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公式LINEの配信を週1から週2にすると、仮の式場ではブロックで来館が年2〜9組分減りうる。決めるのは通数ではなく、1通ごとのブロック率だ

公式LINEの配信は、増やすほど来館予約につながるのか。それとも、増やすほどブロックされて損をするのか。式場のSNS担当者と話すと、この二つの意見はだいたい半々に割れます。「もっと送らないと忘れられる」と「送りすぎるとブロックされる」です。

結論から書きます。来館前の友だち1,000人に、配信を週1から週2に増やす場合、損得を分けるのは配信の通数そのものではありません。1通ごとのブロック率です。仮に0.5%なら、追加の12通で約58人がブロックし、3か月で来館予約が約2.3組、粗利で約98万円分の見込みが消えます。これを取り返すには、配信を増やしたことで来館予約が3.1%以上増える必要があります。

この記事の数字は、すべて僕が置いた仮のものです。ブロック率も、来館予約率も、調査の数字ではありません。自分の会場の数字に置き換えると結論は変わります。「どの数字が結論を動かすのか」を読み取るための計算として読んでください。

配信を増やすと、何が入れ替わるのか

配信を増やすと、二つのことが同時に起きます。

一つ目は、目に触れる回数が増えることです。フェアの案内や空き枠の知らせが届く回数が倍になれば、来館予約を思い出す人が増える可能性があります。

二つ目は、一部の人が友だちをやめる、またはブロックすることです。ブロックした人にはその後の配信が届きません。この人たちが将来来館するはずだった分は、配信の効果とは別に、損として残ります。

ここで見落としやすいのは、ブロックが「その後ずっと」効くことです。今日の配信で増える来館予約は、その配信の分だけです。今日のブロックで失う来館予約は、その人に今後送れたはずのすべての配信の分です。増える分は一回きり、失う分は残り続ける。この非対称があるので、配信は「少し増やしたら少し効く」という直線では考えられません。

仮の式場を置く

数字を置きます。

  • 来館前の友だちが1,000人。今後3か月を見る
  • 現状は週1回、月4通。3か月で12通
  • 増やす案は週2回、月8通。3か月で24通。つまり追加は12通
  • 配信を受け続ける友だちのうち、3か月で来館予約をする人は8%。1,000人なら80組
  • ブロックした人も、検索や媒体など別の経路で来る可能性は残る。その人たちの来館予約率は、半分の4%と置く
  • 来館した人のうち、成約する人は30%。1組の粗利は140万円。つまり来館1組あたりの期待粗利は42万円
  • ブロック率は、1通ごとに同じ割合で起きる。0.3%、0.5%、1%、2%の4通りを見る

ブロックされたあとの来館予約率を4%と置いたのは、僕の仮定です。ゼロにすると損が大きく見えすぎますし、8%のままにするとブロックの損がなくなってしまいます。中間に置きました。

ブロック率が上がると、損はどう膨らむか

追加の12通で、友だちの何人がブロックするかを計算します。1通ごとのブロック率をbとすると、12通を終えて残る人は、1,000人のうち(1−b)の12乗の割合です。ブロックした人は、来館予約率が8%から4%に下がります。

1通ごとのブロック率 追加12通でブロックする人 失う来館予約 失う粗利(3か月)
0.3% 約35人 約1.4組 約60万円
0.5% 約58人 約2.3組 約98万円
1% 約114人 約4.5組 約191万円
2% 約215人 約8.6組 約362万円

0.5%と2%の差は、1通ごとに見ればたった1.5ポイントです。それが3か月で、損が約98万円から約362万円へと、3.7倍に開きます。

1通ごとに直すと、わかりやすくなります。ブロック率が0.5%なら、1通送るたびに1,000人のうち5人が離れます。1人あたり来館予約率が4ポイント下がるので、1通で約0.2組の来館予約が消えます。粗利にして、1通あたり約8.4万円です。つまり、追加の1通は「8.4万円分の損を出す覚悟」を持って送る配信だということです。

増やした配信は、来館予約を何%押し上げれば元が取れるか

では、配信を増やして、残った友だちの来館予約率が何%上がれば、損を取り返せるでしょうか。

ブロックしなかった人の来館予約が(1+L)倍になる、と置いて、ブロックの損と釣り合うLを求めます。計算結果はこうなります。

1通ごとのブロック率 元が取れる上昇率L
0.3% 1.8%
0.5% 3.1%
1% 6.4%
2% 13.7%

読み方を一つだけ書きます。ブロック率が0.5%なら、配信を倍にして、来館予約率が8%から8.25%に上がれば足ります。これは小さい上昇です。一方で、ブロック率が2%になると、8%から9.1%に上がらないと元が取れません。

つまり、ブロック率が低い会場では、配信を増やすのは割と安全な賭けです。ブロック率が1%を超えてくる会場では、増やすのは重い賭けになります。僕が「通数ではなく、1通ごとのブロック率で決める」と書いたのは、これが理由です。

