揃いません。

今回読んだ3つの調査では、Instagramの利用率が42.0%から54.8%まで開いていました。LINEに至っては71.1%から92.9%です。どれも2026年に出た資料で、どれも公表元ははっきりしています。誰かが間違えているわけではありません。

ただ、もう一段大事なことがあります。この数字は全年代の平均です。式場の運用で見たいのは、結婚する年代の数字のはずです。総務省の調査で20代と30代に絞ると、Instagramは82.6%と76.6%でした。初婚の年齢分布で重みづけして試算すると、約8割になります。全年代の5割前後とは、30ポイント近い差です。

この記事では、3つの調査を並べて差の出どころを確かめ、新郎新婦の年代に絞るとどう読み替わるかを、前提つきで計算します。最後に、この数字から言えることと、言えないことを分けます。

3つの調査が出している利用率

読んだのは次の3つです。

  • 総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2026年6月26日公表)
  • クロス・マーケティング「SNSに関する調査(2026年)実態編」(2026年6月23日発表)
  • ICT総研「2026年度 SNS利用動向に関する調査」(2026年7月28日発表)

先に表を置きます。

調査 対象 回答数 LINE Instagram X
総務省(2025年12月) 全国の13〜79歳 1,800人 92.9% 54.8% 44.7%
クロス・マーケティング(2026年6月) 全国の20〜69歳 3,000人(SNS利用者は2,499人) 76% 45% 49%
ICT総研(2026年) 全国のインターネットユーザー 2,068人 71.1% 42.0% 45.4%

Instagramは13ポイント、LINEは22ポイント開きます。Xだけは44.7%、49%、45.4%と、4〜5ポイントの幅に収まっています。

差の出どころ

1つめは調査の方法です。総務省は訪問留置調査で、調査員が家を回って回答を集めます。他の2つはインターネットを使ったアンケートです。ネットのアンケートは、ネットの利用頻度が高い人に回答が寄りやすいと言われますが、今回の数字はその理屈どおりには動いていません。ネット調査のほうがLINEの利用率が低く出ています。

2つめは対象の幅です。総務省には10代と70代が入り、クロス・マーケティングは20〜69歳、ICT総研は「インターネットユーザー」です。Instagramは若い層で高いので、10代が入る総務省の数字は押し上げられます。ただ、全体の差をこれだけで説明できるかは、元データが手元にないので確かめられません。

3つめは聞き方です。総務省は「自分が利用している」と回答した割合で、日記式調査で実際に使った人の割合(行為者率)とは別物だと報告書に明記されています。クロス・マーケティングの図2は、SNS利用者2,499人を母数にした割合です。ICT総研は利用率という言葉を使っていますが、質問文は発表資料から読み取れませんでした。

つまり、3つの差を「方法」「対象」「聞き方」のどれが何ポイント生んでいるのか、僕には分解できません。分かるのは、どの調査も違うものを測っていて、数字を1つだけ持ってきて「SNSの利用率は〇%」と言うのは危ない、ということまでです。

年代別に見た利用率

3つの調査が一致していることが1つあります。InstagramもXも、若いほど利用率が高いことです。

総務省の調査(令和7年度)で、年代別の数字を並べます。

年代 回答数 LINE Instagram X TikTok
全年代 1,800人 92.9% 54.8% 44.7% 36.7%
20代 218人 97.7% 82.6% 73.4% 61.5%
30代 235人 97.9% 76.6% 67.7% 44.7%
40代 298人 96.6% 67.1% 57.0% 42.6%
50代 338人 95.6% 54.4% 40.2% 32.2%
60代 274人 92.0% 36.1% 24.8% 21.2%

クロス・マーケティングも、「X」「Instagram」「TikTok」は若いほど利用率が高まる、と書いています。ICT総研はサービス別の年齢構成で、Instagram利用者のうち15〜29歳が31.5%、Xは29.5%を占めると発表しました。方向は3つとも同じです。

ここで言えるのは、Instagramの全年代の54.8%という数字は、50代の54.4%とほぼ同じ値だということです。全年代の平均は、ちょうど真ん中あたりの世代の数字になっています。新郎新婦の年代はそこより上にあります。

