来館・成約

年末年始の休業中に届く問い合わせは、仮の式場で27件。返信が1月4日まで空くと粗利136万円が消え、自動返信と1月2日・3日の返信で68万円を取り戻せる

年末年始の休業中に届いた問い合わせは、1月4日の朝にまとめて返す。多くの式場がそうしていると思います。休んでいる間は仕方ない、という判断です。

ただ、この6日間の問い合わせが、1年の中でどういう重さを持つのかを数えた式場は少ないはずです。この記事では、実際の統計ではなく、僕が前提を置いたモデル計算で、返信が遅れたときの損を見ます。使う数字はすべて仮定です。自分の式場の数字に入れ替えて読んでください。

先に結論です

仮の式場で、休業中の問い合わせは27件、返信を1月4日にまとめた場合の粗利は約318万円、普段どおり返せた場合は約454万円です。差は約136万円になります。

  • 自動返信で来館予約の入口(予約フォームのリンク)を渡すと、差のうち約68万円を取り戻せる
  • 残りの約68万円は、1月2日と3日に一人が4時間ずつ返信すると取り戻せる。かかる人件費は約1.6万円
  • 決めるのは「返すかどうか」より、「誰が、何日の何時に、どこまで返すか」

順に見ていきます。

前提を置きます

数字はすべて仮のものです。実在の調査から取ったものではありません。

  • 休業は12月29日から1月3日の6日間
  • ふだんの問い合わせは1日3件(公式サイトのフォーム、LINE、メールの合計)
  • 年末年始は時間のある二人が増えるので、ふだんの1.5倍の4.5件が来るとする。6日間で27件
  • 返信が当日か翌営業日に届いたとき、来館予約まで進む人が40%
  • 返信が1月4日まで空くと28%。数日待つ間に、他の式場から返信が来た二人が離れる想定です
  • 休業中に自動返信が届き、予約フォームの案内があると34%
  • 来館した二人のうち成約するのは30%
  • 1組の粗利は140万円

「1.5倍」「28%」「34%」は、僕が置いた仮定です。ここは式場ごとに違うので、後で入れ替える場所として最初に並べました。

返信が1月4日になると、粗利は136万円減る

27件に、それぞれの来館予約率を掛けます。

対応 来館予約 成約 粗利
普段どおり返せた場合(40%) 10.8件 3.24組 約454万円
自動返信だけ(34%) 9.2件 2.75組 約386万円
1月4日にまとめて返す(28%) 7.6件 2.27組 約318万円

普段との差は、1月4日返信で約136万円です。1組140万円の式場で、ほぼ1組分に当たります。

この数字で見てほしいのは、休業中の問い合わせが「たった6日分」であっても、重さは6日分で済まないことです。年始に問い合わせた二人は、同じ週に複数の式場へ連絡しています。最初に返事をくれた式場と、最初に来館の日取りを出してくれた式場が、先に予定に入ります。返信が空いた分、予定に入れてもらえなくなる。そう考えると、28%という置き方は、そう極端ではないと僕は見ています。

置いた前提を動かすと、どこまで変わるか

28%という数字は、僕の置いた仮定です。ここを動かして、結論が崩れないかを見ておきます。

  • 返信が空くと来館予約率が20%まで落ちる場合:来館5.4件、成約1.62組、粗利は約227万円。普段との差は約227万円まで開く
  • 空いても34%を保つ場合(自動返信なしでも二人が待ってくれる):差は約68万円で、自動返信の効きは消える
  • 休業が12月27日から1月4日の9日間になる年:問い合わせは40.5件、28%なら来館11.3件、成約3.4組。差は約204万円と、27件のときの1.5倍

どの置き方でも、差が出る向きは変わりません。変わるのは、自動返信だけで足りるか、返信の担当を出す価値があるかの線です。その線は、休業中の問い合わせの実数と、返信が遅れた二人の予約率が見えて初めて引けます。

自動返信は「受付しました」で止めると効かない

自動返信を入れていない式場は、思ったより多いです。入れている式場でも、中身が「お問い合わせありがとうございました。担当より折り返しご連絡します」の一文だけ、というものをよく見ます。

この文面だと、二人の側からは何も進みません。34%に届くのは、次の4つが入っているときだけです。

  1. 休業期間と、返信を始める日(「1月2日から順次」など)
  2. 来館予約を、返信を待たずに入れられるフォームかLINEのリンク
  3. 年始に空いている見学枠の日付(3つほど)
  4. 問い合わせの内容を控えた旨(「ご希望の日程は〇〇でお預かりしました」)

2番がいちばん効きます。二人が返信を待つ間に、予約を先に押さえられるからです。見学予約のフォームがもう公式サイトにあるなら、リンクを貼るだけで足ります。フォームの項目が多いと途中で離れるので、項目の数は別に見直す価値があります。

3番は、年始の見学枠を前もって出しておくことが前提です。1月の第1週は、スタッフの出勤計画が決まっていない式場が多いと思います。自動返信を作る作業の中で、実は一番重いのがここです。決まっていないなら、「1月5日以降の週末から」と、枠が確実に出せる日からにしておきます。