上昇率は測れない、ブロック率は測れる

ここまでの計算には、実務で困る点が一つあります。配信を増やしたことで来館予約が何%増えたのかは、ほとんど測れません。

仮の式場の友だちは1,000人で、3か月の来館予約は80組です。80組という数字は、偶然のぶれだけで前後9組ほど動きます(80の平方根が約9です)。3.1%の上昇は、80組のうち約2.5組です。ぶれの中に埋もれて、見えません。

統計的にきちんと見分けるには、どれくらいの人数が要るか。来館予約率が8%から、ブロック率0.5%の場合の損益分岐である8.25%になる差を見分けるには、一方の群に約4.5万人が要ります。1,000人の友だちでは、桁が足りません。差が大きい場合、たとえば来館予約率が8%から9.6%(2割増)になる差でも、片方に約4,900人が要ります。

一方、ブロックは数えられます。配信のたびに、友だちの数が何人減ったかは、LINE公式アカウントの管理画面で毎回確認できます。1,000人の友だちで1通ごとに5人減るのか、20人減るのかは、見れば分かります。

だから、この判断は次のように組み立てるのが現実的です。

  1. 来館予約の増加は「測れない」と割り切る
  2. ブロック率は「毎回測れる」ので、これを管理指標にする
  3. ブロック率が基準を超えたら、頻度を戻す

頻度を変えるときの、現場の手順

頻度を変えるときは、次の順で進めます。

まず、今の週1回の配信で、1通ごとに友だちが何人減っているかを4〜8週分記録します。配信の翌日までの減少を数えます。友だちの数は、管理画面で見られる「友だち数」の推移から取れます。ブロックは配信と無関係にも起きるので、配信しなかった日の減り方も同じ表に書いておきます。

次に、頻度を週2回に上げたあとの、1通ごとの減少を2〜4週間記録します。見るのは、減り方が今までの何倍になったかです。

基準は、僕なら二つ置きます。

  • 1通ごとのブロック率が、これまでの2倍を超えたら、元の頻度に戻す
  • 週2回のうちの2通目だけが、とくに多く減るなら、2通目の内容を見直す

2倍を超えたら戻す、というのは、先ほどの表の動きを根拠にしています。ブロック率が0.5%から1%に倍増すると、元が取れる上昇率は3.1%から6.4%に倍になります。その上昇率は、1,000人の友だちでは見えません。見えない賭けの条件が倍に厳しくなったら、降りる。それが基準の理由です。

ブロック率の数字そのものは、会場や配信内容で大きく変わります。0.5%が普通の会場も、2%が普通の会場もあります。基準は絶対値ではなく、自分の会場の「いつもの値」からの倍率で置くほうが安全です。

同じ通数でも、損が違う配信がある

もう一つ、仮の式場の計算で触れていないことがあります。ブロックの損は、配信の中身で変わります。

来館の案内、空き枠の知らせ、季節のフェアの告知のように、受け取った人が「行動できる」配信は、ブロックされにくい傾向があります。「今月のお知らせ」「スタッフ紹介」のように、受け取っても何もできない配信は、ブロックされやすいのではないかと僕は見ています。調査で確認した数字ではなく、僕の印象です。自分の会場で、配信ごとのブロック数を並べて確かめるのが確実です。

もし確かめて、「行動できない配信」のブロックが多いなら、増やす前に、その配信を減らすか、行動できる内容に変えるほうが、損は小さくなります。通数を増やすより先に、2通目の役割を決めるということです。

たとえば、1通目は「今週末の空き枠」、2通目は「平日夜のオンライン相談の予約」のように、行動が一つに決まる配信にします。この組み合わせなら、受け取る人は「今週末に行けるか」「平日夜なら行けるか」を自分で選べます。

来館前の友だちと、そうでない友だち

仮の式場の計算は、来館前の友だち1,000人だけを見ています。友だちには、すでに来館した人、契約した人もいます。同じ配信を全員に送ると、損の見え方が変わります。

契約済みの人は、これ以上の来館予約を生みません。ただ、ブロックされても、挙式までの連絡の窓口を失います。打ち合わせの案内を公式LINEで送っているなら、ブロックの損は粗利ではなく、運営の手間に出ます。これは来館前の人の計算には入れていません。

だから、配信は友だちの状態で分けられるなら、分けたほうがいいです。公式LINEには、友だちの属性や行動で絞って配信する機能があります。分けるのが面倒なら、少なくとも「来館前」と「契約後」だけは別にします。契約後の人に、フェアの案内を週2回送るのは、受け取る人にとって意味のない配信になるからです。

まとめ

  • 配信を増やす損得は、通数ではなく、1通ごとのブロック率で決まります
  • 仮の式場(来館前の友だち1,000人)で追加12通を送ると、ブロック率0.5%で来館予約が約2.3組、粗利で約98万円分の見込みが消えます。2%なら約8.6組、約362万円です
  • 元を取るのに要る来館予約の上昇率は、ブロック率0.5%で3.1%、1%で6.4%、2%で13.7%です
  • 配信による来館予約の増加は、1,000人の友だちでは測れません。ブロックは毎回数えられるので、ブロック率を管理指標にします
  • 頻度を上げるときは、これまでの1通ごとのブロック率の2倍を超えたら戻します
  • 通数を増やす前に、2通目を「行動が一つに決まる配信」にすることと、来館前と契約後で配信を分けることを先に決めます