初婚の年齢分布

では、結婚する人はどの年代に多いのでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集2026」の表6-3に、性別・年齢5歳階級別の初婚数があります。原資料は厚生労働省の人口動態統計で、2024年の値です。

妻の初婚は258,657人でした。内訳は次のとおりです。

年齢 人数 構成比
19歳以下 3,197 1.2%
20〜24歳 41,739 16.1%
25〜29歳 114,211 44.2%
30〜34歳 58,447 22.6%
35〜39歳 25,361 9.8%
40歳以上 15,701 6.1%

夫の初婚は252,641人で、20〜24歳が12.6%、25〜29歳が40.4%、30〜34歳が24.3%、35〜39歳が12.0%でした。

注意があります。この表は初婚の「人数」で、組数ではありません。再婚は含みません。結婚式を挙げる人の年齢分布とも一致しません。結婚式を挙げるのは、初婚の中の一部です。ただ、式場の主な客層が初婚の新郎新婦なら、年齢の山の位置はそう変わらないはずです。この前提は置いておきます。

妻の初婚のうち、20代は60.3%、30代は32.4%です。20〜39歳を合わせると92.7%になります。夫は20代が53.0%、30代が36.4%で、20〜39歳で89.3%です。つまり新郎新婦の約9割は、総務省の年代区分でいう20代か30代にいます。

重みづけして試算する

総務省の20代と30代の利用率を、初婚の年齢構成で混ぜると、新郎新婦の年代の利用率に近い数字が出せます。

前提は3つです。

  • 母集団は、初婚の20〜39歳(妻は239,758人)
  • 20代と30代の比率は、妻の初婚の年齢構成(20代65.0%、30代35.0%)
  • 利用率は総務省の令和7年度調査の値を、そのまま使う

妻側の構成で計算すると、次のようになります。

サービス 20代 30代 重みづけ後 全年代
Instagram 82.6% 76.6% 80.5% 54.8%
X 73.4% 67.7% 71.4% 44.7%
TikTok 61.5% 44.7% 55.6% 36.7%
LINE 97.7% 97.9% 97.8% 92.9%

夫側の構成(20代59.3%、30代40.7%)で計算しても、Instagramは80.2%、Xは71.1%でした。ほとんど動きません。

このモデルが言えるのは、新郎新婦の年代のInstagramは、全年代の5割台ではなく8割前後の世界にいる、という方向です。Xは4割台でなく7割台、TikTokも3割台でなく5割台になります。LINEだけは全年代でもすでに9割を超えているので、差は5ポイントです。

この試算の誤差

この数字を会議に出すときは、誤差も添えたほうがいいです。

総務省の20代は218人、30代は235人です。Instagramの20代82.6%は、単純に計算すると95%信頼区間で上下5ポイント前後、30代の76.6%は5.4ポイント前後の幅があります。標本の取り方による影響は計算に入れていないので、実際の幅はもう少し広いかもしれません。

前の年度(令和6年度)の同じ調査では、Instagramは20代78.0%、30代70.5%でした。今年度は82.6%と76.6%なので、20代は4.6ポイント、30代は6.1ポイント上がっています。ただ、この差は誤差の幅と同じくらいです。「1年でInstagramが伸びた」と書くには根拠が弱いと見ておくほうが安全です。「8割前後」と丸めて持ち歩くのが、この精度には合っています。

Xは20代で78.0%から73.4%に下がり、30代で61.6%から67.7%に上がりました。これも誤差の範囲です。年代別の前年差で運用方針を変えるのは、お勧めしません。

全年代の数字で決めたときのずれ

ここまでの数字を、式場の仕事に戻します。

たとえば、会議で「Instagramの利用率は45%らしい。半分以下だから、予算は絞って広告に回そう」という話が出たとします。クロス・マーケティングの全体の数字を見ればそうなりますが、この45%は20〜69歳全体です。新郎新婦の年代に絞れば、総務省の試算で8割に近い世界です。見ている母数が違います。