1月2日・3日の返信は、1.6万円で68万円を動かす

自動返信で約68万円を取り戻しても、まだ約68万円が残っています。残りは、人が返信を書いて来館日を提案できるかどうかで決まる部分です。

1月2日と3日に、一人が4時間ずつ返信に入る場合を考えます。休日の時給は割増を含めて2,000円とすると、1人×2日×4時間×2,000円で1.6万円です。

返信で上乗せされる来館予約率は、34%から40%の6ポイントです。回収に要る問い合わせの件数は、次のように出ます。

  • 1件あたりの粗利の増え方は、0.06 × 0.3 × 140万円で、約2.5万円
  • 1.6万円を2.5万円で割ると、約0.6件

つまり、休業中の問い合わせが1件あれば、人件費はほぼ元が取れます。仮の式場の27件なら、40倍を超えます。

数字だけを見れば「出勤させたほうがいい」で終わります。でも、実際に決めるのは金額ではないと思っています。

休んでいるスタッフに返信を頼めるか

年末年始の休業は、スタッフにとって貴重な連休です。土日が稼ぎ時の式場では、まとまった休みを取れるのは、ここと夏の数日くらいではないでしょうか。

人件費が合うからといって、全員を呼び出すのは違います。分けて考えたほうが、揉めません。

  • 在宅で返信だけを書く人を、1人決める。 来館対応や打合せは含めず、問い合わせへの返信と来館日の提案だけを頼む
  • 本人が手を挙げる形にする。 誰かに割り振られると、休みが休みでなくなる
  • 休日の扱いを先に決める。 賃金を払うか、別の日に振り替えるか。ここを曖昧にして、あとで揉める式場が出ると思います
  • 返信のひな形を、休業前にそろえておく。 一件ずつ考えると8時間でも足りなくなる。1件10分でも27件は4.5時間かかり、1月2日と3日の8時間で返しきる計算です

最後のひな形は、実は1月4日の返信にも効きます。27件を1日で返す作業は、1件10分として4.5時間。そこに通常の問い合わせが重なると、4日の返信が午後や翌日にずれ込みます。ひな形があれば、この遅れも小さくなります。

判断の分かれ目は、問い合わせの件数と返信の担い手

ここまでの数字をひっくり返す条件を、先に並べておきます。

問い合わせが、仮定より少ない場合。 休業中の問い合わせが5件程度なら、返信の人件費1.6万円に対して粗利の増え方は約12.6万円です。出勤の元は取れますが、休業を重く受け止めるほどの差ではありません。自動返信だけで十分、という式場も出てくると思います。自分の式場の去年の12月29日から1月3日の件数を、フォームとLINEとメールで数えてみてください。

休業中の返信で、他の式場より早く返信できていない場合。 年始に休んでいない競合が多い地域では、28%よりもっと下がる可能性があります。逆に、休業が当たり前の地域では、28%と40%の差は小さくなります。この差は、地域差が出る部分です。

来館予約の枠が、1月に空いていない場合。 返信を早くしても、見学を入れられる日がなければ、予約率は上がりません。1月の週末が、すでに先約で埋まっている式場は、自動返信の日付案内が出せません。この場合は、返信の速さより、枠の話が先です。

自動返信に載せない内容

自動返信に、ついあれこれ書いてしまう式場があります。ここは足し算より引き算です。

  • 「今月中のご予約で特典」のような期限つきの案内。 期限で追う案内は、事故リストに入る領域です。休業明けの特典が、いつまで続くのかも曖昧になります
  • 料金の概算。 休業中に概算を出すと、後の見積もりとの差を説明する作業が1月に増えます
  • 担当者の個人名や携帯の番号。 休業中に電話が個人にかかってくると、休みでなくなります

載せるのは、受け付けたこと、返信の始まる日、予約の入口、空いている枠、の4つだけで足ります。

1月4日の朝に、何を見るか

1月4日は、休業明けの初日です。ここで見る数字は3つです。

  1. 休業中に届いた問い合わせの総数と、自動返信から来館予約に進んだ件数
  2. 1月2日・3日に返信した件数と、そこからの来館予約
  3. まだ返信できていない件数

この3つが取れていれば、来年の12月に、同じ計算を自分の式場の数字で回せます。仮定の「28%」と「34%」を、実際の値に置き換えられるのがいちばんの収穫です。

まとめ

  • 年末年始の休業中(12月29日〜1月3日)の問い合わせは、仮の式場で27件。返信が1月4日になると、普段より粗利が約136万円少なくなる(来館予約率が40%から28%に下がる前提)
  • 自動返信に予約の入口と空き枠を載せると、約68万円を取り戻せる。「受付しました」だけでは来館予約に進まない
  • 1月2日と3日に一人が4時間ずつ返信する人件費は1.6万円。休業中の問い合わせが1件あれば、ほぼ元が取れる
  • 人を出すかどうかは、金額より「手を挙げた1人」と「休日の扱い」で決まる
  • 先に決めるのは、1月の空き枠と、返信のひな形。件数と来館予約率は、1月4日の朝に実績で置き換える