逆に「若者はみんなInstagramを使っている」と言うのも、少し危ないです。使っている人が8割いるということは、使っていない人が2割いるということです。20人の来館予定のうち4人は、Instagramを見ていない計算になります。

もう1つ、見落としやすいのが親世代です。結婚式の来館や打合せに、新郎新婦の親が関わる場面は多いはずです。この調査では新郎新婦の親が何歳かは分かりませんが、50代と60代の数字は載っています。

年代 LINE YouTube Instagram Facebook
50代 95.6% 84.9% 54.4% 33.1%
60代 92.0% 72.6% 36.1% 22.6%
70代 77.8% 48.5% 15.8% 12.5%

50代と60代の親にとって共通して使われているのはLINEとYouTubeで、Instagramは50代で5割強、60代で3割台です。新郎新婦に見てもらう情報と、親に見てもらう情報では、置く場所が変わる可能性があります。親が来館にどれくらい関わるのかは、この3つの調査からは分かりません。自分の会場の来館アンケートで見るしかないところです。

この数字の限界

最後に、この記事の数字が言っていないことを書いておきます。

1つめは、「SNSで式場を探す人の割合」ではないことです。ここまでに出てきたのは、ふだんSNSを使っているかどうか、です。使っている人が、式場探しにそのSNSを使うかどうかは別の問題です。式場探しの情報源の調査は別にあり、僕が一次資料を読んだ範囲では、結婚情報誌やポータルサイトと比べた場合の数字は、1つの調査主体の結果に偏っていて、独立した2つめの出典で確かめられていません。そのため、この記事では式場探しの情報源の数字は使いませんでした。

2つめは、利用率が高いことと、見てもらえることは別だということです。ある式場のアカウントを、新郎新婦の8割が見ているわけではありません。同じ調査で言えるのは、Instagramを持っている人が8割いるところまでです。

3つめは、運用に使う時間の数字ではないことです。総務省の調査にはSNSの1日あたり利用時間も載っていますが、年代別の時間を独立して確かめられる別の出典を、今回は見つけられませんでした。使っていません。

会議で使うときの置き方

では、この数字を会議でどう使えばいいでしょうか。僕なら、次のように置きます。

SNSの利用率を持ち出すときは、必ず「何歳の誰の数字か」を最初に言います。全体の数字は参考程度に留めて、新郎新婦の年代の数字を軸にします。総務省の20代・30代の値(Instagramは82.6%と76.6%)をそのまま出して構いません。試算の8割前後を出すなら、初婚の年齢構成で重みづけしたこと、誤差が上下5ポイント前後あることを添えます。

そのうえで、自分の会場の数字に置き換えます。来館した新郎新婦に、検討中に使ったSNSと、親に共有した手段を聞く。たった2問のアンケートでも、1〜2か月分が溜まれば、全国の調査より当たりの強い数字になります。全国の調査は出発点で、決める材料は会場の来館者のほうにあります。

年に1回、総務省の調査と初婚の年齢分布が更新されたら、同じ計算をやり直します。式場の客層が20代後半に寄るのか、30代前半に寄るのかで、重みづけ後の数字は数ポイント動きます。今回の計算は、表計算ソフトで2分もあれば再現できます。

まとめ

  • Instagramの利用率は、総務省54.8%、クロス・マーケティング45%、ICT総研42.0%と、2026年の調査でも13ポイント開く。LINEは71.1%から92.9%まで開く
  • 差は方法、対象年齢、聞き方の違いで生まれる。どれが何ポイントかは、公表資料からは分解できない
  • 全年代の数字は新郎新婦の数字ではない。総務省の20代はInstagram82.6%、30代は76.6%
  • 2024年の初婚は、妻の92.7%、夫の89.3%が20〜30代。この構成で重みづけすると、Instagramは約8割、Xは約7割になる
  • 年代別の前年差は、回答数が200人台のため誤差の幅と同じくらい。「伸びた」と読まず、「8割前後」と丸めて使う
  • 利用率は式場探しの利用率ではない。会場の来館アンケートで、検討中に使ったSNSと親に共有した手段を聞くほうが、決める材料になる